2018年12月31日


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はじめまして。

このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。

「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。

どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。

クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。

私はそこに焦点をおいています。

そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。

どうぞ、よろしくお願いします。

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2017年05月01日


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バルトークは、当時のドイツ主流の音楽体制にNOといった人で、盟友コダーイとともに、音楽の原始的な鼓動を聴き、独自の音楽語法を確立するために、休暇と収入の殆どを注ぎ込み、民謡の採集を行った。

したがって、その演奏は、音楽本来の持つ根元的なパワーを感じさせるものでなくてはならない。

とはいえバルトークの弦楽四重奏曲を看板とし、3度録音したジュリアードSQのような革新性も今や過去のものとなり、最近の団体は洗練された技術やアンサンブルによって、同曲を古典として演奏するようになった。

それらの中でも最も評価の高いのはウィーンのアルバン・ベルクSQであるが、あまりにも「当たり前」の音楽にしすぎているのではないだろうか。

筆者が現在最も気に入っているのは、1993年から新メンバーとなったハンガリーのタカーチュSQによる全集(1996年)で、演奏・録音ともに優秀、従来のバルトーク演奏とは著しく異なるアプローチを見せてくれた。

技術的には洗練の極に達しているのに、ハンガリーの団体だけにバルトークの音楽の内容に深く入り込み、心に訴えかけてくるのである。

彼らはバルトークの音楽に潜む悲劇性よりも明るい人間性に光を当て、打楽器的な衝撃音は弦楽器が本来持つ暖かいテヌート音に、緊迫した不協和音は巧みな音色操作で協和音に変身させている。

無機質なグリッサンドや、スル・ポンティチェロ奏法にも艶めかしい表情を付け、スケールや分散和音には草原のそよぎが目に映る。

初期の第1番、第2番からして響きが豊かに拡がり、まるでモーツァルトでも演奏するような気楽ささえ感じるが、彼らがその音楽に心酔しバルトークの心情を語り尽くしているからこそ、その説得力はより強烈に感じられるのだ。

第3番は哀切なため息のような冒頭から、耳にも心にもグサッと突き刺さってくる。

第1楽章の重い和音はきわめて意味深く、表情はたっぷりなのにハーモニーはどこまでも澄み切っている。

第2楽章も何という素晴らしい音楽だろうと思わせる。

第4番は第1楽章の粘着力に作曲者の魂が宿り、常にコクと豊かさがあり、各パートが充分に自己主張をしつつバランスを崩すことがない。

第2楽章は音色自体がすでに味濃く、作曲者の言いたいことが如実に伝わってくる。

第3楽章はノン・ヴィブラートの出から曲と一体化した雄弁さがあり、しかも力みは一切見られない。

第4楽章の鮮やかなメリハリは落ち着いたテンポとともに楽しささえ感じさせ、第5楽章はいかに激しくてもあくまで有機的だ。

第5番の第1楽章は動的かつ大柄に始まるが、第2主題の静かな哀しみは、心にまとわりつく訴えの強さと音色の美しさにおいて比類がない。

第2楽章の哀切さも抜群、第4楽章には詩情があり、リズムは語り、哀歌も登場する。

第5楽章の即興性を伴った筆致とシンフォニックな響きも圧倒的である。

第6番は音楽の心をメンバーが完全に自分自身のものにしていることがわかる。

どこまでも孤独な哀しみの歌だが、陰惨ではなく、一縷の希望を秘めていることころが素晴らしい。

しかし終楽章に至って、別離の哀しみはいよいよ深くなり、聴く者の心に浸透してくるが、なお手放しの悲嘆は抑えられているのである。

新生タカーチュSQの当録音は、41歳で世を去った創立時のヴィオラ奏者オールマイの思い出に捧げられている。

そのため、というのは出来すぎだが、確かにこの演奏には「祈り」がある。

どんなに、作曲家の苦悩と慟哭が音に刻まれるときも、その彼方には安らかな明かりが見えるのだ。

バルトークには救いがなさすぎる、と敬遠気味だった筆者の心に、新しいバルトークの在り方を示してくれた全集である。

感謝とともに合掌。

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2017年04月29日


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リヒテルはある作曲家の作品を系統的に網羅するような演奏や録音には全く関心を持っていなかったようだ。

