2011年12月31日
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はじめまして。
このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。
「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。
どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。
クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。
私はそこに焦点をおいています。
そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。
掲示板も設置しましたので、お気軽に投稿下さい。クラシック音楽に関するご質問もわかりうる範囲でお答えします。
どうぞ、よろしくお願いします。
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2009年11月08日
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ストコフスキーは「シェエラザード」を全部で5回録音したが、最も彼らしい主張が生かされたのは、ロンドン響とのこの演奏といっていい。
ストコフスキーが大変得意としていた曲だけあって、さすがにうまいものだ。
全体にテンポを遅めにとり、旋律をたっぷりと歌わせながら、この曲の持つ東洋的な雰囲気を巧みに表出している。
彼一流の粘りの強い表現が少々気になるが、聴かせどころのツボをよく押さえた実に達者な演奏だ。
ストコフスキーはスコアを自由自在に改竄し、独特のアクの強い表情を付け加え、実にドラマティックに曲を盛り上げている。
まったくのストコ節ともいえる独特の表現だが、面白く聴けることに関してはこれに優る演奏はちょっと想像することができない。
またロンドン・レーベルご自慢の「フェイズ・4」システムを駆使して、ソロ楽器を思い切りクローズ・アップして、トロンボーンが右チャンネルから堂々と聴こえたりして、トリックの用い方も堂に入っている。
あまりにも仕掛けが多く、品格を欠いているようにも感じられるが、曲そのものがスペクタキュラーなのだから、ストコフスキーの行き方も是認されよう。
ただストコフスキーにはもう1枚、ロイヤル・フィルを指揮したCDもあったが、こちらは4つの楽章を切れ目なく繋げただけで、演奏そのものはあまり面白くない。
「スペイン奇想曲」は大仕掛けが至る所に見られ、名人芸に事欠かないが、全体にかなりもたれ、響きの汚れが気にかかる。
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2009年11月07日
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1954年ザルツブルグ音楽祭公演のライヴ録音。
これは、劇的で変化に富んだこの作品の性格を見事にとらえた卓抜な演奏で、フルトヴェングラーならではの悠容迫らぬ芸格の高い表現には、心を打たれる。
ロマン的で、しかもデモーニッシュな素晴らしい「ドン・ジョヴァンニ」だ。
低弦に支えられたコードの厚みと、心臓をえぐるようなタッチの重みなどは、フルトヴェングラー・ファンならずとも、すぐそれとわかるような性質のものだ。
テンポは概して遅めだが、そのことが音のひとつひとつに実質と表情を与えることにつながっている。
このオペラのある部分は、象徴劇や表現派演劇の世界に近づいているが、18世紀のこれ以外のオペラとこの傑作とを隔てるそうした鬼気迫る深い淵を誰よりも実感させるのがフルトヴェングラーの指揮だ。
作品のオペラ・ブッファ的側面を切り捨てて、シーリアスなドラマの追究に徹したロマン派解釈の名演である。
歌手達もそれぞれ強い個性と大きな音楽性の持ち主で、彫りの深い配役だ。
戦後最高のドン・ジョヴァンニとうたわれたシエピのタイトル・ロール、愛と憎しみの狭間に揺れるエルヴィーラを歌わせてはこれまた戦後その右に出る歌手を知らないシュヴァルツコップ、それにグリュンマーのドンナ・アンナ、ベルガーのツェルリーナ、エーデルマンのレポレロと顔を揃えた歌の充実ぶりも、他の録音の追随を許さない。
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2009年11月06日
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オイストラフがアメリカに行ったときの録音で、伴奏指揮の名人といわれたオーマンディをバックにしている。
このオーマンディのバックが、オイストラフのヴァイオリンを高々と持ち上げることに成功している。
オイストラフは、華麗で甘美なメンデルスゾーンを、表情豊かにロマンティックな香りをあふれさせ、万全に表現している。
とくに私が感心するのは第2楽章である。この緩徐楽章を、これほど豊かな表情で演奏した例というのは珍しい。
オイストラフは、真面目だが奔放なところもあり、その奔放さは第3楽章を聴くとよくわかる。
第1楽章のあの憂愁を帯びた甘美優雅な主題は、オイストラフならではの見事さである。
チャイコフスキーはオイストラフが最も脂の乗っていたころの録音だけあって、たいへん彫りが深く、密度の濃い演奏である。
技術的にも音楽的にも完成度が高い。
