2018年12月31日


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はじめまして。

このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。

「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。

どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。

クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。

私はそこに焦点をおいています。

そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。

どうぞ、よろしくお願いします。

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classicalmusic at 23:59コメント(130) 

2018年06月22日


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この2枚のCDに収められた11曲の録音年代は、デニス・ブレインが加わった1957年のアンサンブル『3つの小品』から、マニュエル・パユのフルート、デイヴィッド・ジンマン指揮、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団による2002年の『フルート協奏曲』までほぼ半世紀に亘っている。

幸い古いものについてはデジタル・リマスタリング処理がされていて意外なほど音質が良く、イベールのオーケストラル・ワーク、協奏曲、更にアンサンブルから歌曲に至るまで広いジャンルの作品の魅力を俯瞰できるのが特徴だ。

廉価盤としては理想的なカップリングと言うべきだろう。

先ず『フルート協奏曲』におけるパユは、本当に明瞭な音で、アーティキュレーションに曖昧さもなく、速いテンポの中でも余裕がある。

そこが、他のフルーティストと最も違う所で、学習者にも最高のお手本になっている。
 
ただ、この楽器の限界まで低音などでフォルティッシモで鳴らしている所の音響、楽器の共鳴、うなりについては、ホールの後ろの席で聴けば美しい音なのであろうが、この優秀録音での近接音は、好悪を分けそうだ。

この海外盤では、国内盤に比べそれが少し隠されて、僅かだが距離感のある音になっているのは救われる。
 
結局、オーケストラの優秀さ、録音の良さもあり、この協奏曲のベスト争いにパユ盤も加わることになった。

音楽の遊園地的な管弦楽曲『ディヴェルティスマン』はルイ・フレモー指揮、バーミンガム市響の演奏で1973年の録音だが、筆者の持っているマルティノン、パリ音楽院の羽目を外した楽しさに比べると、スマートだがいくらかまとまり過ぎている気がしないでもない。

『3つの小品』での聴き所は、ブレインが縁の下の力持ちに徹するアンサンブルの面白みと、彼としては貴重なステレオ録音であることだ。

また1958年のストコフスキー指揮、フランス国立放送管弦楽団による『寄港地』は、イベール自身が第1次世界大戦中に実際に立ち寄った港町の情景を音楽で綴ったイメージ集で、現代風に言うならさしずめ地中海クルーズ紀行といったところだが、ストコフスキーの情景描写は素晴らしく、音楽の持つ特徴を鮮烈に描き出している。

「テュニス」での名高いオーボエ・ソロを持続した緊張感の中に浮かび上がらせる棒さばきも鮮やかだ。

ジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団による2曲『祝典序曲』及び『架空の愛へのトロピズム』はどちらも1974年の録音で、ここでは流石にマルティノンの晴れやかで、特に後者では美しい抒情性と対照的なジャズ・バンド顔負けのラテン的な明るさが特筆される。

最後にジョゼ・ヴァン・ダムのバリトン・ソロ、ケント・ナガノ指揮、リヨン・オペラ・アンサンブルによる『ドン・キホーテの4つのシャンソン』だが、筆者はこの映画を持っていて、シャリアピンの途方もなく型破りでスケールの大きい歌と演技に魅了された者にとっては、酷な言い方かも知れないが、ヴァン・ダムの歌唱は修道僧の真面目くさった説教のように聴こえてくる。

しかしケント・ナガノが繊細で味のある伴奏を付けているのは評価できる。

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classicalmusic at 00:39コメント(0)ジンマンマルティノン 

2018年06月20日


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セルゲイ・プロコフィエフの交響曲第5番は祖国ソヴィエトのために書かれた作品で、それまでの急進的でややもすると刺々しい好戦的な趣が抑えられて、抒情的で雄大な曲想を持っている。

それだけに彼の円熟した作曲技法が駆使された、音楽的にも新境地を示していて、更にその後の彼の作風を方向付けているとも言える。

サー・サイモン・ラトル指揮、バーミンガム市響の1992年のセッションは、精緻なオーケストレーションを冷静に辿ったアプローチで、祖国愛の熱狂とは異なった方向から攻めた極めてスペクタクルな演奏だ。

