2012年08月

2012年08月31日


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1951年11月6日 ニューヨーク、カーネギー・ホールでのモノラル録音。

本盤を聴いて先ず感動したのは、XRCD化による見事な音質だ。

トスカニーニのCD中、おそらくはトップの座を争うほどの高音質に改善されており、特に、第2楽章の終結部のヴァイオリン・ソロのシルキーな音色など、最新録音にも優る信じ難い鮮明な音質である。

まず耳につくのは、低弦の圧倒的に豊かな充実ぶりで、今までのCDとは別の音源を聴いているようだ。

オケの美しい音全体に広がりが出て、演奏にも以前の性急さが薄れ、余裕があるように感じる。

巷間、トスカニーニは、快速のイン・テンポを信条とする指揮者だと言われているが、確かに、過去に発売された数多くのデッドな劣悪音質のCDを聴いていると、そのような印象を受けるのも否めない事実であろうが、本盤のような高音質CDを聴くと、トスカニーニが、決してそのようなイン・テンポ一辺倒の指揮者でないことがよくわかる。

テンポは場面場面で的確に揺れ動くし、特に、終楽章の中間部の低弦による名旋律の主題の歌わせ方など、快速トスカニーニのイメージを根底から覆してしまうほどの、堂々たるテンポ設定だ。

それにしても、隋所に聴かれる旋律の艶やかな歌わせ方の巧妙さをどう表現すればいいのだろうか。

もちろん、圧倒的な迫力にもいささかの不足はなく、とても90歳に近い老巨匠による指揮とは思えないぐらいの生命力に満ち溢れており、トスカニーニの魂の演奏がXRCD化によって蘇っている。

トスカニーニならではのぐいぐいと攻めるかのように豪快な第1、第4楽章は圧巻!

無いものねだりながら、ブラームスの「第2〜第4」も、XRCD化して欲しいと思ったのは、筆者だけではないと思われる。

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2012年08月30日


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ミュンシュのドラマティックな表現力が極限まで発揮された『ブラ1』の名演。

ボストン響のパリッと冴えた輝かしい金管の響きを効果的に生かしながら、凄まじい推進力で全曲を聴かせてしまう勢いを備えており、有名な最晩年のパリ管弦楽団とのEMI録音とはまた別の味わいを持つ、より剛毅な迫力に満ちた男性的な解釈といえよう。

この演奏にしかない明るさと力強さ、そしてトスカニーニのカンタービレような深い歌い込みも感じる。

また、晩年のパリ管弦楽団よりもアンサンブルの精度が高いのも魅力である。

ミュンシュは、フランス人でありながらドイツ音楽を得意としており、その中でもブラームスは十八番の一つであったと言われる。

本盤の「第1」は、あのパリ管弦楽団との名演の12年前の録音であるが、パリ管弦楽団との名演が、オーケストラとの出会いが浅かったこともあってなのか、出たところ勝負のライヴ的な迫力が持ち味であるのに対して、本盤の演奏は、ミュンシュの芸風や人となりを深く理解したオーケストラの安定した演奏が魅力ということが言えるだろう。

もちろん、安定とは言っても、それは安全運転という意味ではなく、ミュンシュならではの劇的な迫力にもいささかの不足はないのはさすがと言うべきである。

終楽章の有名な旋律を、超スローテンポで演奏するなど、一筋縄ではいかないところもある。

ドイツ風な重厚さよりも直線的なダイナミズムを重視したその解釈は、陰鬱なブラームス像を好まないファンからは熱狂的に支持されよう。

「悲劇的序曲」は、快速のテンポによる劇的な名演で、指揮者の手足と化したオーケストラの充実ぶりと相俟って一気呵成の進行が聴きもの。

それにしても、Biu-spec-CDの音質向上効果はめざましく、ステレオ初期録音が、あたかも最新録音かの如く聴こえるのは実に素晴らしいことだ。

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2012年08月29日


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マーツァルのマーラーは、第1弾〜第3弾となった「第5」、「第3」、「第6」は大変な名演であり、その後のシリーズを大いに期待したが、それに続く演奏も決して悪い演奏ではないものの、マーツァルにしてはやや低調な出来が続いていたような気がする。

しかし、この「第1」は、マーツァルの純音楽的なアプローチが曲想に符合していることもあり、「第6」以来の名演であると言える。

今までさまざまな「第1」を聴いてきたが、およそ作為的要素のない、自然な仕上がりで、みずみずしさがあり、またあちらこちらに美しい瞬間があり、まるでチェコやボヘミアの美しい田園地帯を想像させる。

マーツァルのマーラーは、バーンスタインやテンシュテットのような劇的な演奏、カラヤンのような耽美的な演奏、ショルティのような鋭角的な演奏と言うような、一言で言い表すことが可能な特徴があるわけではないが、オーケストラを無理なく鳴らし、曲想を伸びやかに歌い上げる点が素晴らしい。

いい意味でのローカル色が残るチェコ・フィルと組んでいることもプラスに働いていると思われ、この「第1」でも、最強奏から最弱音に至るまで表現の幅は実に広く、特に、最強奏における金管楽器の光彩陸離たる響きは、幻惑されるような美しさだ。

チェコ・フィルも実にいい風合いで、いつもながら弦楽器の質感が伝わってくるような美しさは特筆ものであろう。

バーンスタインやテンシュテットの超絶的ライヴと比べると物足りない部分もあるが、この曲を美しくまとめたマーツァルの手腕は高く評価されよう。

マーツァルはノイマンと同じく、恣意的なことはしない指揮者だ。

ひょっとしたら、晩年のノイマン(神々しかった)を超えるかもしれないと期待している。

SACDによる高音質録音も実に水準の高いものであり、本盤の価値をさらに高めることに貢献している。

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2012年08月28日


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ドイツの名指揮者クルト・ザンデルリンクが昨年の9月18日、ベルリンで亡くなった。98歳だった。1912年生まれ。老衰とみられる。

遅ればせながら、心よりご冥福をお祈りします。

彼はドイツ生まれながらユダヤ系だったため、ナチスが台頭するとソ連へ移住し、レニングラード・フィルの指揮者を務めた。

戦後の1960年に当時の東ドイツに戻りベルリン交響楽団(現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)の首席指揮者に就任し、このオーケストラを一流のオーケストラに育て上げた。

本盤に収められた「第2」(1973 Live)と「第5」(1984 Live)もベルリン響を指揮したライヴ録音で、録音年代に10年以上の開きがあるが、両曲ともに、やや遅めのテンポで一貫した剛毅にして重厚な名演だと思う。

「第2」は、ザンデルリンクの愛奏曲とのことであるが、剛毅なたたずまいながら、決して鋭角的な印象を与えることなく、むしろ、旋律を風格豊かに、自然体で歌い抜いている点は、いかにも同曲を自家薬篭中のものとしていることが伺える。

「第5」は、ザンデルリンクが晩年にレパートリーから外した曲とのことであるが、演奏の特徴は「第2」とほぼ同様で、細部まで良く練られた、さすがの仕上がりだと思う。

第3楽章の堂々たる歩みや低弦のうなるような響きなど、音の重心が低く、重厚さがより際立っている。

「第5」で特に興味深かったのは、第1楽章の何度も繰り返される有名な第1主題の動機で、この主題の3連符を抑揚をつけたりせずに、一気呵成の急速テンポで演奏している点。