そのスケールの大きさとロシア的な情感を色濃く表出した骨太の表現に惹きつけられる。
オイストラフは、体の大きな逞しい人であった。そして、ヴァイオリンをまるでおもちゃのように扱いながら、完全無欠な演奏を行なった。
そのエネルギーと迫力と豊かな抒情性は、オイストラフならではのもので、第2楽章カンツォネッタなど、あくまでもロシアの歌を聴くような思いがする。
オーマンディのバックは、この曲のもつ哀愁と華麗さとを、見事に表出していて素晴らしい。
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2009年11月05日
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スメタナ四重奏団5度目の《アメリカ》が素晴らしい。
彼らの演奏の中でもひときわ精彩にあふれた名演で、技巧的な面でも信じられないほどの充実ぶりだ。
しかし、この演奏で感動を受けるのは、そういう技巧の若返りもさることながら、表現が曲の隅々まで掘り下げられ、また練り上げられ、どの部分を取ってもこれ以外にやりようがないと思えるほどの説得力を発揮していることだ。
どの音もどの表情も、メンバーの血となり、肉となっている。
スメタナ四重奏団は、その長い歴史のなかで恐らくはほとんどすべての弦楽四重奏曲のレパートリーを取り上げ切ったのではないだろうか。
そう思えるほど古典派からロマン派にかけての主要な弦楽四重奏曲作品の演奏を思い出すことができる。
数度にわたったベートーヴェン全集録音の偉業も忘れられないが、彼らが最も得意としたのが同郷の作曲家スメタナとドヴォルザーク作品であったことも確かだ。
聴いていて絶対的信頼感が持てること、そして、いわゆる民族主義的特性をもつドヴォルザークの音楽語法を母国の誇りとし、自らの血と肉としている強み、というか自信が演奏に表われている。
《アメリカ》は確かにボヘミアではない。しかし、新大陸から祖国を思う作曲家の心情に共感しているスメタナ四重奏団の気持ちが演奏を聴いていて伝わってくるようだ。
冒頭楽章の軽快さと律動感、緩徐楽章を支配する哀愁、第3,4楽章のリズムの躍動と旋律の彫琢などが聴きどころだ。
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2009年11月04日
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作品にみられるギャラントなスタイルを生かし、4つの楽器の対比と統一が的確なパースペクティヴをもって演奏を形成しているものの中でも、有田正広らの演奏は、音楽性の豊かさ、こぼれおちるような音色の美しさ等によって、われわれの共通の、そして永遠の財産と言っても過言ではなかろう。
演奏は極めて室内楽的性格が強く、各楽器の響きが美しい融和を見せている。
それは溶け合ってひとつの響きの世界を築くというよりも、むしろ正反対に各楽器の音色が完全に個性を主張しながら他声部と対等に渡り合い、綾をなすテクスチャーの絡みを前面に押し出す。
それでいてアンサンブルの呼吸が見事なのだから非の打ち所がない。
溶け合った響きの中からソロのパッセージが浮きあがってくる瞬間、楽器が絡み合うさま、馥郁とした香りなど、この演奏が与えてくれる幸福感にみちた体験は、言葉に尽くせないほどだ。
古楽器使用か、現代の金管によるものか、といった二者択一的発想を超越する魅力に満ちている。
CDは実演の感動に及ばないものの、その息遣いの自然さ、音色の変化の美しさを充分に伝えている。
精緻に彫琢されたモーツァルトである。
ちなみに、ボッケリーニSQは18世紀オーケストラのメンバーからなる。
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2009年11月03日
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チョン・ミュンフンは1953年にソウルに生まれた指揮者。1989年に新設されたパリ・バステューユ・オペラの音楽監督になり、世界の注目を集めた。
チョン・ミュンフンが、そのすぐれた才能を多くのファンに強く印象づけたのは、ベルリオーズの《幻想交響曲》とメシアンの《トゥーランガリラ交響曲》に続いて録音したパリ・バステューユ管弦楽団とのビゼーだったのではないだろうか。
《アルルの女》のほか、《カルメン》組曲、《管弦楽のための小組曲》というビゼーのポピュラーな管弦楽曲を収録した演奏も、久しぶりに聴くフランスのオーケストラならではの明るい色彩感あふれる名演だった。
オーケストラが積極的に楽しみながら、高い質をもって演奏しているのが聴きものだし、オケそのものにも音楽的に豊かな魅力がある。
ミュンフンはそうしたオケとともに、特に構えたところもなく、抒情性と活気に満ちた表現を展開しているが、その中にビゼーの音楽に備わるひとつの品格を維持しているのが見逃せない。
切れ味鋭いリズムと多彩な響きも素晴らしいのだが、特にチョン・ミュンフンの演奏が見事なのは、ビゼーの魅力的な旋律をたっぷりと歌わせながら、南国のまばゆい陽光を思わせる色彩豊かな響きでビゼーの音楽に新鮮な魅力をもたらしていることだろう。
この《アルルの女》の2つの組曲も、しなやかなカンタービレと引き締まった表現が素晴らしく、どの曲にも溌剌とした生気があふれ、また瑞々しい情感が感じられる名演である。
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