一方第7番はアンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団による1977年の録音で、この作品はプロコフィエフにとっては最後の交響曲になるが、ここでもリリカルで、またスケルツォ的な性格が顕著だ。

特に第2楽章アレグレットは殆んどワルツで、1948年のジダーノフ検閲で当時のソヴィエトの作曲家には相応しくない作品として批判の槍玉にあがった曲でもある。

しかしプレヴィンの楽譜からの読み取りの深さは、そうした批判が必ずしも的を得ていなかったことを証明する高い音楽性を持っている。

交響的協奏曲は実質上チェロ協奏曲で、1952年にロストロポーヴィチのソロ、スヴャトスラフ・リヒテルの指揮で初演された。

このCDではロストロポーヴィチの愛弟子で女流のハンナ・チャンが師匠秘伝の作曲家自身の助言による解釈と、恐るべきテクニックを披露している。

アントニオ・パッパーノ指揮、ロンドン交響楽団による2002年のセッションで、題名の通り非常に充実したオーケストラ・パートをパッパーノが巧みに彫琢した緊張感とスリルに満ちた演奏が秀逸。

最後のバレー組曲『シンデレラ』は同名のバレー音楽から15曲を抜粋したもので、ロバート・アーヴィング指揮、ロイヤル・フィルの57年の歴史的セッションだが、デジタル・リマスタリングによって音質は良好。

蛇足ながらこのセットとRCAのラインスドルフ、プロコフィエフ作品集で彼の代表的なオーケストラル・ワークと協奏曲が揃うことになる。

勿論演奏の傾向は異なるが、優れたセッションの上に両者の選曲に全くだぶりが無く、また双方ともコスト・パフォーマンスの高い廉価盤なので、入門者にもお勧めできる。

ちなみに交響曲第1番『古典交響曲』は、どちらにも入っていないが、このEMI20世紀クラシック・シリーズのもうひとつのセット、協奏曲集にカップリングされている。

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classicalmusic at 00:14コメント(0)プロコフィエフ 

2018年06月18日


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ワーナー20世紀クラシックス・シリーズではストラヴィンスキーの第2巻目に当たる。

2曲の『組曲』がサイモン・ラトル指揮、ノーザーン・シンフォニア・オーケストラで1978年のセッション、ラトル、バーミンガム市交響楽団の1986年の『3楽章の交響曲』、99年に巨匠ロストロポーヴィチがソロにマキシム・ヴェンゲーロフを迎えてロンドン交響楽団を指揮したヴァイオリン協奏曲、93年のフランツ・ヴェルザー=メスト指揮、ロンドン・フィルによる『管楽器の交響曲』、74年のネヴィル・マリナー、ロス・アンジェルス室内による『協奏的舞曲』、87年のラトル、ロンドン・シンフォニエッタによる『エボニー協奏曲』、71年のセッションでミシェル・ベロフのピアノ、小澤征爾指揮、パリ管弦楽団によるピアノと管弦楽のための『カプリッチョ』、そして81年のマリナー、アカデミー室内管弦楽団の演奏で『プルチネッラ』のバラエティーに富んだ9曲が収められている。

ストラヴィンスキーの作曲様式は時代と共に著しく変化しているが、第1巻のほうには比較的初期の原始主義の様式によるバレエ音楽を集め、この2枚では主として中期以降の新古典主義的な傾向を持った曲がまとめられているが内容は多彩を極めている。

作曲家唯一のヴァイオリン協奏曲はサミュエル・ドゥシュキンが自分用にオーダーしたもので、ここではヴェンゲーロフの巧みで幅広い表現力が聴き所だ。

トッカータでのテクニックの冴え、アリアでの芯の太いカンタービレや終楽章での軽妙さなどがロストロポーヴィチの明晰なオーケストレーションに支えられて充分に発揮されている。

彼らは現代物ではまたショスタコーヴィチやプロコフィエフでも協演している。

2枚目の『組曲』第2番は第1番と同様ピアノ連弾用からのアレンジで、特に管楽器が活躍するスケルツォ的な趣を持っていて、『ペトルーシュカ』に現れる滑稽な手廻しオルガンの模倣がここでも用いられている。

