2011年12月31日
ようこそ!「クラシック音楽ぶった斬り」へ
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はじめまして。
このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。
「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。
どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。
クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。
私はそこに焦点をおいています。
そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。
掲示板も設置しましたので、お気軽に投稿下さい。クラシック音楽に関するご質問もわかりうる範囲でお答えします。
どうぞ、よろしくお願いします。
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2009年07月05日
シノーポリのプッチーニ:トスカ
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シノーポリ盤こそは久しく待たれていた名盤で、この作品に内包される新たな美と真実を知らしめた名演である。
フレーニの見事に熟した声で歌われるトスカは、堂々として、しかも女性的で、美しい。
官能の美はシノーポリの巧みな棒から生まれる音楽にも認められる。
激しく荒々しいのがトスカという女声の特徴だと思い込んでいると、フレーニのトスカには驚かされる。
逆上しても声のまろやかさを失わないトスカなのだから。
それは弱点であるどころか、最高の美質となっている。
舞台で味わうのがほぼ不可能な、しかし味わえたらどんなに素晴らしいかと願うトスカがここにいる。
過剰なほどに劇的なシノーポリの指揮がフレーニのトスカの良さを鮮明にし、フレーニのこまやかなトスカがシノーポリの起伏に富んだ指揮を、一層はっきりとさせる。
安易な役作りではないプラシド・ドミンゴのカヴァラドッシは、定評あるものだし、サミュエル・レイミーのスカルピアも申し分なく、ぴしっとキャスティングが決まった《トスカ》なのだが、それでもフレーニのトスカとシノーポリの指揮の重要さは変わらない。
まだこれから、という時に亡くなってしまったシノーポリの、オペラの演奏での代表作であると考えられる。
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2009年07月04日
ジュリーニのマーラー:交響曲第9番
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ジュリーニは歌の人だ。演奏のどこを切っても、ティンパニの一打にすら豊潤な歌が溢れている。それはトスカニーニのようなナイフの切れ味を持った歌ではなく、独特の粘りとうねりを伴うのが常だ。
このマーラーにも、ジュリーニ特有の粘りつくような歌が健在である。ゆえに賛否両論、「この歌の渦にいつまでも巻き込まれていたい」という人もあれば、「付き合いきれない」「これはやり過ぎだ」という人もあろう。
私は断然前者である。それは自分の性分にピタリと合うからだろう。
ジュリーニの歌に惹かれるのは、その歌が誰にも真似できない「豊かな響き」を持っていること。また、いかに歌が洪水のように溢れていようと、その道筋が道理にかなっているからであろう。
然るべきところにアクセントがあり、その長い呼吸には不自然さがひとつもない。
もちろんそれらのすべてができただけで、マーラーの「第9」が完璧に演奏できるというわけではないだろう。だとすると、演奏家よりも理論家、音楽学者の方が立派な演奏ができるということになってしまう。
結局、最後にものを言うのは、音楽家個々人の直感であり、本能であり、霊感なのだ。
ジュリーニのマーラーに聴く、心にズシリと響く感触は、ジュリーニの人生そのものであり、その人生はマーラーによって祝福されていると思えてならない。
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2009年07月03日
ノリントンのベルリオーズ:幻想交響曲(原典版)
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ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレイヤーズは、この曲の初演時とそっくり同じ編成で録音したオリジナル楽器盤である。
無論オリジナル楽器による演奏はこれが初めてである。
これは普通チューバで代用するオフィクレイドという楽器を復元し、またハープも初演時と同じく4台用いるなど、凝りに凝ったオリジナル演奏になっている。
そのせいで従来いわれてきた、グロテスクな味わいがすっかり消えて、額縁にはめられた古典的な幻想画を見るような、不思議な趣をもっている。
これを聴くとこの曲が、ベートーヴェンの死後わずか3年後(「第9」の6年後)に書かれたというのが、実感として迫ってくるから不思議である。
標題音楽解釈にとらわれず、古典的な純粋性を求めた演奏であり、全体に清澄な印象が強い。
