2018年12月31日


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はじめまして。

このブログでは、クラシック音楽の真髄にどんどん斬り込んでいきます。

「ぶった斬り」というタイトルにしては、内容は名前負けしている感はありますが、自分が悪いと思うものを人には薦められないし、書きたいことを楽しく書く、ということをモットーにしています。

どちらかというと、クラシック音楽を聴き込んだ人向けの内容ですが、これからクラシック音楽を聴いてみようかな、と思っている方にも親しんで頂けるように考えながら書いています。

クラシック音楽に欠かせないのが、演奏家です。演奏家の優劣によって作品の価値が決まるといっても過言ではありません。

私はそこに焦点をおいています。

そして作曲家のことや曲の内容説明はそれぞれのディスクの解説にあるので、私は演奏の批評をこのブログで書くことに重きをおいています。

どうぞ、よろしくお願いします。

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2018年02月18日


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チャレンジ・クラシックスからは2005年にもウィレム・ヴァン・オッテルローがハーグ・レジデンティ管弦楽団を指揮した13枚組が出ていたが、残念ながら既に廃盤の憂き目に遭っている。

一方こちらは2011年にリリースされた2集目のボックス・セットで、1951年から66年にかけてヨーロッパの4つのオーケストラを振った7枚分の、CDとしては初出のフィリップス音源が収録されている。

ただしこのセットには彼の演奏では白眉とされるベルリン・フィルとの1951年のベルリオーズの『幻想』に関しては、既出のためか組み込まれていない。

CD化に当たってはモノラル、ステレオ録音共にリマスタリングは良好で、鑑賞に不都合な点はない。

CD1冒頭のスメタナの『売られた花嫁』序曲での駆け抜けるような思い切ったテンポ設定に、透明感のあるハーグ・レジデンティの一糸乱れぬアンサンブルが従っているのが印象的で、彼のスコアへの精緻な読み込みを象徴している。

彼は楽団のトレーナーとしても優れた手腕を発揮して、当時のハーグをヨーロッパの並み居るメジャー・オーケストラの水準まで引き上げた。

どの作品にもそれぞれの楽器の正確な音程と良くトレーニングされた破綻のないアンサンブルが活かされているが、決して冷淡な感じはなくサン=サーンスの交響曲第3番のような大曲でも正確でありながら情熱的な演奏をものしている。

ライナー・ノーツが充実していて、初出時のLPジャケットの写真が掲載され、録音時のエピソード、演奏の特徴や他のヴァージョンとの違いなどが簡潔に記されている。

オランダはオーケストラの名指揮者を絶えることなく輩出している。

その系譜はメンゲルベルクから思い出してもヴァン・ベイヌム、ヴァン・オッテルロー、ハイティンク、ブリュッヘン、ヴァン・ズヴェーデンと続いて現在に至っている。

しかしヴァン・オッテルローが他の指揮者に比較してそれほど高名でないのは、ヴァン・ベイヌムの後継者としてアムステルダム・コンセルトヘボウの首席指揮者に選出されなかったからかも知れない。

詳しい事情は分からないが、結局若かったハイティンクと後見人ヨッフムによる双頭体制が始まり、彼は円熟期の本拠地をオーストラリアに移してメルボルンとシドニーで演奏活動を行うことになる。

しかし彼の楽才やオーケストラの統率力が同時代の第一線で活躍していた他の指揮者に劣っていたわけではなく、むしろ彼のポリシーとそれを反映した比較的地味なキャリアが知名度を低くしているのが事実だろう。

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classicalmusic at 12:01コメント(0)スメタナサン=サーンス 

2018年02月15日


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典雅な音色とスタイリッシュな演奏で一世を風靡したベルギーのヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオーはかなりの量の音源をフィリップスに遺している。

没後30周年記念として2015年にユニヴァーサル・イタリーからは彼の十八番だったモーツァルト・コンプリート・レコーディング集19枚がリリースされ、今年になってモノラル音源のみの14枚も纏められた。

