2009年04月

2009年04月30日


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シュヴァルツコップのハンナが素敵である。彼女の歌うハンナは、優雅でしかも官能美にあふれており、その上品な色香がたまらない魅力となっている。

モーツァルトやR.シュトラウスのオペラを得意としているシュヴァルツコップが、こうしたオペレッタにも全力を傾けて取り組んでいるのは、実に立派である。

これは、1962年、彼女が47歳のときに録音されたものだが、表情がみずみずしく、声にも艶があり、彼女の至芸をじゅうぶんに堪能することができる。

「メリー・ウィドウ」がシュヴァルツコップにとって最高のレパートリーだったというわけではないが、ここには彼女の類稀な洗練と優美と魅惑の最上のものが結晶している。

一度この「陽気な未亡人」の色香に魅せられると、他のあらゆるハンナは八百屋のおかみさんか、舞踏会にまぎれ込んだ街の女のようにきこえるほどだ。

ことに、第2幕の有名な「ヴィリアの歌」は絶妙だ。

そのほかでは、ゲッダのカミーユとシュテフェクのヴァランシェンヌがそれぞれ、持ち味がよくあらわれていてよい。

またここでは、マタチッチの指揮が大変見事で、彼はレハール固有の美しい旋律をたっぷりと歌わせながら、全体を精妙にまとめていて、素晴らしい。

これは、カラヤン盤と並ぶ名盤で、レハールのオペレッタのもつ流麗な味を満喫することのできるディスクである。

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2009年04月29日


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ショルティ指揮シカゴ響が、オーケストラの名人芸をフルに発揮した名演を聴かせる。

いずれもショルティの綿密な設計力とシカゴ響の優秀さが光る、完成度の高い演奏である。

特に管楽器のソロのうまさは唖然とするほどで、さすが世界のトップ・オーケストラならではの実力である。

ダイナミック・レンジも極めて広く、録音もゴージャスそのもので、ことに金管楽器が鮮明。その迫力と精密さは言語に絶する。

特に「展覧会の絵」はこの作品の核心を鋭くついた極めて質の高い表現で、ショルティは一切の粉飾を排し、ひとつひとつの音を大切にしながら各曲の曲想を的確に表出している。

ムソルグスキーの音楽特性よりも、むしろラヴェルの色彩的なオーケストレーションに重点をおいた演奏で、各曲の性格を、極めて明快に描き分けながら、華麗な音色でダイナミックに表現している。

何といっても抜群のソロの巧さと輝かしいサウンドが、最大のセールス・ポイントになっており、この曲の素晴らしさをストレートに伝えている。

ことに「キエフの大門」の壮麗かつダイナミックな表現には圧倒される。

「春の祭典」は、大変ドラマティックな迫力にあふれた演奏で、ショルティの精悍な風貌にふさわしく、その表現はきびしく力強い。

特に第1部の「大地の踊り」や、第2部の「いけにえの讃美」から終曲「いけにえの踊り」にかけての、たたみ込んでゆく盛り上げ方のうまさは実に見事なものだ。

表現のダイナミック・レンジの広さも驚異的で、デリケートな弱音から、怒涛のようなクライマックスまで、まったく破綻のない安定ぶりは、他の追随を許さないものがある。

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2009年04月28日


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ドビュッシーの《練習曲集》全2巻は、音響が純粋に音響そのものとして存在するといった態の、それ以上でもそれ以下でもない作品であるが、ここでのポリーニは、技巧的名人芸と冷徹なまでに醒めた感覚を駆使、飛び切り鮮やかな効果を生み出している。

しかもここでのポリーニは実に伸び伸びとしており、演奏全体に自然な躍動感が漂い、それが楽趣を大きく盛り上げている。

ショパンの《練習曲集》同様、ドビュッシーでもポリーニの切れ味のよい卓越した技巧が光っている。

あいまいさとは全く無縁の明晰な響きが、ショパンに優る効果を発揮しているのも忘れ難い。

ドビュッシーにぼかしは不要、とは思うものの、ポリーニの演奏は完全にそれを排除したところで成立している。

この曲の明晰さが演奏の明晰さによって、異様なほどにはっきりと現れ、見事に磨かれた演奏にはまるで瑕僅がない。

後期ロマン派の残映と位置づけられるベルクのソナタもそれに負けないくらいの出来で、後期ロマンの香りが独特の響きで聴ける。

柔らかさをたたえた初々しい感情表出が印象に残る。

どちらも完璧な仕上がりだ。

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2009年04月27日


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ソフィアでのリヒテルのヨーロッパ・デビュー・リサイタルのライヴ録音全曲を収録。

聴衆を前にしての演奏だけに、爆発的で、雄渾な演奏が楽しめる。

特に「展覧会の絵」での雄渾な演奏はすべての聴き手を圧倒せずにはおかない。

「展覧会の絵」では、楽想のコントラストが最大限に活用されており、激しい緊張と力感を生み出し、リヒテルならではのたくましい表現が印象に残る。

スケールの大きさもさることながら、ピーンと張りつめた緊張の持続がすごい。

きわめてスケールの大きな、ダイナミックな表現で、巨匠リヒテルの面目躍如たる秀演だ。

モノーラルなので、あまり音の状態はよくないが、その明確なリズム感と、テクニックの精緻さには驚く。

ことに凄まじいばかりのテクニックで表現した「バーバ・ヤガーの小屋」と、堂々と力強く弾きあげた、最後の「キエフの大きな門」は感動的だ。

一方、シューベルトの小品での抒情も、聴き手を魅了しないではおかない。

リヒテルの幅広い表現力がここにも現れている。

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2009年04月26日


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1978年、バーンスタインがちょうど60歳のときに録音されたもので、いかにも彼らしい、大変表情豊かな語り口のうまい演奏である。