主部のテンポはやや遅めなので、余計に目立つが、決して違和感を感じさせないのは、ザンデルリンクが、「第5」を完全に掌握していることの証左と言えよう。

録音は、おおむね鮮明であるが、「第2」については、冒頭の音の若干の揺れや、隋所に見られる不自然なエコーなど、録音の古さが目立つ点が惜しまれる。

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2012年08月27日


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アシュケナージの新たな手兵、シドニー響と描くラフマニノフの世界。

シドニー響のブリリアントな響きと、アシュケナージの統率力、構成力が一体となって、魅力的なラフマニノフ・ワールドを築き上げている。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管との全集に次ぐ2度目の全集である。

オーケストラの質や力量の違いもあって、筆者としては、旧全集の方を今なお上位に置きたいが、ラフマニノフはアシュケナージの得意の楽曲だけあって、本盤でも、決して一流とは言えないシドニー交響楽団を見事に統率し、抒情溢れる名演を成し遂げている。

旧盤と比較すると、やや角が取れ丸くなった印象があるが、それは、アシュケナージの円熟と無関係ではないだろう。

これは名演だ。大いに堪能した。

ラフマニノフの作品は陰鬱な抒情と纏綿たる情緒が特徴だから、それらを照れずに表現すればそれだけでかなりの満足度が保証される。

アシュケナージの指揮は旧盤より一層語り口がうまくなって歌も迫力も申し分なし。

オーケストラの精度は、ランク付け的には旧盤のロイヤル・コンセルトヘボウ管にかなわないだろうけど、ここでは不満はなし。

併録の「カプリッチョ・ボヘミアン」のようなラフマニノフの初期の曲を、魅力あふれる楽曲に仕立て上げるのも、ラフマニノフを得意とするアシュケナージならではの力量だと言える。

全てにおいて、巨匠アシュケナージの音楽的底力である、テンポ感、リズム感、前進力、構成力には脱帽だ。

ともかくこれからの両者のレコーディング活動に存分に期待できる新鮮な録音となった。

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2012年08月26日


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本盤が録音された1981年といえば、マゼールがクリーヴランド管弦楽団の首席指揮者の最後の時期で、これからウィーン国立歌劇場総監督に就任という、最も上げ潮の時期であった。

これまで聴いてきた『惑星』の中でも、これこそ「決定的名演」といえるくらい素晴らしい。

この曲はまさにマゼール向きの曲であり、いろいろ他のディスクも聴いたが、やはりこれを上回る響きと色彩と迫力と構成感を持ったものはなかった。

まさにステレオを聴く醍醐味にあふれた素晴らしい演奏であり録音だと思う。

本当はクリーヴランド管と演奏しても悪くはなかったのだが、ここでは「人生で一番決定的な演奏を残そう」という思いからフランス国立管を起用したのは好判断だと感じた。

冒頭の「火星」から、金管や打楽器による除々に迫りくる緊迫した音色、「金星」では一変してホルンやヴァイオリンのソロによる静まりかえったような雰囲気はとても冴えている。

他の曲もテーマによってカムフラージュするオケとマゼールの指揮さばきは、聴く者を捉えて離さないといった性質を持っているように感じ得た。

マゼールのように、演奏スタイルがコロコロ変わる指揮者は、ワルターなど少数であるが、この時期のマゼールは、新しい解釈をしようという意欲が旺盛。

したがって、演奏によってはそれが空回りし、いささかやり過ぎの印象を与えるものもあるが、この『惑星』については、そうした表現意欲と楽曲の曲想が見事にマッチした名演になっている。

「火星」や「天王星」の終結部のように大見得を切る解釈や、「木星」の中間部の猛烈なアッチェレランドのように、いかにもこの時期のマゼールならではの意欲的な解釈も散見されるが、造型についてはいささかの弛緩もすることなく、統御が困難と言われるフランスのオーケストラを卓越した統率力でコントロールし、全体として個性的な名演を成し遂げた点を高く評価したい。

併録の「3つのオレンジへの恋」は、『ロミオとジュリエット』全曲でも名演を成し遂げ、プロコフィエフを得意としたマゼールならではの名演だ。

歯切れ良いリズムと豊かな表現づけが、バレエの明るい雰囲気を生き生きと伝えている。

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2012年08月25日


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マゼールはオーケストラを音楽的に煽り立て、聴き手を興奮させるのが巧みな、いわば"演出"に長けた指揮者といっていいだろう。

それが彼の音楽的共感の反映なのか、それとも職業的経験がなせる業なのか、判断しかねるけれど、多分両々相俟ってそうなるのではないか。

ただしここでのマゼールは、オーケストラを煽るのではなく、その自発性を引き出そうとしているかのよう。

名門集団は煽らずとも音楽的成果を上げ得ると確信していたからに違いない。

従って演奏全体には、いつもの彼より悠揚とした感じが漂っているような気がする。

フランス風のエスプリでもなければ、ラヴェルのスペイン趣味も聴かれない、鬼才マゼールの独壇場!

しかし一度聴いたらもう二度と忘れられないマゼール&ウィーン・フィルのラヴェル。

全曲通して、悪夢を見ているような濃厚さが強烈そのもので、これは、鬼才マゼールならではの個性的なラヴェルである。

もっとも《ラ・ヴァルス》と《ボレロ》は、いつものマゼールだ。

ただ、ウィーン・フィルのどこまでも美しく繊細で、なおかつ最強奏になっても決して気品を失わない演奏が、本盤の演奏を過激なものとしてしまう寸前で止める結果になっていると言える。

したがって、いわゆる名演というのには躊躇するが、ひと味もふた味も違う個性的なラヴェルを味わえるという意味では、一聴の価値が十分にあるものと考える。

ラヴェルの曲に落ちた黒い影を異常なまでにえぐり出した面白い1枚である。

SHM-CD化によって、相当な音質改善が図られているように感じた。

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2012年08月24日


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ゲルバーのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集のなかから有名な3大ソナタを集めた盤。

ゲルバーのベートーヴェン弾きとしての適性、相性の良さを十分に感じさせてくれる名演である。

技巧、音楽性、表現力ともに優れたゲルバーのベートーヴェンはのびのびとした豊かさにあふれており、重量感ある美しい響きで描き出されるドラマティックな展開に魅了される。

「悲愴」、「月光」の終楽章や、「熱情」の第1及び終楽章の雄々しく男性的な打鍵の力強さ、「悲愴」の第2楽章や「月光」の第1楽章の繊細な抒情、これらを厳しい造型の中でスケール豊かに表現している。

テンポも目まぐるしく変わり、最強奏と最弱音のダイナミックレンジも極めて幅広いが、ゲルバーの厳格なスコア・リーディングと、ベートーヴェンとの相性の良さにより、恣意的な表現がどこにも見られず、ベートーヴェンの音楽の魅力がダイレクトに伝わってくる。

