2008年06月
2008年06月30日
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フランクの晩年の作品である、いささかのてらいもない「前奏曲、コラールとフーガ」「前奏曲、アリアと終曲」「交響的変奏曲」を、ボレットは実に深い共感をもって演奏している。
超絶的なテクニックの持ち主として、注目をあびていたボレットだが、ここでは、そうした技巧をひけらかすことなく、作品の本質を深く掘り下げ、実に風格のある表現を行っている。
それにはもはやテクニックや構造的理解といったレヴェルを超えた、限りなく広い音楽そのものの世界があり、その情感豊かな表現力には魅せられる。
オーケストラを伴う「交響的変奏曲」も、またしなやかな表現が成立することになる。
ボレットは透明度の高い音で素直にさらりと弾き去っており、細部の精度や流れの美しさもいうことがない。
また、シャイーの棒もみずみずしい情感をたたえ、ボレットの風格あるピアノと見事にまじりあって、まことに美しい仕上がりとなっている。
コンセルトヘボウの、豊麗な弦の響きをよくとらえた録音も、素晴らしい。
このピアニストの懐の深さをしみじみと知らせてくれるCDだ。
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2008年06月29日
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ショスタコーヴィチの作品は、よくベートーヴェンの作品と比べられるが、そのなかでも最もベートーヴェンに近いと思われるのは、15曲からなる弦楽四重奏曲である。
15曲という数からして、ベートーヴェンの16曲にほぼ近いが、内容的にもしかめっ面のイメージとは対照的ともいえる陽気さ、快活さすら刻印した作品も見られるというように変化に富んでいる。
晩年になればなるほど、精神的な深みのましてくる、という作風もベートーヴェンと似通ったところがある。
新メンバーになっていたボロディン四重奏団が、円熟して第2期の黄金時代を築いていることを感じさせる全集だ。
音質が全体に明るくなり、表現にも客観的な明快さが加わったため、やや難解な作品の特色を比較的あっさりではあるが、わかりやすく表出している。
彼らはショスタコーヴィチの作品に深い共鳴を示し、精緻な表現力と練り上げられた技術で、作品の本質を明らかにした演奏を聴かせる。
作品を気迫と集中力をもって再現しながらも、もう一つ別の視点から作品を俯瞰して見据えていくようなアングルの大きさが特筆され、ショスタコーヴィチの作品の豊かさを聴き手がじっくりと味わっていくことを可能にしている。
ショスタコーヴィチの本質を把握している団体の演奏だけに、ファンは絶対に座右に置くべき名盤といえよう。
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2008年06月28日
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シェーンベルクの音楽を愛する人にとっては待望のディスクといえよう。
無調時代の作品19でグールドは鋭いが温かみをもった響きを聴かせる。
12音技法に移行しはじめた作品23では、彼の音色への感度はさらにソフィスティケートされた感触を加え、厳しい表情に変貌する。
12音技法が完全な姿で表れた作品25では音が一層磨き抜かれ、1音1音が存在を主張しているかのようだ。
作曲家最後のピアノ独奏曲作品33は、グールドの劇的表現により幻想の色を濃密に放っている。
作品47がとりわけ名演だ。凝縮されつくした音楽の凝縮しつくした演奏とでもいうべきか。
作品41も見事で、グールドとジュリアード弦楽四重奏団の卓越した技術と感覚美はまさに研ぎ澄まされており、ホートンの語り口もうまい。
作品42はグールドの透明なソロがこの曲にぴったりの味わいだ。
シェーンベルクの歌曲も、現代ではロマン的心情の告白として受けとめられるのではあるまいか。現代音楽を敬遠気味の人にとっても、このアルバムでのグールドの表現の噴出力の前に、これらの歌曲が気に入ってしまうだろう。
作品1はグラムがロマン的な感情を秘めながら格調高く歌いあげ、作品2はフォールが情熱的でドラマティックな歌を聴かせる。
作品15はシェーンベルクが長年考え続けた表現と美学の結晶ともいえる作品だが、ヴァニーは確かな技巧と表現力でニュアンスのこまやかさと深さを表出している。
グールドも声とのバランスを適度に保ちながら、ピアノの美しい音色を広く歌の中に浸透させる見事な演奏だ。
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2008年06月27日
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現代楽器による華麗なバッハのあり方を示したものだ。
カラヤン唯一の「マタイ」では、カラヤンはこの曲から望み得る最美の演奏を導き出している。
劇性を追うと同時に、バッハの中から他の指揮者が引き出しようもないほどの"美の世界"を創造したのである。
当代最高のソリストたちとベルリン・フィルの磨きぬかれた音は、すべて"美"のための奉仕だ。
これはこれでカラヤンのバッハ観なのかも知れないが、彼の宗教曲(ヴェルディのレクイエムやブラームスのドイツ・レクイエムなど)は、どれも教会の美しいフレスコ画のようだ。
アリアの一つ一つは慈しみをもって歌われており、それらをサポートするシュライヤーのエヴァンゲリストや合唱も宗教的というよりは音楽劇的な要素を際立たせている。
