2018年06月

2018年06月30日


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ワーナーの20世紀クラシックス・シリーズのひとつで、1枚目にはクルト・ワイルの初期の作品、2曲の交響曲とウィンド・オーケストラを伴うヴァイオリン協奏曲が収められている。

交響曲は大オーケストラを扱った華麗な力作には違いないが、彼の後の名作『三文オペラ』を一度ならず観た筆者には、大風呂敷の胡散臭いイメージが払拭されず、苦笑を禁じえない。

いやそれくらい彼のミュージカルは愉快そのものだった。

そうした意味ではこのセットの2枚目に入っている一連のブロードウェイ・ソング集が彼の機知やユーモア、そして小気味の良い揶揄や皮肉っぽい風刺を得意とした、最もワイルらしい作品ではないだろうか。

ブゾーニ門下の作曲家として彼が夢見た若い頃の大望はいざ知らず、交響曲という大見得を切った形式は、彼の渡米以後再度取り上げられることがなかったのも象徴的だ。

一方ヴァイオリン協奏曲の方は、その洗練されたオーケストレーション、シンプルな形式感から、よりとっつき易い作風になっている。

ここではソロのフランク・ペーター・ツィンマーマンが正確無比なテクニックと抑制を効かせたカンタービレでごく正攻法で攻めた表現が、マリス・ヤンソンス指揮、ベルリン・フィルのメンバーの好サポートもあって秀逸だ。

交響曲第1番及び第2番はどちらもガリー・ベルティーニ指揮、BBC交響楽団の演奏で録音は1967年、またヴァイオリン協奏曲は上記のメンバーで1997年のセッションになる。

尚2枚目には彼のミュージカルの中から『ヴィーナスの接吻』、『ニッカーボッカー氏の休日』、『フィレンツェの悪漢』、『ラヴ・ライフ』そして『ジョニー・ジョンソン』の抜粋がバリトンのトマス・ハンプソン他の歌唱、ジョン・マックグリン指揮、ロンドン・シンフォニエッタ・コーラス及び管弦楽団による1994年の録音で収められている。

11ページのライナー・ノーツには曲目紹介、演奏者及び録音データの他に簡単な作曲家のキャリアが掲載されているが、歌詞については残念ながら省略されている。

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classicalmusic at 00:02コメント(0)ヤンソンス 

2018年06月28日


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マーラーやシェーンベルクらのスペシャリストとして知られた指揮者シェルヘンが、最晩年に集中して行なった異常なライヴ演奏。

驚くほど緊張力の強い、情熱的な表現で、このベートーヴェン全集によって、わが国でもシェルヘンの再評価が一躍、加速されたと思う。

全集としてはかつてのウェストミンスター録音もあるが、演奏は極めて構えが大きく、大胆で自己主張が強い。

シェルヘンの芸術は晩年になってさらに率直に自己主張があらわされて、結果的にアンサンブルを整えるより、音楽の核心を性急に表現しようとする姿勢が、ますます強くなったように感じられる。

それも表現主義的な様式の帰結と言えるが、そこにスケールの大きい巨匠的な確信と激しい情熱が加わったため、音楽はかつてない相貌を示すことになった好例である。

まったく自由自在、強引とさえ言える表現だが、音楽の展開には予測不可能な面白さがある。

彼は足を踏み鳴らし、怒号をあげながら、呆気にとられるようなスピードで力まかせにオーケストラを追い立ててゆくものだから、オケも崩壊寸前。

楽員はアマチュアのように弾きまくり、吹きまくる、文字どおり「手に汗にぎる」演奏なのである。

スイスのイタリア語地域を本拠とするルガーノ放送管弦楽団は、少々荒っぽいが乗るとなかなかよい演奏をすることで知られている。

ここでもかなり荒っぽく、全体の響きも透明とは言い難いが、あるところから妙に乗ってきたりするから音楽とは不思議なものだ。

全編「ファイト一発!」「これでいいのだっ!」という信念の固まりで、昨今、こんな演奏例は他に皆無、みなホットに燃えたぎっている。

それだけにアンサンブルは粗く、第9番の声楽もよくないが、そんな欠点を超越して希有の音楽を聴かせる。

第1番のフィナーレなど、さすがにイタリア語を話す人たちだけに饒舌で面白く、第2番もフィナーレが最高で、全体に歌があって楽しい。

のめり込む『エロイカ』は、第1楽章の最初からチェロの第1主題が乱れたりして驚くが、シェルヘンのベートーヴェンの真骨頂はそんなことを気にさせず、激越なクレッシェンド、弦が悲鳴を上げるスフォルツァートなど元気いっぱいだ。

葬送行進曲はいかにもそれらしく、スケルツォはスリル満点、フィナーレも活気にあふれているが、フガートの処理などさすがと思わせる。

シェルヘンの音楽的パワーはさすが、と思わせるのは第4番で、序奏の神秘的な出だしから、いきなり全力投球のアレグロへの移行など解釈も面白いし、フィナーレも元気いっぱいの演奏だ。