往年の巨匠を受け継ぐスケールの大きい造型美、その中で情熱、叙情、幻想といったベートーヴェン演奏に求められる感情が深く崇高に弾き込まれている。

圧倒的な迫力を誇るゲルバーのピアニズムの一つの到達点とも言える演奏である。

彼はレパートリーが狭いし、結局本当の評価を得られないままだったかもしれないけれど、コンサートを聴く限り、これほどの満足感を与えてくれたピアニストはいなかった。

とりわけ、筆者は彼のベートーヴェン、ブラームス、シューマンが素晴らしいと思う。

人は巨匠名人と呼ばなくとも筆者にとっては大切な名ピアニストである。

沢山のピアニストをこれまで聴いてきたが、ゲルバーは最も才能を感じさせる一人であったことを付記しておく。

1980年代後半の録音だけに、HQCD化による音質改善の効果も著しい。

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2012年08月23日


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バッハは教会カンタータを300曲近く作曲したと見なされているが、現存しているのは200曲ほど。

カンタータはプロテスタント教会での日曜日や祝日の礼拝式のなかに組み込まれ、演奏された。

リリングはバッハの教会カンタータの真作、計194曲を、作曲年代順に収めている。

LPの段階では100枚近い巨大なアルバムだったのが、CD化されたことでスリムになった。

それでも71枚、手応えは並のものではない。

バッハの第一人者の一人リリングの、前半生の総決算と言えるだろうか(録音は1970〜80年代半ば)。

リリングの、隅々まで暖かさにつつまれた演奏は、15年にわたって録音されたバッハの教会カンタータ全集に代表されよう。

ラディカルでスタイリッシュな古楽器演奏に慣れた耳にとって、従来のリリングには微温的な印象があった。

しかし、あらためて聴いてみると、決して押し付けがましくない、安心して身を委ねることのできる音楽づくりは、彼の確立されたスタイルなのだと気が付いた。

手兵シュトゥットガルト・バッハ合奏団、ゲヒンゲン聖歌隊をはじめ、あまたの演奏家たちが共演しており、歌手のソロ・パートはベテランを主体に実力派ががっちり固めている。

全体に強い個性を発散する演奏ではないが、その分、ムラのない高水準の仕上がり。

バッハ・イヤー(2000年)を迎えて12年、さらにぐんと値下げして再発売された。

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2012年08月22日


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ブーレーズは、「モーゼとアロン」を2度にわたって録音しているが、本盤に収められたのは旧盤で、仏ADFディスク大賞受賞盤。

シェーンベルク演奏のひとつの極致を示す名演である。

最近では好々爺になりつつあるブーレーズが、前衛的な切れ味鋭い演奏を繰り広げていた時代の名演であり、筆者としては、やや角が取れた新盤よりも本旧盤の方をより高く評価したい。

シェーンベルクの未完の大作、しかも、十二音技法によって作曲された決して耳当たりのいいとは言えないこのオペラは、現在でこそ輸入盤を含めると何点かの録音が存在しているが、本盤が録音された1970年代半ばでは、きわめて珍しいものであり、本盤登場時の衝撃は想像に難くはない。

ロスバウト盤に続く国内2組目の同オペラ全曲盤であった。

ブーレーズの指揮は精妙きわまりない表現と透徹した把握が素晴らしい。

音色の鮮明さ、リズム感の鋭利さ、それらを劇的な効果と寸分の隙もなく直結させる表現力の確かさ、それはほとんど透明で官能的な明るさを湛えている。

それほどまでに、本演奏の切れ味鋭い精緻なアプローチは、シェーンベルクがその複雑なスコアに記した音符の数々を明瞭に浮かび上がらせ、複雑怪奇な本オペラの魅力を余すことなく我々聴き手に提示してくれたのが素晴らしい。

歌手陣も優秀であり、特に主役の2人、モーゼ役のギュンター・ライヒとアロン役のリチャード・キャッシーの重厚にして卓抜した歌唱が、本演奏の価値を高めることに大いに貢献している。

BBC交響楽団や合唱陣の好演も見過ごすことはできない。

併録の室内交響曲第2番も、この時期のブーレーズならではの透徹した尖鋭的アプローチが見事な名演だ。

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2012年08月21日


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ショスタコーヴィチの「第11」は、傑作が多い彼の交響曲の中では、必ずしも上位に置かれる曲ではなく、一般の人気もさほど高くはない。

それに合わせるかのように、同曲の名演もこれまで初演者ムラヴィンスキー盤以外にはほとんど生まれていないように思われる。

その中で、筆者は、このビシュコフ盤を今回初めて聴いたが、大変な感動を味わった。

というか、筆者としては、「第11」という曲の持つ魅力を堪能できたのはこれが初めての経験である。

ビシュコフ&ケルン放送響のショスタコーヴィチは、力強い、鮮烈なサウンドを聴かせてくれる。

第1楽章の王宮広場での静寂を経て、第2楽章の血の日曜日事件をこれほどまでに劇的に表現した例があったであろうか。

第3楽章の追憶を経て、第4楽章が実際に警鐘に聴こえるのには恐れ入った。

ビショコフは、マーラーでは必ずしも成功していたとは言いがたかったが、ショスタコーヴィチは素晴らしい。

鮮烈なリズム感と熱いテンションのもと、洗練された演奏を繰り広げている。

そこには、ロシア的な荒々しさよりは、あくまで純音楽的なセンスがきらめいていて、とても魅力的である。

ヤンソンスのアプローチの仕方とやや似ているが、ピショコフにはどこかしら品格が感じられる、稀な演奏と思う。

ビシュコフはやはり激しい曲をやらせたら現役で最高の指揮者の一人であろう。

ビシュコフの圧倒的な統率力と演出巧者ぶりには大変驚かされたところであり、特に、SACDマルチチャンネルで聴くと、特に第2楽章など、あまりのド迫力にぶっ飛ばされそうになる。

彼には是非、ショスタコーヴィチの交響曲全集完成に取り組んでもらいたい。

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2012年08月20日


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古楽器演奏や奏法は、かつては学究的な性格が強く、感動とは程遠い演奏が散見されたが、最近では芸術的にも通用するハイレベルの名演が増えてきつつある。

そうした名演を成し遂げてくれる指揮者の旗手の一人がジンマンである。

ベーレンライター版を使用し、そこにジンマン独自の解釈を加えたこのベートーヴェンは素晴らしい。

賛否両論のジンマンの演奏であるが、古楽風のアプローチで、溌剌として躍動感もあり斬新な演奏で大変楽しめた。

ジンマンの才能が全開した芸術的名演集であり、緩急自在のテンポで、各楽曲の性格を見事に描き分け、ベートーヴェンの交響曲と序曲の魅力を存分に味わうことができる。

ジンマンは、スコアに書かれた音符を自分自身のものとして消化しつくし、どの1ページも絵のように美しく、フレッシュだ。

伝統的で重厚なベートーヴェンを聴き慣れた耳には、違和感もあるかもしれないが、とにかく聴いていて楽しく、愉悦感のようなものまで感じる。

颯爽且つ斬新なオーケストラは、叙情性や高揚感にも不足せず、その疾走感がなんとも聴き応えがある。

金管や打楽器群の強奏、強打も気持ちがいいし、そこにジンマン独特の歌も加わり、まさに新時代のベートーヴェン像を表出させている。

しかも、こんなふうに斬新なスタイルで演奏しながら、少しも薄味になっていないのは偉とすべきだ。

ジンマンを聴いて考えさせられる事が多く、今までの巨匠達のような重厚さはないが、それらを取っ払っても面白い解釈であり、これはこれで立派なベートーヴェン演奏だし、音楽表現の未来を感じさせるものだ。