ベートーヴェンの理念をあたかもそのまま自分の理念として生き抜いたかのようなバーンスタインの「フィデリオ」は、事実作品への深い共感に根ざした白熱の名演である。

造形的にはいくぶん厳しさの欠けるところもあるが、聴かせどころはピタリと押さえた巧みな演出は、この人ならではの味だ。

バーンスタインはウィーン・フィルを縦横に駆使して、このオペラから実に雄弁なドラマを引き出しており、ベートーヴェンが真に語りたかった理念と理想主義を高らかに謳歌している。

ウィーン・フィルも凄い。決して粗くなったり重くなったりせず、美しい響きで精緻で純度高い演奏を繰り広げる。

そうしたきわめて音楽的なアプローチをとりながら、歌手、オケともに、じわじわと熱しつつ、大詰めの理念の実現に向かって昇りつめてゆく。

第2幕フィナーレの前に挿入された「レオノーレ」序曲第3番はまさにクライマックスとして、素晴らしい高揚をみせる。

ひたむきで芯の強いヤノヴィッツのレオノーレをはじめ、キャストも大変強力で充実していて文句のつけようがなく、おそらく歌唱の点でも最もすぐれた1つにあげられよう。

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2009年04月25日


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スイスの大指揮者アンセルメが、最も得意としていたものにロシアものがあるが、その中でもこの曲は十八番中の十八番で、なんと1000回も演奏したと彼は語っていた。

演奏は、東洋的なムードを巧妙な演出で描きながら、交響的に、華麗に仕上げており、この曲のもつ東洋的情感を色濃く表出した壮麗な表現も大変魅力的だ。

全体にテンポを遅めにとり、ゆったりとした呼吸で丹念にまとめており、ことにめくるめくような色彩美にあふれた終楽章は出色の出来だ。

アンセルメは、こういう色彩的な派手なものを手がけると、少しもけばけばしくなく、しゃれた工夫をした演奏をする素晴らしい演奏家である。

金管楽器の表情などはアンセルメが自分でつくってしまうところがあるほど演奏効果を考えた表現なのである。

ややゆっくりとしたテンポで、まるで絵巻物を繰り広げてゆくような劇的設定のうまさにはまったく感心させられる。

バレエ・リュス時代にアンセルメはストラヴィンスキーのみならずロシア音楽を振った好評を博したというが、ストラヴィンスキーの恩師であるリムスキー=コルサコフが悪いはずはない。

近代管弦楽法のテクストともいうべきこの組曲の色彩感を見事に描き分けている。

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2009年04月24日


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ラヴェルのピアノ曲全集には名盤が数多いが、その中で一つの古典といえるものが、このカサドシュ盤である。

いかにもカサドシュが手中にしきった作品の演奏だという信頼感が、冒頭から聴き手をある世界へと誘う。

客観的なスタンスに立ちながらも、粒だった明晰な音の響き、そのつながりの生み出す微妙なニュアンスによって、きわめて自然な流れのうちに実に美しく生き生きとした表情を作品から引き出しており、全体に端正で高貴な品格を感じさせる演奏となっている。

《スカルボ》や《道化師の朝の歌》のような、ともすると技巧の誇示に陥りやすい曲においても、カサドシュは名技を名技と感じさせない洗練された味わい(そのように弾くことのほうがはるかに難しい)でもって聴かせている。

ここでは完全に自然体で作品にアプローチし、それを自らのものにできた時代の、円満で至福に満ちた音楽のあり方を聴くことができる。

ラヴェルのエスプリもウィットも決して誇張された形ではなく、生き生きと息づいており、ほとんど同時代を生きた作曲家への、解釈という行為を超えた共感がある。

夫人との共演によるデュオと連弾の作品も魅力的だ。

当全集はカサドシュの代表的な名盤として知られてたが、彼はステレオではついに再録音しなかった。

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2009年04月23日


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パブロ・カザルスが1969年と63年にライヴ録音したこの1枚は、人間の精神の営みの逞しさと美しさの偉大な証明となっている。

当時90歳前後であったカザルス翁の生み出す音楽は、どんな指揮者よりも若々しく、峻烈なベートーヴェンだ。

カザルスは強靭な精神力で、ベートーヴェンの英雄的な偉大さと古典主義的厳しさを表している。

それが何ひとつ不自然さを感じさせないのは、カザルスと作品の間に通じるものが多いためだろう。

あらゆる声部に対し、カザルスは豊かな表情と息遣いを与えつつ、しかもそれを一気呵成にまとめ上げる事によって、この稀有な名演が誕生したのである。

新解釈と呼ばれるような奇抜さなどは微塵もない。カザルスのアプローチは至極オーソドックスである。

しかしその中に漲る生命力は、全く余人をもって代え難いものとなっている。

マールボロ音楽祭管が寄せ集めのオーケストラで粗いのが残念だが、ここには音楽アプローチの原点がある。

特に第7番はカザルスの指揮した一連の録音の中でも優れた演奏といえる。

第8番は、この小さく古典的な曲の内部にあるエネルギーを見事に表現しており、娯楽性とはほど遠い壮烈な音楽だ。

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ポリーニの演奏はこの「夜想曲」においても、人の感情をかきたてるというより、むしろ覚まさせる。