奏者の水準は非常に高く、演奏が飛び切りよい。
第3楽章は透明度の高い空気感をよく描いているし、第4楽章も白昼夢のような怪異さを的確に示している。
さらに第5楽章の鐘の陰気な表情などはこの演奏ならではだ。
揺るぎない存在理由をもち、聴き手に多くの問題を突きつけてくる演奏である。
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マッケラスのヤナーチェク:イェヌーファ
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蘭エディソン賞、グラモフォン・レコード賞を受賞した名盤。
ヤナーチェクのオペラを聴くならまず「イェヌーファ」からというのが常道だろう。
イギリスの名指揮者マッケラスはチェコで学んだこともあり、ヤナーチェク復興に大きな足跡を残している。
ウィーン・フィルとの一連のヤナーチェクのオペラ録音シリーズは、いずれも高い水準と非凡な魅力を持っている。
ヤナーチェクの主要な作品の現在までのところ最も信頼できる版の作製に努めているマッケラスは、初演の直後にヤナーチェク自ら改訂した最終稿を用いながら、そこへたどり着くまでになぜか削除された序曲やオリジナル版の音楽を加えるなど、「イェヌーファ」の最も純粋な原型の再現を意図している。
演奏もヤナーチェクの音楽の魂を率直に力強く表現したもので、これまでにない深い感動をおぼえる。
マッケラスの指揮は作品への愛着と共感に根ざした踏み込みの深いもので、登場人物の一人一人に生命を吹き込んでいる。
ゼーダーシュトレームのイェヌーファ、ランドヴァーの教会のおばさんなどを揃えた配役も万全で、それにイェヌーファをめぐる対照的な性格の2人の男性、血のつながらない兄弟同志でもあるラツァとシュテヴァを演じるオフマンとドヴォルスキーは、これ以上望み得ない適材適所の配役で、作品への愛着と共感に根ざしていて、マッケラスの名指揮に花を添える。
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ズスケのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ
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ズスケの潔癖さが感じられる演奏だ。
彼は世のヴィルトゥオーゾ型ヴァイオリニストがしばしば示す"粘った表現"や"アクの強さ"を確固として避けている。
例えばソナタ第1番の「シチリアーノ」は、大方の奏者が粘って歌おうとするが、ズスケはあくまでさらりと奏でる。
余分なものを抜きにして、心静かにバッハが織り上げたものに包まれたい人には、好ましく感じられる演奏だろう。
ズスケのヴァイオリンの音にはまったく気張りというものがなく、力みのない演奏は実にツボを押さえたものだ。
一切の誇張を排し、作品をあるがままの姿で立ち現そうとする。
決して作品をつき離しているわけではなく、それどころかバッハの作品にぴたりと寄り添って、あたかも作品の息吹を呼吸しているかのようだ。
見事なまでに自我を放棄した彼の演奏は、ある種すがすがしい新鮮さと魅力を持っている。
聴き始めた途端、その響きの新鮮さと格式ばらない語り口に強くひかれる。
ズスケの演奏を特徴づけているのは、なによりも一切の強制的な力から逃れ得た演奏のみが持つ自由な表現の魅力である。
伸びやかな表現で、しかも作品の本質をあらわにしているのだ。
こうした演奏は何といってもズスケの室内楽体験から生まれたものであり、この「無伴奏」も、いわばソロで演奏する室内楽といった趣がある。
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パールマン&バレンボイムのラロ:スペイン交響曲/サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番
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極めて自信たっぷりな、実に健康的な名演。
ラロはこの作品にみなぎる、明るくリズミカルな性格を強調した演奏で、開放的でエネルギッシュな表現である。
こうした色彩的で華やかな作品は、パールマンの肌にぴったりと合っているせいか、隅々にまで乗りに乗って演奏しているのが、なんとも快い。
特に第1楽章は優れており、ヴァイオリンの音として結晶化しきっていて、この楽器の種々相を最高のテクニックと音楽性で示してくれる。
バレンボイムの好サポートも見逃せない。オケから豊かな量感を引き出し、堂々とした厚みのある、スケールの大きな演奏を展開する。
特に舞曲調の終楽章は、このふたりの息の合ったかけあいが聴きものだ。
サン=サーンスも同様の好演だが、作風に合わせてパールマンの特質がやや制御されているのも極めて妥当だ。
音色の美しさはグリュミオーと同じだが、パールマンの演奏は、巧みな抑制をきかせながら、内からわきあがる情熱を力強く表出している。
第1楽章の暗く劇的な表現も見事だし、第2楽章の豊かな歌にあふれたバルカロールの歌わせ方も素敵だ。
バレンボイムの棒も、パールマンとの共演が多いだけに、息が合っている。
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