たしかに、伝統的なベートーヴェンになじんだ耳には、やや違和感を感じる向きもあろうが、これこそ21世紀のベートーヴェンだと思う。

初心者には伝統的なバレンボイム盤と、新時代のこのジンマン盤を持っていればもうこれで十分だ。

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2012年08月19日


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2000年5月、トーンハレにおけるデジタル録音。

ベーレンライター版を使用して話題になった交響曲全集に続く快挙。

今回も古典派時代本来の音楽づくりを志向している点では、交響曲のときと基本方針は同じである。

現代楽器の指揮者が、古楽器演奏の影響を受けて妙に小賢しくふるまうのはいやなものだが、ラトルとジンマンはその限りに非ずだ。

前者はまだ未完成だが、表現力は実に多彩、後者はすでに完成されており、現代楽器でこんなに見事な新スタイルのベートーヴェンをやられては、古楽器指揮者の出る幕はない。

2000年に刊行されたノルベルト・ゲルチュ校訂によるヘンレ版を使用し、手兵のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団に、シュヴァイツァー室内合唱団、オルゴナソヴァ(S)、ラーション(Ms)、トロスト(T)、ゼーリヒ(Bs)を率いて時代感覚あふれる演奏を聴かせてくれる。

モダン楽器オケに、ピリオド・アプローチを導入、ハイブリッドな古典派サウンドを創造するジンマンのいつもの手法だが、響きやフレージングのほかにも、たとえば通常の演奏とは大きく異なる快速なテンポ設定も注目されるべきポイントである。

ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」と言えば、スケールの大きい壮麗な演奏が幅をきかせているが、ジンマンはそうしたこれまでの常識を見事に覆し、フレッシュで軽妙なタッチで見事な名演を成し遂げた。

古楽器演奏や奏法を旨とする指揮者の演奏は、とかく学究的に陥り、感動とは程遠いものになる嫌いがあるが、ジンマンにはそのような心配は御無用。

冒頭からラストまで、実に感動的に「ミサ・ソレムニス」を味わうことができた。

クレンペラーの対極にある表現であるが、かつてのガーディナーの表現を推し進めた爽やかな演奏で、ジンマンの一連のベートーヴェンの中でも最高の出来ばえだと思う。

これは、現代における「ミサ・ソレムニス」の規範となるべき名演と言うことができるのではなかろうか。

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2012年08月18日


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ティルソン・トーマスによるマーラー交響曲全集の有終の美を飾る圧倒的な名演である。

現在のところ、最高の「第8」だと思うし、筆者としても、「第8」を聴いてこれほどの充足感を覚えたことは殆ど記憶がないほどだ。

アンサンブルを磨き上げて、総譜の情報を細大漏らさず拾い上げることを主眼にしているが、現在望みうる最高水準とも言える優秀な録音の助けもあって、立ち現れてくる曲の威容の見事なこと。

堂々たるイン・テンポを基調としつつ、ここぞという時の圧倒的な盛り上がりや、抒情的な箇所の天国的とも言うべき極上の美しさ。

しかし、単なるイン・テンポ主義ではなく、この全集の随所で見られた、ロマン派への先祖返りのような大胆なアゴーギクがここでも聴かれる。

合唱団や独唱もいずれも抜群の巧さで、トーマスの卓越した統率力の下、オーケストラともども最高のパフォーマンスを示している。

第1部最後の追い込みなど、もの凄い激しさにもかかわらず一糸乱れず、第2部も聴き手を飽きさせずに引きつける手腕は素晴らしい。

最後の「神秘の合唱」で、他パートが休止して女性パートだけが残る箇所がある。

最近ではコリン・ディヴィス盤、古くはデ・ワールト盤も、このスコア通りの効果を引き出していた。

本トーマス盤は録音のすばらしさや合唱の実力なのか、ここでよりいっそう感動的な瞬間をもたらしている。

「第8」の「よりスタンダードな解釈のSACD盤」としては、コリン・デイヴィス盤を薦めるが、演奏の燃焼度、聴後の充実感ではティルソン・トーマス盤を採りたい。

「第10」は、あのシノーポリの怪演にも匹敵するスロー・テンポであるが、演奏の性格は全く異なる。

苦みもアイロニーも兼ね備えた素晴らしい純音楽的な美演、名演である。

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2012年08月17日


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かつては学者の研究の素材でしかなかったブルックナーの初稿であるが、ケント・ナガノによる「第4」など、優れた名演が増えてきつつある。

そのような中で、シモーネ・ヤングもブルックナーの初稿を積極的に採り上げている指揮者の一人であり、既に「第2〜4」において初稿による優れた名演を成し遂げてきている。

そんなヤングも、よりスケールの大きい「第8」では、どんなアプローチを見せるのか若干の不安も感じていたが、それは杞憂であり、期待を裏切らない名演を成し遂げた。

全体としてはスコアを忠実に音化しつつも、決して大人しい演奏ではなく、オーケストラを重厚に鳴らしつつ、女流指揮者ならではの繊細さも兼ね備え、初稿ならではの魅力を存分に満喫させてくれる。

ヤングの演奏は、必要以上に構えない、いわば自然体でありながら、聴かせるべきところでも十分満足させてくれる。

それにしても美しい演奏だ。迫力も十分。

オーケストラが壮絶に鳴り響き、スケールは巨大で、しかも非常に味わい深い。

強奏部でこれだけ鳴り響き切っているのに、決して荒くならないところは凄い。

シモーネ・ヤングは、このブルックナーの「第8」において、クナ、シューリヒト、チェリ、朝比奈、ヴァント、ジュリーニ、ハイティンクらと比肩する最高度の独創性をこの演奏で発揮した。

そしてシモーネ・ヤングの名前は筆者の中で強烈な印象をもって刻み込まれた。

素晴らしい新鋭女流指揮者の登場であり、ブルックナー・ファンにははずせない素晴らしい1枚である。

SACDマルチチャンネルの高音質も大いに魅力的であり、音質面も加味すると、現時点では最高の名演盤の一つと言っても過言ではあるまい。

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classicalmusic at 21:35コメント(0)トラックバック(0)ブルックナー 

2012年08月16日


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この本の筆者(宮下誠氏)は否定しているが、カラヤンの音楽を不当に貶めることに腐心している厚顔無恥な偏向的著作。

この本は、だらだらと一個人の趣向を語っているように思えてならない。

哲学「的」な言葉で飾り立てられているわりに、客観性に乏しく、説得力がないのだ。

哲学用語・概念を列挙はするが、それらが生み出された背景を一切捨象した軽薄な用い方になっている。

たとえ言論の自由があったとしても、出版物という半ばパブリックの場で一方的に個人(故人)を批判するのはデリカシーに欠けると思う。

特に気になったのは、カラヤンの音楽を好むファンを、音楽を耳の悦楽、感覚の歓びと考える者だと決めつけ、カラヤンのファンを一方的に見下している点。

クレンペラーのファンがクラシックの本質を理解し、カラヤンのファンは理解していないなどと、何を根拠にして言えるのだろうか。

筆者が、カラヤンの音楽に精神性が欠如していると主張するならば、その根拠を彼の経歴等の表層面から説明するのではなく、彼の音楽の内容等の本質面に踏み込んで説明すべきだろうが、筆者の偏向的な鑑賞力では困難だろう。