曲目を見るとモーツァルト作品集とはこのセットでも2枚がだぶっているし、モノラル録音集ともハスキルと組んだベートーヴェンを始めとして7枚が同音源になる。

どちらにも組み込まれていないのが1960年から翌61年にかけて収録されたバッハの無伴奏ソナタとパルティータ全6曲、58年のベイヌム、コンセルトヘボウとのブラームス及びフリッチャイ、ケルン放送交響楽団とのストラヴィンスキーの3枚だけになる。

前述の2セットを持っている方でもバッハの無伴奏の正規盤2枚を買うよりコストパフォーマンスで優っているところがセールス・ポイントだろう。

例によってジャケットは総てボックスと同一のデザインでライナー・ノーツ等は一切省略された完全節約仕様。

ベートーヴェンのソナタ全集はハスキルの素晴らしいサポートもあって、息の合った充実した作品集に仕上がっている。

60歳を超えたハスキル晩年の録音だが、そのみずみずしさはどうだろう。

技術的にも申し分なく、各作品の様式感を深く掘り下げながら晴れ晴れとした音楽を自在に繰り出していくあたり、音楽家としてまさに円熟の極みにあったことがよくわかる。

グリュミオーにとってもかけがえのない音楽的伴侶であったろう。

2人の音楽は完璧に一体化し、全曲ともテンポ感やリズムが快い秀演となった。

後続のモーツァルトの2曲のソナタも含めて総てモノラル録音だがフィリップスの潤いのある柔らかく、しかも立体感が感じられる音質が特徴だ。

バッハの無伴奏はグリュミオー40歳を迎えた典型的な壮年期の演奏で、丁寧に引き込んでいるが覇気に満ちた強い推進力がある。

美しい音色と潤沢な音量に溺れることなく、バッハの対位法の綾を綴るテクニックは流石だ。

ドキュメンツ系の廉価盤では新規のリマスタリングは全く期待できないが、音源自体が非常に良好なステレオ録音なので音質も充分満足のいくものになっている。

それに反して最後の2枚は演奏に関しては文句はつけられないが、録音状態が時代相応以下でやや耳障りなのが惜しまれる。

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classicalmusic at 00:40コメント(0)グリュミオーハスキル 

2018年02月14日


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Richter The Masterシリーズの第4巻目にあたり、2枚のCDにベートーヴェンの2曲のソナタ、2曲のロンド、そしてピアノ三重奏曲『大公』及び『ピアノと木管楽器のための五重奏曲』が収録されている。

とりわけ2枚目の2つのアンサンブルはフィリップスが持つリヒテル唯一のライヴ音源で、しかもこのシリーズはリミテッド・エディションで既に製造中止になっている。

そのために幻の名演としてセカンドハンドでも法外なプレミアムが付いてしまっている。

同シリーズの他のセットはまだ手に入るだけに残念だ。

『大公』は彼が他の曲でも協演したボロディン四重奏団のメンバーとの演奏になるが、何故かこの曲はその後セッションで採り直すことがなかったようだ。

一方ピアノ五重奏曲は曲自体が滅多に演奏されないということもあって、更にこのCDに付加価値を加えているが、こちらではパリを中心に活動している当時としては新進気鋭のモラゲス木管五重奏団が協演している。

どちらも1992年12月にモスクワのプーシュキン・ミュージアムで行われたコンサートからの録音のようだ。

『大公』ではボロディンの2人がいつになく古典的な均整の取れたアンサンブルを聴かせていて、リヒテルの気品に満ちたピアニズムとバランス良く調和している。

シューベルトの『鱒』ではいくらか癖のあるロマンティックな表現が気になったが、ここではポルタメントなどは最低限に抑えられているのが好ましい。

特に第3楽章のヴァリエーションでの変化に富んだリリカルな表現は秀逸だ。

『ピアノ五重奏曲』はモラゲスの管楽器奏者達の精緻な合わせ技が素晴らしいが、それは彼らの個人的な技術水準の高さも証明している。

実際第2楽章でオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンのそれぞれが披露する節度をわきまえたカンタービレは白眉だ。

