2008年05月

2008年05月31日


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1966年のバイロイト音楽祭における実況録音。

現代におけるワーグナー演奏のひとつの頂点を極めた記念碑的名演。40年以上経た現在もなお、この「トリスタン」の与える感動は少しも色褪せてない。

ベームの指揮は、強い集中力と熱気をはらんだ、きわめてドラマティックなもので、ワーグナーの音楽としてはやや硬質だが、そのスケールの大きさと彫りの深さは、ベームならではのものだ。

ベームの凝集力の強い指揮は、ワーグナーのエッセンスを見事に抽出したもので、ライヴならではの熱気が伝わってくる。

一点一画もゆるがせにしないベームの精妙な音づくりが、CDの鮮明な響きのなかに見事によみがえっている。

イゾルデとトリスタンの歌を聴くなら、戦後のバイロイトの象徴的存在だったニルソンとヴィントガッセンの共演がベストだろう。

フラグスタートよりも透明な声のニルソンと、今なお最高のトリスタンである真に英雄的なヴィントガッセンの情熱的な歌唱、またルートヴィヒのブランゲーネもすばらしい。

各幕がそれぞれCD1枚ずつそっくり収められているのも大きなメリットだ。

ライヴながら周到な準備の下に行われた録音もすぐれている。

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classicalmusic at 13:28コメント(0)トラックバック(0)ワーグナーベーム 

2008年05月30日


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1964年5月10日、東京文化会館におけるライヴで、その名演は長くファンの間で語り草となった。

いかにも、このコンビらしく、洗練された透明なソノリティと品のよさを兼ね備えながら、しかも凄絶な活力にみちている。

フランスのオーケストラならではの音色の華やかさがあり、この曲の燃えたぎるような情熱を、これほどまでに直截に伝えた演奏というのも珍しい。

クリュイタンスは曲にのめり込むのではなく、一歩退いて知的にまとめている。そのため細部が入念に処理されながらもあくの強さがなく、音楽がさらさらと流れている。

第1楽章からクリュイタンスは、堅固な造形で曲をまとめながら、推進力と高揚感を表出する。

「舞踏会」は優雅そのもの、「野の風景」も広々とした音空間が生まれている。

終りの2楽章も見通しのよい表現だ。

クリュイタンスならではの格調の高さと手際のよさにひかれる名演である。

戦後日本のフランス音楽の理解に大きな衝撃を与えた、古きよきフランス文化の栄光の記録だ。

HQCD化により、音質が鮮度を増したことも評価したい。

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classicalmusic at 18:40コメント(0)トラックバック(0)ベルリオーズクリュイタンス 

2008年05月29日


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シェイクスピアの同名の戯曲をもとにしたこの作品は、プロコフィエフの代表的なバレエ音楽のひとつで、今日でも上映される機会が大変多く、現代バレエ音楽の傑作のひとつといわれているものである。

デジタル録音によるこの曲の初の全曲盤で、素晴らしく鮮明な名録音である。

小澤の指揮はかつてないほど生命力にあふれており、各曲の持ち味を的確につかみ、綿密かつ入念に表現していて、この作品の特色を見事に引き出している。

1曲1曲に新しい生命を吹き込んでいるような演奏で、音楽全体が生き生きと息づいている。

「騎士たちの踊り」は実に乗りがよく、「ロメオはマーキュシオの死の復讐を誓う」ではドラマティックに盛り上げている。

また第4幕のエピローグの悲しみに満ちた旋律を、自分自身の悲しみであるかのように深々と表現していて素晴らしい。

これは小澤とオーケストラとの精神的一致が生み出した新鮮で切れ味のよい名演奏で、数多い小澤の録音のなかでも会心の出来映えといってよい。

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classicalmusic at 16:25コメント(0)トラックバック(0)小澤 征爾プロコフィエフ 

2008年05月28日


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いずれもよく彫琢された演奏。

精緻に計算された無駄のない表現で、音の響きも美しい。

「展覧会の絵」でのカラヤンは、ラヴェルのオーケストレーションのもつ音色美を尊重しつつ、原曲のロシア的情感を豊かに表出している。

ラヴェルの、色彩的な音色美を尊重しながらも、焦点をムソルグスキーの原曲にあてている演奏だ。

「ビィドロ」を聴いてみればよくわかるように、原曲のもつ、あのロシア的情感を、実に豊かに表出している。

全体にテンポを遅めにとり綿密な設計で仕上げた演奏で、細部まで彫琢された凄さには驚かされる。

圧巻は終曲の「キエフの大きな門」だ。やや遅めのテンポで、悠然と旋律を歌わせた秀演である。

「海」は寸分の隙もない精緻な演奏だが、カラヤンの体質のためか少々粘りが強く、デリケートな音の綾織りにやや乏しいのが惜しまれる。

「ボレロ」は秀演で、カラヤン一流の巧緻な演出が光っており、1966年の演奏だが、3度目の録音と遜色のない名演だ。

各プレーヤーのうまさもさることながら、ラストの盛り上げ方のうまさに感嘆する。

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classicalmusic at 00:00コメント(2)トラックバック(0)カラヤンラヴェル 

2008年05月27日


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どの曲も味の濃い表情と音色で訴えかける名演だ。

これほど雄弁に粘りを感じさせる、人間味たっぷりなメニューインも珍しい。

そこには赤裸々な生々しさがあり、振幅の大きいフレージングがあり、深い温かさと聴く者の体を包み込むような心の歌がある。

楽器も充分に鳴り切っており、終始100パーセントの表現が聴かれる。

メニューインは、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番を最も得意なレパートリーのひとつとしており、フルトヴェングラーの指揮による録音も名演だったが、これはさらに12年後の録音だけに、彼の円熟した、内面的に深い表現が魅力となっている。

ヴァイオリン協奏曲第1番のメニューインの演奏は、外面的な派手さをねらわず、やや淡白ともいえる表現で、じっくりと音楽の内面を深く掘り下げながら、曲のもつ詩情を表出している。

ドラティのバックも秀逸で、その卓抜な棒は素晴らしい。

バルトークの民族色を越えた、より普遍的な情熱がここにはある。

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classicalmusic at 00:00コメント(0)トラックバック(0)バルトークメニューイン 

2008年05月26日


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1957年に、自動車事故で36歳の若さで亡くなった名ホルン奏者デニス・ブレインの貴重な遺産かつ代表的な名盤として知られるものである。

何回聴いても、これに優るホルンの響きは考えられない。

朗々と鳴り響いて力強く、あるいは柔らかく滑らかで、アタックも明快かつ軽やか。そしてその技巧を駆使した歌のうまさ!技巧に角がないことでもベスト。

彼の脂の乗り切った頃のものだけあって、その名人芸には圧倒されてしまう。

テンポが意外に遅いので、テクニックを誇示するようなところは全くない。

一つだけ注文をつけるとすれば、こくのあるカンタービレはことのほか見事なのだが、第2番のフィナーレなど、もっとリズムを弾ませた方が楽しくなるだろう。

音質はあまりよくないが、この演奏を凌駕するものは、ないといってよいほどだ。

第2のブレインは何人もいるが、凌駕する人はもう一生聴けない気がする。

モーツァルトのホルン協奏曲の全曲録音は、今やかなりの数にのぼっており、いわゆるナチュラル・ホルンを用いたのもその数を増しているし、また、ひとりの奏者が回を重ねてレコーディングしている例も徐々に増えてきている。

それだけ、いろいろな面からこの楽器の演奏における水準や評価が高まってきているということかもしれないが、デニス・ブレインがカラヤン/フィルハーモニアと遺した全集は、彼にとって唯一のものであったばかりでなく、その信じ難いような技巧の完全性と品格の高さによって、一般の人々のホルンへの概念を覆したものとさえいえるし、本質的にこの演奏の右に出るものは、いまだに生まれていないともいえる。

カラヤンの指揮は流麗でスマート、さっそうとしていて素晴らしい。

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classicalmusic at 16:12コメント(0)トラックバック(0)モーツァルトカラヤン 

2008年05月25日


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ベルグルンドは、フィンランド生まれで、シベリウスの研究家としても知られている人である。

この演奏も、そうした彼の研究の成果と、同国人としての深い共感を強く感じさせるものとなっている。

ベルグルンドはシベリウスの交響曲全集を3度録音しているが、ヘルシンキ・フィルとの第2回目のものが、最も万人向けの名演で、中でも第1,3,5,6番が感動的な名演奏だ。

第1番の第1楽章は、ベルグルンドの非凡なスコアの読みによって仕上げられた明晰極まりない秀演が展開されている。柔軟で多彩な表現の第2楽章、彫りの深い第3楽章も素晴らしく、終楽章の男性的で雄渾な表現は凄いほどの迫力がある。

第3番はスコアを深く読みつくし、従来のどの演奏にもなかった内声の表情の豊かさや音構造の妙を発見させる。その新鮮な表情はたとえようもなく、この曲の稀有の名演といえる。

第5番は瑞々しい発想とかつてない劇性を備えており、第2楽章などかなり自在な表現だが、それがツボにはまっている。終楽章のスピード感も強烈で、じりじりと高潮する雄大な設計が感動的な音楽を歌い出す。

第6番も見事な演奏で、この作品の交響詩風ともいえる自由な構造と、教会旋法を用いた透明感を適切な表情で表し、作品の清冽な内面性をふくよかな歌と結んでいる。

その他の曲も他の追随を許さない卓越した秀演である。

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classicalmusic at 03:36コメント(0)トラックバック(0)シベリウス 

2008年05月24日


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カラヤンの同曲唯一の録音で、その最後のワーグナー/オペラ録音となったものだが、別の録音など到底考えられないほどすばらしい内容を持っている。