時折、カラヤンをフォローするような文面も見られるがあまりフォローになっていない。

本当はクレンペラー、ケーゲル本を書きたかったのかもしれないが、結局、表題にカラヤンの名を忍び込ませることによって、カラヤンの名を利用している。

読後こんなに不愉快になる本はない。

カラヤンを嫌うのはご自由だが、筆者の好みを読者に押し付けるのは止めて欲しい。

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classicalmusic at 21:37コメント(0)トラックバック(0)カラヤン 

2012年08月15日


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2007年12月29-31日、ベルリン、フィルハーモニーに於けるライヴ録音。

『展覧会の絵』は、カラヤン以来、『ボレロ』と並んでベルリン・フィルが得意とするレパートリーで、重厚かつ繊細なこのオーケストラの実力を最大限発揮できる曲。

聴き慣れた名曲から新しい魅力を引き出し、新鮮に聴かせることにかけては他の追随を許さないラトルの棒さばきにも注目。

ラトルは特別好きな指揮者ではないが、ベルリン・フィルの新譜が聴きたい以上避けて通れない現実でもある、という前提で聴いたところ、この盤は文句なく素晴らしいと思う。

音色のパレットの豊富さ、配合の妙、弱音とフォルティッシモのダイナミクス等々、ベルリン・フィルとラトルのコンビが練れてきた感じだ。

新世代ベルリン・フィルの風のようなさわやかなサウンドを思う存分堪能できるし、ラトルの智に偏った解釈に眉をひそめず名作を「楽」に聴くことができる。

これからクラシックを聴こうという人に『展覧会の絵』のCDを1枚勧めるとしたら、筆者ならこれを薦めるだろう。

冒頭のテンポも、場面転換の鮮やかさも、「ゴールデンベルクとシュミイレ」のやり取りのテンポのよさも、「キエフの大門」の祝砲を思わせる音も、申し分ない。

ベルリン・フィルのシェフになって以降のラトルの演奏傾向に感心しない者の耳で聴いてもオケはマーラー「第9」同様、とにかく上手い。

どのパートも凄いが、「キエフの大門」の終結部で、大音響の中からしっかり聴こえてくるパユのフルートの凄さは人間業とは思えない。

ボロディンも素晴らしく、おそらくはファーストチョイスかもしれない。

「第2」はクライバーの別格的名演があり、「だったん人」はスヴェトラーノフやフェドセーエフが良いと思うが、それらとは一味違う高機能オケの醍醐味に酔いしれることができる。

筆者は、ラトルにはその将来を期待するあまり辛口の内容を書くことが多いが、この演奏に関しては、比較的高い評価したいと思う。

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classicalmusic at 21:24コメント(0)トラックバック(0)ムソルグスキーラトル 

2012年08月14日


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2008年2月27日〜29日、アルテオーパー、フランクフルトに於けるライヴ録音。

大御所向きのブルックナーはこの指揮者自身興味の尽きない作品と語っているようにこの取組みも並々ならぬ意気込みだ。

ホールトーンを生かした美しいブルックナーで、特に弦セクションのふくよかなサウンドには心惹かれる。

演奏時間は27:41/10:50/27:06と、かなり遅め。

かなり遅いテンポをとっているが、同じ遅い演奏でもチェリビダッケのように極端ではなく、かと言って、ジュリーニのような情感のほとばしった粘着質の演奏でもない。

では、中庸の美徳を備えたオーソドックスな演奏かというと、必ずしもそうではない。

遅めのテンポで丹念に描かれた正攻法で格調高い演奏であり、まだ40代でこれほど奥の深いブルックナーを表現できることが少々驚きだ。

もちろん没個性的な演奏では決してなく、隋所にパーヴォらしい瞑想的な冷徹さが感じられる解釈が散見される。

変な例えかもしれないが、アファナシエフの演奏するベートーヴェンの後期ソナタと同じような感動を覚えた。

音楽に過度の没入はしていないのだけれど、鋭い分析眼と遅いテンポで、音楽そのものの美しさを隅々まで引き出している感じ、とでも言おうか。

万人にお薦め、とはいかないかもしれないが、ブルックナー・ファンは聴いて損のない、新機軸の演奏だと思う。

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classicalmusic at 21:32コメント(2)トラックバック(0)ブルックナーヤルヴィ 

2012年08月13日


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プレートルの「第9」は、実にチャーミングでありながら、凄い演奏だ。

最近流行の演奏とは違い、充実した立派な演奏であり、プレートルとウィーン交響楽団、ウィーン楽友協会合唱団とも素晴らしい。

一言で言えばテンポの揺らぎを絡ませながらの堅実な運びには一定の説得性はある。

第1楽章の出だしから緊張感の連続! 久しぶりに感動を味わった演奏である。

もうかなりの高齢(録音時は82歳)のプレートルは、実に若々しく情感豊かで、若い指揮者よりもずっと音楽がみずみずしく、色っぽいのは不思議だ。

響きのふくよかな美しさは、今はすっかり失われてしまったものであるが、明晰で緊迫感をもった大迫力の演奏がしなやかで柔らかい音で奏でられているのであるから、聴き手は大きな幸福感に包まれる。

独唱陣であるが、典型的なドイツ・リートの声質と歌い回しなのでイタリア出身の歌い手をイメージを持っている方は下手に聴こえるかもしれない。

しかし、歌詞を一つ一つ噛みしめているのを聴くと心地よくなってくる。

全体的にさすが巨匠プレートルだな、と感心した。

自由だが、どこかと説得力があり、古臭く感じるぐらい音楽的な「第9」だと思った。

プレートル氏、この歳になるまで、大きく光が当たらなかったのが不思議だ。

それにしても最後の巨匠プレートルから益々目が離せなくなったことは確かである。

放送録音のせいなのか、NHKの録音と同様、ピークで歪まないようにする為か、録音レヴェルの設定が低く、かなりアンプのボリュームを上げて再生すると良いように思う。

さらには、数年前のシュターツカペレ・ドレスデンとの「エロイカ」、「オケコン」やウィーン・フィルとの「巨人」などプレートルの遺産とも言える重要な演奏の数々がリリースされることを切に願う。

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classicalmusic at 21:07コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェンプレートル 

2012年08月12日


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プレートルと言えば、筆者にとって、カラスがタイトルロールを演じたビゼーの《カルメン》やプッチーニの《トスカ》を録音したオペラ指揮者としてのイメージしかなかった。 