また晩年のリヒテル特有の包容力のあるピアノが、伴奏に回った時にも注意深くソロを引き立てているのも流石だ。

尚1枚目のCDに収められているピアノ・ソナタ第18番及び第28番と2曲のロンドはリヒテルの音源が他にもあり入手することも可能だが、このライヴは第18番が1992年、その他が1986年のアムステルダム・コンセルトヘボウでのコンサートから録音されたもののようだ。

ライナー・ノーツは17ページほどで英、仏、独語の簡易なエピソードが掲載されているが、このライヴの経緯については全く触れておらず、録音データに関しても信用できるものではないことも付け加えておく。

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classicalmusic at 00:02コメント(0)ベートーヴェンリヒテル 

2018年02月12日


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EMIバジェット・ボックス・シリーズのリニューアル限定盤で、この9枚のCDにはピンカス・ズーカーマンのヴァイオリン、ジャクリーヌ・デュ・プレのチェロ、そしてダニエル・バレンボイムのピアノの3人によるベートーヴェンの10曲のピアノ三重奏曲、5曲のチェロ・ソナタと3曲のヴァリエーション、更に10曲のヴァイオリン・ソナタ及び同メンバーでのチャイコフスキーのピアノ三重奏曲イ短調が収められている。

このうちチェロ・ソナタは1970年のエディンバラ音楽祭、またチャイコフスキーは72年のテル・アヴィヴのそれぞれライヴから採られたもので、後者はモノラル録音だが音質は決して悪くない。

ただしズーカーマンのヴァイオリン・ソナタ全曲以外は以前リリースされたデュ・プレのコンプリート・レコーディングス・セットに総て入っているので既にお持ちの方は注意されたい。

バレンボイムと夭逝した天才チェリスト、デュ・プレ夫妻の見事な呼吸とズーカーマンのアンサンブルが精緻で充実した音楽を創った隠れた名盤だ。

3人とも1940年代の生まれだから、録音当時は一番年上のバレンボイムでもようやく30歳になろうという若さだった。

それだけに彼らの演奏には特有の覇気が漲っていて、溌剌とした中にも和気あいあいの雰囲気でベートーヴェンの音楽に取り組んでいる初々しさが感じられる。

その傾向はチェロ・ソナタの方により顕著だが、ピアノ三重奏でのアンサンブルは若さがぶつかり合うような激しいものではなく、かなり抑制を効かせた調和を保っているのも特徴的だ。

一方1971年から73年にかけてのセッションになるズーカーマンの弾くヴァイオリン・ソナタでは後年の彼にみられる内向的な表現ではなく、美しい音色を充分にアピールした瑞々しい演奏を聴くことができる。

バレンボイムの伴奏も積極的で、ベートーヴェンが書き記したピアノ・パートの多様性を巧みに表現していて秀逸。

特に『クロイツェル』冒頭の堂々たる押し出しのよさとズーカーマンとの絶妙なやりとりも聴き所のひとつだ。

1971年の暮れ、半年間の休養を終えてスタジオに戻ってきたデュ・プレは、夫バレンボイムと共に長年の懸案だったベートーヴェンのチェロ・ソナタを録音するべく、手始めに第1番の第1楽章を録音した。

しかしそれは完成されることなく、彼女がチェリストとしてスタジオに姿を見せた最後のセッションとなった。

彼女が演奏不能となったとき、英EMIはBBCから1970年のエディンバラ音楽祭におけるライヴ・テープを借り受け、彼女への感謝も込めてリリースしたのである。

ライヴゆえに小さなキズやノイズもあるが、皮肉にもこの録音が陽の目を見たことで、私たちはデュ・プレの音楽性がどれほど自由なものかを確認できるのである。

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classicalmusic at 02:09コメント(0)バレンボイムデュ・プレ 