第5番は出だしから勢いがあり、アンサンブルの乱れなど重要なこととは思えなくなるから不思議で、現代の完璧主義に疲れた向きには絶好だろう。

『田園』もまた乗りに乗っており、こんなに楽しげな第1楽章も珍しく、第2楽章の小川の流れも少々速め、第3楽章の村祭りも景気がよい。

となれば嵐の場面が凄いのは必定で、ティンパニは轟音だし、シェルヘンが叱咤激励どころか怒鳴る声まで聞こえるド迫力である。

“舞踏の聖化”と呼ばれた第7番は予想どおり元気がよいが、リズムの根本がしっかりしているので、崩れそうで崩れない。

第2楽章のアレグレットは意外にしっとりと歌うが、どんどん盛り上げて行くのも彼らしく、第3楽章プレストが大忙しなのは言うまでもないが、フィナーレも強烈、シェルヘンの怒鳴り声まで聞こえる、とにかくエキサイトした熱演だ。

第8番は最初からめいいっぱいのライヴ・ファン必聴の演奏で、弦のセクションの松やにが飛び散るのが見えるような勢いに脱帽するし、第2楽章のユーモアがまた格別。

全曲を20分強で荒れ狂い突進するので、ビデオを早送りしているみたいだが、とにかく楽しい。

第9番もまことにヴォルテージが高く、第1楽章のアレグロは文字どおりマエストーソ(荘重)で、第2楽章では崩れそうで崩れないリズムが迫力を生む。

第3楽章は意外とあっさりしているが、フィナーレ導入部の激越さには驚くばかりで、とても弾けないような速いテンポも飛び出す。

“歓喜の旋律”はしみじみとしているが、いよいよ独唱と合唱が入ると物凄い迫力で、最後まで緊張感が持続する。

激情が先に立って仕上げがおろそかになっており、一般的にはお薦めできないが、フルトヴェングラーが警告した、レコード用の演奏がコンサート・ホールにも進出、という物足りなさを実感している人には最も貴重な記録と言えよう。

シェルヘンがルガーノのベートーヴェン・チクルスで成し遂げようとしたことは、「慣習」という名でスコア上に堆積した夾雑物を一掃することである。

その象徴が、「間違い」と言われ続けてきたメトロノーム記号を全面的に信頼し、実践したことであろう。

オリジナル楽器が市民権を得た今となってはこのテンポも不思議ではないが、この時代からスコア忠実主義だったとすればシェルヘンの評価も変わるだろう。

尚「しゃべる」「うなる」「号令をかける」の3拍子そろったリハーサルも収録されていて、そこでの怒声の凄まじさといったらなく、それが激烈な演奏と一体となり、本番が物足りなくなるほどだ。

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classicalmusic at 00:10コメント(0)ベートーヴェンシェルヘン 

2018年06月26日


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オトマール・スウィトナー、シュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲ハ長調及び管楽器のための協奏交響曲変ホ長調のドイツ・シャルプラッテン音源をUHQCDにリニューアルしたディスクである。

前者は1975年のブロムシュテット首席時代の客演、一方後者はスウィトナー自身が首席指揮者だった1961年の演奏で、どちらも彼らのレコーディングの殿堂ドレスデン・ルカ教会で収録されている。

本家のクラシック部門ベルリン・レーベルからは、スウィトナーのモーツァルト演奏集11枚が2巻に分けてリリースされた。

この2曲の協奏曲は組み込まれなかったので今回のUHQCD化でのグレードアップ盤の登場を歓迎したい。

古い音源であるにも拘らずオリジナル・マスターの状態が非常に良好なことが想像されるが、UHQCD化によって透明感のある彫りの深い音場が確保されている。

それぞれの楽器の定位も明瞭で、ハープの軽やかな撥弦音やフルートとの掛け合いの美しさもクリアーに再現される。

特に協奏交響曲の方は旧東独でステレオ録音がスタートして間もない頃の録音だが、4人の管楽器奏者の息の合ったアンサンブルも手に取るような臨場感がある。

ちなみにこの作品は、モーツァルトの原曲ではクラリネットではなくフルートのソロだった筈だがスコアは失われ、後に発見された現在の楽器編成で習慣的に演奏されている。

オリジナル編成による録音は殆んど見当たらないが、以前フィリップスからリリースされたモーツァルト・エディションには加わっていた。

モーツァルトと同じオーストリア出身のスウィトナーだけに、彼の得意とするジャンルに表現される開放的だが品が良く、おおらかな音楽作りが特徴的で、シュターツカペレ・ドレスデンのともすればやや律儀過ぎるところを和らげている。

ソリストは全員シュターツカペレの首席奏者で、彼らの音色はベルリン・フィルのスター・プレイヤー達のきらびやかさに比べればずっと地味でその奏法も華麗とは言えないが、決して野暮ったい印象はなく本来の室内楽的なアンサンブルの活き活きした演奏が織り成すモーツァルトの幸福感を堪能できる。

それは彼らがゼンパーオーパーでのモーツァルトのオペラ上演でも百戦錬磨で鍛え上げられたオーケストラであることを証明している。

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classicalmusic at 00:08コメント(0)モーツァルトスウィトナー 