音は例の硬質で美しい響きだし、充分になめらか、充分に変化に富んでいる。

でも、どこか反ロマン的で、美しさに感動させても、人を酔わせるというよりは覚めさせる。

それがすばらしいのだけれど、嫌がる人がいたって当然だ。

人を酩酊させる覚醒剤。人を覚醒させる酒。なんとも不思議だ。

でも基本ははっきりしている。ポリーニの演奏は一瞬たりともまどろまず、覚醒を徹底的に追求している。

なんとなく、とか、気分のままに、なんて弾き方はポリーニにはかけらもない。

ショパンに軽く酔って気持ちいい、なんてわけにはいかないし、うっとりしながら付き合うのも難しい。

19世紀からこんなに遠くまでやってきてしまった現代人が、そうあっさりと"ロマンティック"になんてなれない。

そう思ったとき、ポリーニの弾くショパンがある。

味わうためにどこかを休ませる必要はない。眠らせる必要はない。それどころか、覚めてゆこうとするのをますます加速させればいい。

ピアニストは技と意志を確保しながらだから大変だけれど、それで人の感情を動かす人はいる。

でも、覚醒を徹底し、先の先まで到達して、別のかたちのロマン派音楽を聴かせるピアニストが、ポリーニのほかにいるだろうか。

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2009年04月22日


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1971年から80年にかけて、つまりアシュケナージが34歳から43歳にかけて録音したこの全集は、見事な彫琢が際立っていて、ベートーヴェンのこれらの作品の魅力を存分に表出している。

アシュケナージが1980年に全32曲をまとめ上げた頃はまだベートーヴェンのソナタと言えば、バックハウスやケンプ、アラウといった巨匠の時代であった。

しかし、彼らの演奏は、それぞれ個性豊かではあっても、シュナーベル以来のドイツ精神主義がその底流にあった。

しかし、ベートーヴェンの音楽の本質が構造と主題法にあることを最も明確に浮き彫りにしたアシュケナージの演奏は、ベートーヴェン・ソナタの解釈と演奏の歴史に一線を画すものであった。

ピアノを最もピアノらしく響かせ、実に鮮やかに仕上げられており、耳に快く響く。

ともすれば、堅苦しくなりがちなこうした作品を、実にみずみずしく、しかも、うるおいのある表情で弾きあげているところなど、アシュケナージのなみなみならぬ天分がうかがえる。

アシュケナージはこれらの作品を忠実に再現し、ベートーヴェンらしいファンタジーと、構成感を大切にしたオーソドックスな表現を成し遂げている。

テクニックはどこまでも男性的で逞しく、骨太のベートーヴェンである。

またロマン的な感情にも不足せず、全体を大きな流れの中に捉える、スケールの大きさも窺える。

円熟味を増し、深奥まで共感できたアシュケナージの芸術が、ここに見事に開花したといっていいだろう。

アシュケナージはその後指揮活動を優先してゆくが、そうした感性と知性がベートーヴェンの音楽の本質を見抜き、全32曲のソナタにある様式転換の特徴をも見事に捉えて、スケールの大きな音楽に仕立てている。

32曲のソナタに加え、もともと「ワルトシュタイン」の第2楽章として書かれた「アンダンテ・ファヴォリ」も収録しているのも心憎い。

これは、基本的ライブラリーに最もふさわしい名演といえよう。

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2009年04月21日


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バルビローリのマーラーでは、BPOとの第9番が有名だが、それ以外ではNPOを振った第5番が、温かく、哀切極まりなく、限りなく感動的である。

あの葬送行進曲が現れてくるとき、身震いしない聴き手がいようか!? これほど戦慄的な感動はレコードでは滅多に体験することができないだろう。

1969年7月16〜18日の録音で、サー・ジョンが卒然として、この世に訣別する、ちょうど1年前の録音である。

バルビローリの前では、オーケストラはひとつの機能的な「楽器」ではない。

ハートを持ったミュージシャンの集合として一人一人が指揮のアプローチに共感し、今自らその渦中にある音楽をバルビローリ同様に愛し、ともに歌いともに涙する。

その最高の例のひとつがこの録音だ。

フレーズの隅々まで、高い集中力は途切れることなく、マーラーの陰と陽、躁と鬱、情念のうねりを語り尽くす。

バルビローリは演奏した音楽すべてを愛したが、演奏スタイルが最も音楽に合っていたのはマーラーだったかも知れない。

対位法を駆使した壮麗な終楽章の各声部、パーカッションの一打ちに至るまで、人間的な訴えとなって交錯する演奏は、ほとんど例を見ない。

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2009年04月20日


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この清澄な響きとすみずみまで彫琢され尽くした音楽美は他に比べるものがない。

そのはつらつとした歯切れの良いリズム処理は独自のもので、響きの透明度の高さ、デュナーミクの効果も見事というほかない。

セルの音楽性の根底がここにあるといえるほどだ。

ランドン版等を用いた最近の演奏とは異なるが、ハイドンの古典的な真髄をよく味わうことができる。

ここにおける指揮者セルとクリーヴランド管弦楽団は、一方では通俗性に流されぬように慎重にふるまいながらも、全体としては神経質になることなく、堂々とした対処の仕方で自分たちの音楽をつくりあげている。

どの交響曲も各楽章を通してのバランスはよく整い、危うさなど見つけようとしても見つからない。

それぞれの表情は充分に練り上げられており、強い存在感を示すものばかり。

洗練されたきりりとした感覚で、全体を隙なく仕上げていく手腕は実に鮮やかである。

ハイドンの交響曲がもつ古典的様式観とでもいうべきものが、水ももらさぬ鉄壁さで具現化された演奏内容であろう。

セルの指揮は、彼の求める音、バランスなどの表現が、ハイドンの交響曲の場合に最も的確に実行できる。

アレグロとアレグロ・モデラートとのテンポの相違をセルほど明確にハイドンの表現に表した指揮者はきわめて稀である。

おそるべき正確な演奏で、20世紀の指揮法の最も高い展示でもある。

セルとクリーヴランド管弦楽団の到達点の高さが、改めてよく納得できる。

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2009年04月19日


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真のヴィルトゥオーゾでなければできない演奏を披露しているのがリヒテル。多彩で緊密なリストである。

