2014年12月31日


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はじめまして。

このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。

「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。

どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。

クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。

私はそこに焦点をおいています。

そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。

掲示板も設置しましたので、お気軽に投稿下さい。クラシック音楽に関するご質問もわかりうる範囲でお答えします。

どうぞ、よろしくお願いします。

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2012年05月12日


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フルトヴェングラーの《V字》は、3つの録音が残されているが、この1951年ライヴ盤は、第1楽章の序奏部がほかの2盤よりもものものしく、フルトヴェングラーを満喫できる。

主部はオケの厚みと充実度がすばらしく、内的力感に満ち、3盤中のベストで、録音も1952年盤より良い。

第2楽章は温かい歌と豊かな情感にあふれ、トリノ盤に匹敵するが、音が良いぶん、このほうが上かもしれない。

メヌエット以後はベルリンのスタジオ録音と同じく、大人の風格を感じさせるスタイルの模範的な指揮ぶりだ。

《コリオラン》序曲は、後述するシューマンの《春》とともに、ミュンヘンのドイツ博物館ホールで行われた演奏会の実況録音である。

ここは大変古びた会場だが、残響が多く、かつ響きが暗く柔らかいため、独特のおどろおどろしさが出ており、ウィーンの弦がよくのびる。

《春》は第1楽章の序奏部からして、フルトヴェングラーの表現は雰囲気満点だ。

ことに主部に向かって盛り上がってゆく時の猛烈な気迫は天下一品といえようし、展開部の終わりのクライマックス設定も"ものすごい"の一語に尽きる。

第2楽章のラルゲットは良いテンポで、弦のレガート奏法がきわめて情緒的であり、中間部の頂点における凄絶なリズムや推進力も見事だ。

スケルツォに入ると、演奏旅行中のオーケストラと指揮者は、俄然ぴったりとした意気の投合を見せ始め、ミュンヘンの聴衆を興奮のるつぼに巻き込んでゆく。

この迫力は普通の音力ではない。人間の発揮し得る、ぎりぎりの精神が生んだものだ。

そして最後の第4楽章ではますます脂がのってきて、この楽章のフルトヴェングラーは自由自在である。

シューマンが完全に彼の自家薬籠中のものと化しており、音楽が大揺れに揺らされる。

しかし、地にしっかりと足がついているので、いくらやっても決して嫌味ではなく、むしろ面白い。

そして、ついにコーダの、最高のクライマックス・シーンが現出する。

デモーニッシュな金管の最強奏、アッチェレランドによる嵐の急迫はこの世のものとは思えず、手に汗を握るうちに、やがてフルトヴェングラー独特の、大きく息をつく間を伴った和音によって、さしもの演奏も終わりを告げるのである。

録音がしっかりしているのも実にうれしい。

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2012年05月11日


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1954年8月30日、ザルツブルク音楽祭における実況録音で、フルトヴェングラーの最後の舞台記録である。

最晩年の棒なのでテンポは遅めであり、そのぶんオーケストラが絶えず分厚く、立派に鳴り、特にホルンの隈取りが効いている。

録音のせいもあるのだろうが、フルトヴェングラーとしてはピアニッシモでさえ、強めに弾かせているのが目立つ。

「第7」の第1楽章は1つ1つの音やひびきにずっしりとした内容があり、カロリーの高い序奏部が出色だ。

第2楽章では最初のテーマを弾くヴィオラとチェロの歌が心にひびく。

スケルツォでは轟然と鳴りわたるトリオがすばらしい。

フィナーレでは1953年盤よりさらにテンポが遅く、加速で盛り上げるよりも、ひびきの充実感を失わないように努力している。

死の直前の巨匠の記録として、1953年盤よりもずっと価値が高いと思う。

録音もこのほうが良い。

「第8」も演奏は"1954年のフルトヴェングラー"だ。

解釈の基本はストックホルム盤、ベルリン盤と同じであるが、いちばん抑制が効いており、最晩年の透明度を獲得している。

遅いテンポと腰の重いリズムを一貫させ、音の出し方に絶えず意味があり、すばらしい情熱を内燃させた第1楽章、やはり遅いテンポと分厚いひびきで、すごい内容を感じさせる第3楽章あたりは、フルトヴェングラーならではの名演であり、フィナーレも1953年盤をはるかに上まわる。