ラトルの指揮は緻密でノーザーン・シンフォニアを良くまとめているが、『エボニー協奏曲』では律儀に取り組みすぎていて、羽目を外した気さくさがないのが惜しまれる。

この作品はサクソフォニストでジャズ・バンドのリーダーでもあったウディ・ハーマンの委嘱によるジャズの要素を取り入れた風変わりな楽器編成と曲想が特徴的だ。

『カプリッチョ』ではベロフの粋なピアノ・ソロに小澤が小味を効かせた軽快なオーケストラを伴わせていて好感が持てる。

尚最後に置かれた『プルチネッラ』はストラヴィンスキーがディアギレフの委嘱によってバレエ・リュスのために、ペルゴレージを始めとするイタリアン・バロックの作曲家の作品を編曲して連ねたバレエ音楽だ。

バロック音楽に造詣の深いマリナー、アカデミー室内管弦楽団の演奏は整然として美しいが、ロバート・ティアーのテノール・ソロがいくらか重い声とくどい表現になっている嫌いがある。

ここにはイタリア風の甘美なカンタービレが求められるだろう。

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classicalmusic at 00:11コメント(0)ストラヴィンスキーラトル 

2018年06月16日


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グスタフ・ホルストの作品集のみのシングルCDはそれほど多くなく、たいがい他の作曲家の作品に『惑星』がカップリングされているのが普通だが、この2枚組では彼のそのほかの代表的な曲が一通り鑑賞できるのが特徴である。

勿論このシリーズでは過去にリリースされた幾つかのCDからのリカップリングになるので、録音年代はまちまちだ。

例えばミリタリー・バンドのための『組曲ヘ長調』はエリック・バンクス指揮、王立空軍中央バンドの演奏で洗練さから言えばいくらか荒削りかも知れないが、この曲の性格をよく捉えたリズミカルなマーチや鍛冶屋の歌が巧みだ。

またケルティック・メロディーを取り入れた『サマーセット狂詩曲』は美しいローカルな魅力を持った作品として興味深い。

『ブルック・グリーン組曲』も彼のリリカルな面が良く示された優れた曲だ。

ノーマン・デル・マー指揮、ボーンマス・シンフォニエッタの演奏は控えめな表現ながら曲想をつかんでいて悪くない。

更に弦楽合奏のための『セント・ポール組曲』もやはり民族色豊かな舞踏音楽を交差させた生気に溢れる演奏をサー・マルコム・サージェント指揮、ロイヤル・フィルハーモニーで聴くことができる。

一方アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団によるバレー組曲版『どこまでも馬鹿な男』と『エグドン・ヒース』は短い作品ながらホルストのオーケストレーションの巧みさを引き出した名演だ。

肝心の『惑星』はサー・エイドリアン・ボールト指揮、ロンドン・フィルによる1978年のセッションで、2002年に新しくリマスタリングされて鮮明な音質が蘇っている。

カラヤンが振ったウィーン・フィルやベルリン・フィルの演奏ほどスペクタクルな表現ではないにしても、ボールドの指揮にはスコアを読みつくし、それを忠実に再現しようという説得力がある。

この曲は事実上彼の初演になるのでホルスト本人からの助言があったに違いない。

テンポの取り方は中庸を得た格調の高いもので、それだけにオーケストラの動きが手に取るように理解できる透明度は流石で、そこには本家の自負と威厳が感じられる。

サー・チャールズ・グローヴズ指揮、ロンドン・フィルの鮮烈で神秘的な女声コーラスが加わる『リグ・ヴェーダ』も印象に残る。

最後に収められているのはオルガン付の『コラール・ファンタジア』で、ロバート・ブリッジスの詩は過去の総ての芸術家に捧げるレクイエムであり、ホルストの娘であるイモージェン・ホルスト指揮、イギリス室内管弦楽団の演奏になる。

ここではソロ・ソプラノはジャネット・ベイカーのメゾ・ソプラノに換わっている。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)ホルスト 

2018年06月14日


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アンナー・ビルスマはバロック・チェロ奏法の草分け的な存在であり、また通奏低音奏者としても豊富な経験を持つ古楽アンサンブルの権威でもある。