カラヤンならではの設計の巧みさの光る演奏だ。その音楽の奥行きの深さは、みごとというほかはない。

カラヤンのこの演奏を聴くと、何より驚くのは「オランダ人」の音楽がワーグナー円熟期の諸傑作にも劣らぬほどの、充実と緊張をもって豊かに鳴り響くことである。

ここでは全幕を通して演奏されるが、カラヤンはそこに明確なパースペクティブを生み出し、重厚かつ明快な演奏は驚嘆すべきものだ。

ベルリン・フィルの輝かしい音色と重々しく厚い響きも、素晴らしい。

ウィーン国立歌劇場合唱団の力強い迫力、特に男声の重厚な響きは圧巻。

歌手もおおむねそろっていて、ダムのオランダ人は宿命と業を背負った人物というより"悩めるインテリ"といった感じなのがユニーク。

むしろホフマンのエリックが素晴らしい。

さらにヴェイソヴィチの可憐な中にも強い意志を秘めたゼンダなどすべてが最高の質を持ってカラヤンのドラマティックな作劇術の中で見事に役割を果たしている。

「オランダ人」は、歌劇というタイトルになっているが、カラヤン盤の緻密な劇構成で聴くとすでに楽劇としても十分な内容を持っていることが良く分かる。

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classicalmusic at 05:38コメント(0)トラックバック(0)カラヤンワーグナー 

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カラヤンにとって2度目のもので、1973年に録音されている。

前述したデッカ盤の主役は、あくまでもデル・モナコだったが、これは、キャスティングから音楽のつくりかたに至るまで、完全にカラヤンの意志によって貫かれたもので、その表情豊かな彫りの深い表現は実にみごとだ。

カラヤンがベルリン・フィルとよりぬきの歌手たちによって生み出す音は、これ以上考えられないほど徹底的に磨かれた美しさをもっている。

この美の追究は、そっくりそのままヴェルディの音楽のドラマの追究となり、異常なほどの力と緊張に満ちたオペラとなった。

ゲルマン的色彩は濃厚になっているが、この冒頭からの劇的表現の凄さと緊張感といったらどうだろう。

キャストでは、フレーニのデスデモナが素晴らしい。こまやかな情感とうるおいに満ちた輝かしい歌唱で、最高の出来といえるだろう。

ヴィッカーズのオテロはやや弱い。

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classicalmusic at 05:06コメント(0)トラックバック(0)カラヤンヴェルディ 

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カラヤンの同曲唯一のスタジオ録音で、彼は、最晩年に今一度「トリスタン」全曲を上演、録音したかったようだがついに果たせなかった。

当時のEMIの録音の特色でもあったのだが、この録音には、クリアーさに欠ける部分があるのがどうしても欠点として残る。

それでもカラヤンとベルリン・フィルにしかできない極限のピアニッシモが織り成す官能的な表現は、幻のような愛の世界へと聴き手を引き込む。

カラヤンとベルリン・フィルの関係が最も緊密な時代の録音だけに、華麗な官能美にあふれた管弦楽の有機性は、他に比肩するものがない。

ベルリン・フィルの驚異的な合奏能力と表現力をフルに発揮してつくり出された音の極限的精錬と美感もさることながら、それが単なる審美的な彫琢だけにとどまらず、「トリスタン」は聴き手の官能を呪縛し、音楽の奔流と陶酔の中に巻き込んでしまう。

時おり起こる嵐のような高揚ではベルリン・フィルがここぞとばかりに圧倒的な表現力を示すのもインパクトがある。

カラヤンの黄金期を支えた名歌手たちによる配役も素晴らしい。

ヴィッカーズとデルネシュのコンビも最高で、この2人は幻のなかで唯一リアリティを持って存在する。

圧倒的な声の威力と鋭い緊張に加え、デリケートなやさしさと繊細な情感にも不足のないデルネシュ。気迫に満ちた歌唱で抜群の存在感を示すヴィッカーズ。

愛し合う2人以外にも当時としては申し分のない歌手が揃えられており、各人が最良の歌唱を展開している。

カラヤンはそうした声を管弦楽に組み込み、その精密無比な響きの美の中に溶解させる。

しかし、激しく熱い愛や情念とは結びつかない。徹底的に美が支配する「トリスタン」である。

一際優れた「トリスタン」といえよう。

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classicalmusic at 00:09コメント(0)トラックバック(0)ワーグナーカラヤン 

2008年05月23日


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国際レコード批評家賞、モントルー国際レコード賞を受賞した名盤の復刻である。

早くから「カテリーナ・イズマイロヴァ」はオリジナルの方がすばらしく、20世紀のオペラの名作だ、と主張していたロストロポーヴィチが、1978年に録音したのがこれだ。

確かに挑発的だし、話は陰気で、聴いて心楽しくなるオペラではないけれど、実に聴きやすく、退屈しない作品だ。

スターリンによって不当に黙殺されていたこの傑作オペラを、再び世に出し蘇生させることを願うロストロポーヴィチ夫妻の情熱と執念の強さが、ディスクの中から迸り出る様な演奏である。

そのロストロポーヴィチの意気込みがよく伝わってくる。

ロシア的濃厚さも、当然ながらいっぱいだ。

ロストロポーヴィチのダイナミックかつ繊細な指揮の下、悲しく激しい女の業を歌い上げるヴィシネフスカヤの絶唱を始め、ゲッダ、ペトコフ以下の名歌手達が、入神の演唱を展開している。

チョン・ミュンフン盤のユーイングとは全然違うヴィシネフスカヤのカテリーナは、こちらがもともと意図されたものか、と思えるところがある。

ゲッダのセルゲイもうまい。

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classicalmusic at 05:06コメント(2)トラックバック(0)ショスタコーヴィチロストロポーヴィチ 

2008年05月22日


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ウィーン・フィルが持つ伝統的様式に、バーンスタインの燃え上がるような生命力を加えた演奏で、今もベートーヴェンの交響曲全集を選ぶ場合に真先にあげなければならないものだ。

どの曲もフレッシュそのもので、ベートーヴェンなど聴き飽きた、という人にも強くアピールする表現。どの曲をとっても造形は端正を極め、ベートーヴェン演奏の定石がきちんと守られている。

バーンスタインのライヴに特有の、激しさと優しさの交錯も魅惑的だ。

第1番は冒頭から中期のベートーヴェンを予感させる、厳しい構成意志が表出された演奏だ。4つの楽章の均衡感、古典的ともいえる造形や弾力的なリズムも、作品の性格とそのまま合致している。

第2番は実に表情が豊かで多彩、わずかなアゴーギグや部分的なメリハリが驚くほどの効果を挙げている。そして第2楽章の歌が何と広々と広がることか。

「エロイカ」は光彩あふれる名演である。冒頭から一瞬の沈滞もなくいきいきとした動感と流れるような歌が晴朗な音楽を織り上げ、そこには観念的あるいは文学的なものの影はない。第2楽章の葬送行進曲が実に抒情的に表現され、両端楽章の構築性と見事な対照をつくるのも作品をよく理解した見事な解釈である。

第4番は健康な青春の光彩にあふれた演奏だ。

第5番は求心的で古典主義的、とはいえ音楽構造の主体と背景が綿密に整理され、鮮やかなコントラストを保っている。

「田園」は実に爽やかな、明るい陽光に映える緑と吹き抜けるような風を思わせる音楽である。第1楽章提示部を反復しているが、音楽の瑞々しさを少しも弱めない。ウィーン・フィルの自発性に富むアンサンブルもこの曲の場合大きな魅力となる。これはバーンスタイン自身が言っているように、ウィーン以外の場所では表出不可能な味わいをもった演奏である。

第7番はディティールの明細が見事で、リズムが軽く、どの楽章も的確に決まったテンポで進み、どこから眺めても妥当である。

第8番は特筆すべき名演で、この作品のきりりと引き締まった様相を優美・典雅に描きながら、その内部が堅固に固められているのが素晴らしい。作品の真髄を衝いた演奏である。

第9番は室内楽的とさえいえる透徹した演奏で、ニュアンスも豊富だ。それでも音楽は生きて動き、古典主義の帰結として作品を捉えている。合唱は少人数だがプロフェッショナルな発声と確実さで、バーンスタインの意図によく応えている。しかし4人の独唱者は重唱のアンサンブルはよいのだが、それぞれの声や表現力が十全とはいえない。

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classicalmusic at 04:56コメント(2)トラックバック(0)ベートーヴェンバーンスタイン 

2008年05月21日


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この全集はバーンスタインの録音の中でも傑出した1組であり、指揮者とオーケストラがそれぞれの持ち味を発揮しながら、素晴らしく充実した音楽をつくっている。

第1番の熱気を秘めた気宇の大きい構成、第2番のみずみずしい美感、第3番のゆとりを持った音楽性、第4番のあふれるようなロマンティシズムの中に古典的格調をもった明澄な表現、とそれぞれが見事な演奏だ。

第1番の熱気に満ちた雄渾な表現はバーンスタインならではの生命力を感じさせ、ウィーン・フィルの魅惑的な音の美しさは例えようもない。

バーンスタインは、ウィーン・フィルのもつ伝統的な様式感覚を全面的に信頼しているのだろう。ディティールの表情は一層陰影と繊細さを増し、透明な弦の響きにも各パートの自発性を伴い、第2番では春風のような温かさと瑞々しさを印象づけている。