勿論彼が録音という仕事自体に熱心でなかったことは良く知られたところだが、例えばベートーヴェンのピアノ協奏曲は第1番と第3番しか弾かなかったし、ピアノ・ソナタでは32曲の作品のうちセッションとライヴ総てを掻き集めてきても22曲しか録音されていない。

それは彼自身も言っているように、ピアニストなら誰もが採り上げるような曲はあえて避け、自分の気に入っている作品に集中したいという願望の表れだったのだろう。

それでも彼の超人的な記憶力は膨大なレパートリーをもたらし、彼が望んだか否かに拘らず結果的に充分立派なディスコグラフィーを遺すことになった。

1枚目の4曲では晩年のリヒテルが切り開いた境地とも言うべき、何物にも囚われない自由闊達な表現が感動的で、中でも『熱情』では当時の彼の音楽的な構想を最も良く反映した解釈を聴くことができる。

それは彼がアメリカ・デビューを果たした1960年の録音と比較して一層きめ細かで優美でさえある。

一方作曲家後期の3曲はリヒテルが虚心坦懐に弾いた率直で心穏やかなベートーヴェンという印象で、中期のソナタのように激情を爆発させるわけではなく、響きの精妙さをもって対し、作曲家晩年の深遠な抒情を最大限に引き出している。

そこには巨匠特有の精神的な余裕と経験を積んだ貫禄が感じられ、こうした曲の表現に一層の深みと俗世のしがらみから開放された清澄な輝きを感じさせる。

またその美しさはテクニックの衰えを補って余りあるものがあり、雄渾な表現を得意とするいつもの彼とは異なる一面が示されていて興味深い。

この2枚組のCDに収められた7曲のソナタは、全曲フィリップス音源で前半がアムステルダム・コンセルトヘボウ、後半がシュトゥットガルトのルートヴィヒスブルク城オルデンスザールでのどちらもライヴからのデジタル録音になるが、これらは生前リヒテル自身がリリースを承認したそれほど多くない音源のようだ。

ふたつの演奏会場での音響の差が歴然としているが、音質自体は極めて良好だ。

17ページほどのライナー・ノーツには英、仏、独語によるリヒテルの略歴と演奏についての簡易な解説付。

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2017年04月27日


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プラガ・ディジタルスSACDシリーズの1枚で、プロコフィエフの交響曲第5番変ロ長調Op.100及び同第6番変ホ長調Op.111をカップリングしている。

どちらもライヴからの収録だが前者が1973年後者が1967年の良好なステレオ音源であるためにSACD化の効果も明瞭で、鮮明かつ充分に潤いのある音響が蘇っていて迫力にも不足していない。

尚ここに収録された2曲に関しては古いモノラル録音から1980年代に至るステレオ録音まで複数の音源が存在するが、このディスクではレニングラード・フィルの初期に感じられた息をもつかせないミリタリー的な硬直感から解放された大陸的な懐の深さと余裕で両者のコラボには揺るぎないものがある。

ムラヴィンスキーがレコーディングしたプロコフィエフの作品は意外に少なく、フランク・フォアマン/天羽健三編のディスコグラフィーにはここに収録された2曲の交響曲の他にはバレエ音楽『ロミオとジュリエット』のみが記録されている。

いずれにしてもムラヴィンスキーが録音した僅か2曲の交響曲がこのSACDに揃ったことは歓迎したい。

交響曲第5番は1973年6月29日のレニングラード・ライヴで、音質はホールの響きも適度に捉えたバランスに優れ、特にブラス・セクションの充実感はレニングラード・フィルの面目躍如たる音響を再現している。

交響曲第6番は1967年5月25日のプラハの春音楽祭からドヴォルザーク・ホールでのライヴとクレジットされている。

もしこのデータが信頼できるものだとすれば、音質が余りにも良過ぎるという印象を持った。

確かに東欧圏の中では当時のチェコが最も進んだ録音技術を持っていたことは疑いないし、またDSDリマスタリングされ音質向上が図られていることには違いないのだが、1960年代のライヴとしては異例と言わざるを得ない。