エネルギーの激しい放出、いかにも雄渾で剛直な表現、演奏全体を支配している熱気、など聴き手を圧倒するに充分。

とかく突っ走りがちな並みの技巧家とは違って、リヒテルは多少遅めのテンポで重厚に弾き進んでゆき、その中で大きく伸縮させている。

しかも他の演奏にはみられない高貴な雰囲気ですべてを包んでいるところまで、リストそのひとの演奏をすら思わせるものである。

いずれの曲も情緒を大切にした彫りの深い表現で、雄大なスケールと詩情が理想的にミックスされており、技巧的にも間然とするところがない。

第1番は、終楽章に向かっての劇的な音楽づくりにひかれるし、第2番は、ソロとオーケストラとの絶妙なかけあいが光る。

特に第2番は一段と細かいところまでみがきがかかっていて、しかも様式統一が見事に行われている。

こんなスケールの大きな、また深い味わいをもった演奏は今までに聴いたことがない。

コンドラシンのサポートも卓抜で、何より音楽的。

味があるリストだから、何度聴いても飽きがこないだろう。

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classicalmusic at 11:47コメント(3)トラックバック(0)リストリヒテル 

2009年04月18日


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交響曲全集に続くアバド&ヨーロッパ室内管のシューベルト。序曲(「魔法の竪琴」の序曲)はその全集に含まれていた1987年の録音である。

アバドはこの「ロザムンデ」でクリティカルな姿勢を示し、その音楽配列についても独自のものをみせている。

アバドは曲順を入れ替えて、序曲に続いて、第1,4,2,6,7,5,3b,3a,8,9曲の順に演奏している。

また独唱に、近年一段と評価を高めているオッターを迎えていることも、演奏を一段と生彩あるものとしている。

オケはきわめて着実で均衡のとれた演奏を聴かせているが、華麗さや艶やかさよりも、むしろ素朴さを思わせ、それをアバド一流のリリシズムによって、古典的なロマン性とでもいえる表現に生かしている。

アバドのしなやかな感性を伝える1枚で、淡いロマン性に彩られた演奏はこのうえなく美しい。

ヨーロッパ室内管の瑞々しい音色、オッターの楚々とした歌いぶりも作品に似つかわしい。

また、例によって版に対するこだわりを見せているのもアバドらしいところ。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)トラックバック(0)シューベルトアバド 

2009年04月17日


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ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で、最も抵抗なく音楽の立派さ、美しさに浸れる名演だ。

この曲の録音中、最も癖のない演奏だろう。

音色にも表現にも過不足がなく、それでいて物足りないかといえば、そうではない。他の誰よりも音楽の魅力を堪能させてくれるのだ。

部分的にはもう少し奔放な表情などもほしい気もするが、それはあくまで趣味の問題である。

万人向きで、これだけハイクラスの名演も珍しい。

とにかくシェリングはヴァイオリニストの存在をまったく忘れさせて、われわれを曲自体に結び付けてくれる。

シェリングの3度目の録音で、純粋という言葉がぴったりの、崇高なまでの美しさにあふれた演奏である。

ロイヤル・コンセルトヘボウならではの、ふくよかであたたみのある響きとともに、彫琢された音楽をつくりあげていて立派だ。

ことにがっしりとした風格をもった第1楽章は立派である。

2つのロマンスはハイフェッツのコクのある表現とグリュミオーの美しい音色をあわせもったもので、両曲とも、繊細な感覚で丹念に表現しているところがよい。

たかだか10分にもみたない曲を、これほど気高く演奏できるヴァイオリニストというのも、珍しい。

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classicalmusic at 00:03コメント(0)トラックバック(0)シェリングハイティンク 

2009年04月16日


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全6曲をきわめて集中力の強い演奏で弾き上げているのはクレーメルである。

シゲティの"精神"的な演奏や、シェリングの端正だが気迫のこもった名演のあとで、底知れぬスケールの大きさを感じさせたのがクレーメル盤であった。

クレーメルはヴァイオリン的とか美感とか、感覚的な享楽性を完全に排除して、ただひたすらバッハの作品を完璧に忠実に再現しようと心掛けた、現代の演奏家の良心のようなものを感じさせる。

技術的にはまったく完璧そのもので、これほど非情に弾き上げられた例は、前代未聞といえるだろう。

抜群のテクニックで、これらの技巧的な作品にみなぎる劇的な性格を、独自の創造精神であらわした演奏で、各曲を、鋭く、激しく、あざやかに弾きわけながら、豪快で、かつ、緊迫した音楽をつくりあげている。

ここでのクレーメルは、かつてないほど激しく鋭角的な表現を目指す。ここまで気迫がこもっているのは、クレーメルの覚悟の大きさを思わせる。

肉を切らせて骨を切るといった、武道の奥義といった風情すら窺える。

それは3曲のソナタによく表れており、特にフーガ楽章、最終楽章での気迫の充実が注意をひく。

超人的な技術を必要とするフーガがことにすばらしく、難しい三重音や四重音を楽々とこなしている。

またパルティータでは、さまざまなリズムをもった各舞曲を、メリハリをきちっとつけながら弾きあげていて、見事だ。

クレーメルの演奏を聴いていると、ヴァイオリンの演奏を聴くのではなく、音楽そのものを味わう気になってくるから不思議である。

パルティータ第2番終曲のシャコンヌは、極めて構造的な解釈と演奏で、楽譜を依りどころとして鮮やかに鳴り響いており、その鋭利な演奏は言語に絶する凄絶ささえ感じられる。

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classicalmusic at 00:05コメント(0)トラックバック(0)バッハクレーメル 

2009年04月15日


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第4楽章アダージェットの旋律が、映画『ヴェニスに死す』の中で使われて一躍有名になったため、マーラーの交響曲の中でも、この第5番はとびぬけて人気が高い。

インバルの演奏は、その有名な第4楽章アダージェットを、実に美しく表現した演奏である。

フランクフルト放送響の深く落ち着いた響きが魅力で、旋律をゆったりと歌わせながら、きめこまやかな演奏をおこなっている。

第1楽章からして、鋭く切り込んだ悲劇的な色合いを濃厚に表現しているが、インバルはあまり自己主張をしないで、アクの強さを強調せずに、自然な流れを大切にしているところがよい。