第2番は明朗さのなかにも、一抹の不安や哀愁をこまやかに表現した第1楽章が抜きん出ている。

最も個性的な表現は終楽章で、乗りに乗った演奏ながら、細部を克明に、デリケートに描いていて格調高く、色濃く表れてくるロマン性のため、ひとつのドラマを聴く思いだ。

第3番でのバーンスタインは、流麗さと克明さを自然に共存させており、彼の静から動への志向を表していて興味深い。

第1楽章では、独自のルバートや細かいアゴーギグが駆使されテンポも遅いが、第2主題など実に味わい深く、歌の明滅が美しい。

第2楽章のかなり自由なアゴーギグも合法則的で、第3楽章ではウィーン・フィルの弦の美しさを満喫させる。

第4番も熱気に満ちた演奏で、しかもしなやかさも柔らかさもある。ウィーン・フィルも実にいい音で、弦は艶やかで張りを持っているし、管は自発性に満ちている。

ブラームスに対する伝統的な自信が、オーケストラの中にしみこんでいるといった感じだ。細かいところでは、バーンスタインがウィーン・フィルの自発性に任せている所もかなりあり、それが成功している。

4曲すべてがこれほどの高水準でまとめられた全集はあまり例がない。

管弦楽曲も交響曲にまさるとも劣らない秀演である。

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classicalmusic at 01:06コメント(0)トラックバック(0)ブラームスバーンスタイン 

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クレンペラーの代表的なディスクの一つである。1枚に全曲を収めているのも大きな魅力だ。

悠揚迫らぬ骨格の太いブラームスである。

すこぶる腰のすわった重厚な表現で、伝統的なドイツの演奏スタイルをそのまま伝える名演である。

クレンペラーの包容力の豊かさが各章に感じられ、その重量感はまさしく巨造建築を仰ぎみているようだし、ブラームスへの畏敬の念に満ちている。

まさに1960年代を代表するブラームスの演奏様式というべきだろう。

現在のブラームス演奏からは隔たっているかもしれないが、頑固なまでに自己の信条に忠実だったクレンペラーの融通の利かない反時代性が、この1961年録音から、いま鮮明によみがえる。

正統、かつ重厚。その内面の深さは量り知れない。

独唱者たちもクレンペラーの意図を体現した隙のない好演で、シュヴァルツコップの歌唱も肺腑を突き、フィッシャー=ディースカウも敬虔いっぱいのブラームスを聴かせてくれる。

声の美しさと内面的な深さで光る。

合唱団の歌い込みも充分である。

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classicalmusic at 00:01コメント(0)トラックバック(0)ブラームスクレンペラー 

2008年05月20日


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「ミサ・ソレムニス」はクレンペラーの宗教合唱曲の中では最高の出来である。

おそらくベートーヴェンの内面的思考過程に最も近く寄り添っているのがクレンペラーの演奏と思われる。

クレンペラーの格調高く悠然とした表現のなかには、厳しさと雄大さと共に渋味溢れる独自の暖かさもが息づいている。

表面的には不器用さを感じさせることも否めないが、深い味わいを宿したスケールの大きい名演として注目される。

人生の辛酸を舐めつくしたクレンペラーならではの世界が、ゆるぎない人生観照の上に立って見事である。

クレンペラーの演奏には、ベートーヴェンの無限へのゆるぎない生命観と、絶対という神へのおそれと祈りが、人間として持てるだけのすべての中で、とうとうと音をたてて流れている。

クレンペラーのニュー・フィルハーモニア時代(1964年以降)の録音は特に出来不出来が激しく、散漫なものも含まれているように思うが、この「ミサ・ソレムニス」ではすべてが充実し、ピリリとした緊張と、ほとばしるような生命力によって、全曲が運ばれている。

老巨匠は、この時よほどコンディションが良かったのだろう。クレンペラーの炎のようなベートーヴェンへの帰依は、雄大な精神への勝利といえよう。

ソリストもすべて第一級で、ことにヘフゲンが素晴らしい。コーラスも細部に至るまでクレンペラーの意志が行き届いている。

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classicalmusic at 10:25コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェンクレンペラー 

2008年05月19日


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楽しいレコードだ。

ワルター最晩年の録音だが、実に若さにあふれており、ワルターが悦に入って歌いながら指揮している様が眼に見えるような演奏だ。

いずれもワルター独自の愛と豊かな歌に満ちあふれた心温まる演奏で、どの曲にもモーツァルトに対する敬愛の念が強くにじみ出ており、そこに強く心打たれる。

音楽の核心に迫った軽快な「フィガロの結婚」、しなやかに旋律を歌わせた「コシ・ファン・トゥッテ」、そして青年のようなみずみずしさで表現した「魔笛」など、どれもモーツァルトの音楽の美しさを理想的に歌いあげている。

ただし、「ドン・ジョヴァンニ」の序曲が含まれていないのは惜しい。

オペラの序曲もよいが、「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」は傑作だ。細かな音まで神経がゆきわたっていて、しかも歌えるだけ歌っている。

きりりと引き締まった気品のある表現で、細部にまで磨き抜かれた、表情の豊かな演奏をおこなっている。

特に、第2楽章の柔らかな、そして、あたたかみのある表情は比類がない。

ワルターならではの、やさしさと愛と歌にみちあふれた名演で、最晩年の録音とは信じられないほどの生気が感じられるのが素晴らしい。

これはまったくワルターのセレナードといってよいだろう。素晴らしい美しさだ。

「フリーメーソンの葬送音楽」もモーツァルトの真髄をついた素晴らしい演奏で、ここにはこの巨匠の持ち味が最高度に発揮されている。

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classicalmusic at 00:49コメント(2)トラックバック(0)モーツァルトワルター 

2008年05月18日


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SP時代《聖典》として一時代を画した全集。

私はあるときには、シュナーベルはもはや大時代な演奏に聴こえるに違いないと勝手に思いこんで、遠ざかっていたこともあったが、EMIの手で復刻されたシュナーベルは、やはり空前にして絶後のベートーヴェン弾きであったことを肯かせてくれる。

どんな曲を弾かせても、ベートーヴェンの再来ではないかと思わせるほどの説得性を持っている。

ベートーヴェンの音楽は言うまでもなく《高貴》な音楽であり、その高貴さをシュナーベルほど高貴に弾いたピアニストはいない。

一例を挙げれば、作品109の第3楽章の変奏で、限りない高みに近づき、それが崩れ落ちて諦観のうちに終わるのだが、その高揚と崩落のあとの虚無と無言の慟哭を描かせてはシュナーベルの右に出る者はいない。

現在シュナーベルに対する認識は薄くなっているが、グレン・グールドが唯一の指針としてシュナーベルの演奏を挙げているように、19世紀の伝統と20世紀の新しい息吹きとを融合させたピアノの巨匠として忘れることのできない演奏家である。

彼は1927年のベートーヴェン没後100年記念にソナタ全曲演奏会を開いて一大センセーションを巻き起こし、1932年から35年にかけて完成した全集レコードは、当時の演奏家、愛好家にとっては聖書的な役割を果たしていた。

その演奏は現在聴いても決して古びたものではなく、ベートーヴェンの巨大な音楽を見事に描き出した名演として心を打つ。

SP録音を感じさせない凄い響きに着目したい。

こうした、時代を超えた演奏が復刻されては、あとを行く者の影は薄いを言わざるを得ない。

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classicalmusic at 12:29コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェン 

2008年05月17日


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ベートーヴェンの書いた序曲11曲を全て収録した価値のあるディスクで、有名な序曲から滅多に演奏されない曲まで、カラヤンの棒さばきには一切手抜かりがない。

全11曲をカラヤンのように雄渾なタッチで細部まで入念に、しかも各曲の性格や持ち味を美しく確然と描ききった演奏はないだろう。

各曲とも綿密な設計のよくゆきとどいた演奏で、カラヤンの秀抜な演出が際立っており、どの曲を聴いてもそのドイツ的で重厚な演奏には圧倒されてしまう。

「コリオラン」はじっくりと腰をすえて盛り上げているし、雄渾で火を発するような「フィデリオ」、堂々たる構えの「献堂式」などは特に見事な出来ばえだ。

「フィデリオ」のために作曲された4つの序曲はともに力のこもった傑作となっている。

ことに逞しく力強い「レオノーレ」第3番でのベルリン・フィルの各パートの卓越したうまさは聴きもので、全体の合奏力も完璧である。

他の曲もいかにもカラヤンらしい腕の冴えで聴かせる。

1960年代後半のカラヤンならではのスケールと充実ぶりで、ベルリン・フィルの手厚い表現力が演奏をいっそう聴き応えのあるものにしている。

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classicalmusic at 14:17コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェンカラヤン 

2008年05月16日


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ランパル(Fl)、スターン(Vn)、アッカルド(Va)、ロストロポーヴィチ(Vc)という豪華な顔合わせの話題盤だった。ランパル4度目の全曲録音。

これほど超豪華メンバーによるモーツァルトの室内楽というのも珍しい。だいたい、名人級が揃うと、おのおのの個性が強く表に出すぎて、室内楽の演奏として失敗することが多いが、ここでは各人がその個性を殺し合うような心配はまったくない。

全体的にニュアンスがきわめて豊かで、同一のメロディーに対しての4人のアーティキュレーションもよく揃っている。

しかもそこには、4人が集まって音楽をするという楽しさもあふれていて、聴いていると至福の楽興の時が訪れる。

ランパルのフルートは相変わらず絢爛たるもので、音色、技巧ともに申し分なく、ところによっていい意味での遊びのゆとりもみせていて、微笑ましさを感じるし、スターンのヴァイオリンもよくうたっている。

どの曲もきわめて流麗だが、そこには起伏感があり、ふし目もある。

全体にしっかりと構成された陰影の彫りの深い名演だ。

その優雅な旋律を聴いていると、なぜかしらリッチな気分になってくるから不思議だ。休日のブレックファーストにお薦めしたい。

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classicalmusic at 14:41コメント(0)トラックバック(0)モーツァルトスターン 

2008年05月15日


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アルバン・ベルクSQのレパートリーはドイツ・オーストリアの作品が中心で、フランスものはこれが初めてだった。