しかもライヴ特有の客席からの雑音は一切聞こえて来ない。

プラガは過去にムラヴィンスキーの音源やデータ改竄で物議を醸したレーベルなので、データに関しては筆者自身確証が得られず断言できないことを書き添えておく。

ムラヴィンスキーはこの曲の初演者でもあり、作曲家の構想を注意深く研究した解釈や、大規模な管弦楽に多彩なパーカッションやピアノが交錯する音響の再現にその絶妙なオリジナリティーを感じさせずにはおかない説得力があることは事実だ。

この曲にはより緊密なアンサンブルと推進力で優る1958年盤があるが、色彩感とスペクタクルな音響でこちらを採りたい。

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classicalmusic at 00:05コメント(0)トラックバック(0)プロコフィエフムラヴィンスキー 

2017年04月25日


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バーンスタインは録音に関しては常に肯定的な考えを持っていて、生涯を通して精力的にレコーディングを行った。

CBS音源からはソニーがCD80枚のコレクション盤と自作自演集25枚をリリースしているし、ドイツ・グラモフォンからは全2巻計124枚の全集が刊行されていて、その他ニューヨーク・フィルハーモニック自主制作盤やEMI音源など、どれから聴くべきなのか入門者には迷うくらいの選択肢が提供されている。

ここに紹介する英リアル・ゴーン・ミュージックからの4枚組は、バーンスタインのデビュー間もない1946年からニューヨーク・フィル就任直後の1959年迄の初期の音源をリマスタリングしてリイシューしたもの。

ステレオ録音はCD2の2曲のガーシュウィンだけだが音質向上という面では、特に1940年代の音源が予想以上に骨太で精彩のあるサウンドで再現されていて、かなりの成果を上げている。

大部のセット物の購入を躊躇している方にも鬼才バーンスタイン若き日の演奏のサンプラー盤としてお薦めしたい。

いずれの演奏も初CD化ではないが、自作自演も含めて単品で揃えることが困難なレア音源が集められていて、例えば彼の交響曲第2番に関しては1965年の改訂版ではなく1949年の第1稿の方が収録されている。

また『セレナード』でも彼が後に再録音したフランチェスカッティのヴァイオリンではなく、初演を飾ったスターンのソロで聴くことができる。

そこにはストラヴィンスキーやガーシュウィンなどにも共通する、この頃のバーンスタインの音楽に対する鋭利な切り込みと意気揚々としたバイタリティーに溢れる解釈が古い録音から新鮮に甦ってくる。

またドヴォルザークやチャイコフスキーでは彼の滾るような情熱とロマンティシズムが弥が上にも伝わってくる。

リアル・ゴーン・ミュージックはクラシック専門のレーベルではなく、カタログを見るとジャズやポップスの歴史的録音をリマスタリングしてCD化しているようだが、ここではバーンスタイン自身も含めた7人の作曲家の作品10曲が選曲されて異色のアルバムに仕上がっている。

4枚のCDが4面折りたたみ式のデジパックに収納されていて、独立したライナー・ノーツは付いていないが、見開きにバーンスタインの簡易なキャリアと裏面に収録曲が掲載されたラフな体裁。

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classicalmusic at 00:18コメント(0)トラックバック(0)バーンスタイン 

2017年04月23日


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ヨーロッパでは品薄のためプレミアム価格で取り引きされていた当CD(2016年1月から4月にかけてミュンヘンにて収録)が再生産されたらしく、アマゾンEUのマーケットでもこのところリーズナブルな値段に戻っている。

このCDに収録されたベートーヴェンの管楽器が加わる室内楽は演奏される機会が少なく、こうしたジャンルだけを集めた録音も稀で、ドイツ・グラモフォンからのベートーヴェン・エディション第14巻及び第15巻以来纏めて聴くことができなかったものだ。

巧みなアンサンブルということにかけては後者は1960年代から70年代のローター・コッホやカール・ライスター首席時代のベルリン・フィル・ウィンド・アンサンブルのスター・プレイヤー達なので優劣はつけ難い。