まさかマーラーと相性が合うこともあるまいと思って聴いてみたが、なんとこれは完全にプレートル化したマーラーである。

テンポ設定、ダイナミクスの加減、シークェンスの変わり目での間の取り方など、どれも自然で説得力のある素晴らしいもの。

プレートルの懐の深さ、芸の見事さに大いに感服した。

所謂「悲劇的」を期待して聴くと裏切られるが、例えばノイマンの「悲劇的」に共感持つリスナーには強力にお薦めしたい。

かつてこれ程この曲が、意味深く、凄みを伴って表現された事があっただろうか。

「第5」と同様、間違い無く同曲のベストだろう。

プレートルがこういうレパートリーを演奏して実力を発揮しているとは、これまでの彼のレコーディング・キャリアからは想像もつかなかった。

そして、こんな凄演が録音されてから、じつに17年も私達の耳に届くまでにかかったのだ。

これは恐ろしい事実と言える。

オケの洗練度ではさらに望むべくところもあるかもしれないが、洗練されすぎないからこそのホットな表現に至っている部分が多く感じられ、何度繰り返し聴いても、飽きのこない「生きた」音楽が溢れ出てくる。

この際プレートルの録音を広く世に広め、マーラーの全曲演奏、そして全曲録音を是非とも成し遂げてほしい。

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classicalmusic at 21:30コメント(0)トラックバック(0)マーラープレートル 

2012年08月11日


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マーラーの第5番は大好きな曲で何枚もCDを持っているので「もう満腹、これ以上要らない!」と思っていたのだが、プレートルのニュー・イヤー・コンサートがあまりに素晴らしく、その上このCDも非常に評判が良かったので、ついつい買ってしまった。

凄い! 同曲のベスト演奏の一つだろう。

この指揮者、粗さはあるもののライヴでは時に大化けすることがあるのは知っていたが、これはすさまじい。

かなり「熱い」演奏なのだが、パリッと冴えた感じがあって暑苦しさはない。 

表現に含みやデリカシーというものがなく、すべてが外に露出してしまう人なので、複雑な性格の曲を強引に一面化し、陽性にしてしまったことも確かなのだが、結果として生まれる強烈なメリハリの効果には抵抗できない。

工芸品めいた各楽章がこんな風に化けるとは信じられない思いだが、ppの箇所がmpに聴こえるような強めの音で豪放に歌うアダージェットの爆演にはただただ唖然とするのみ。

テンポを大きく動かしての爆演だが、音楽は重くならず、カラフルでウィットさえあり、終楽章をこんなに楽しく聴かせた人は珍しい。

聴く人をこんなにワクワクさせてくれるプレートルの演奏に文句を言う人などいないだろう。

真面目に演奏されたマーラーなど意味不明なだけで退屈、という人に特にお薦めしたい。

また、響きや旋律の歌わせ方がやはりドイツ系の指揮者とは違う感じがするので、所謂マーラー嫌いの人にも好まれる演奏ではないか。

今再評価されるべき巨匠、プレートルにはマーラーの全交響曲の録音を期待したい。

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classicalmusic at 21:12コメント(0)トラックバック(0)マーラープレートル 

2012年08月10日


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2006年5月1日 ベルリン、フィルハーモニーでのデジタル(ライヴ)録音。

プレートルは数年前までは知る人ぞ知る指揮者であったが、ニュー・イヤー・コンサートへの初登場を契機として発売された、マーラーの「第5」や「第6」、そして、続いて発売されたブルックナーの「第8」やベートーヴェンの「第9」の超名演によって、現代における最高の巨匠の一人と目されるに至った指揮者である。

フランス人でありながら、ウィンナ・ワルツを含め、独墺系の音楽を巧みに、そして感動的に指揮できる手腕は実に優れたものがあると言えるだろう。

このような中で発売された本盤のブルックナーの「第7」であるが、超個性的な名演ということができると思う。

とにかく異常に快速のテンポで、全体を何と60分という凄まじいハイ・テンポで駆け抜けている。

おそらくは史上最速の「第7」だろう。

各楽章の第1主題と第2主題の間では、テンポの大幅な変化をつけている。

このような個性的な解釈による演奏は、ブルックナーの交響曲としてはいささか禁じ手とも言えるが、それでもこれだけの深い感動を与えてくれるというのは、プレートルが、ブルックナーの交響曲への深い愛着と理解があるからにほかならないだろう。

演奏終了後の一瞬の間も、当日の聴衆の深い感動を表していると言える。

こういう巨匠が今も存命でしかも次々と名演を聴かせてくれる事にこそ感謝したい……と好事家をして唸らせる巨匠中の巨匠プレートル。

ウィーン響との「第8」でも過激な演奏を聴かせた巨匠であるが、この「第7」も一筋縄ではいかない演奏である。

ベルリン・ドイツ交響楽団も、こうした個性的かつ快速の演奏にしっかりとついていっており、見事な好演を示していることも特筆すべきだろう。

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classicalmusic at 21:36コメント(0)トラックバック(0)ブルックナープレートル 

2012年08月09日


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2008年にプレートルがウィーン・フィルのニューイヤーを振った約3ヶ月後のライヴ録音。

プレートルの快進撃はとどまるところを知らない。

このブルックナーも名演で、異色かもしれないが飽きさせずに一気に大曲を聴かせるプレートルの手腕は流石。

演奏は、巨匠プレートルの独特の芸風がはっきりと刻印されたもので、通常の質実剛健なブルックナー演奏とは間逆のスタイルで大成功していると言えよう。

冒頭から速いテンポで開始されるが、要所ではテンポを微妙に変化させてゆったりとした表情を見せるなど一筋縄ではいかない。

第3楽章になると一転して、一音一音をいとおしむように情感溢れる演奏を行う。

終楽章は、最強奏の金管やティンパ二が印象的だが、決して無機的になっていない。

これだけテンポが目まぐるしく変化する個性溢れる演奏をしても、全体としての造型にいささかの狂いもないのは、プレートルがブルックナーの本質を掴み取っているからに他ならない。

ウィーン交響楽団は、ウィーン・フィルがあるせいで、いわれのない差別を受けている(?)が、機能的にはウィーン・フィルを凌ぐ柔軟性を持っている。

そのために指揮者が変わるとオケも音ががらりと変わるという器用さが災いしてウィーン交響楽団独特のトーンというのを持たずにこんにちまで来たような印象がある。

換言すれば個性を持たないことでウィーン・フィルに対抗できるレパートリーに対応してきた、ということになろう。

ここで聴かれるプレートルのブルックナーもおよそ、ウィーン・フィルという役者でいえば大御所では、ここまで大胆に今までのイメージを変える演奏をしてはくれなかっただろう。

音質も流石に大変質感のある超優秀デジタル録音(これに比べると今のDGなどは情けない限り)で、豊満なホールの響きを良くとらえており、特に低弦は運弓が見えそうな質感がある。

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2012年08月08日


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本盤は、ポリーニがショパン国際コンクール優勝後、表舞台から一時的に姿を消し、自己研鑽を積んでいた時期の録音である。

したがって、ポリーニの若き日の記録ということになるが、既にここには、ポリーニの特徴である研ぎ澄まされた卓越したテクニックや、透明感溢れる強靭なタッチが見られる。

ポリーニの演奏のこうした非の打ちどころのない卓越したテクニックについては、絶賛する者もいる半面、非人間的であたたかみがないとか、あるいは表層的で浅薄という批判が一部に根強くあるのは否めない事実である。