そのような意味では実に「人間味溢れる」演奏で、カラヤンはよく周りに「自分は孤独である」と漏らしていたそうだが、まさにその儚く脆い人間の心中を告白しているようでもある。
キリスト教義的な考えを基にしたリヒター盤。人間の感情を大宇宙で表現したクレンペラー盤。そして音楽の美しさを追求したカラヤン盤。各々のアプローチには多くの人を納得させるだけの深い解釈があり、どの盤も筆者にとっては大事にしたいマタイ受難曲である。
血の噴き出るような"人間劇"としてのバッハはここにはないが、美しい宗教画の数々が聴き手を待っている。
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2008年06月26日
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シェーンベルクは、12音技法を完成させるためのさまざまな実験を、特にピアノ曲を使って行っている。したがって、彼のピアノ曲を通してみていっただけでも、彼の作風の多彩な変化を知ることができて面白い。
このディスクはポリーニ初のシェーンベルクで、シェーンベルク生誕百周年を記念して録音されたものである。
若々しい迫力と、カチッとした緊迫感をもったもので、全体にきりりと引き締まった、まことに切れ味のよい表現である。
無調性の世界に入ったシェーンベルクの妥協のない造形と、それが生み出す厳粛な緊迫感を、ポリーニが見事に再現している。
シェーンベルクの造形は、音量・音色・リズム・動機・声部進行などの点で、およそ考えうる限り緻密で論理的だ。
そこには一瞬のうちに燃えつき消え去る花火のような美しさがあり、ポリーニはそういう造形を情熱をもって再現している。
作品のもつ熱っぽい高まりと厳粛さを見事に表現した演奏だ。
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2008年06月25日
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R.シュトラウスは、ミュンヘンの王立歌劇場の名ホルン奏者の息子として生まれた。つまり、彼にとっては、ホルンのまろやかな響きは、物心つく以前から親しいものだったのである。
彼は、2つのホルン協奏曲を作曲しているが、これらは、モーツァルトの書いた4つのホルン協奏曲とともに、この種の作品としては、音楽史上の傑作として、広く親しまれ愛好されている。
ブレインは、1957年に自動車事故で36歳という短い生涯を閉じた。これは、亡くなる1年前の録音で、モノーラルなので音の状態はあまりよくないものの、ブレインの至芸を堪能することのできるディスクである。
演奏は、驚嘆すべき名人芸を駆使したもので、どのようなフレーズでも、淀みのないまろやかな音色で歌わせており、その卓越したテクニックと響きの美しさに圧倒されてしまう。
なんといってもホルンならではのカンタービレの素晴らしさにうっとり聴き入る演奏だ。フレージングがしなやかで、なんともいえぬ気品と香りがあり、詩的な余韻すらたたえている。
しかも演奏全体は抒情のみに流れることなく、表現の密度は濃い。
高音の美しさやレガート奏法の秀逸さ、テクニックの凄さ、音程の良さ、全てが音質の古さを越えて我々の心に迫る。
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2008年06月24日
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「マノン・レスコー」はプッチーニの出世作となった作品で、全編に、プッチーニ独特の感傷的で、美しい旋律があふれた傑作である。
これはシノーポリ初のプッチーニだった。
しかもシノーポリの指揮が断然素晴らしい。
シノーポリの指揮は、感情の起伏を大胆なまでに大きくとった、スケールの大きなもので、そのダイナミックで甘美な表情には魅せられてしまう。
それはあたかもプッチーニの音楽をレントゲンにかけてその内部構造を透視し、その生理を解明していく名医を思わせる。
しかもシノーポリはそこにイタリアの血と肉の息吹きを与えている。
テンポは大きく伸縮し、音力や音量のディナーミクも多彩に変化する。
配役も素晴らしい。
ドミンゴは純情で情熱的な青年を歌いあげた当代最高のデ・グリューだし、可憐で気まぐれなマノンを演じきったフレーニの輝かしい歌唱も光っている。
特にフレーニは純情さと淫奔さを見事に歌いわけている。
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2008年06月23日
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ミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」初の完全全曲盤。数多くのミュージカルを手がけてきたバーンスタインが1984年に、満を持して自作の録音をしたものである。
オリジナル・キャスト盤でも省略されていた台詞を全て収録しており、マリアの台詞はニーナ・バーンスタイン、トニーはアレキサンダー・バーンスタインが担当している。
この作品は、商業的な娯楽ミュージカルなのか、広義のオペラなのかという論争が以前からあるが、ここでは後者の立場によって、カレーラス以下一流オペラ歌手によって演奏している。
つまりバーンスタインは、この作品を単なるブロードウェイのヒット作の舞台の再現としてではなく、広い意味でのオペラ作品として取り組んでいる。
それは、主役のマリアとトニーに、テ・カナワとカレーラスを、脇役にも、トロヤノスやホーンらオペラ畑の歌手たちを起用していることからもよくわかるだろう。