インバルのマーラーは、曲を追うごとに清潔さと感興に満ちた歌が加わっており、それがみずみずしい音楽をつくり出している。

この演奏での頂点は第4楽章の有名なアダージェットの息長く緻密で軽やかな美感と、終楽章のロンドにある。

この2つの楽章で、インバルは彼の音楽性の最良の部分を示しており、強い主張と見識をもった演奏を聴かせてくれる。

彼が1987年秋に来日した際のこの曲の演奏は絶品であった。

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2009年04月14日


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ラフマニノフを得意とするアシュケナージの録音のなかでも、その長所が端的に発揮された名盤。

まず、肉厚で暖かみがあり、ほのかな陰影をたたえた彼のピアノの音がこの作曲家の作品にぴったり。

そして、それぞれの曲が持つ雰囲気を表現し尽くすのには彼が持つロシア人のテンペラメントが大きく役立っているように思われる。

アシュケナージのラフマニノフはスケールの大きい演奏ではないが、外見的な壮麗さを排し、精神の慰めと調和を作り出すことによって、1曲1曲に音楽としての生命を吹き込んでゆく。

同じようにラフマニノフを得意とするピアニストでも、ホロヴィッツの場合など奏者の個性が強く出る場合が多いが、アシュケナージの場合は、作品自体に語らせるという姿勢に貫かれている。

「前奏曲集」では、アシュケナージの響きによってラフマニノフの清新なイメージが喚起されてくるのを感じる。

ロシア的なロマンティシズムを濃厚に漂わせた演奏で、各曲をすこぶる多彩な音色で弾き分けている。

技巧面でも内容面でも、大家を思わせるかのような風格と、威厳があり、アシュケナージの円熟ぶりを示した好演である。

「ソナタ第2番」はきわめて大言壮語な装いをもった作品だが、彼はここでも真のリアリティを甦らせている。

1913年の原典版を使った演奏で、アシュケナージは、華麗なホロヴィッツの演奏と比べると、音楽の内面に深く沈潜した表現で、じっくりと聴かせる。

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2009年04月13日


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auditeからクーベリックのマーラー・ライヴ・シリーズが出て、ようやくこの指揮者のマーラー演奏に注目が集まってきた状況下ではあるのだが、それにしては指揮者クーベリックとバイエルン放送響とによる「マーラー/交響曲全集」(DG盤)が、いくぶんなりとも等閑視されすぎているのではないだろうか。

この全集は、1967年から71年にかけてつくられたもので、マーラーの全集盤のなかでは最も初期に属するもののひとつであり、その点でも意義があるのだが、内容的にいっても充分すぎるほど充分に現在でも通用するものである。

クーベリックという指揮者は、決してサービス精神にあふれるというタイプではないものの、ややもすると地味に見えがちなそのたたずまいの内には、伝えるべき多くの事柄を秘めており、いつも中味の濃い演奏をつくりあげていて、決してルーティン・ワークになってしまうことがない。

きちんとした構成力と、力強く、落ち着きのある表現とで、全体を堂々とまとめあげている。

マーラーの音楽再現にぜひとも必要な複雑な要素に対しても、クーベリックは余裕をもって応じきっており、危うさがない。

全9曲の交響曲を通して、特にどれがすぐれているということはないものの、弱いものはひとつもなく、いずれも水準が高く、安心して聴くことができる。

今日の若い指揮者たちのマーラー演奏でよく見かけるような、表面上は整然としているものの、中味はなんにもないといったものとはおよそ正反対に位置している演奏内容だ。

マーラーの音楽と真摯に取り組もうとする聴き手には、ぜひとも注目してもらいたい全集である。

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2009年04月12日


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バックハウスならではの端然とした表現にひかれるディスクだ。

バックハウスのようなヴィルトゥオーゾ型のピアニストが演奏した《楽興の時》は、いうなれば「鶏を割くに牛刀を用いたケース」と考える人がいるかもしれない。

周囲を見れば小曲向きの、小回りのきく器用なピアニストが少なくないではないか、と。確かにそうなのだが、この種のピアニストが演奏した《楽興の時》には、共通する短所がある。とかく作品が矮小化されてしまうこと。

そこにいくとバックハウスは違う。彼はこまごまとしたことには神経質にならず、実におおらかに演奏を繰り広げてゆく。ピアニストとしての器の大きさが、それを可能にしているのだろう。

おおらかなその演奏の内部にはシューベルトの抒情があふれ、それに加えて作品に対するバックハウスの温かい思いやり、バックハウスならではの風格も感じられる。

バックハウスの演奏というのは、ベートーヴェンを弾いた場合もそうだが、実に淡々と弾きあげていながら、そのなかに、枯れた味わいといったものがある。

ここでも堅実そのものの表現を行いながらも、そこに、即興的な適度な"遊び"の気分を表出していて聴かせる。

感傷的な抒情はいっさい排除されているが、いいたいことはいい切っているといった、音楽にとって真にエッセンシャルなものだけが提示されているシューベルトである。

何の気負いもなく、誠実にシューベルトに対しているバックハウス。親しみを覚える演奏である。

シューマンでも、決してこの作曲家のロマンティシズムには溺れない。二次的な雰囲気は全く漂っていないのに、その演奏はまぎれもなくシューマンの想念を伝えているのである。

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2009年04月11日


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ロベール・カサドシュというピアニストは、私自身、特に深く魅了されているとか、よく理解しているというような存在ではない。フランス音楽を中心にして、個性的な活動を行なったことは知っているものの、だからといって、そのレコーディングのひとつひとつが最良のものと思っているわけでは、必ずしもない。

だが、指揮者セルと組んだモーツァルトのピアノ協奏曲第27番の素晴らしさは特別である。ここにおけるカサドシュのピアノになら、私は心底魅了されているといってもはばからない。なんとも充実した演奏内容である。