ベートーヴェンとか新ウィーン楽派とかを聴いたあとの録音だったので、興味をそそられた反面、どこかミス・マッチのような感じを抱いてディスクをセットした記憶がある。

でもそれはこちらの的外れな偏見だった。あいかわらず雄弁な語り口だが、ドイツ系の作品演奏のときとはまた違った、粋な面をも見せる好演。

彼らのユニヴァーサルな適応力を感じさせる演奏だった。

全体にきびきびとした明快な演奏である。アンサンブルは精緻で、バランスもよく、その艶やかな音色には魅了される。

構成的にもがっしりとしていて表情も豊かだ。

どちらかといえばラヴェル寄りの解釈だが、ドビュッシーもいつもながらの磨き抜かれた技術と感覚、それに強靭なリズムで実に精密に演奏する。

その上で、メカニックな冷たさの一歩手前で踏みとどまる好演。

ラヴェルは理想的な出来映えで、曲のすみずみまでシャープに捉え、ラヴェルの色彩と幻想を伴った音楽作りをあますところなく表現する。

細部まで精密に造型しつくされた演奏は、この作品の解釈に新しい領域を拓いた画期的なものである。

とりわけ第3楽章の幻想と、弱音の扱いは特筆に値する。そのきわめて幻想的で、典雅な響きはたいへん美しい。

ここには、ラヴェルのもつ音楽特性が十二分に生かされている。

性格的にはかなり異なる作品だが、繊細な詩と幻想的な美しさにあふれたこの2曲は、近代フランスの室内音楽史に燦然と輝く逸品となっている。

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classicalmusic at 08:57コメント(0)トラックバック(0)アルバン・ベルクSQラヴェル 

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全曲ともアシュケナージの唯一の録音である。

アシュケナージのみずみずしい、澄みきったタッチが魅力的な、詩情あふれるプロコフィエフだ。

極めて力強く、それでいて打楽器的用法の部分でさえ少しも美感を失うことがない。

リズムは閃きに満ち、洒落っ気も豊かだ。

特筆すべきはプレヴィンの指揮で、どこもかしこもセンス満点。ほとんどオーケストラの出す音と思えないようなニュアンス豊かな響きには、ただ脱帽するほかないだろう。

第3番は特に傑出しており、この曲のロシア的情感と、プロコフィエフ固有の抒情性とを、あますところなく表出した演奏である。

プロコフィエフのピアノ曲は、ともすると技巧的に華やかな効果を狙ったものが多いが、アシュケナージは、抑えるべきところはぐっと抑え、温かい感触をもった演奏をおこなっている。

ロシア物を得意とするプレヴィンの棒もあざやかだ。

第4番ではアシュケナージは、きわめてダイナミックに、かつ詩情豊かに弾きあげていて、すばらしい。

プレヴィンの指揮も特筆すべきうまさだ。

第5番ではアシュケナージは、この作品の変化にとんだ曲想をあざやかに弾きわけており、ことに、抒情的な表現の美しさは、アシュケナージならではのものだ。

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classicalmusic at 06:41コメント(0)トラックバック(0)アシュケナージプレヴィン 

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F=ディースカウはごく初期からブラームスを繰り返し録音しており、エンゲル、デムス、ムーア、バレンボイム、そしてリヒテルと、多くのピアニストとアルバムを録音していた。

また1970〜73年にかけてはムーア、サヴァリッシュ、バレンボイムとEMIに全集を録音、次いで1972〜81年にはバレンボイムとDGのブラームス全集のための録音を行っていた。

このディスクは1958年、モーツァルテウム、ザルツブルグにおけるライヴ録音で、18曲収録されており、ほんの数曲聴いただけでも、この人の精神的な燃焼度の凄さに圧倒される。

F=ディースカウのブラームスは、思念の奥深い所から誰の耳にも優しく、また烈しいメッセージを届けてくれる。

言葉への傾斜を強めていた彼だけに、多分にシューマネスクなブラームスだが、そこから"内に向けられた"ロマン性"を解放し、情感の襞の中から、ブラームスをつかみ出してくるのだ。

F=ディースカウは、最晩年のブラームスの境地がしみじみと語られた「4つの厳粛な歌」を劇的求心力の強い、彫りの深い歌唱で展開している。

また、作品32から4曲が歌われているが、内容のいっぱいつまったこれらの名歌曲を、ステージにちりばめながら素晴らしいブラームス・アーベントを組み立てている。

ともすると晦渋の色濃いブラームスの歌曲を、聴き手がどうしたら楽しんでくれるかという、彼の優しい心がそのまま伝わってくるような1枚だ。

ムーアのピアノも配慮がいきとどき、しなやかに和している。

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classicalmusic at 01:10コメント(0)トラックバック(0)ブラームスF=ディースカウ 

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F=ディースカウとムーアのによる1961年、モーツァルテウム、ザルツブルグにおけるライヴ録音。

声とピアノが、まさに対等の立場で競い合うようなスリリングな演奏だ。

曲の細分化に関してF=ディースカウの右に出る歌手はいない。ディクションの細やかなニュアンスが最大に力を発揮して、ヴォルフの変幻自在な歌の命を燃焼させている。

F=ディースカウほどヴォルフを楽しませてくれる歌手はいない。

言葉のもつイメージの多彩な働きが、素晴らしい力をもって、ドイツ語を解さない聴き手をも無条件に呪縛してしまうのだ。

それにムーアのピアノによる、ヴォルフ・エネルギーの凄まじいまでの噴出が相乗作用し、理想的なメーリケ歌曲集を生んでいる。

F=ディースカウというと、リヒテルやバレンボイムと組んだ演奏も名演だったが、それらの演奏よりも、さらに情熱を外に向けて発散させているような歌唱で光っている。

F=ディースカウは絶妙な語り口と心理的な表現で、時には数分の短い歌にオペラの1幕を思わせるようなドラマを織り込んで歌っている。

「癒えたものが希望に寄する歌」での深い表情、「明け方に」での激情、「出会い」「あばよ」での達者さ、「いましめ」での芝居気なども驚くほど。

プログラミングの周到さも名歌手ならではだ。

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classicalmusic at 00:06コメント(0)トラックバック(0)F=ディースカウ 

2008年05月14日


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アバドのオペラ第2作だったが、円熟と愉悦の表現が、早くもこの演奏の中に実現されている。

全曲を2枚に収めた徳用盤で、演奏も、ベルカンサのロジーナをはじめ、プライのフィガロ、アルヴァの伯爵ら、当時のベストメンバーを網羅した歌の見事さも絶賛に価する。特にダーラのバルトロはずば抜けている。

またベルカンサのロジーナは「彼女はこの役を歌うために生まれてきたのではないか」とさえ思われるほどの適役だけあって、その上品でしかもみずみずしい表情にあふれた演唱は実に魅力的である。

ここには、彼女の持ち味が十全に発揮されている。

またプライのフィガロも、この人らしく明るく颯爽としていてすばらしく、特に、第1幕の有名な「わたしは町のなんでも屋」の達者な歌唱は光っているし、アルヴァの伯爵も秀抜だ。

アバドの指揮もうまい。アバドは才気に走らず、自発的で精妙にロッシーニを描いていく。やや速めのテンポできびきびと運びながら、歌わせるべき旋律は存分に歌わせているあたり、やはりイタリアの指揮者ならではの味である。

このディスクはロッシーニの音楽の美しさ、楽しさを満喫することができる。

*ゼッダによるクリティカル版使用。

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classicalmusic at 06:33コメント(0)トラックバック(0)ロッシーニアバド 

2008年05月13日


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フェリアー(1912-1953)がEMIに残したSP録音から復刻CD化したもの。

「大地の歌」とともに、フェリアーの不朽の名唱として知られているディスクである。

ワルターとウィーン・フィルという最も理想的な背景を得て、不滅の名歌手フェリアーの深々とした歌がよみがえる。

特に「亡き児をしのぶ歌」の女声盤は、いまだにこの歌唱をしのぐ演奏は出ていない。

モノーラル録音なので音質は決してよいとはいえないが、この作品にただよう深々とした哀感を、これほど心をこめてじっくり歌いあげた歌唱というのもめったにない。

フェリアーは、ワルターが発掘し、育て上げた名歌手だったが、この録音を行ってから4年後の1953年、ガンのため惜しくもフェリアーは42歳という短い生涯を閉じる。

それは、まさしく彗星のような命で、いうなれば、これは死を間近にひかえた彼女の《運命の歌》でもあったのである。

グルックの「オルフェオとエウリディーチェ」からの4曲も彼女ならではのものだし、パーセルやヘンデルも最も得意とするレパートリーだ。

これらの歌唱には、今の歌手たちには聴くことのできない深い味わいがある。

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classicalmusic at 19:16コメント(2)トラックバック(2)ワルターマーラー 

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きわめて崇高な気分にみちあふれた、スケールの大きな演奏で、ヘンデルの音楽のたくましく壮麗な面を、みごとに表出した名演である。

バッハの作品演奏の大家として知られていた人だけに、ヘンデルを演奏しても、構築のしっかりした音楽をつくりあげているが、手兵ミュンヘン・バッハ管を指揮したものよりも、このロンドン・フィル盤は、明るくモダンなのが特徴だ。

この英語による「メサイア」では、英語のもっている機能と、ヘンデルの中にあるイタリア様式とが、リヒターの中に色々渦巻いているようで、中途半端なものを残した部分も少なくない。