主役のふたりは、こうしたミュージカルを歌うにはやや品が良すぎるきらいもあるが、バーンスタインの期待に十分に応える歌唱を行っている。
全体に、ミュージカルの舞台のあの独特の熱気といったものは希薄なものの、すこぶるノリがよい仕上がりで、ポピュラー音楽とか、クラシック音楽といった狭い枠にとらわれない、新鮮で美しい音楽を楽しむことのできるディスクとなっているところは、バーンスタインならではだ。
そのため、視覚を伴った映画から受けた印象とはかなり異なった感じを与えることは事実だし、主役にはもっとパンチの利いた歌を歌ってほしい気もするが、「アメリカ!」などは最高に愉しく、オペラ的再現としては成功している。
ことに、この録音のためにわざわざ集められたブロードウェイ内外の一流ミュージシャンたちによるオーケストラと合唱は、さすがに達者な演奏を聴かせてくれる。
作曲者自身の演奏だけに、貴重な録音といえよう。
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2008年06月22日
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1955年、ベルリンでのライヴ録音で、音の状態はあまりよくないが、絶頂期にあったカラスの魅力をあますところなく味わうことのできる記念碑的なディスクだ。
ルチアは、カラスの最も得意としていた役で、彼女はこの前後にもセラフィンの指揮で、1953年にモノーラル、1959年にはステレオでこの作品を録音している。
いずれも白熱した名唱だが、ここではカラヤンの巧みな指揮のもとに、ドラマティックでスケールの大きな演唱を行っているところに強くひきつけられる。
心・技・体とも充実の頂点にあったカラスの絶妙な歌と表現は、まさに息を呑むばかり。
ベルカント・オペラの歌唱解釈の世界を根底から変革したカラスの、鋭い心理描写による圧倒的歌唱がここにある。
カラスはその声のトーンと色合いと強弱だけで、ルチアの喜びも幸せも悲しみも絶望も、ひいては実在性の全容までも、あますところなく歌いつくす。
「狂乱の場」はまさにその精髄といえる。
ディ・ステファノのエドガルドも、申し分のないうまさで、パネライも好演。
またこれらの歌を巧みに統率し、豊麗な音楽をつくり出しているカラヤンの指揮も素晴らしい。
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2008年06月21日
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2008年 6月21日(土) 21:00 〜 翌 00:51 サントリーホール 公演
歌劇「フィガロの結婚」 全4幕 ( モーツァルト )
初めてこのオペラを接する人のために解説しよう。
モーツァルトの"3大オペラ"の最初を飾る傑作となったこのオペラは、ロッシーニの名作「セビリャの理髪師」の続きに当たる物語である。知恵のはたらくフィガロのおかげで、美人のロジーナと結ばれたアルマヴィーヴァ伯爵が、この物語では、ロジーンだけでは飽き足らず、結婚式が間近にせまっているフィガロの婚約者スザンナにまで手を出そうとするが、フィガロ、スザンナ、ロジーナたちに徹底的に懲らしめられる、という内容になっている。
このオペラは、モーツァルトが30歳(1786年)、最も脂ののりきった時に書かれたものだが、原作のボーマルシェの戯曲は、フランスの支配階級の腐敗堕落ぶりを強烈にこきおろしたもので、1784年パリで初演された時には大変な騒ぎとなったという。そして、このオペラもまた、1789年に勃発したフランス革命に一役買うことになった、ともいえるのである。
*以下お薦めの名盤
カラヤン壮年期の「フィガロ」
ベームの「フィガロ」
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2008年06月20日
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「ロメオとジュリエット」は全52曲のなかから、聴きどころを17曲抜粋して、バレエの筋通りに演奏したもので、ショルティは切れ味のよい棒さばきで、各場面の情景を生き生きと描出している。
プロコフィエフの音楽特性を、実に的確につかんでいるのがよく、ことに素晴らしいには、第2幕の「タイボルトとマーキュシオの決闘」と、それに続く「マーキュシオの死」、「ロメオ、マーキュシオの死の報復を誓う」などの演奏で、いずれも劇的で力強く、第2幕終曲の、あの哀感を漂わせたタイボルトの葬送音楽との見事なコントラストをなしていて感動的だ。
「古典交響曲」は、古典と現代がミックスしたこの交響曲の特色を、極めて精緻な表現で、あますところなく表出した名演奏である。
明快な棒さばきで爽快に仕上げた第1,4楽章もさることながら、第2楽章の柔らかな表情が実に素晴らしく、特に、弱音で奏される弦の美しさは無類である。
いずれも間然とするところのない立派な演奏だ。一分の隙も一点の曖昧さもなく鮮やかに演奏しながら、円熟味を感じさせるのが晩年のショルティの特徴であった。
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2008年06月19日
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シェーンベルクの名前を一躍天下にとどろかせたこの「グレの歌」は、頽廃と官能にみたされた後期ロマン主義音楽の残照ともいうべき大作である。
ちなみに、シェーンベルクは、この作品を作曲するために、普通の楽譜の約2倍の48段の五線紙を特別にあつらえたという。