周知のように、モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも最後に位置する第27番は、名作揃いの彼のピアノ協奏曲でも傑出した作品として知られている。まさに、傑作中の傑作とでもいうべき作品だ。

そのせいか、以前から、この曲には名盤と評価すべきレコーディングが少なくない。すぐにでも3つ、4つの名をいうことができる。

しかしながら、それらのなかでも、私自身、このカサドシュ盤が特に好きだ。

カサドシュ独特の、やや硬質で、個々のツブだちのよい音が、ここでは最良の成果に結実しているように思える。その底光りするような澄んだ音が、モーツァルト最晩年の音楽の姿を克明に映し出しているような様子が、実に素晴らしい。

カサドシュの全貌に通じているわけではないのだけれど、この演奏ひとつでも、彼のピアニストとしての名前はいつまでも残るように思える。それほど価値のある演奏内容だ。

もちろん、ここではセルによる伴奏の見事さについても、忘れずに指摘しておかねばなるまい。きりりとした構成力によって、少しも無理もなく整然と仕上げられたセルのモーツァルトは、きわめて含蓄豊かで、独奏者を鮮やかに支えきっている。

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2009年04月10日


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この作品の最も優れた録音の一つにあげられるもの。

個々の歌唱の卓越、役柄との適正もさることながら、ショルティが音楽の自律的な美しさの前に敬虔さを失わず、従ってそこには深い感銘と同時に、開放的な愉楽があり、モーツァルトの天衣無縫の音楽が生き生きと息づいている。

「モーツァルトに端役なし」とは、誰が言った言葉かは忘れたが、けだし名言だと思う。

特に「魔笛」のディスクを選ぶ場合などは、私の脳裏にはつねにこの言葉が貼りついて離れない。

「魔笛」こそは、モーツァルトが「後宮からの逃走」で確立した"ドイツ語オペラ"により発展した姿であり、モーツァルト・オペラの集大成なのだから。

「魔笛」という作品の成立を考えると、パパゲーノとパパゲーナ(そしてモノスタトスも)、声楽家としての名人芸よりも、役者としてのパーソナリティの魅力が必要である。

一方、至難の名人芸を求められる夜の女王、ドイツのヘルデン・テノールの先祖ともいうべきタミーノ、低音の威力と人間性が求められるザラストロをはじめ、意外なテクニックを求められるパミーナには、声楽家としての技量が不可欠だ。

3人の童子や3人の侍女には、何よりも洗練されたアンサンブル能力が求められる。

それらの要素を最も満たした録音が、クレンペラー盤とショルティの旧盤であろう。

クレンペラー盤が台詞なしであるのに対し、こちらはジングシュピールの面白さも堪能できる。

ドイテコムの夜の女王、プライのパパゲーノ、タルヴェラのザラストロ、シュトルツェのモノスタトスは最上の歌唱。バロウズのタミーノが弱いのが惜しまれる。

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2009年04月09日


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1904年にパリで生まれたヴラド・ペルルミュテールは、13歳でパリ音楽院のコルトーのクラスに入り、15歳でプリミエ・プリ(一等賞)を得たピアニストだが、1927年、彼が22、3歳の時に約半年間にわたって、週に数回のラヴェルの特別レッスンを受けた唯一人のピアニストとして知られている。

ラヴェルは自分の音楽をどのように演奏すべきかを確信を持って指示する作曲家だったと、ラヴェルの親しい友人だったモランジュが語っているが、ペルルミュテールは、そうしたラヴェルから、まだ2つの協奏曲は書かれていなかったが、それ以前のほとんどの作品についての作曲者の注解を、具体的な運指法やペダリングに至るまで体得する機会に恵まれた訳だ。

もちろんそれは、ペルルミュテールがラヴェルの意図を実現する演奏者としての技術を持ち合わせていたからのことだ。

そのペルルミュテールがラヴェルのピアノ曲をまとめて収めたものには、2種の録音がある。一つは1970年代録音の英ニンバスによるステレオ盤で、もう一つがこの米ヴォックス原盤による1950年代のモノラル盤だ。

ニンバス盤はさすがに時としてタッチに往年の冴えがないのが惜しまれるが、それでもきらきらした色彩感にあふれた音がしっかりと捉えられた録音となっている。

それに比べると、このヴォックス盤は録音状態が良好とは言えず、もどかしさがつきまとうが、それでも、テンポや間の取り方など、参考になるものも多い。

一応全集とは銘打たれているが一部の曲は省略されている。また、2つの協奏曲は彼の唯一の録音と思われる。

古典派の音楽などとは異なり、この時代の作品になると、こうした<証言>がレコードとなっているから、その次世代が、自身のスタイルを確立するのを聴く楽しみも増えるわけだが、とりあえずはペルルミュテールの演奏を聴いておきたいものだ。

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2009年04月08日


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ギーゼキングが弾くモーツァルトが魅力たっぷりだった理由は、色々考えられるであろう。

そのひとつに、弱音がとりわけ見事だった点を挙げておきたい。mp,p,ppといった弱音のあらゆる段階で、むらのない均質の音がなめらかに弾き出される。急速楽章であろうが緩徐楽章であろうが、あるいは旋律線であろうが伴奏音型であろうが、弱音のすべてが、それ以上には望めないほど磨き上げられている。

しかもこれらの弱音は、決してふやけておらず、柔弱でもない。音それぞれがちゃんと芯を持っている。そういう弱音が連なりあってフレーズとして歌い出されるや、聴き手の歌心をそそり、感覚的に金縛りにしてしまう。聴き手は抵抗することができない。

カラヤン。この指揮者もオーケストラの音質を磨くことでは、極めて鋭敏であった。割れた音というか、非音楽的な音を、私は彼が指揮したどのオーケストラからも聴いたことがない。