しかし流動的なフレーズのつくり方は、ヘンデルの世界だ。

リヒターの内なる心の広がり、許容しようとするヘンデル的世界へのアプローチに関して、やはり感動的な演奏だ。

純正なヘンデルかという問題はさておき、この緊張感の高いヘンデルはどうだろう。

パストラールの1ページをとってみても、これほど全精神を一点に集中した演奏はリヒターの旧盤を除けば空前絶後だろう。

リヒターはあくまでも彼の信じる音楽へと、ヘンデルを近づけてしまう。

こうした峻厳なヘンデルにも一度は耳を傾ける必要があるのではないだろうか。

独唱、合唱、オーケストラともに、この曲にゆかりの深いイギリスのメンバーだけあって、たいへんな熱演である。

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classicalmusic at 01:38コメント(0)トラックバック(1)ヘンデルリヒター 

2008年05月12日


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2008/4/17 ヘラクレスザール、ミュンヘン
SEMYON BYCHKOV, Leitung (昨日はプログラムにDiligentと書いてあったのだが・・・)
EMANUEL AX, Klavier (こちらも表記が違う。どちらも古風な言い方のような気が。)
SYMPHONIEORCHESTER DES BAYERISCHEN RUNDFUNKS

フレデリック・ショパン  ピアノ協奏曲第2番 OP.21
フレデリック・ショパン  ノクターン第13番(アンコール)
---------------------------------------------------------
セルゲイ・ラフマニノフ  交響曲第2番 OP.27

ショパンの2番は恥ずかしながらあまり熱中して聞いたことが無かったが、こんなに素晴らしい曲であったとは。アックスは特にエスプリが効いている訳では無いのだが、曲の良さを丁寧に伝える弾きぶりで十分満足させられる出来、来シーズンも招かれているようだが、ウイーンのブフビンダーといい、日本でスターで無い人がある都市では大スターだったりするから面白い。
昨日とは違い体した期待をして望んだ演奏会では無いのだが、こういう素晴らしいものに出会えるから音楽旅行はやめられない。
ヘラクレスザールは、シュターツオパーも入る旧王宮に一部ある演奏会場だが、実に豊かで温かい音を育むホールであり、バイエルン放送響の品格溢れる繊細な表現は、この音響環境でこそ生まれるものと確信した。先に小さなセヴェランス・ホールでブーレーズ/クリーブランド管弦楽団で新ウイーン学派の演奏会に訪れた際も、なるほどクリーブランドのヨーロッパ風の音楽性溢れる演奏はこのホールの賜と溜飲の下る思いをしたのを思い出す。
観客も音楽を聴きに来ているという思いが強く感じられ、楽章間に咳一つしないのには驚いた。温かく熱心ではあるが、決して粗暴ではない拍手が続く中、当たり前のように、ノクターンの中でも地味な13番がアンコールで奏され、豊かな思いで前半が終了した。
ラフマニノフは正に自家薬籠中のもの。細部までビシュコフの意図するデュナーミクが行き届き、クライマックスの描き方も単に情熱に流れず、抑えるところは抑え、聞かせるところは聞かせる充実した表現で、内声の扱いも実に丁寧で素晴らしい。これを超えられるのはザンデルリンクのロマンだけか。気が付くようなカットは無く、演奏時間は1時間ぴったりであった。ビシュコフはこれまで軽視して聞いてこなかったが、この旅後半での思いがけない再会時もそうだったが、実に入念な音楽作りで指揮能力も高い。これからはもう少し聞く機会を増やしてみようと思う。

この日の昼は、私が欧州一だと感じている鮨屋TOSHIにて43ユーロと少し高いが、十分満足できるTOKUSENを頂く。夕方小腹がすいたところで、Franziskanerともう一つミュンヘンを代表するビールとして有名なAugustinerが美味しいAugustiner GrossgaststatteでEdelstoffを飲む。ここにもWeisbiarはあるが、やはり晩飯を食べたZum FranziskanerでのHefeweiss Biarが最高。定番の酢漬けソーセージサラダ、ブルスト・ザラ―トを食らい大満足の夜であった。

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classicalmusic at 09:58コメント(0)トラックバック(0)筆者のこと 

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何時もは旅行記などを書くマメなタイプの人間ではないのだが、折角気合の入った音楽旅行を毎年やっているのに、コンサート記録帳を見ないと思い出せない状態に陥っているのに気付き、今回は自分の記憶を深める意味合いも込めて、感じたことを書き綴ることにした。

ミュンヘン

4月16日から約20日間の旅程の第一番目の年はミュンヘン。昨年はバイエルン・シュターツオパーでケント・ナガノ指揮の「サロメ」と「不思議の国のアリス」初演を観劇し、一時はドイツ・ワースト劇場との評に甘んじていた名門の復活・隆盛に胸躍ったものであったが、今年はオペラは無し、宿もシュターツオパーの裏のフィア・ヤーレスツァイテンでは無く、ガスタイクセンター裏のヒルトン・シティである。

2008/4/16 ガスタイク・フィルハーモニー、ミュンヘン
CHRISTIAN THIELEMANN, Dirigent
RENEE FLEMING, Sopran
MUNCHENER PHILHARMONIKER

ハンス・プフィッツナー   劇付随音楽「ハイルブロンのケートヘン」序曲 OP.17
リヒャルト・シュトラウス  4つの最後の歌 OP.AW150
---------------------------------------------------------------------------
リヒャルト・シュトラウス  「エジプトのヘレナ」第2幕から
アルノルト・シェーンベルク 浄夜 OP.4

ルネ・フレミングは声は小さいが、繊細な声の変化や豊かな表現力で聞かせるタイプで何度か聞いたことがある。今回は4つの最後の歌、しかもティーレマンの指揮ということで期待に胸膨らませて行ったのだが、残念ながら満足感は得られなかった。彼女がいつも以上に繊細な表情付けをしようと抑えた声量で歌うのに加え、ガスタイクの貧弱な音響が手伝って全く音楽が伝わってこない。しかも2列目の席であったのが更に悪かった。以前後方の席でマーラーを聞いた時には十分聞こえたが、このホールは曲を考えて席を取らなくてはいけないようだ。ただ、エジプトのヘレナではリラックスして十分聞かせてくれた。声は出るということだ。
4つの最後の歌に関しては、折角の耽美的な場面が、殆ど憧憬を得られぬまま、何とかフレミングの表情を聞き取ろうとするところで終わってしまった。
ティーレマンは良い流れの時があったかと思うと、つまらなく音楽が停滞してしまう場面があるし、やはり指揮の下手さが気になる。齋藤秀雄のしゃくり上げに似た、膠着した縦の動きが頻発し、表現に関する動きが全く無い上にリズムが死んでいる。浄夜は殆どの場面はよかったが、やはりたまにそういう場面に出くわす。後半アダージョのチェロで始まる主題の部分は、オーケストラに助けられた。やはりドイツオケのチェロは心が篭っている。これが無かったら欲求不満のまま帰ることころであった。
夜はホテルのレストランでシーズンのSpargel(=白アスパラガス)を、愛飲のFranziskanerのWeisbiarで頂く。小サイズでも大きなアスパラ5本であったから、ドイツではやはり量に気を付けなくてはいけない。

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classicalmusic at 09:53コメント(0)トラックバック(0)筆者のこと 

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まずは旅程から。

4月16日 7:40タクシー 品川8:14-横須賀線-東京8:22 8:30-(Nex11)-9:29第1ターミナル
Apr.16(Wed)NRT10:55-(OS52)-15:55VIE16:45-(OS115)-17:45MUC Hilton City
20時ミュンヘン ミュンヘン・フィル 浄夜、ヘンツェ、4つの最後の歌

4月17日 20時ミュンヘン バイエルン放送響 ショパン、ラフマニノフ2 Hilton City

4月18日 MUC11:25-(LH1116)-LRJ12:30 列車15分
20時 ゲヴァントハウス リゲティ、マーラー4 Renaissance

4月19日 Apr,19(Sat)LEJ10:40-(AF1617)-12:20CDG Holiday Inn Bastille
20時パリ・バスティーユ ヴォツェック

4月20日 10:55 Gare du Nord-12:17 Brussels Midi ベルギー王立美術館
15時-17:30ブラッセル・モネ メデー/ルセ
19:30 Palais des Beaux-Arts La Fida Ninfa/スピノージ Scandic

4月21日 20時Palais des Beaux-Arts ファウスト/アーノンクール     Scandic

4月22日 8:27 Centraal-9:03 Gent, St.Baaf, MSK Gent, 11:24 Gent-12:00 Centraal
13:16 Central-13:34Aeroport BRU15:00-(SN2585)-16:25TXL  Adlon
7:40タクシー 品川8:14-横須賀線-東京8:22 8:30-(Nex11)-9:29第1ターミナル
Apr.22(Tue)NRT10:55-(OS52)-15:55VIE16:30-(OS7265)-17:40TXL 
20時ベルリン・フィルハーモニー ラトル・BPO

4月23日 19時ベルリン・シュターツオパー ペレアスとメリザンド Adlon

4月24日 Apr.24(Thu) TXL11:55-( AP4215)-13:30 LIN
15:00 Santa Maria delle Gracie  Bulgari
20時ミラノ・スカラ マクベス

4月25日 20:00 Aimo e Nadia Bulgari

4月26日 9:05Milano Centrale-IC611-12:09Venezia Santa Lucia Locanda Vivardi
13:30 Osteria alle Testiere 15:00 SMd Miracoli, Ss. Giovanni e Paolo, Scuola di S.Girogio
19時ヴェニス・フェニーチェ セビリアの理髪師
22時夕食 Antico Martini

4月27日 16:00-17:00 Peggy Guggenheim 17:30-19:15 Galleria dell’Accademia
19:30 Ai Gondolieri Locanda Vivardi

4月28日 12:43 Venezia-ES9473-15:22 Firenze SMN
15:57 Firenze SMN-17:14 Pisa S. Rossore 18:20 ピサの斜塔
19:07 Pisa S. Rossore-20:33 Firenze SMN 21時夕食 Baglioni