2018年02月10日


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オーストラリア・エロクエンスからの2枚組廉価盤で、ラファエル・クーベリック指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲全4曲を収録している。

ライナー・ノーツの録音データを見ると第1番から第3番までが1957年、第4番が1956年で、いずれもウィーンのゾフィエンザールでのステレオ・セッション録音になり、本家デッカからはCDとして初リリースのようだ。

ただし日本ではタワーレコードからヴィンテージ・コレクションでクーベリック生誕100周年記念盤として2014年に既に復刻されている。

ある程度プライス・ダウンされているところがセールス・ポイントだろうか。

早くからステレオ録音に取り組んだデッカだけあって、音質は鮮明で分離状態も良いが全体的なサウンドがややデッドで、もう少し豊かな中低音と柔らかさが欲しいところだが、これはリマスタリングの結果というより音源の持つ弱点と思われる。

クーベリックは1983年にバイエルン放送交響楽団ともブラームスの交響曲全曲を再録音しているが、先ず決定的に違うのが演奏時間で、第3番以外では第1楽章の提示部の繰り返しを省略していることもあるが、テンポの取り方もこちらの方がかなり速めになっている。

2枚のCDに収まっているのもこのためだ。

しかしクーベリック40代前半の強い推進力が感じられても、決して尖った演奏にならないのはオーケストラの奏法に負うところが大きい。

ここでは1950年代後半のウィーン・フィルのこぼれる魅惑に満ち溢れており、彼はオケの自主性を重んじた柔和な音楽作りを見せる。

この頃のウィーン・フィルはコンサート・マスターがボスコフスキー、首席奏者にはフルートのハンス・レズニチェク、オーボエのハンス・カメシュ、ホルンはフォン・フライベルクという頑固なまでにウィーン流派を受け継ぐメンバーが揃っていて、クラリネットのウラッハは少し前に引退していたが、替わって彼の高弟プリンツが首席に着いていた。

若手指揮者の言うことを聞かないことで有名なウィーン・フィルでは、クーベリックも彼らに一目を置かなければならなかっただろう。

第3番第3楽章を始めとする様々な楽器によるソロの部分での彼らの培ってきた伝統的な音色と奏法による巧みなアンサンブルを聴くことができる。

白眉は快速で駆け抜ける第4番の第1楽章で、いち早く過ぎ去ってゆく情景にウィーン・フィルの面々が歌という刻印を残してゆく様は圧巻だ。

尚第1番第2楽章のヴァイオリン・ソロはボスコフスキーと思われる。

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classicalmusic at 14:17コメント(0)ブラームスクーベリック 

2018年02月08日


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J.S.バッハの長男として生まれながら、自らの性格破綻的な傾向も手伝って、中年以降を不遇のうちに送ったW.フリーデマン・バッハの6曲のトラヴェルソ・デュエット集という珍しい曲集が、バルトールド・クイケンと彼の直弟子マルク・アンタイのトラヴェルソによって見事に演奏されている。

この曲集はピリオド楽器での演奏がごく僅かしかなく、当盤は1990年の録音だが、現在ではこの他に1999年にリリースされたコンラート・ヒュンテラーとミヒャエル・シュミット=カスドルフのCDくらいしか見出せない。

その理由は技巧的には超絶的に困難なわりに、華やかな効果が出しにくい作品の特質にあると思われる。

通常のトラヴェルソはニ長調で最も安定したスケールと均等な音色が得られるように調律されていて、フラット系の調では運指が複雑になる一方で音質が不均等になりがちなので表現が難しくなる傾向があるが、このデュエット集6曲のうち4曲までがフラットの調で書かれている。