そんな2人が共演した第24番。この作品は、モーツァルトの数少ない短調作品ということもあろうが、一種の音楽的"重み"を伴っているのが特色。

ギーゼキングの弱音も、カラヤンの"重み"を抜かりなく実感させてくれる。単に楽譜の表面をなぞっただけの演奏が、いかにも軽々しく感じられるのとは正反対。

さすがである。第24番は、こうでなくてはなるまい。

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2009年04月07日


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今日では"フルートの神様"と呼ばれるモイーズだが、録音当時(1936年)から彼の名声は高く、仏HMVはフルートの加わる名曲の多くで彼を起用した。

事実、モイーズのフルートは、明快なフレージングと澄んだ響きでモーツァルトの音楽の晴れやかな世界に聴き手を導いていく。

彼のテクニックは完璧だが、決してヴィルトゥオーゾ的ではなく、音色は変化に富んでいたが、決して華美に流れなかった。

そして、解釈は常に節度があり、それはフランス人が目指す"良識"を見事に体現していた。

第2次世界大戦後にフルートの世界は広がり、多くの優れた演奏家が生まれたが、未だにモイーズを超える人を私は知らない。

また、この演奏はフランス人のモーツァルトに対する姿勢を示している点でも貴重である。

フランス人の解釈、演奏様式は、ドイツ系のそれとは明らかに違う。フルートの音色も明るく冴えていて、響きは澄んでいる。そしてテンポは速めでリズムも軽やかである。

このようなテンペラメントは、同じ作品を演奏しても独特のモーツァルト像を生み出す。

モイーズの演奏もこの系統に属しているが、古典精神に通じる端正な様式は、いわゆる"粋な"様式とは一線を画している。

そこには品位があり、それが洗練された感覚と結びついて演奏に高雅な雰囲気をもたらしている。

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2009年04月06日


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「ひばり」四重奏曲を初めて録音したのはカペー四重奏団である。これはプラス面とマイナス面を併せ持つことになった。つまり、最高の演奏でこの曲を聴けた幸福と、その後どの演奏を聴いてもこれほどの満足を得られなくなった不幸である。

この演奏は、カペー四重奏団がカペーの死(1928年)で解散する直前に録音された。当時、カペーはパリ高等音楽院の教授であり、ソリストとしても活動し、彼の弦楽四重奏団はヨーロッパで高く評価されていた。

彼らが残した録音の中でも、「ひばり」は作品の性格から最も親しまれていた。それは音楽の古典的な形式によることもあろうが、カペー四重奏団の一度聴いたら忘れられない魅力も大きく与っている。

やや速めのテンポと軽快なリズムがもたらす流動感もさることながら、明快なフレージングと透明感のある音が結びついて純度の高い演奏を生み出していた。カペーの音色には、およそ官能的ではない美的感覚があり、それはこの世ならぬ魅力を持っていた。

ハイドンをはじめとするウィーン古典派の音楽にウィーンの演奏様式が一定の魅力を持つことは否定しないが、カペー四重奏団はそのような次元を超えた高貴な様式で演奏している。

私は、演奏を評価する時に"品位"をひとつの尺度にしているが、この演奏は、ハイドンの音楽とカペー四重奏団の演奏が期せずして高い品位を共有していることを証明している。

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2009年04月05日


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イギリスの名指揮者バルビローリは、マーラー、シベリウス、ブラームスの交響曲やイギリスの管弦楽曲の録音が有名だが、オペラにおいても名演を残している。

パーセルの「ディドとエアネス」やヴェルディの「オテロ」と並んで、この「蝶々夫人」は、このユニークな名指揮者の芸術を偲ぶ上でも、彼のファンには忘れ難い一組だろう。

プッチーニという"世話物オペラ"の巨匠の作品を、バルビローリほどに、濃やかな情感、感情面に光を当て、美しい抒情の世界として描き出した指揮者はほかに例をみない。

バルビローリの晩年を特徴づける美しい抒情性とスケールの雄大さ、そして温かく細やかな情緒の表出を満喫できる。

この指揮者の演奏を愛する人なら、これもまたかけがえのない魅力を味わわせてくれる宝物となるはずだ。

ローマ歌劇場オーケストラの技量に不満も残るが、この曲の最も美しい演奏のひとつが、バルビローリ盤であるのを疑う余地はないだろう。

愛らしくて、男なら抱きしめたくなるような魅力をもつ若き日のスコットの蝶々さんは、心理描写が巧みで、幸福の絶頂から絶望して自決するまでの蝶々さんの心の動きを見事に演唱しきっていて、蝶々さんの悲劇に切実な真実味を与えた稀有の名唱だ。

このスコットの身上である絶妙な心理表現の綾に、ベルゴンツィの若々しい美声による様式美に満ちた格調の高い名唱や、人間性の表出においてシャープレス役随一の名唱といえるパネライの滋味あふれる役作りが加わって、この名盤の価値をいっそう不動のものにしている。

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2009年04月04日


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同曲の初のステレオ全曲盤だった。

マゼールはこの作品をオペレッタでもミュージカルでもなく、ジャズ・ドラマやブラック・ブルース、あるいはプリ・ソウルのいずれでもなく、あくまでもオペラとして、古今のオペラの傑作に捧げるのと同じ配慮と献身をもって演奏している。

ガーシュウィンが活用している様々な素材や手法が周到にいかされているだけでなく、深い愛着と思い入れが加わって、演奏全体に一種の熱っぽい迫力さえ感じられる。

マゼールの棒があまりにも洗練されすぎているのと、ポーギーとベスを歌うホワイトとミッチェル以下、黒人ばかりのキャストでありながら、いずれも、やや型にはまった感じで、黒人的な体臭に欠けているのが残念だが、全体を骨太に、手際よくまとめているところがよい。

マゼールの手にかかると、この作品の随所にあらわれる「サマータイム」や「ベスよ、お前はおれのもの」といったポピュラー・ソングとなっているナンバーが、きわめて格調高く聴こえてくるから不思議だ。