そういったこの曲の難解なスコアをすみずみまで徹底して分析したブーレーズの手腕が、最高度に発揮された演奏だ。
「グレの歌」には名演が多いが、ブーレーズは未来に向けての“ネオ・ロマンティシズム”の旗手たるべき、新鮮な演奏を繰り広げる。
全体に音楽の設計の明晰さが際立っており、音色は磨き抜かれて宝石のように美しく、しっとりとした味わいがある。
ブーレーズは、華麗で豊穣な音に包まれ、北欧の神秘的抒情を彩るこの作品から贅肉をそぎ落とし、現代的な照明を与えることによって、後期ロマン派のよどみから「グレ」を救い出したのだ。
やはり、これは稀代の名演のひとつだろう。
ただ、ブーレーズの特性は、シェーンベルクの音楽にある「表現主義」の残滓を徹底的に排除しようとしており、問題があるとすれば、この点であろう。
独唱陣は、いずれも立派だが、特に語り手のライヒが光っている。
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2008年06月18日
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ショルティのマジャール人としての血の躍動が全編にあふれているかのような名演である。いずれもショルティらしい極めて精緻な表現で、どの曲を聴いても彼の意思の強さを感じる。
なかでも特に光っているのは「管弦楽のための協奏曲」で、実に彫りが深く、ひとつひとつの音に血が通っているかのように音楽が豊かに息づいている。
第4楽章など、実にハンガリー的な色彩を濃厚に表出しているし、終楽章も、力感と生命力にあふれた表現で、シカゴ響のもつ色彩感を巧みに生かし、鋭い切れ味で曲の核心に迫っている。
「中国の不思議な役人」は今まで聴いたことのないほど優れた演奏で、ショルティが一分の隙もなくまとめている。指揮者とオケが完全一体となった、手に汗がにじむような熱演だ。
「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」もこの曲の演奏の最右翼というべきもので、第2,4楽章における一種の緊張感と、マジャールの血の踊りは大変なもの。
「ディヴェルティメント」は暗い陰りを巧みに表出した第2楽章が素敵だ。
「舞踏組曲」は若い頃バルトークから直接教えを受けているショルティの、民族的な感覚の発揮された演奏で、ハンガリー的な色彩感と土俗的な香りを大変鮮やかに表出している。どの曲にも、ハンガリーの土の臭いが強烈に感じられる名演奏だ。
いずれも強烈な説得力で聴き手に迫る音楽である。
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2008年06月17日
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旧盤は顔ぶれの豪華さだけでなく、ヴェルディでもとりわけ輝かしい旋律美の上にドラマが成立するこのオペラの特質を、これほど十全かつ燦然と総合的に表現しつくした名演は稀だ。
カラヤンの姿勢は後年と変わっているわけではないが、純イタリア的でありながら、イタリア人も及ばないほど輝かしい音楽を作り出すことに成功している。
カラスとディ・ステファノの歌もどんなに絶賛してもしすぎることはない。
新盤での主役はベルリン・フィルで、その演奏は豊麗きわまりない。ゆったりとしたテンポで濃艶に歌うかと思えば、ドラマの緊迫と共にクレッシェンドとアッチェレランドを重ねてゆくダイナミズムの凄まじさなど、オケの独り舞台の感がある。
しかし、カラヤンが自分の思うまま濃厚な音楽をオケだけで作っているため、至る所で歌と管弦楽との微妙なズレが生じ、この作品独特の面白さは薄れてしまった。
ザルツブルグ音楽祭におけるライヴは、実演特有のキズは多少あるが、当時を代表する最高のキャストを集めた舞台ならではの魅力にあふれている。
カラヤンの指揮は晩年ほどのゲルマン的色彩への傾斜もなく、バランスのよい仕上がりだ。
歌手では何よりもバスティアニーニの気品ある名唱が聴きものだし、コレッリも力と輝きに満ちた声で互角の存在感を示す。シミオナートも素晴らしく、プライスも水準の高い歌唱だ。
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2008年06月16日
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バーンスタインの新しいマーラー/交響曲全集の完結篇。但しアナログ録音で、第8番は先に発売されていたLDと同一音源である。
マーラー自身、友人の大指揮者メンゲルベルクに宛てた手紙のなかで、「大宇宙が鳴り響きはじめるとお考えください」と述べているように、交響曲第8番は、形式的にも、内容的にも、それまでのマーラーの音楽の集大成とでもいうべき超大作となっている。
バーンスタインは、この大曲を、実にスケールの大きな表現で描き上げており、フィナーレに向かって突き進む迫力は類をみない。楽器と声部とのバランスも素晴らしい。
第1部から驚くほど豊かな生命力にあふれている。
声楽部の力量も素晴らしく、合唱のアンサンブルや情熱に満ちた表情は感動的で、白熱の輝きを放つコーダまで聴く者を圧倒する。
第2部も豊かな感興に満ちたバーンスタインならではの世界であり、雄渾・壮大をきわめたこの演奏は凄絶な力を放射している。
堂々とした風格と共に高まる終結部の「神秘の合唱」は、聴く者を恐るべき感動の渦に巻き込むに違いない。
交響曲第10番〜アダージョは作品の内面を深く味わわせる名演だ。
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2008年06月15日