録音もひびきの豊かなぶん、この方が上で、フルトヴェングラーの「第8」の代表盤といえよう。

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2012年05月10日


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フルトヴェングラーの有名な「ブラ4」(1948年盤)は既に語り尽くされているので、ここでは「未完成」について述べたい。

いかにもフルトヴェングラーらしい「未完成」の名演である。

彼はこの曲を振る前は、そわそわと落ち着かなかったそうだが、曲想が彼の表現とぴったり合致していないので、演奏しにくかったのだろうと思う。

しかし、このCDは、一応やりたいことをやり尽くし、フルトヴェングラーなりにきわめ尽くしている。

第1楽章は音楽が地の底から湧き起こるように開始され、フォルテの凄絶さはその比を見ない。

ホルンとバスーンによる経過句で大きくリタルダントし、第2主題を導き出すのもフルトヴェングラーらしいが、チェロの弾く第2テーマの翳の濃い表情は、ほかの指揮者からは聴けないものだ。

この主題、たいていの指揮者はピアニッシモの指定にとらわれてしまうからであろう。

つづくヴァイオリンの心のこもったレガートも美しい。

その後の漸速を伴った、しかもスムーズな進行も聴きもので、フルトヴェングラーの魂が次第に高潮し、燃焼してゆくさまが目に見えるようだ。

そして提示部の終わりで第2主題が現れる部分のヴィブラート奏法は、彼ならではの温かさであり、造形上にも一分の隙もさえない。

展開部はフルトヴェングラーと未完成交響曲の厳しい対決であり、真剣勝負である。

これこそ時代の流行を越えた"真実の表現"であり、それゆえに決して古くならない生命力が燃えたぎっている。

大きくテンポを落とした、ものものしい終結とともに、聴く者の魂を奪うに充分なものがあろう。

第2楽章はテンポが速く、淡々とした運びの中にあふれるような歌を込めた指揮ぶりである。

テンポの微妙な変化はフルトヴェングラーの息づきのように自然だ。

フォルティッシモは相変わらずものすごいが、力ずくの迫力ではないので、切れば血の出るような有機性を絶えず保っているのである。

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2012年05月09日


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1952年2月3日、ウィーン、ムジークフェラインザールに於けるライヴ録音。

フルトヴェングラーが残した『合唱つき』で一番に思い出されるのは、「バイロイトの第9」であろう。

それほどインパクトがあり歴史的背景も重なり今や日本では「金字塔」ともいえる名演である。

その他にもイギリス国王ジョージ6世戴冠祝典演奏会ライヴや戦時中の1942年4月のヒトラー生誕前夜祭など大きなイベントにフルトヴェングラーは『合唱つき』を取り上げている。

当盤の『合唱つき』は、ウィーン・フィルの第1回演奏会を指揮したオットー・ニコライの業績を讃え毎年この時期に開かれる演奏会の「オットー・ニコライ記念コンサート」でのライヴである。

フルトヴェングラーが大病を患う前で聴覚もしっかりしているときの演奏という他にも、良い点がいくつもある。

それは気心知れたウィーン・フィルとの共演、そしてウィーン・フィルの拠点ムジーク・フェラインでの演奏、ソリストもオペラなどで度々共演していたメンバーであること、が挙げられる。

それ故に、ウィーン・フィル独特な弦楽器の音色の美しさは、この曲をより一層高みへと誘う最高の武器だ。

そしてバイロイトの時の臨時編成オケとは違うというのも強みで、いかにフルトヴェングラーが統率しオケが完璧にそれに応えていたのかがわかる。

第1楽章開始の遅いテンポと間合いを十二分にとった重々しい表現はバイロイト盤を凌ぎ、強靭に踏みしめてゆくフーガもすばらしいし、楽章終結のティンパニも凄絶に鳴っているような気がする。