4月29日 ボローニャ ノルマ Baglioni

4月30日 サン・マルコ美術館(8:30-13:50) Baglioni
16:30 Galleria degli Uffizi
20時フィレンツェ カルメン

5月1日  Mar.1(Thu)FLR07:05-(OS538)-09:00VIE Radisson SAS
17:30-22:30 ジークフリート

5月2日 19:30-22:15 死の都 Radisson SAS

5月3日 ウイーン 15:30ヤンソンス、19:00-23:15フィガロ Radisson SAS

5月4日 May.04(Sun)VIE14:05-(OS51)-08:15+1NRT 車あり 

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classicalmusic at 09:50コメント(0)トラックバック(0)筆者のこと 

2008年05月11日


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コリン・デイヴィスの初レパートリーとなる《わが祖国》は、デイヴィス渾身の指揮ぶりで、手兵ロンドン交響楽団を率いての、かなり熱い、情念渦巻く堂々の名演となっている。

デイヴィスの《わが祖国》への共感がこの演奏からは感じられ、聴き込むたびに新たな感動が得られる、味わい深い演奏である。

少し速めのテンポで、強奏は豪胆に、弱音は繊細に聴かせる。

《わが祖国》をここまで一息に聴かせる演奏は稀だと思う。

デイヴィスの年齢に関係なく新たなレパートリーに取り組む姿勢、意欲が現れた演奏だ。脱帽。

1曲目の『ヴィシェフラド』のなんと勇壮なこと! プラハを守る城は、フォルティッシモで地平線に堂々とそびえたっている。

そして起伏に富み、激しくうねる『モルダウ』。

『ターボル』や『ブラニーク』では期待通りの質実剛健な音楽を堪能できるし、また『シャールカ』のクライマックスの金管を思いっきりテンポを落として重々しい効果を挙げていると思えば、『ボヘミアの森と草原より』では中盤から速めのテンポ設定でドラマティックに展開、各曲の魅力を存分に引き出している。

名手揃いのロンドン響が、デイヴィスと息もぴったり、スメタナの愛した故郷の母なる自然の偉大さを、時に優しく時に激しく見事に歌い上げている。

チェコ・フィルをはじめとしたチェコの指揮者、チェコの団体の演奏は、確かに彼らの中に染み付いた節回しとリズム感で、これ以外にどうしようもないだろうという説得力を与えてくれる。

そういった説得力をデイヴィスに求めることはお門違いだ。

この演奏に腹を立てる人も、残念に思う人もいるだろう。しかし、デイヴィスが本気でスコアから鳴らそうとした音が、しっかりと生まれてきていることをこのCDからは聴くことができる。

デイヴィスは音楽の根源的な楽しさについて気づかせてくれる数少ない指揮者だと改めて思った。

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classicalmusic at 21:53コメント(0)トラックバック(0)スメタナデイヴィス 

2008年05月10日


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アシュケナージとパールマンに初めてハレルが加わっての同トリオのデビュー盤だった。

個性豊かな3人のプレーヤーのぶつかり合いが、聴きものである。

アシュケナージが全体をリードしているが、3人の練達したアンサンブルは実に見事だ。

パールマンのヴァイオリンも表情が豊かで、ハレルのチェロも要所要所をぴしりと押さえている。

小気味のいいアンサンブルだ。3人のテクニックがいいので、それぞれがときには大胆に独奏者風にふくまっていても、それが逆に興をそえる結果になる。

その場合でもアンサンブルの規律はもちろん守られている。

このような態度が最高度に発揮されているのは第2楽章で、この楽章がこの録音のポイントになっている。

3人はこの第2楽章の変奏曲で、それぞれの変奏の性格をよく生かし、全体的には悲しみを底流に置き、見事な統一感を保つ。

特に、第8変奏の雄渾な演奏と第9変奏の情緒豊かな表現は素晴らしい。

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classicalmusic at 17:19コメント(0)トラックバック(0)チャイコフスキー 

2008年05月08日


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モントゥーがシカゴ交響楽団を指揮してのフランクの交響曲の録音はその演奏の最高のものとされているひとつだが、彼の着実でしかも音楽を細かくとらえた指揮はフランクの感覚と精神とを自然な統一をもってみごとに再現している。

シカゴ交響楽団の演奏技術はよく、また明瞭で分離のよい録音も、歴史的とはいい切ってしまえない魅力をもっている。

のびのびとして気持ちよく聴けるフランクである。

ボストン交響楽団との「ペトルーシュカ」は名演として尊ばれていたパリ音楽院管弦楽団を振った旧盤に劣らぬ立派な演奏である。

演奏のスタイルも旧盤と同じで、テンポも発想も変わりはない。

オーケストラは旧盤より、このボストン交響楽団との方がいっそう緊密で音色も鮮やかである。

全体におっとりとしているところは、いかにもモントゥーらしく、演出臭のある演奏を聴きつけていると物足りないかもしれないが、譜面をみながら聴くと、その正確さに驚く。

*付記、モントゥー<ペトルーシュカ>初演(1911年、パリ・シャトレー劇場)

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classicalmusic at 21:24コメント(0)トラックバック(0)モントゥーフランク 

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「巨匠」と呼ばれる指揮者は多かれ少なかれ「老い」を感じさせるものだが、モントゥーにはその気配が全くなかった。

なんとのどかで雰囲気が豊かなブラームスだろうか。

ブラームスが夏の休暇を静かに送ったペルチャッハの高原の爽やかな空気が漂ってくるようである。

モントゥーはこの交響曲がブラームスの田園交響曲と呼ばれるその情趣に浸って指揮している。

少しもいかめしくなく、柔らかなリズムと温かな旋律の表情からは老熟したモントゥーの人間性がじかに感じられる。

またここで聴かれるブラームスはなんと柔らかい表情に終始していることだろう。

例えば第1楽章第2主題のヴィオラとチェロが歌い出す旋律は、しなやかなリズム感に裏打ちされたスタッカート、レガートの意味をこの上なく恍惚と表現しつくしている。

またあらゆる箇所で、声部がくっきりとした輪郭を描き、截然と分離しながらも、音楽的には精妙に融けあっているのも見事。

モントゥーの演奏は常に構成がしっかりしていてテンポは弛緩することなく、リズムの歯切れが良いこともあって常に若々しく、爽やかであった。

ここにブラームス表現の一つの極致を見出せる。

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classicalmusic at 09:17コメント(0)トラックバック(0)ブラームスモントゥー 

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カラヤンが残した唯一のニールセン。

第4番の構成美を一大伽藍のように仕上げた名演である。

カラヤンはベルリン・フィルを駆使して、この交響曲のシンフォニックな魅力を豊かなスケール感ともって描き出している。

作品を手中に収めた演奏で、ディティールのすみずみまで明晰をきわめている。

しかもカラヤンはニールセンの構築性に光を当て、強いコントラストと鋭いアクセントの明暗で曲の輪郭を鮮明に浮かび上がらせている。

加えてベルリン・フィルの技術は舌を巻くばかりにすごい。このような明快さ、感情の深さ、彫りの深い立体感はかつてどの演奏からも聴けなかった。

オーケストラの格段の巧さが光るし、響きも重厚で輝かしく、第3楽章など唖然とするような美しさに魅せられる。

ニールセンの交響曲を聴くというよりは、ベルリン・フィルのオーケストラとしての桁外れの表現力を味わうためにあるような録音だが、この作品からこれほど悲劇的で壮大なスケールを引き出した演奏は例を見ないだけに聴き応えはある。

カラヤンのおびただしい録音の中でも屈指の傑作。

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classicalmusic at 06:29コメント(0)トラックバック(0)カラヤン 

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リストの管弦楽曲集を収録したディスクで、カップリングもよい。

リストの演奏にかけては定評のあったカラヤンだけに、演奏は8曲とも極上で、その力量のほどがはっきり示された名盤。

どの曲も作品の持ち味を余すところなく表出した巧緻を極めた表現で、カラヤンの棒の魔術に完全に魅了されてしまう。

カラヤンの指揮する交響詩や舞台の付随音楽などは、抜群のうまさで他の追随を許さない。

ここに収められている交響詩3曲も、そうした彼の実力が最高度に発揮された、文句のつけようがない見事な演奏だ。

「前奏曲」は彼独特の綿密な設計と巧妙な演出に魅了される。カラヤンとしては比較的淡白な表現で、まるでエッチング画でもみるかのような精巧な音楽を作り上げている。静と動の対比のつけ方は、まことに見事なもので、ことに「戦いと勝利」の部分は、巨人の歩みを思わせるように、力強く、たくましい。

また、英雄マゼッパの生涯をドラマティックに描き上げた「マゼッパ」の劇的な表現にも強くひかれる。

メリハリを効かせながら劇的にまとめた「タッソー、悲劇と勝利」も他の2曲に劣らない語り口のうまい名演で、リスト独特の色彩的なオーケストレーションを万全に表出している。

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classicalmusic at 00:20コメント(0)トラックバック(0)カラヤンリスト 

2008年05月07日


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「ハンガリー舞曲全集」はブラームス自身によるピアノ連弾からの編曲のほか、計7人の手になるオーケストレーションによって全曲を演奏している。

アバドはこれらのスタイルの差をおそらく意識的に狭めて全体の統一を図っている。

全体にすこぶるシンフォニックに、しっかりと表現した演奏で、その堂々とした風格は、ブラームスの交響曲の一部分を思わせるかのようだ。

比較的誇張のないテンポ、巧妙なオーケストラの扱いと音楽面での一貫したアプローチ、ウィーン・フィルの艶やかな響きと生気にみちた表現が全21曲に統一された美しさを与えている。