収録曲は木管楽器のアンサンブルとそれにホルン、ピアノが加わる作品に限られていて、弦楽器が入る名高い七重奏曲は残念ながら含まれていないし、ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調は別の3枚組の方に加わっているが、単独のアルバムのプログラムとしては統一性のとれた高い芸術性を感じさせる選曲だ。

クラリネットのポール・メイエが中心となって結成された管楽アンサンブル、レ・ヴァン・フランセーは名称のとおり、ここではまさにフランス流のウィンド・アンサンブルのしなやかさと開放的な表現がそれぞれの曲に横溢している。

管楽器のスーパースター軍団らしく、華やかでしかも精緻な演奏が作曲家の垢抜けた洒落っ気さえ感じさせる解釈と合わせの美しさが秀逸だ。

メンバーはフルートのエマニュエル・パユ、オーボエのフランソワ・ルルー、ホルンのラドヴァン・ヴラトコヴィチ、ファゴットのジルベール・オダン、ピアノのエリック・ル・サージュ、そしてメイエの6人から成り、メンバー全員が超一流のソリストでもある、言わば管楽器のドリーム・チーム。

彼らは1993年に南フランスの小都市サロン・ド・プロヴァンスでの国際室内楽音楽祭の創設時にフランス系の器楽奏者で結成され、レギュラー・メンバー6人を中心に今ではこの町の夏の音楽祭のみならずインターナショナルなツアーも盛んに行っている。

“レ・ヴァン・フランセー”の名を冠する以前に主要メンバーが参加した『プーランク:室内楽曲全集』(1999年RCA)は、同年のレコード・アカデミー大賞を獲得した。

それ以前からもメンバーは共演を重ねており、とりわけル・サージュ、パユ、メイエが主宰するサロン・ド・プロヴァンス国際室内楽音楽祭〈ミュジーク・ア・ランペリ〉では、ほとんどのメンバーが創設当初から20年以上にわたり同じステージに上っている。

それぞれが現役のソリストあるいはオーケストラの首席奏者であることから、アンサンブルとして顔を合わせる機会は限られているが、それでもこれまでに初期のRCAの音源を含めると既に都合10枚のCDをリリースしている。

音質は鮮明でボリューム・レベルも高く、レ・ヴァン・フランセーの明るい音色が明瞭に捉えられていて、管楽器の妙技を堪能できる。

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classicalmusic at 00:29コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェン 

2017年04月21日


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カール・シューリヒト没後50周年記念ボックスはリリース前の触れ込みでは10枚総てが当時のデッカが誇ったハイファイ、f f r r フル・フリクェンシー・レンジ・レコーディングスということだった。

但しライナー・ノーツによると実際には、[CD1]ベートーヴェン:交響曲第2番、[CD2]同『コリオラン』序曲、[CD4]ブラームス:二重協奏曲、[CD5]ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲、[CD6]ウェーバー:『アブ・ハッサン』序曲、[CD7]シューマン:『マンフレッド』序曲の6曲に関してはメタル・マスターから製作したマザーではなく78回転シェラックSP盤からの板起こしである。

再生されるオーケストラ自体の音質は確かに芯があり奥行きも感じられるが、テープ録音以前の音源の宿命とも言える相当のスクラッチ・ノイズを伴っていてかなり煩わしいものもある。

尚これら6曲と最後のワーグナー演奏集はデッカの公式初CD化になる。

f f r r の効果が最も際立っているのは[CD2]ブラームス:交響曲第2番、[CD6]メンデルスゾーン序曲集、[CD8]シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ、交響曲第2番、[CD9]チャイコフスキー演奏集、[CD10]ワーグナー劇場作品のコンサート・バージョンと、このセットでは唯一のステレオ音源になる[CD7]モーツァルト:交響曲第35番『ハフナー』及びシューベルト:交響曲第8番『未完成』で、それぞれの楽器の独立性やしっかりした厚みのある音像は高く評価したい。