マゼール指揮の演奏が圧倒的なことに変わりは無く、こうした通常のコンサートで指揮しない曲で示されるマゼールの鋭い洞察力と身に備わった劇的な構成を音で表す力量は凄い。

当時は無名だったキャストも主役2人を始めとして後に活躍している名前が多いことも注目される。

録音も含めてオペラの製作に歴史と経験を持つデッカならではの総合的な完成度の高さは、この曲を初めて聴く人にも必ず楽しめる配慮にあふれている。

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classicalmusic at 07:15コメント(0)トラックバック(0)ガーシュウィンマゼール 

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ステレオ初期の名盤といわれていたものだが、CD化され、その音もみずみずしく蘇っている。

クリュイタンスの「幻想」にはこのほかにパリ音楽院管弦楽団との来日公演盤もCD化されているが、金管のパートにやや荒さが目立つのと、録音の点で、ここではこのフィルハーモニア管弦楽団のほうをとった。

クリュイタンスの解釈は、ロマンティックな情緒を現代的な感覚で処理したところにある。

したがって情感の潤いにはやや不足する点もあるが、少しも固くならず、やはり柔らかく冥想的な要素をはっきりつかんでいる。

まことに徹底した「幻想」の表現である。

曲の開始第1音から終楽章の最後の和音まで、すべての楽想が生き生きと再現されているばかりでなく、曲想のくまどりがくっきりとしているし、その上ごく自然でしかも生気に満ち、馥郁たる香気を放つ。

単に曲想が克明に描き出され、ファンタジーに満ちているというばかりでなく、気品があるということが、何よりクリュイタンスの特長なのである。

イギリスのオーケストラなので音色に華やかさこそないが、現代的で音色感のはっきりしたこのクリュイタンス盤を推奨したいと思う。

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2009年04月03日


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この作品はクリュイタンスの資質にぴったりして、間然するところがない。

ベルリオーズの激しい情熱の反面にある静かな抒情のひとときが、何よりベルリオーズその人の人間性を描いている。

クリュイタンスのベルリオーズに対する"愛"が、こまやかに語られる。

クリュイタンスの長所が生かされた演奏であり、みずみずしいエレガントな雰囲気と香りは何ものにも代えがたいものだ。

特に風景の喚起力は抜群で、聴き手を牧歌の異空間や、この上なく自然に、親しみを感じさせながら誘い込む。

そして全体を夢見るような浮遊感と臨場感を漂わせながら、ちょうど映画のシーンの転換のように、情景をなめらかに移し換えてゆくのである。

クリュイタンスは、こういう劇的表情のものになると、曲の動きとその情緒的な展開をうまく一致させている。

交響曲などでみせる冷たさは少しもなく、見事である。

オーケストラもうまい。

歌手では特にテノールのジロドーとバリトンのノゲラが素晴らしく歌い上手で申し分ない。

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2009年04月02日


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ブーレーズのストラヴィンスキーは実に面白い。

バレエのシーンがオーヴァーラップしていく音楽の並列的な構成が、スリルいっぱいの音響空間へと見事にまとめられている。

視覚的なイメージを刺激する色とりどりの音が溢れている1911年版による「ペトルーシュカ」の、思わずむせかえるような鮮やかさ、そして、ロシアの爆発するような春の訪れを描いた「春の祭典」のリズムの明晰さと奔放なエネルギーの発散。

いずれもこれ以上の演奏はなかなか望めない名演である。

ブーレーズはかつて、「ペトルーシュカ」を1971年にニューヨーク・フィルと、「春の祭典」を1969年に、この録音と同じクリーヴランド管弦楽団と録音している。

どちらもリリースされた当時、大変話題となったアルバムで、特に後者はその録音を待って、ようやくストラヴィンスキーの「春の祭典」の作品としての奥行きがわかったと言ってもいいほど、センセーショナルだった。

1991年に録音されたこの新しい盤は、いくらかテンポが動いているところはあるが、どちらの曲も以前の解釈と根本的な違いはない。

しかし、ブーレーズの指揮者としての円熟を示すかのように、肩の力が抜けて表現にも余裕が出てきた感じで、クリーヴランド管弦楽団の精度が向上したのと相まって、健康的に音群が炸裂していく。

スケールもはるかに大きく感じられる。

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2009年04月01日


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フランソワは46年という短い生涯のなかで(1924-70)、ショパンを愛し、お酒を愛した名ピアニストで、演奏も生活も奔放とも言える天才肌だった。

特別な人を選んで溢れんばかりの才能を与えるのも神なら、その当人を46歳で早世させるのも神なのだ。

6歳ですでにヨーロッパ各地で演奏会を催し、パリ音楽院を一等賞を得て卒業し、ロン=ティボー国際コンクールの第1回で大賞を受賞という経歴から想像する「筋のよさ」や「よく構成された」種類の演奏と、実際の彼の演奏は大分異なる。

私がフランソワに魅せられるのは、彼のピアノがもたらす確信に満ちた風情である。

「ショパンの音楽はこんなに強く激しく自分を主張していたのか!」と耳が驚く。

フランソワの確信は彼が「作曲家としてもモダンで詩的な作風で知られる卓越した一人である」ことから来ているのだ。

それだけに同じショパンを弾いても、いわば無碍の自在さがあり、知りぬいた曲を、常に新しい感動を以て接する気配があった。

つまり即興の持つ気力の充実が、彼の演奏に新鮮さをもたらしていたわけだ。

どの演奏を聴いてもフランソワらしからぬものはないといってよく、ショパンを愛したユニークなピアニストの音楽を堪能することができる。

とにかくショパンの作品の隅々から、思いもかけないたっぷりと充実した表現を引き出してくる業は、実にスポンテイニアスだ。

努力や学習によって身に付くものでないだけに、今日ますます貴重なものに思えてならない。

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