彼のこうした学者としてのイメージを良い意味で覆しているのが5枚組の当セットで、聴いていて軽快で気持ちがよい。

ボッケリーニの音楽は優雅で屈託の無い宮廷趣味が支配的だが、自身稀代の名チェリストとして名を馳せただけあってチェロの超絶技巧を駆使したパッセージがいたるところに使われている。

こうした部分でのビルスマの胸のすくようなヴィルトゥオジティの披露や弦楽五重奏曲でのクイケン兄弟との息の合ったアンサンブルも鑑賞のポイントだろう。

尚オーケストラはターフェルムジーク、ソナタのフォルテピアノ伴奏はボブ・ヴァン・アスペレン。

アマゾンのページには曲目紹介がないので簡単にその内容を記すと、4曲のチェロ協奏曲(G476,480,483,573)、8曲のチェロ・ソナタ(G2,4,6,8,9,10,15,17)、3曲の二つのチェロの為のフーガ(G73-2,73-3,73-5)、6曲の弦楽五重奏曲(G313-318)、4曲のシンフォニア(G497,506,519,521)及び弦楽合奏にトラヴェルソ、ファゴットとホルンが加わる八重奏曲(G470)ということになる。

このボックス・セットはソニー・クラシカル・マスターズのリミテッド・エディションとしてリリースされたもののひとつである。

収録されたうちの数曲は既にビルスマ生誕70年記念の11枚のCDセットとして2004年にドイツ・ソニーから刊行されていた。

ボッケリーニのみをまとめた曲集は今回が初めての企画で、1977年から92年にかけて行われた録音の集大成になる。

総て24bitリマスター処理がされているが、ごく簡易な廉価盤である為にライナー・ノートは省略されている。

また流通経路が原因と思われる、店舗による大幅な価格差が生じていることも付け加えておく。

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classicalmusic at 00:41コメント(0)ビルスマ 

2018年06月12日


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アンナー・ビルスマには古楽のパイオニア、ヨーロッパ古楽界の重鎮というイメージが定着しているが、一方でこの6枚組の協奏曲集及びデュエット集に聴かれるように、チェロの恐るべきヴィルトゥオーゾだったことを思い知らされる。

このセットではアンサンブルを支えた通奏低音奏者の姿からは想像できない別人のチェリストが現れて、そのディアボリックな超絶技巧を楽しんでいる意外性に驚かされる。

CD1−3ではヴィヴァルディ、ボッケリーニ、ハイドン、クラフトのチェロ協奏曲集で、ヴェネツィアの名匠マッテーオ・ゴフリラーによる名器の音色と機能をフルに活かした鮮やかな弓さばきを堪能させてくれる。

ボッケリーニやクラフトはそれぞれが高名なチェリストだったこともあって、その作品は名人芸が随所に使われている難曲揃いだが、ビルスマの向かうところ敵無しの颯爽とした弾きぶりがこれらの曲の美学を究極的に引き出している。

尚CD1の最後に収められた『協奏曲ニ短調』はバッハの『フルート・ソナタロ短調』からフランス・ブリュッヘンによって復元された作品で、ごく部分的な試みだがクイケン兄弟やグスタフ・レオンハルトを配した豪華メンバーで試奏されている。

CD4でのベートーヴェンの『トリプル・コンチェルトハ長調』は、この作品をピリオド楽器で演奏した数少ないサンプルのひとつで、1974年の録音なのでおそらくこの演奏形態での最も古いセッションと思われる。

ソリストはビルスマの他に指揮とヴァイオリンを兼ねるフランツヨーゼフ・マイヤー、フォルテピアノにはバドゥラ=スコダを迎え、コレギウム・アウレウムがサポートしている。

博物館から引っ張り出してきたようなフォルテピアノの古色蒼然とした音色は、現代ピアノに慣れた耳にはいくらか違和感が残るが、彼らのこうした実践的な試行錯誤が今日のピリオド楽器の専門的な修復やその奏法の確立を促した重要な活動だったのではないだろうか。