しかしながら、本盤の演奏には、そうした一部にある批判をも吹き飛ばしてしまうような圧倒的な集中力や勢いがある。

ここでは、溌剌とした情感と冴えたテクニック、そして熟考された選曲の隅々までに神経が行き届いた、見事に音楽的な若いポリーニのショパンが聴かれる。

卓越技巧は言うに及ばず、理詰めと誤解されがちな完璧な演奏の合間に際立つ彼の音楽性は、正しく彼の歌い方であり、そこに彼の情緒豊かな感性を見る。

いずれも、後年にスタジオ録音を行うことになる諸曲を収めているが、後年の演奏とは異なり、どの演奏にも、切れば血が出るような生命力に満ち溢れている。

卓越した切れ味鋭いテクニックや、力強い、そして透明感溢れる力強い打鍵は、既にこの演奏の随所に伺えるものの、若さ故の生命力溢れる激しい燃焼度が、決してきれいごとではない、ポリーニの、引いてはこれらの諸曲を作曲したショパンの荒ぶる魂を伝えることになり、我々聴き手に深い感動を与えることになるのだろう。

ポリーニは、前述のように、本盤の後、数々のショパンの楽曲を録音することになるが、本盤こそ、ポリーニのショパンの屈指の名演と評価したい。

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classicalmusic at 21:38コメント(0)トラックバック(0)ショパンポリーニ 

2012年08月07日


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「ミサ曲ロ短調」は、まさにカラヤン美学の頂点に立つ重厚で劇的なバッハである。

宗教的ではなく、純音楽的に美しい演奏をしており、カラヤンらしい演奏だと思う。

カラヤンのバッハは聴く者を美音の洪水で圧倒する。

リヒター盤ももちろん素晴らしいが、バテレンでもなく純粋に音楽芸術を楽しみたいという場合は、カラヤンのような演奏の方が聴きやすいし、録音状態もよい。

古楽器による小編成の演奏が主流となっている中で、このようなカラヤンによるバッハ演奏を古色蒼然たるものとして忌避する向きもあるが、かつての大指揮者はこうした大編成による演奏を行って、喝采を浴びてきたのである。

その彫琢の細やかさと"美"のためにすべてを奉仕させてしまうカラヤンの徹底した審美の世界は、その純度が高ければ高いほど、バッハがこんなにも美しくてよいのだろうか、という疑問も湧く。

ここまでバッハが官能的な美を獲得してしまうという意味で、前人未踏のバッハであり、一聴に値する演奏である。

このようなバッハ演奏の輝かしい伝統に思いを致せば、軽妙浮薄が尊ばれる現代においてこそ、伝統的な大編成によるバッハ演奏は、その原点を再認識させてくれるという意味においても十分に存在価値があるものであり、もっと評価されてしかるべきなのではなかろうか。

バッハの曲は現代楽器を用いた現代の奏法で演奏して欲しい、という向きには最高の演奏だ。

歌手陣やカラヤンによって徹底して鍛えられたであろうウィーン楽友協会合唱団による合唱の出来も素晴らしいものがあり、録音の良さも相まって、安心してバッハの音楽の魅力を満喫することができる。

オリジナル・イメージ・ビット・プロセッシングによって、国内盤よりも音がクリアでよくまとまっている。

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classicalmusic at 21:20コメント(0)トラックバック(0)バッハカラヤン 

2012年08月06日


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ウィーン・フィルの顔であったゲルハルト・ヘッツェルの最初で最後のソロ・アルバム。

ヘッツェルが不慮の事故により死を迎える半年前の名演。

もちろん、不慮の事故であるから、死を前にした諦観のようなものは感じられないが、演奏のどこをとっても心温まる情感に満ち溢れており、岩清水のように澄んだ音色に癒されるヘッツェル畢生の名演と言っても過言ではない高みに達している。

長年アンサンブルで活躍していた人らしく、ヴァイオリンとピアノが主従関係にならず、あくまでもデュオとしての音楽が奏される。

余計な自己主張の一切ない枯淡のブラームスであり、自然で抑制された室内楽本来の楽しみがここにはある。

ムターのような自己主張のある演奏にも正直惹かれるが、折に触れ棚から取り出すのはこのディスクだ。

ブラームスの室内楽はソリスト的要素よりもアンサンブル的要素が必要だと思うが、これはヘッツェルが誰よりも解っていたのだと思う。

だからこそ最初の(そして最期の…)録音にこの作品を選んだのであろう。

特に大きな仕掛けをするのではなく、素直に書かれている「音楽」をカタチにする。

しかし、じわじわと音楽の持つ熱が自分に伝わり、聴き終えれば感動を覚えている、そんな演奏。

職人として、「芸」ではなく「技」でもって、私たちに感動を与えてくれるのは、 名コンマスであった彼の最大の美徳である。

中庸であることの尊さ、仕掛けや細工がない、声高に叫ぶこともない、そんな演奏だからこそいつまでも慈しみ、繰り返して聴きたいCDと言えよう。

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2012年08月05日


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このコンビの来日公演があまりにすばらしかったので、思わず買ってしまったが、予想通りの名演であった。

ゲヴァントハウス管の魅力満載のディスク集で、決して優れたソリストを擁している(ベルリン・フィルのように)というわけではないが、全体としてとても性能が高く表現力が高い。

シャイーが振ると「巧い」だけのゲヴァントハウス管が、魂の音楽を奏でており、とにかく実に細部に至るまで念が入っている。

決して情緒に浸らないところはブロムシュテットらしいが、それでいて表情の彫りが深くダイナミックだ。

昨今、特にシャイーが就任してからのゲヴァントハウス管は、どうも響きが雑になってしまった。

しかし、ブロムシュテットの時代は違う。

オケのポテンシャルを自然体で引き出すブロムシュテットに引導され、知・情・意の見事な均衡を見せている。

特にメンデルスゾーンが素晴らしい。

メンデルスゾーンはこのオケの十八番中の十八番として知られているが、いくらそのような曲でも、指揮者の解釈如何によっては名演にも駄演にもなり得てしまう。

例えばコンヴィチュニーは遅めのテンポをとっており、仄暗くも壮大なスケールに仕上げているが、見方によっては緊張感の不足を感じてしまうだろう。

最近出たシャイーも、歴史考証自体は面白いが、オケの響きが乱雑で、テンポも拙速に過ぎている。

ではブロムシュテットはというと、彼らしく“中庸”である。

しかし決して面白みに欠けることはなく、キビキビとした運びで、よく躍動し、しかも歌うところではよく歌うといった具合に非常にバランスがよいのだ。

他に、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーといったドイツ本流の作曲家も秀逸。

少しの奇の衒いもない、正攻法の表現は、個性ばかり出そうと躍起になる余り曲の魅力を損ねることの多い昨今の音楽界にあって、大変貴重と言えよう。

録音も、いぶし銀の重厚なサウンドをよく捉えた硬派な仕上がりである。

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2012年08月04日


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ジンマンのマーラーはこれが初聴になるが、今までこのチクルスに関心を持たず、全く手を出していなかったことが残念になるくらい素晴らしい演奏だと思う。