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ベルリン・フィルのテラークへの初録音で、その録音は特筆すべき見事さである。
全4夜、14時間かかるこの超大作を、わずか70分に縮めた一大交響詩としているのがこのディスクの特色で、ただ単に聴きどころを集めた多くのハイライト盤にはない価値がある。
物語の流れにそって音楽を選びだしたもので、通常の「指環」の管弦楽曲集とは異なり、各作品からかなり細かい部分も採りだして、よりストーリーを重視した独自の構成をとっている。
マゼールの指揮は、ストーリーにそった、極めて精密な設計の行き届いたもので、切れ味のよい棒で丹念に描いており、ことにフィナーレの盛り上げ方の素晴らしさは、抜群だ。
マゼールはベルリン・フィルのもつ機能をシャープな感覚で生かし、輝かしく磨かれた響きと極めて幅広いダイナミックス、そして雄大なスケールで演奏している。
「ワルキューレ」や「神々のたそがれ」など、ひとつひとつのシーンが眼前に浮かんでくるようだ。
特に「ジークフリートの死と葬送行進曲」から「ブリュンヒルデの自己犠牲」にかけては圧巻で、息を呑むような素晴らしさだ。
マゼールは、まさに自分自身を出し切って、ワーグナーと勝負している。
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2008年06月14日
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新盤はこれ以上は考えられないような秀演である。バーンスタインはマーラーの楽譜を読み尽くしている。
そしてデュナーミクの細かな指示よりも旋律の自然さを尊重し、古き良き時代の暖かさと大らかさを存分に表現している。
これこそバーンスタインによって再創造されたマーラーだ。
同じニューヨーク・フィルを指揮した旧盤に比べると、華やかな表現をいくぶん抑えた演奏となっており、バーンスタインがじっくりとこの作品に取り組んでいるのがよくわかる。
ここでは、マーラーが指示したテンポの揺れ動きや強弱の激しい交代、立体的な対位主題の大胆な併置、管弦楽の強烈な色彩が、ここまでやれるのかと思えるほどに激しくデフォルメされているが、それでいてこの表現主義的な身振りが、一個の「自然」に達していると思えるほどに演奏者の血肉と化したような自在さを伴っている。
ユダヤ的というべきアクの強いアーティキュレーションやスフォルツァンドの感覚など、見事の一語に尽きる。
ニューヨーク・フィル起用の選択の成功も大きい。ことに、オーケストラの力強い合奏力を生かした終楽章の盛り上げ方は秀逸だ。
特にフィナーレの爆発的高揚にはこのオーケストラの底力が不可欠のものなのだ。
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2008年06月13日
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1991年9月にニューヨーク・フィルと再録予定の第8番を残してバーンスタインは世を去ったため、マーラーに関しては、この第6番が遺作となってしまった。
バーンスタインにとっての21年ぶりの第6番は、冒頭から凄いほどの推進力で突き進む嵐のような表現だ。
バーンスタインは、この作品のもつ構成的な強さを明確に打ち出した演奏を行っており、ことにオーケストラの対位法的処理が見事である。
暗い情感をよくあらわれた表情も迫力があり、その気迫には打たれる。
音楽が自然で響きに重量感があり、ディティールまで表情が鮮明な上に、マーラー独自の音構造やモチーフを的確に表現しながら、一瞬の渋滞もない劇的迫力で聴き手を圧倒する。
特に第1楽章のメイン・テンポが非常に快調なので、晩年のバーンスタインを敬遠していた向きにも薦められよう。
アルマの主題を、指定通り粘らないで歌い出す等、随所で楽譜の読みの深さが示されているが、それでいて、細部に足枷を嵌められたような窮屈さはない。
第1楽章などは、バーンスタインの再録のチクルス中、最も前進エネルギーの強い、剛毅な表現といえよう。リズミックに進む第2楽章も同様だ。
アンダンテは、たっぷりと旋律を歌わせているものの、一人よがりな微速前進というほどには粘らないので、第1楽章の中間部や、第2楽章のトリオ同様、バーンスタインのナイーヴな感性と、祈りの感情が程よくミックスされ、アット・ホームな音楽に仕上がっている。
しかし、この演奏の聴き所は、何といっても第4楽章にある。曲が盛り上がってきて、様々な要素が輻輳してくるほど、スケールが広がり、表現の重みが増してくるのがレニーの真骨頂。
展開部あたりからの、白兵戦さながらの凄絶なモティーフのぶつかりあい、394小節の大見栄等、山場の連続となる。
「亡き児」のハンプソンは表現的・文学的な歌を聴かせ、オケとの対照と融合が絶妙だ。
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2008年06月12日
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1968年、シュヴァルツコップとF=ディースカウという2人の名歌手の最盛期の録音である。
数々の名盤が多いこの曲だが、この1枚にかなうものはない。
いくぶん2人の表情のつけ方が濃厚すぎるきらいもあるが、実に絶妙な歌いまわしで、聴いていると思わずひきこまれてしまう。
その熟達した歌唱は比類がない。
マーラーの長大なフレーズ、民謡風の色合い、そして少年時代の記憶の反芻から生まれる音たちの断片を集合し、これらを通して2人のリートの大家の歌い口は、本当に鮮やかに、生き物のように耳にとびこんでくる。