もう一ヶ所、印象的なのが第3楽章の第2主題で、音量を強く出し、遅いテンポでじっくりと歌ってゆく美しさは、フルトヴェングラーの演奏でもベストの一つといえよう。

ソロも綺麗に録音されており、バイロイト盤と双璧をなす演奏を堪能する事ができる。

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2012年05月08日


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1943年度のバイロイト音楽祭での実況盤であるが、残念なことに第1幕第1場の主要部から第2場の初めにかけてと、第3幕第4場の5重唱が欠落している。

部分的な欠落はあるが、バイロイトのフルトヴェングラーを知るためには欠かせぬもので、1943年のステージの録音とは思えぬほど音も良好で、特に独唱が鮮明に入っているのはありがたい。

フルトヴェングラーのワーグナー録音の中でも最も充実しているものの一つが、大戦末期のバイロイト音楽祭での《マイスタージンガー》。

1940年代に活躍したローレンツ、ミュラー、フックス、プロハスカなど超豪華なキャストを擁し、フルトヴェングラーも昂揚の限りを尽くしたかのような奇跡的な名演である。

フルトヴェングラーの指揮は、例によってドラマの内容を最大限に生かそうというもので、それを歌手たちが100パーセント体現し、ポルタメントなどの過剰が古くさく感じる反面、心理描写の表現は実に見事だ。

特にハンス・ザックス役のプロハスカ、ベックメッサー役のフックスが巧く、エヴァ役のミュラーも美しい。

フィナーレのザックスの語りと最後の合唱に見せる緊張と高揚はフルトヴェングラーのワーグナー観を最も説得力のある形で示したものといえるだろう。

《指環》などではフルトヴェングラー流のワーグナーに抵抗もあるが、《マイスタージンガー》の場合は曲調と指揮者の個性とがマッチしており、コーラスのもやつくのを我慢すれば、フルトヴェングラー・ファン、ワーグナー・ファンともに充分に楽しめる。

これこそ真のドイツ魂の発露であり、この指揮者の味の濃さと豊かな雰囲気が生きた場合といえよう。

このフルトヴェングラーの歴史的録音は、1937年にトスカニーニがウィーン国立歌劇場管弦楽団を指揮した《マイスタージンガー》の全曲ライヴ録音と双璧をなすといえる最高にすばらしいものである。

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2012年05月07日


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1947年10月3日 ベルリン、アドミラルパラストに於けるライヴ録音。

フルトヴェングラーの戦後初のオペラ公演のライヴで、第2、3幕の主要部分を収めている。

演奏は、フルトヴェングラーらしいロマンティックな大きなうねりを伴った、気宇壮大な音楽が楽しめる。

基本的な演奏の路線は有名な1952年盤と殆ど変わりなく、スリリングなフレーズ回しや音楽づくりがこの曲の劇性を浮き彫りにしている名演である。

その強い陶酔と法悦は、まさにこの作品の本質に迫る名解釈だし、オケも熱っぽい演奏でその指揮に応えている。

しかしながら本盤では、局所的な違いはある。

強音を鳴らす部分での多少の加速や、ズートハウスの所々の即興的な歌い回しが面白く、フルトヴェングラーの熱気という点では1952年盤と変わらない。

加速については見せ場をきっちり作ることに成功しているし、ズートハウスの演技も演奏に良い影響を与えており、具体的には必死さが出ている。

歌手陣では前述したズートハウスの力に満ちた歌唱と、フリックの深い情感に満ちた演唱は、今日の我々にも強い説得力を持っている。

万人向きではないが、フルトヴェングラーとワーグナー・ファンには大きな喜びをあたえるディスクだろう。

筆者は、巨匠の《トリスタン》ライヴ録音が存在する時点で最高の評価をしてしまうが、これは1952年盤を気に入った方にも薦められるものである。

1947年の録音としては音質もかなり良い。

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