ジンマンはやはり凄い。

マーラーの「第7」をさらっと何でも無いように始めて、テンポを揺らすべきツボを心得ていると言うか、気が付けばジンマンのマーラーに引き込まれている。

「第7」は難解な曲だが、そこをわかりやすく耳に馴染ませてするりと聴かせてくれるジンマンの手腕に恐れ入った。

何より魅力なのが、テンポ配分や雰囲気作りの巧さで、「棘々しくもあるマーラーの魅力」が損なわれないまま、身体に、耳に、脳に、心地よく入ってくるのだ。

第1楽章は普通の出来。

これは平凡という意味ではなく、ジンマンの個性が出ていないという意味。

それが第2楽章以下では、漸くジンマンの個性が表れてくる。

緩急を際立たせたテンポ設定の妙、対旋律の驚くような活かし方、うなるような重低音、天国的な美音、そして木管や金管の不思議な音色、カウベルをはじめとする打楽器の響きの面白さ。

これらを、SACDマルチチャンネルによる明晰な録音により、我々聴き手にダイレクトに描出してくれる。

そして派手ではないが、次第に高揚していくフィナーレはとてもすばらしい。

いつも通りのジンマンであるが、「中庸のよさ」を発揮した1枚だ。

好き嫌いが生ずる演奏であるとは思うが、名演との評価を下すのには些かも躊躇しない。

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2012年08月03日


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1968年10月12〜14日 ロンドン、アビーロード第1スタジオでのステレオ(セッション)録音。

こんな名演が存在していたとは!

1960年のスタジオ録音をはるかに凌ぐ、クレンペラーの最晩年を飾る超名演だ。

非常に個性的な演奏で、極度に遅いテンポと、それをひたすら持続し続ける演奏。

しかし聴き進むうち、それが心地よくなってくる。

恰幅のいい、ゆったりとしたテンポが支配する重量級の「第7」で、個性的であるが、楽しめる音楽の範疇で、遅いというだけで批判するにはもったいない演奏だ。

バスの充実と管楽器群の声部が弦にかき消されることなく響くために、立体的な音響を創りだす。

あまたの名盤があり、何度も聴いたはずのこの曲で、極めて新鮮な感動が得られる。

あえて言えば、廃盤だった理由も納得できる「個性的すぎる」演奏だ。

対抗配置によるパノラマ感、内声部や伴奏音型の強調による立体感はいつものクレンペラー・スタイルで、しかもクライバーで気になるスポーツ的快感は皆無! 恐るべき凄演だ。

独特のゆったりしたテンポから、堂々たる表現を演出し、内なる魂の燃焼とともに仰ぎ見るような雄大なベートーヴェン像が出現する。

冒頭から極めて遅いテンポなのに、オーケストラが息切れすることなく、全力でスコアを音化しきっている。

第2楽章の深遠な音楽は感動的で、フィナーレはまさに「象のダンス」!

どんな盛り上がりの箇所に差し掛かっても、クレンペラーの悠揚たるテンポは微動だにしない。

「第7」がこれほどのスケールの大きさで演奏された例は空前にして絶後ではないだろうか。

演奏を聴き終わった後の感動はもはや筆舌に尽くしがたい。

毒の多い演奏だが、「7番好き」なら持っていて損はない。クレンペラーの怪物らしさを味わうためにも。 

付属のラモーの変奏曲は、とても愛らしい逸品で、これを聴かずにいるのはちょっともったいない。

クレンペラー自身の編曲により最後の変奏で全オーケストラによるクライマックスが何とも堪らない小品だ。

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2012年08月02日


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ラトルの大逆転ホームランだった。

この録音(2007年)までのベルリン・フィルを指揮したラトルは没個性的な演奏、凡打の連続であったが、久々に彼の類い稀なる才能を思い知らされる名演が登場した。

絶品。言葉もないほど。凄いの一言だ。

世界最高の美麗な音色と演奏テクニックを兼ね備えているベルリン・フィルの素晴らしいオーケストラ・サウンドがぎっしり詰まったこのCDは、近年購入した中ではベスト。

音の情報量が多いためか、聴くたびに新しい発見があり全然飽きない。

ここでのマーラーは、感情の発露がむしろ内へ内へと向けられ抑えた表情に凝縮されて、最後には明鏡止水とも言うべき静謐な世界のもとへと音楽が収斂してゆくといった趣き。

感情を声高に叫ぶこともなければ、大仰な身振りもない。

読譜の視座に「新しい眼差し」を感じ、マーラー演奏の在り方が新しい時代にふさわしいものへと変わったと痛感する。

深く彫り込まれ美しく磨き上げられたディテールが全体の自然な流れと融合する構築性も見事な音楽には、フレージングやアーティキュレーション、そしてテクスチュアへの配慮をゆるがせにしないラトルの基本に忠実な姿を見る思いだ。

この彫琢も念入りな、しかし穏やかで静かな自然の流れに身を委ねているとやがて穏やかで清澄な心持ちになる。

音楽を聴くこれ以上の悦びがあるだろうか。

音楽には音楽でなければ表せない何ものかがあり、それを心得た音楽家の演奏はいたって基本に忠実なのではないか。

そんな感慨を抱かずにはいられない。

ラトルとベルリン・フィルの蜜月を思わせるこの演奏には、少なくともこの音楽が内包するひとつの実相が投影されていることだけは確かであろう。

ベルリン・フィルは、バルビローリ、カラヤン、バーンスタイン、アバドと「第9」の名演を残してきたが、ラトルのこの名演は、これら過去の綺羅星のような名演の列に連なる十分な資格があると思われる。

それにしても、ベルリン・フィルが現在でもこれほどまでの重厚な響きを奏でることができるとは思わなかったが、これはラトルの力によるものであろう。

今後のラトルに大いなる期待をしたい。

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classicalmusic at 21:00コメント(0)トラックバック(0)マーラーラトル 

2012年08月01日


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「アルルの女」は、個性的でニュアンスに富んだ名演で、数多い同曲中のベスト・ワンに疑いの余地はないところだ。

ドイツ的か否かを議論するまでもなく、よくある初心者向けのサントラ的演奏とは一線を画した、ドラマティックな演奏だ。

重心を低く保つサウンドはさすがドイツのオケといったところだが、リズム感や躍動感にも事欠くことなく、エッジの効いた起伏もピカ一だ。

殊に《カリヨン》における小気味よいアクセントや弦の微妙な色彩の変化などはさすが。

有名な《ファランドール》では、曲のダイナミクスを打楽器だけに頼らず、コシのあるベースによって表現しており、この点も独特。

もっとも、ベルリン放送響の音はシュターツカペレ・ドレスデンやシュターツカペレ・ベルリンなどよりドライだし、余韻も乾いているが、ギクシャクした感じは微塵もなく、むしろ鋭敏な感じさえする。

ケーゲルの寒色系、クリュイタンスの暖色系に比し、レーグナーは程良い中間色系で作曲者の意図を的確に汲んで表現している。

ドイツ風でがっちりしているが、ほんのり暖かいなつかしさが何ともいえず、とても気に入っている。

「美しきパースの娘」もよい出来映えで、ことに《行進曲》と《ジプシーの踊り》が見事であり、そのみずみずしい表情にあふれた新鮮な表現には強く惹かれる。

レーグナーが残した録音の白眉であり、完璧な演奏とはこのことを言うのであろう。

録音も直接音と間接音とのバランスが豊かだし、輸入盤に見られるような金属臭は皆無。

知らない間に亡くなってしまったレーグナー、もっともっと評価されていい名指揮者だ。

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classicalmusic at 21:06コメント(0)トラックバック(0)ビゼー 
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