マーラーのエッセンスがすべてぶちこまれたようなこの歌曲集の、マーラーの悲しみ、憧れ、素朴な喜び、皮肉、人間存在への激しい慟哭や冷笑、運命への屈従と反抗、それらあらゆる全ての要素が恐るべき同化力をもって表現されるという結実に至っている。
セルも、あたたかい伴奏をつけており、そのうまさとあいまって圧倒的な名演となっている。
そして、マーラーの中からセンチメンタルな部分を濾過したセルの指揮が全体を引き締めている。
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2008年06月11日
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旧盤はバーンスタインの名声を高めたディスクであり、極めて啓蒙的解釈といえるが、そこにこの指揮者の激しい共感が示されている。
率直に感情を表面化した身ぶりの大きな音楽で、テンポもかなり動く。
現在聴いてみるとやや古めかしい解釈とも思えるが、それが作品への強い共感から生み出されているので不自然な印象は受けない。
新盤は1987年、新しいマーラーシリーズで初めてウィーン・フィルを起用したフランクフルトでのライヴ録音。
バーンスタインは、この曲のもつさまざまな情感を、スケールの大きな表現で描き出していて、一種異様な熱気をはらんだ演奏となっている。
第1楽章と第2楽章から形成される第1部で、バーンスタインが表現したものは未聞の沸騰である。感情のあらゆる動きがマーラーとの同化を相克を経て直接音化されて具現化されるさまは、筆舌に表し難い激しさをもっている。
第3部の終わりの2楽章だが、名高い第4楽章の耽美的表情や、フィナーレにかけての盛り上げ方は、凄まじい迫力だ。
ことに有名なアダージェットから生の希望に燃えたロンド・フィナーレに入っていくあたり、壮絶なまでに、死を乗り越えた人間の喜びがあふれている。
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2008年06月10日
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旧盤はバーンスタインのマーラー・シリーズの中でも特に印象的だ。
演奏は19世紀的な名残りをとどめるといってよい。旋律を息長く、たっぷりと歌わせ、テンポも自在に伸縮しており、非常に温かい響きをもっている。
しかし、ディティールは詳細に描かれ、音楽の流れは合法則的といってよく、その中にバーンスタインの感興が明滅するのが面白い。
第1楽章はリズミカルで安定した進行を示し、第3楽章は繊細に歌う弦がことのほか美しく、その悠揚とした歩みは、さすがにこの指揮者のスケールの大きさを示している。
終楽章のグリストの独唱は素朴だが、快活で晴れやかな気分がある。
新盤はコンセルトヘボウの威力を最大限に発揮させながら、マーラーの精緻なオーケストレーションを、卓越した表現力で再現した力演である。
ディティールをすみずみまで考えぬき、自由自在に表情づけを行うなど、独自の感性が示されているが、すべての音が解放感をもって鳴り響いて素晴らしい。
第1楽章第1主題など実に爽やかなリズムをもって生き生きと歌われているし、第2楽章は一層主観的だがデュナーミクは正確で的確、木管やヴァイオリンの色彩感覚なども特筆に値する。
ただ第4楽章のボーイ・ソプラノの起用は、興味深い解釈とはいえ、やはり疑問が残る。
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2008年06月09日
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クナッパーツブッシュのワーグナーの凄みを最も手っ取り早く聴くことのできるディスクだ。
クナッパーツブッシュが生前最も得意としていたワーグナーだけに、そのスケールは桁違いに大きく、この人独自の風格がある。
堂々とした格調の高い演奏で、その悠然とした音の流れは、豊かなロマンにあふれている。強烈な個性をもった演奏だが、聴いた後に深い感動を覚える。
巨人クナッパーツブッシュのワーグナーがこんなに鮮明な録音で、しかもウィーン・フィルの魅力的な響きによって聴けるのはなんと幸せなことか。
名歌手フラグスタートとニルソンの歌唱が聴けるのも素晴らしい。
ここに収められた6曲は、いずれも悠然たる構えで運んだ雄渾かつ重厚な表現で、音楽の彫りが大変深い。
まさにワーグナーの真髄を極めた巨匠の至芸である。
ことに「ジークフリートの葬送行進曲」とニルソンの歌った「愛の死」は圧倒的。「ヴォータンの別れ」も全く凄い。どの曲も彼の芸格の高さに心を打たれる。
いつも不思議なのはテンポで、聴いているとずいぶん遅く感じられるのに、実際はむしろ速いことだ。
支え切れない内容を持ちながら枯れているからで、もはや神技というほかない。
一時代を画したすぐれたワーグナー演奏だ。
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2008年06月08日
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旧盤は、この曲のもつ田園風で天国的な憧れの気分を入念に表現しつくしている。第1楽章は明るい響きで抒情を描き、第3,6楽章は柔らかな表情のなかに緊張感がみなぎっている。ソロも美しい。
新盤でのバーンスタインは、持ち前の劇的な自我の表出を抑え、枯淡に近づくような抑制力を感じさせる。
第1楽章などそれでも線が太く、逞しく、自在な表情を駆使している。