しかも調がトラヴェルソでやりにくいのに加えて、目まぐるしい転調や半音階の動きがあって、演奏者泣かせの曲集でもある。

作曲者があえてこうした調性を取り入れたのも、その一通りでない演奏効果を目論んでいたに違いない。

J.S.バッハとは、まったく作風が違うので、時代の変遷をリアルに感じ取ることができる。

演奏者はどちらも三兄弟揃って古楽奏者という、言ってみれば根っからの古楽研究家の出身で、しかも全員がグスタフ・レオンハルトやフランス・ブリュッヘンともしばしば協演している。

こうした経験が当然彼らの演奏に説得力を与える結果になっていることは事実だ。

収録曲目はヘ長調Falck57、ト長調Falck59、変ホ長調Falck55、ホ短調Falck54、変ホ長調Falck56、ヘ短調Falck58で、彼らの使用楽器はアラン・ヴェーメルス製作のカール・アウグスト・グレンザーのワン・キー・モデルだ。

フラット調に弱いという弱点はあるにしても、高音の軽やかさと明快なメロディー・ラインを出すことに成功している。

ポリフォニーの音楽としても両者が対等に競い合っていて、トラヴェルソによる彼らの水準を凌駕するような演奏は当分期待できないだろう。

当曲集はバロック・ファン向けというより、フルートを学んでいて、難易度の高いデュエット曲をお探しの方にはうってつけのディスクかも知れない。

尚ピッチはa'=415で音質は極めて良好。

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classicalmusic at 14:43コメント(0)バッハクイケン 

2018年02月06日


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イングリット・ヘブラー(1926-)はモーツァルトのピアノ・ソロのための変奏曲を都合14曲録音している。

それらはユニヴァーサル・コリアからのボックス・セットに総て収録されているが、個別売りCDでも過去3集に分けてリリースされた。

そのうち現行盤はタワー・レコードとユニヴァーサル・ジャパンからの1枚ずつだが、このディスクは後者に当たる。

ただレーベルも企画も異なっているためか曲目にだぶりがあり、しかもこちらには録音状態の不釣合いなアルトゥール・バルサムの古い演奏が2曲カップリングされている。

それ故ヘブラーの演奏はだぶっているパイジェッロの主題による6つの変奏曲を入れても、事実上5曲だけになる。

できれば演奏者をヘブラーだけに統一して収録曲数を増やして欲しかった。

モーツァルトの作品の中で、ピアノ曲の占める割合というのは大変大きく、彼自身がピアノの名手であったことを思えば当然のことであろう。

鍵盤楽器用の変奏曲には多分に即興的な要素があり主題が自作のものであれ、また他の作品からのものであれテーマを様々に展開させていく作曲家の能力と閃きが問われるが、モーツァルトはこのジャンルでもその卓越した手腕を示している。

実際グルックの主題による10の変奏曲のように彼が即興演奏したものを後に書き留めた作品も存在する。

随所にパッセージやカデンツァ風の走句を挟んで幻想曲風に展開されるK.398、個性的な変奏が繰り広げられる円熟したK.455、由来不明の短い主題による愛らしいK.500、広く愛奏されているK.573、ピアノ曲の最後を飾った晩年のK.613。

これらは、一見アマチュアにも弾けるような書き方がされているが、その何でもないようなスタイルの陰に卓越した芸術性が隠されていることを忘れてはならない。

ひとつのテーマから溢れ出て尽きることのない流暢なヴァリエーションを飾り気なく、しかし飛びっきりエレガントに表現したのがヘブラーの演奏である。

彼女はことさらテクニックを誇示することもなく、それぞれの作品の特徴を丁寧に描きながら、モーツァルトの天衣無縫な才能を一番美しくかつ自然な形で聴かせてくれる。

ウィーン風のまろやかな、ニュアンスが豊かな表現で、聴き手を魅了せずにはおかない。

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classicalmusic at 18:41コメント(0)モーツァルト 
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