ワーナーから出ているイコン・シリーズの8枚組とはレパートリーもだぶりが少ないので、この2セットがシューリヒト・ファンには欠かせないコレクションになるだろう。

戦前戦後にかけて活躍したドイツ人指揮者としては珍しく、シューリヒトは恣意的なテンポ設定を避け、淀みない奔流のような演奏を実践した指揮者だった。

そこには彼の時代にあって異例とも言える新時代の音楽観を先取りした怜悧な解釈を聴き取ることができる。

オーケストラを統率する手腕も流石で、それぞれのパートからドイツ的な溜めや重厚さよりも流麗で勢いのあるアンサンブルを引き出しながらも、軽佻浮薄とは縁のない明確な造形と生命力に溢れるサウンドを創り上げている。

そこが現代の私達にも容易に受け入れられ、高い評価を得ている理由だろう。

協演では2曲のブラームス、バックハウスとの堅牢なピアノ協奏曲第2番とフェラスと組んだ柔軟なヴァイオリン協奏曲が対照的だ。

またオーケストラではシューリヒトと縁の深かったウィーン・フィル、ロンドン・フィル、スイス・ロマンド、パリ音楽院の個性が発揮された貴重な音源が復活しているのも幸いだ。

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2017年04月19日


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性愛の価値観、差別の形成というヨーロッパ社会の基底に関わる諸事象を日本社会との比較史的考察を通じて明快に解明した、西洋中世史の第一人者として、言論人として、 数々の名著を世に送りながら惜しくも急逝した、碩学の遺著。

かつて日本と同様な「世間」が存在していたヨーロッパが、なぜ個人を重視する社会へと転換したのか、個人の誕生の背景には何が存在していたか、従来の歴史学が語らなかった生活の風景に踏み込み、日本人の生き方を問い続けた著者による総決算。

阿部氏の「世間」という一種の社会的空間の観念を明確に捉えるために著者の文章を直接引用してみたい。

例えば第2章「日本の世間」の中で、「世間」は広い意味で日本の公共性の役割を果たしてきたが、西欧のように市民を主体とする公共性ではなく、人格でもなく、それぞれの持っている個人の集合体としての全体を維持するためのものであると述べている。

そして日本には個人が敬意をもって遇される場所がない、個人がいないとさえ書いている。

その意味は敬意が表されるのは個人ではなく、その人が所属している立場に向けられるということだろう。

現在でも公共性とは官を意味することが多く、「世間」は市民の公共性にはなっていないということだ。

阿部氏は別の著書で旧帝国大学について言及していた。

つまりヨーロッパの大学は市民からの要求で生まれたが、日本では国のために尽くす役人を育てるために国家が創ったのが大学であり、自ずと個人が自由に研究する施設ではない。

己を虚しゅうするとは荘子の言葉だったと思うが、それは古来日本人の美徳として定着して古い時代の「世間」では大いに功を奏していたが、明治以来の急速な近代化が進んだ後にも、こと人間関係に関しては官庁や会社の中で旧態依然とした「世間」が幅を利かせ、その美徳を逆に利用し続けているのが現代の「世間」ではないだろうか。

そしてまさに近代化と相容れない「世間」の相克を取り上げたのが阿部氏の問題提起だと考えられる。

現在話題になっている元官僚の大学への天下り事件についても既に阿部氏は自己の体験を通して、その明快なメカニズムを証している。

彼が国立大学を離れた後勤務したある私立大学では文部科学省の複数の次官経験者が理事になっていて、彼らは大学の放漫経営が発覚しても意に介せず、教育の実態よりも天下りのポストを確保することに腐心していたという。

「世間」の一員として後輩のポストを確保するのも個人の欠乏に他ならない。

更に著者は日本で民主主義を実現しようとすれば、少なくとも個人の「世間」からの自立が不可欠だが欧米流の民主主義にこだわる必要はないとも断言している。

それによって彼の専門分野である中世にキー・ポイントを置く西欧社会の礼賛でもなければ、日本の伝統的文化との優劣の問題でないことも明らかにしている。

この考察の中では「世間」という概念をイメージするためにさまざまな現象が引き合いに出されている。

そのひとつが賤民の差別化の経緯であり、また互酬関係の推移だが、日本と欧米の「世間」を決定的に分けた要因にキリスト教の圧倒的な影響力を見て取っている。

いずれにしてもある程度の難解さが常に付き纏っているので、本書をより良く理解するためには阿部氏の他の作品も併読することをお薦めしたい。

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