マーラー固有の悲劇的色彩の濃い第1楽章の深々とした呼吸もさることながら、天国的ななごやかな美しさと、あどけなさをもった第2楽章以下は絶妙なうまさで、感動的だ。
バーンスタインと組んで、数々のマーラー作品を歌ってきたルートヴィヒの、キャリアの深さを感じさせる卓越した歌唱も素晴らしい。第4楽章では、ルートヴィヒが年齢を感じさせぬ美声で深沈した表情の歌を繰り広げる。
また、第5楽章の少年と女声の合唱団の、透明で、表情豊かな歌声もすぐれ、すべてが高度の熟達をもってスムーズに進行していく。
圧巻は終楽章で、従来の演奏とは異なった、清楚な悲哀の感情をたたえた歌が大きくふくらんでゆく。バーンスタインの人間的一面を見るような驚くべき演奏である。
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2008年06月07日
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1951年バイロイト音楽祭におけるライヴ。
戦後初の開催となったこの年の音楽祭では、カラヤンとクナッパーツブッシュという対照的な指揮者が「指環」のチクルスを分担した。
両方の演奏はEMIとデッカによって収録されたが、日の目を見たのはカラヤン指揮の「ワルキューレ」第3幕のみだった。
このクナッパーツブッシュの「神々のたそがれ」は1999年になってようやくリリースされたもの。当時としてはきわめて良好な音質で、巨人クナッパーツブッシュのワーグナー解釈を聴くことが出来るのが何より有り難い。
クナの「リング」全曲盤には1956年と57年のバイロイトライヴがあったものの、音が鈍すぎて到底彼の真価を伝えていなかった。
そこに忽然と現れたのがこのCD。しかも録音は英デッカ。「神々のたそがれ」だけというのが残念だが、まさにレコード界の一大快挙といえよう。
演奏はプロローグから雰囲気満点、歌の背景のオーケストラが常にものをいい、ワーグナーの音楽の美しさを満喫させる。
物語が進むにつれてオケの有機的な意味深さ、生々しさ、恐怖感が増してゆき、息もつかせぬ緊迫感など他に類例を見ない。
第1幕第3場、そして第2幕第3場、第4場、第5場あたりの凄みは圧倒的。
歌手も錚々たる顔ぶれがそろっており、ブリュンヒルデ、ハーゲン、アルベリヒ、ワルトラウテなど最高で、何より心の表出が素晴らしい。
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2008年06月06日
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チャイコフスキーは、生涯にいくつかのオペラを作曲しているが、そのうちで最も名高いのが、ロシアの文豪プーシキンの小説をもとにしたこの「エフゲニー・オネーギン」である。
この演奏はレヴァインとドレスデン国立管弦楽団の初顔合わせで、ロシア・オペラもこれが初録音。
指揮者とオーケストラ、コーラス、それに歌手たちの組み合わせが新鮮で、そこからすこぶる充実したオペラが生まれている。
まずドラマティックで迫力のあるレヴァインの指揮が素晴らしい。
彼はこのオペラと音楽の抒情と詩的詠嘆の中に心底から共感し、それを彫りの深い表現に変えることに成功している。
そして当たり役のタチャーナを歌うフレーニが、何よりも素晴らしい。
フレーニは豊麗な美声とこまやかな感情で、見事なタチャーナを表出している。
彼女は、可憐で純情な少女から、気高く落ち着きのあるグレーミン公爵夫人への変貌を、ものの見事に演じきっており、その表現力の見事さには舌を巻く。
その他の独唱陣では、レンスキーのシコフがみずみずしく適役だが、あとはやや弱い。
特筆すべきは録音で、これ以上望めないほど音質がよい。
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2008年06月05日
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ロストロポーヴィチが、イギリス現代を代表する作曲家のひとりブリテンと共演したもので、その組み合わせが珍しい。
チェロとピアノの呼吸が見事に合っている。
「アルペジョーネ・ソナタ」でのロストロポーヴィチは、遅めのテンポで朗々と旋律を歌わせ、陰影をはっきりつけて表現しており、味わい深い。
そしてブリテンのピアノも達者だ。
シューベルトの音楽としては、必ずしも深みのある作品とはいえないこの曲を、実に美しく、きめこまやかに再現していて、あたかも宝石のような仕上がりとなっている。
こうした2人の音楽性と技巧に支えられた強みがどの演奏にも表れて、シューマンではロマン的な歌が大切にされ、詩情もきわめて豊かになっている。
ドビュッシーの気のきいた洗練された味わいも特筆されていいだろう。
1968年の録音で、やや音は古いが、2人の巨匠の音楽性も見事に合っており、ブリテンの伴奏も、実にうまい。
演奏といい、2人の巨匠の顔合わせといい、歴史に残るものだ。
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2008年06月04日
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ベートーヴェンの三重協奏曲には、独奏者に名人級の大物を起用した演奏と、ピアノ・トリオをそっくりあてた演奏とがあるが、これは前者のタイプで、名人芸の醍醐味を堪能するという点では、まことにうってつけのディスクだ。
リヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチといった超一流の名人を揃えた演奏で、3人の独奏者とカラヤンとの間に、目の見えない火花が散っているかのような錯覚をおこさせるほど、異様な緊張感に包まれた熱演である。