セレナードには、いわば室内楽的な面と、やがて来るべきオーケストラ作品への習熟を思わせるような面の双方が備わっている。

第1番でのアバドは巧みな語り口で、そうした作品の位置づけを明らかにしながら、その冒頭楽章に示された牧歌的な雰囲気の描写などにすぐれた表現をみせる。

ベルリン・フィルのうまさも驚くべきもので、その合奏能力の卓抜さには圧倒される。

アバド若き日のセレナード第2番はよい出来ではない。表現があまりにも明るくすっきりとしすぎていて、ブラームスらしい渋さと重厚さに欠けているからである。第2,4楽章は特にそうで、どうやら彼のイタリア人気質が裏目に出てしまったようだ。

演奏はむしろ「大学祝典序曲」の方がよく、これは祝典的な華やいだ気分にあふれた好演である。

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classicalmusic at 23:24コメント(0)トラックバック(0)ブラームスアバド 

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以前、新婚旅行でスペインに行った友人がアランフェスで撮った写真を送ってくれた。アランフェスは、スペインの首都マドリードから南に約50キロほど離れたところにある王家の離宮のことで、その壮麗な建物や美しい庭園で知られている。

3歳の時失明したロドリーゴは、この離宮を訪れた時、栄華を誇っていた当時のスペインを思い浮かべながら、アランフェス協奏曲を作曲したのだった。

イエペスはこの曲を有名にした人だけあって、実によく練れた解釈で、作品の民族的な雰囲気を豊かに表出している。

六弦ギターを用いた、アルヘンタと共演した1回目の録音もよかったが、この4回目の録音は、十弦ギターを開発したイエペスが、完全に自分の表現を確立したものといってよい。

イエペスの演奏は音にも表情にも柔らかなニュアンスを濃く漂わせて、細かい表情の変化を魅力的にしている。

聴きどころの第2楽章でも、主題をひきついでからも繊細な情感を反映し、表情に潤いを持たせて演奏している。

この人ならではの音づくりのうまさも徹底しており、隅々にまですこぶる繊細である。

「幻想曲」の方も傑出した演奏だ。イエペスの技巧に目をみはらされる。彼の芸格の高さを示したもので、オケもすぐれている。

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classicalmusic at 21:11コメント(0)トラックバック(0) 

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「温故知新」というライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の伝統を地で行ったコンヴィチュニーという名指揮者を偲ぶために、現在わが国で入手可能なディスクは、残念ながらごく少数である。

この深酒のため働き盛りで死去した指揮者について大書しておきたいのは、彼がライプツィヒでブルックナーの交響曲を積極的に採り上げて、その際に当時はまだ評価が決定していなかった「原典版」をもっぱら使用したことである。

この「ブル5」は、ゲヴァントハウス固有の響きと、コンヴィチュニーの強固な音楽性とがくっきりと出た、この組み合わせならではの豪快な演奏。

コンヴィチュニーの音楽観は蒼古雄勁、表現は豪快で、現代神経症の片鱗もみえぬ骨っぷしの強い演奏だが、オーケストラのバランスのとり方、音力の加減など細部の彫琢には配慮がうかがえる。

弦の音がやや硬質だが、独特の響きはゲヴァントハウスそのもので、全体の表現の強さに大きく作用している。

最も感動的なのは、全曲を貫く強い緊張の持続と、その緊張の質がひたすら音楽の生成、発展、完結のひと筋道を走り続ける質実で剛健なものであることだ。

また、現代の管弦楽技法のさまざまな装いがないことに、逆に驚異的な新鮮さを覚える。

古武士的なブルックナー演奏。

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classicalmusic at 18:30コメント(2)トラックバック(0)ブルックナー 

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グールドが、1957年に、ヨーロッパへ演奏旅行に行った時の貴重なライヴ録音。

グールドは、強い集中力で、この作品の精神を、みごとに表出している。

グールドのピアノは充実した響きで表情に輝きを与え、左手の細かな表情も魅力的で、それが豊かなエネルギーと結びついて闊達な演奏を展開している。

第2楽章の純粋でしかも透徹した演奏には大家の風格がある。

まだ40代だったカラヤンの、壮麗な指揮もベートーヴェンの本質に迫るものだ。


グールドの死に際してカラヤンは次のように語っている。

「グレン・グールドは、なんというピアニスト、なんという音楽家だったのでしょう。……彼が公開演奏から身を引いたこと、彼自身のスタジオを持たざるを得なかったこと、自分自身の望むところを正確にそのまま音楽にしたこと、私はそうしたことをいつも理解してきました。彼ほどのピアニストは、こんなふうにしか生き延びることができなかったのです」


シベリウスはカラヤンらしい実に精妙な演奏で、その綿密な設計力と豊かな表現力には感嘆の他はない。この作品のもつ北欧的なたくましさを太い筆致で、雄渾に描いたもので、カラヤン独特の旋律のうたわせ方のうまさは特筆にあたいする。

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classicalmusic at 14:14コメント(2)トラックバック(0)グールドカラヤン 

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1970年の録音で、1972年のADFディスク大賞を得た名盤。

主にリムスキー=コルサコフによる第2版(1908)によっており、第4幕第1場のみイッポリトフ=イヴァノフ版を使用している。

ムソルグスキーの傑作オペラであり、ボリスをめぐる年代史的な歴史劇の様々なページと情景が、この上なく豊麗な音と素晴らしい色彩と的確きわまりないタッチをもって次々と展開される。

カラヤンの演奏も、色彩豊かに描き上げた壮大な表現で、そのドラマティックな演出には圧倒されてしまう。

歌手は端役の隅々にいたるまで万全で、総じて声の美しい歌手が揃っているが、なかでも当時上り調子だったボリスのギャウロフが貫禄十分、心理的な葛藤を万全にうたいあげていて、傑出している。

ソフィア放送合唱団を主体とするコーラスの力強い迫力も特筆に値する。

カラヤンは、例によってオーケストラや合唱を豊麗に鳴り響かせる。

しかしそれだけにとどまらず、ここでは内から外に向かってあふれ出ようとする《力》を重視したようであり、それはとりわけ合唱、すなわち民衆の凄まじいエネルギーとなって噴出する。

聴き手を圧倒しないではおかない重厚な迫力、それが常のカラヤンとはひと味違っている。

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classicalmusic at 10:59コメント(0)トラックバック(0)カラヤンムソルグスキー 

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ストコフスキーお得意のバッハ編曲物。どの曲もバッハの音楽の精神をしっかりつかんだ立派なアレンジだ。

ストコフスキーのバッハのトランスクリプションは、SP時代からの呼び物だっただけに多くの録音があるが、このステレオ録音では鮮やかな色彩とスペクタキュラーな楽しみがある。

ストコフスキーの編曲物というと頭から俗悪なものと決めてかかる向きもあろうが、少なくともこのディスクに関しては違う。

ことにバッハの音楽に、ある種の抵抗を覚える人に、この作曲家の本質を知らせる意味で高い価値があろう。

演奏は、全体にストコフスキーの個性のにじみ出た、かなりユニークでややアクの強い表現だが、彼のバッハに対する尊敬の念が表れていて心を惹かれる。

清らかで崇高な「前奏曲変ホ短調BWV853」や深々とした表現の「トッカータとフーガ ニ短調BWV565」「パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582」など、聴く人の心を打つ実に感動的な演奏だ。

これを聴くと、バッハがぐっと身近なものになってくる。

このディスクは、バッハの音楽の楽しさを広く大衆に親しませようとした、ストコフスキーの偉大さを知るという意味でも貴重といえる。

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classicalmusic at 07:52コメント(0)トラックバック(0)バッハ 

2008年05月06日


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メンデルスゾーンが出色の演奏。

ムターの感受性にみちたニュアンス豊かな音色と弾き方、感情の起伏の大きいカデンツァ、強弱・緩急の変化が自在で極めてスケールの大きな演奏である。

カラヤンの指揮も壮大で厚みがある。

チャイコフスキーはザルツブルグ音楽祭におけるライヴ録音。

ムターは冒頭の導入旋律を感情の大きな起伏と強い集中力をもって弾いている。その後に第1主題を豊かな音としなやかなボウイングで提示し、彼女の強靭な意志を印象づける。

カラヤンのサポートも効果的だ。ムターを引き立てながら、弦の柔らかい響きを持続させ、リズムのアクセントも柔らかく、常にしなやかな流動感を保っている。

そのためにムターは思い切って自己の解釈を生かしている。


13歳のときにカラヤンに見出され、スター奏者への道を歩んだムターは、カラヤンのことを次のように語っている。

「彼はとても『ナイス』な先生で、伴奏者です。……権威的なところはまったくありませんでした。解釈に関しても決して押しつけることをせず、逆に作品に対する独自の視点をもつことができるよう、洞察力と熟練を身につけることの手助けをしてくれるのです」

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classicalmusic at 23:11コメント(0)トラックバック(0)カラヤンムター 

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ロシアの天才ピアニスト、キーシンとカラヤンの初顔合わせだった。

聴衆の歓声や拍手も入っており、ジルヴェスター・コンサートのライヴの要素も兼ねた録音となっている。

キーシンにとっては初のチャイコフスキーのピアノ協奏曲であるが、カラヤンはリヒテル(62年)、ワイセンベルク(70年)、ベルマン(75年)と録音していた。

カラヤンの作り出す豊かな響きとキーシンの確信に満ちた演奏が、少しの違和感もなく結び付いている。

第1楽章冒頭からテンポは遅い。

カラヤンはオケを豊かに響かせ、大きな広がりを生み出すが、表情は実に豊かだ。スケール雄大で輝きに満ち、充実感が立派。

キーシンはカラヤンとの共演に少しももの怖じせず、自分のペースで終始演奏している。

アーティキュレーションは明確で強い意志を反映しており、音楽に没入する真摯な姿勢は実に気持ちがよい。

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classicalmusic at 07:08コメント(0)トラックバック(0)カラヤンキーシン 