それに続く『クロイツェル・ソナタ』からの弦楽五重奏版へのアレンジ物は彼らの柔軟なファンタジーをみせた好例だ。

CD5はビルスマが愛用しているストラディヴァリウス「セルヴェ」の所有者だったチェリスト、フランソワ・セルヴェへのオマージュで、実際にこの楽器の持つ特性を披露する技巧的なチェロとオーケストラの作品2曲とデュエット4曲を収録している。

最後の1枚もやはり19世紀のフランスの名手オーギュスト・フランショームの作品集で、音楽的にはそれほど深刻なものではないが、中でもショパンとの合作になるマイヤベーヤのオペラ『悪魔ロベール』のテーマによる『グラン・デュオ・コンセルタン』は華やかに彩られた典型的なサロン風の小品だ。

ライナー・ノーツは英語のみの22ページで音質は極めて良好。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)ビルスマ 

2018年06月10日


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ビルスマの室内楽第2集12枚のセットで、ピリオド楽器によるアンサンブルに興味のある方には聴き逃せない充実した内容を誇っている。

一曲目のベートーヴェンの『チェロ・ソナタ第3番イ長調』でビルスマは変化に富んだきめ細かいアーティキュレーションで曲想を丹念に仕上げている。

この作品はその雄大な構想から、時として必要以上に重厚でしかつめらしい表現になりやすいが、彼の曲作りはごく自然体で飄々としている。

しかしその演奏には細部まで明確にしなければ気が済まない律儀で隙のない音楽設計と表現力の幅広さが感じられ、しかも全体の流れを止めることのない悠揚とした大きなスケールでまとめあげている。

その意味で後に続くチェロ・ソナタ全曲を鑑賞することによって、彼の意図するベートーヴェン像がより明瞭になってくることは疑いない。

同じくベートーヴェンのピアノ三重奏曲『大公』及び『幽霊』も典型的な内容重視の演奏で、表面的なアピールを嫌った、しかし思い切ったダイナミズムの中に音楽性を掘り下げていく奥深さを持っている。

1727年製のストラディヴァリウスを弾くヴァイオリニスト、ヴェーラ・ベスは、その美しい音色と阿吽の呼吸でアンサンブルを手堅いものにしているが、ここではまたフォルテピアノを演奏するファン・インマゼールの感性豊かなサポートが特筆される。

現代のピアノに比べれば地味な音色には違いないが、それだけに抑揚を利かせた巧みな奏法が弦楽に良く調和して、音楽的に釣り合いが取れているだけでなく、ソロとしてのピアノの役割にも充分に応えている。

シューベルトのピアノ五重奏曲『鱒』ではアンサンブル、ラルキブデッリのそれぞれ由緒ある楽器とピリオド奏法を用いた軽妙な演奏が、かえってこの作品をリフレッシュさせていて古臭さが全く感じられない。

快速のテンポで進む弦楽とファン・インマゼールの軽快なフォルテピアノが相俟ってシューベルト特有の清々しさと穏やかな色彩感を醸し出して、ピリオド楽器による室内楽としての説得力にも欠けていない。

また『アルぺジョーネ・ソナタ』でビルスマは1700年製のチェロ・ピッコロを失われてしまった楽器アルぺジョーネに替えて、そのインティメイトな響きを辿っている。

高音ではやや線の細い音色になるが、この楽器の機動性を駆使した自在な表現は如何にも彼らしい。

後半のブラームスではラルキブデッリの練り上げられたアンサンブルの技が冴えている。そこには決して古楽奏者と古楽器を寄せ集めただけではない、彼らの確固としたポリシーとロマン派の音楽に対しても高い適応性と、それに見合う高度なテクニックが示されている。

弦楽六重奏の音色は渋めだが、民謡風の素朴なカンタービレと対位法の対比が寓話的な作品の魅力を伝える優れた演奏だ。

尚CD12にはライナー・ノーツによると最後にヴェーバーの『フルート三重奏曲ト短調』が組み込まれている筈だが、実際には抜けている。

選曲の候補には上がったが時間的に収容できなかったのだろう。このCDの演奏時間トータルは83,38分と記載されているがそれ自体不自然で、おそらくミスが見落とされて印刷されたと思われる。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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