ことにカラヤンの指揮が素晴らしく、雄大なスケールと円熟味にあふれた生命力が全曲に漲っている。
ソリストでもロストロポーヴィチの雄弁さが聴く者の度胆を抜くのに充分だ。オイストラフは、若い頃の贅肉を落として、敏感なデリカシーを見せ、リヒテルはアンサンブルのまとめ役を楽しんでるかのようだ。
精悍で少しのたるみもない第1楽章の造形、3人のソリストが濃密なアンサンブルを聴かせる第2楽章、堂々たる風格にまとめあげられた第3楽章の力感など、まさに記念碑的演奏たるゆえんだろう。
ブラームスも3人の巨匠の夢の共演として有名なアルバム。
3大家のまさに円熟の極みの時期の、この二重協奏曲の古今の録音の中でも最高峰に位置する演奏である。
セルの確然たる造形力が全体を統率し、ロストロポーヴィチが雄弁無比に歌を誘導、オイストラフの見事な張りと艶が魅力あふれる上声部を形成する。
3人の演奏家が、それぞれ自らの美質を最高度に発揮しあった演奏といってよいだろう。
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2008年06月03日
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グローフェの「グランド・キャニオン」はバーンスタイン唯一の録音であるが、いかにもバーンスタインらしい、シンフォニックな表現で、この作品から、壮大なスケールを引き出している。
これは、バーンスタインが、ニューヨーク・フィルの音楽監督として最も脂の乗っていた頃に録音されたものだけに、大変骨格の立派な音楽となっているが、幾分彼特有の粘りが強く、そこに抵抗を覚える人もいよう。
「ウェスト・サイド・ストーリー」からの「シンフォニック・ダンス」はバーンスタインの実力が最高に発揮された快演で、どんな部分を聴いても音楽が豊かに息づいており、その湧き立つようなリズムと熱っぽい表現には強く惹かれる。
またバーンスタインの弾き振りによる「ラプソディー・イン・ブルー」もジャズ的なフィーリングを生かした実に鮮やかな演奏だ。
バーンスタインは「ラプソディー・イン・ブルー」をこの録音の20年後にもロスアンジェルス・フィルと、やはり弾き振りで録音していて、音質も良くうまい演奏ではあるのだが、この録音ほど積極性というかインプロヴィゼーションは感じられない。
ジャジーなセンスやブルーなムードなどをとてもうまく表出しているし、「ウェスト・サイド・ストーリー」で大成功を収め、ニューヨーク・フィルの音楽監督になって間もない若いバーンスタインの颯爽とした弾き振りの姿が目に浮かぶような演奏である。
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2008年06月02日
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ベルクの「ヴォツェック」は音楽史上初めて無調で作曲されたオペラで、20世紀になって書かれた最もすぐれたオペラの一つに数えられる作品である。
1986年からウィーン国立歌劇場の音楽監督をつとめていたアバドと同歌劇場の初のオペラ録音で、87年6月に行われて絶賛を博した上演のライヴ録音である。
この2年後、89年のウィーン国立歌劇場の日本公演でもアバドはこの作品を採り上げ、見事な舞台を聴かせていた。
ベルクの音楽のもつ多彩な響きを実に巧みに表出した見事な演奏で、現代曲をよく採り上げているアバドとしても、最高の演奏の一つといえるだろう。
アバドの、緻密でしかも即興性もあり、すこぶる表情と色彩に富んだ指揮がダイナミックな好録音によって迫力を倍増、異様なまでの生々しさとなって迫る。
独唱陣も粒が揃っており、このオペラの強烈なドラマを万全に表現している。
マリー役のベーレンスは、歌唱至難なスコアを正確に、しかも豊かな感情を盛り込みながら歌っており、至難な役どころを完璧に歌いきっていて素晴らしい。
さらに見事なのはツェドニクの大尉で、実に多彩な声の色を駆使しながら、役の俗物性をさらけ出し、また鬼気迫る表現も生み出している。
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2008年06月01日
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ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲ト短調作品57は、「交響曲第5番」と「第6番」の間にはさまれるようにして生まれた作品で、ショスタコーヴィチの室内楽の最高峰としてたたえられている傑作である。
あまりにも陰鬱で深刻な弦楽四重奏曲を敬遠している人にショスタコーヴィチの室内楽の入門として薦めたい。それから弦楽四重奏曲を聴いても遅くはないだろう。
1983年、モスクワでのライヴ録音で、数少ない現代のピアノ五重奏曲の名作の1つが最高の顔ぶれで録音された期待の1枚である。
ボロティン四重奏団の円熟した演奏が見事で、リヒテルのピアノが、それをひきたてている。
エドリーナと共演したボロディン四重奏団の旧盤に比べ、いささか曲を物々しく取り扱いすぎた嫌いがあるとはいえ、巧妙な演奏設計で気の合ったアンサンブルが繰り広げられている。
第4楽章の憂愁をおびた旋律の歌わせ方など、いかにも本場の演奏家らしい表現だ。
ことに第1ヴァイオリンの透き通るような美しさで弾かれる憂愁の歌を中心とした演奏は、最も感動的な部分だ。
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