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「何もバッハまでカラヤンで聴くことないんじゃない?」という読者の声が聞こえてきそうである。しかし、管弦楽組曲第2番が始まった瞬間、カラヤンの魔術に心奪われるに違いない。まことに真摯でゴージャスな響きだ。

管弦楽組曲は全体に緩急の差を極端に付け、起伏を大きくとっているのが特徴で、編成は少ないがシンフォニックな色調が強い。

第2番はツェラーが大奮闘しているが、カラヤンの強烈な個性の中に埋没している。

第3番は序曲と「エア」が秀演で、序曲はグラーヴェとヴィヴァーチェの対比のつけ方が微妙だし、ゆっくりとしたテンポで旋律を存分に歌わせた「エア」の表情の美しさにも心を奪われる。


スマートで洗練されたカラヤン風の「ブランデンブルク」だ。弦の編成もかなり少なく、速めのテンポで柔らかくデリケートに進め、独奏楽器をあまり表面に浮き立たせないのも大きな特徴といえよう。

全6曲では第5番がいちばん上出来で、しっとりとした器楽合奏を土台にして、ソリストたちが品のよいニュアンスに富んだデリカシーを競い合っている。

第4番も洗練を極めた解釈。

第2番ではトランペットをフルートと同じ音量で弱く吹かせ、華やかではないが、繊細な感覚が独特だ。

第3番は柔らかい響きが印象的。スマートで洗練されたバッハであり、速めのテンポ、柔らかいダイナミックスでデリケートに進む。

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classicalmusic at 06:48コメント(0)トラックバック(0)カラヤンバッハ 

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カラヤンは新ウィーン楽派やバルトークあたりを除いてさほど20世紀音楽を録音していないので、彼が録音したストラヴィンスキーの《春の祭典》とかショスタコーヴィチの10番やプロコフィエフの5番そしてオネゲルの2・3番あたりは例外的な珍品に属するのかもしれない。

カラヤン唯一のオネゲルは、2曲とも実に鮮やかなアンサンブルで、音楽の輪郭が明快だ。

第2番は弦楽合奏の表現がとても多彩で、しかも劇的で彫りが深い。音楽をおもしろく、しかもわかりやすく聴かせる演奏といえる。

第3番「典礼風」ではカラヤンの読みが実に鋭く、抒情と劇性の配分とその音楽的な効果が見事に表現されている。終楽章が特に傑出した演奏だ。

プロコフィエフの第5番は彼の持つ乾いたモダニズムとは程遠い表現で、カラヤンの個性が歴然と浮かびあがっている。

「春の祭典」は精緻をきわめた演奏で、カラヤン一流の卓抜な構成力と豊かな表現力が光る。ことに終曲の「いけにえの踊り」の野性的でダイナミックな描き方は圧巻だ。

これらの性格を異にする作品の特色を的確につかみ、持ち味を十全に引き出しているあたり、カラヤンの面目躍如である。

すべてカラヤン最盛期の名演と評価したい。

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classicalmusic at 01:04コメント(0)トラックバック(1)カラヤンストラヴィンスキー 

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フランクはカラヤンのパリ管との最初の録音。

フランクの交響曲が名演だ。

カラヤンの持つドイツ的性格と南欧風感覚が共に示されており、そのため曲の折衷的性格が的確に示されている。

しかも比較的自我を抑えて作品に素直に共感しており、オーケストラの好演と相まって優れた演奏が生まれた。

第1楽章冒頭からゆっくりと重々しい。そして静寂な部分は非常に情緒を生かして、それを大きく盛り上げてゆく。まことに規模の大きいスタイルをとったシンフォニックな演奏である。

第2楽章も同様。

第3楽章もできるだけ低音の旋律を生かして重々しいリズムで進めている。きわめて情緒的な演奏である。

パリ管を指揮しているためか、カラヤンは清新の気が漲り、なめらかな旋律線と幅広いデュナーミク、細部に及ぶきめ細かな構成力も高く評価したい。

ドビュッシーはカラヤン色濃厚な演奏。弱音効果を徹底的に生かし、デリケートな官能を前面に押し出している。

「海」は盆栽的な音楽作りだが、カラヤン独特の悩ましい曲線美や、緻密なリズムと相まって、吟味されつくしたドビュッシーを生んでいる。

「牧神の午後への前奏曲」はカラヤンの体質のためか少々粘りが強く腰が重いが、みずみずしい官能美を湛えている。

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classicalmusic at 00:28コメント(0)トラックバック(0)カラヤンフランク 

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千人に一人のリリシスト」(デイリー・テレグラフ紙)という名文句で登場したのが1970年。その後シューベルトのスペシャリストとして知られているルプーの代表的なディスク。

ルプーは、現代の人気ピアニストの中でもリリシストとしての資質を最高度に具えたひとりにほかならないが、この作品を手がけた彼は、そこで自己のそうした持ち味を十二分に打ち出し、作品のふくよかな抒情に実に深く多彩なニュアンスを付与することに成功している。

特に、ピアノの響きを柔らかく整え、入念に歌いこんでいる。

各曲とも実に美しい響きの演奏で、詩的情緒を大切にしながら、てんめんと歌わせているのが特徴だ。

抒情的表現と劇的表現の幅が極めて大きく、その推移そのものがドラマティックである。

シューベルトの小品を、大きな人生を凝縮した、実に味わい深い濃密な表現のメディアとし、深い沈黙に裏打ちされた確固たるものにしたルプーにとって、この曲以上に腕を振るい得る作品はちょっと見当たらない。

この名作は、その情緒豊かで美しい外観の中にシューベルトの不安、苦悩、絶望、諦めなどをも映し出しているが、ルプーの演奏では、そうした一面もが悲しいまでに美しく表現されているのだ。

自然の振る舞いを会得した、非常に魅力的な演奏である。

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classicalmusic at 00:05コメント(0)トラックバック(0)シューベルトルプー 

2008年05月05日


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青少年向きの作品を集めたディスク。

ひとりでも多くの人に音楽の魅力を伝えたい、という気持ちから、バーンスタインは、1959年に「音楽のよろこび」という著書を出版した。

誰にでもよくわかるように楽しい工夫をこらした、さまざまな曲の解説をあつかったこの一冊で、彼は著作の面でも人気者になった。

3曲ともバーンスタインのあたたかな人柄のよくにじみ出た演奏で、特に「動物の謝肉祭」が楽しめる。

1曲1曲を絵画風に描きながら、それぞれの曲の面白さを十全に表出しており、そのしゃれたセンスはなんとも好ましい。

バーンスタイン自身が語りを入れた「ピーターと狼」も情景描写が巧みで後半の変化にとんだ表現のうまさは格別だし、「青少年のための管弦楽入門」も綿密に仕上げられていてよい。

それは、楽員たちの個性や自発性を巧みに生かしたバーンスタインの配慮の成果と考えられる。

とにかく聴き手を楽しませてくれる演奏であり、バーンスタインの名エンターテイナーぶりを偲ばせてくれる。

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classicalmusic at 15:59コメント(0)トラックバック(0)バーンスタインサン=サーンス 

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アルゲリッチのラヴェルを集成した徳用盤。どの曲の演奏もラヴェルの音楽のもつ青白い詩情をぞんぶんに表現している。

ピアノ協奏曲はアルゲリッチの才気煥発なピアニズムが目いっぱい詰まった魅力的な演奏。

フランス的な情緒とか味わいとかに振り回されず単刀直入に切り込んでいき、自ら感じとったものを直截的に表現する。アバドのバックもうまい。

第2楽章では、静かに歌われるカンティレーネに、はっとするほど透き通る純度の高い感性が見え隠れしている。

アルゲリッチの鋭利な感性から生まれる、自由に飛翔するファンタジーと独特の幻想性が「夜のガスパール」をとりわけ魅力的なものにしている。

十分に放恣で狂乱的であると同時に、構成上のバランスも素晴らしい、完成度の高い演奏だ。

細部の仕上げが極めて細かい。奔放さという点ではフランソワと同様だが、彼女の演奏は、さらに明快率直である。ことに〈スカルボ〉は抜群だ。

またアルバム全体を貫く洗練された気品のあるピアニズムによって「夜のガスパール」は、よりいっそうたおやかな光のきらめく衣装をまとうこととなった。

「ソナチネ」は感情表現の大きな、そして熱っぽい演奏で、全編に生命力が躍動している。その明快なタッチと音色の美しさは何とも素晴らしい。

直線的な流れをもった、すこぶる輝かしい表現で、美しい仕上がりとなっている。

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classicalmusic at 07:43コメント(0)トラックバック(0)ラヴェルアルゲリッチ 

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ウェーバー生誕200周年記念録音。

クラリネットのために書かれた3つの協奏曲では第1番が最も有名で、演奏会でもよく取り上げられる。

ザビーネ・マイアーのクラリネットはいつものことながら大変魅力的だ。

抜群のテクニックを誇るマイアーの演奏は、細かな表情を巧みにつけながら、クラリネット独特の、ロマンティックな味わいを濃厚に出しており、音色も美しく、名演だ。

第1番の第1楽章など、テクニックも音色も抜群といえる。

抒情的なテーマでデリケートな息づかいや思いやりの情にあふれ、しかも決して神経質にならず、終始この楽器特有の深い艶のある音を満喫させてくれる。

第2番や小協奏曲も同じスタイルで、柔らかさから輝きに至る幅広い表情が素晴らしい。

オケも実に見事で、マイヤーのソロを一層ひきたてている。

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classicalmusic at 05:52コメント(0)トラックバック(0)ウェーバーブロムシュテット 
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