2018年06月24日


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このCDは7曲が1957年のシカゴ・リリック・オペラのガラ・コンサートからのライヴで、この時代のオペラ・スター歌手4人による声の饗宴を堪能することができる1枚だ。

ライヴはモノラル録音だが、音質はまずまずで全盛期のテバルディ、シミオナート、バスティアニーニの美声と、一にも二にも声の響きで表現するイタリア式のスタイリッシュなベル・カント唱法がいやがうえにも聴き手を引き込むアルバムだ。

尚第1曲目に置かれたヴェルディの『運命の力』序曲は初CD化のようだ。

このガラ・コンサートはゲオルグ・ショルティ指揮、シカゴ・リリック・オペラ管弦楽団の伴奏になる。

2曲目サン=サーンスの『サムソンとダリラ』からシミオナートが歌う「君の声に私の心は開く」と3曲目のチャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』からテバルディが歌う「タティアーナの手紙のシーン」は共にイタリア語訳の歌詞が使われているのが興味深い。

ごく特殊な言語を除いて国際公演では原語上演が常識になっている現在では珍しいことだ。

それを許しているショルティにも、また当時のイタリア人歌手達のアメリカでの絶大な人気からも、まだ歌手優先だった時代の慣例を窺わせるものがある。

ちなみにシミオナートはフェルディナンド・プレヴィターリと録音した別のアリア集で、同オペラのもうひとつのアリア「春は目覚めて」を原語のフランス語で披露している。

後半最大の聴きどころは8曲目、ポンキェッリの『ラ・ジョコンダ』から終幕のシーンでジョコンダとラウラのそれぞれに扮するテバルディとシミオナートがこれぞイタリア・オペラの醍醐味と言えるような、火花を散らす激しいデュエットを聴かせるトラックだ。

この2人は同オペラの全曲盤のセッション録音では協演する機会をもたなかったので貴重なライヴだ。

一方バスティアニーニが歌う十八番の『アンドレア・シェニエ』から「祖国の敵」が貫禄充分だ。

またトスカニーニに天使の歌声と讃えられたテバルディの何処までも澄み切った、それでいてドラマティックな表現による『メフィストーフェレ』はオペラの黄金時代を飾った模範的な歌唱芸術として聴き継がれるだろう。

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classicalmusic at 00:19コメント(0)ショルティ 

2018年06月22日


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この2枚のCDに収められた11曲の録音年代は、デニス・ブレインが加わった1957年のアンサンブル『3つの小品』から、マニュエル・パユのフルート、デイヴィッド・ジンマン指揮、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団による2002年の『フルート協奏曲』までほぼ半世紀に亘っている。

幸い古いものについてはデジタル・リマスタリング処理がされていて意外なほど音質が良く、イベールのオーケストラル・ワーク、協奏曲、更にアンサンブルから歌曲に至るまで広いジャンルの作品の魅力を俯瞰できるのが特徴だ。

廉価盤としては理想的なカップリングと言うべきだろう。

先ず『フルート協奏曲』におけるパユは、本当に明瞭な音で、アーティキュレーションに曖昧さもなく、速いテンポの中でも余裕がある。

そこが、他のフルーティストと最も違う所で、学習者にも最高のお手本になっている。
 
ただ、この楽器の限界まで低音などでフォルティッシモで鳴らしている所の音響、楽器の共鳴、うなりについては、ホールの後ろの席で聴けば美しい音なのであろうが、この優秀録音での近接音は、好悪を分けそうだ。

この海外盤では、国内盤に比べそれが少し隠されて、僅かだが距離感のある音になっているのは救われる。
 
結局、オーケストラの優秀さ、録音の良さもあり、この協奏曲のベスト争いにパユ盤も加わることになった。

音楽の遊園地的な管弦楽曲『ディヴェルティスマン』はルイ・フレモー指揮、バーミンガム市響の演奏で1973年の録音だが、筆者の持っているマルティノン、パリ音楽院の羽目を外した楽しさに比べると、スマートだがいくらかまとまり過ぎている気がしないでもない。

『3つの小品』での聴き所は、ブレインが縁の下の力持ちに徹するアンサンブルの面白みと、彼としては貴重なステレオ録音であることだ。

また1958年のストコフスキー指揮、フランス国立放送管弦楽団による『寄港地』は、イベール自身が第1次世界大戦中に実際に立ち寄った港町の情景を音楽で綴ったイメージ集で、現代風に言うならさしずめ地中海クルーズ紀行といったところだが、ストコフスキーの情景描写は素晴らしく、音楽の持つ特徴を鮮烈に描き出している。

「テュニス」での名高いオーボエ・ソロを持続した緊張感の中に浮かび上がらせる棒さばきも鮮やかだ。

ジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団による2曲『祝典序曲』及び『架空の愛へのトロピズム』はどちらも1974年の録音で、ここでは流石にマルティノンの晴れやかで、特に後者では美しい抒情性と対照的なジャズ・バンド顔負けのラテン的な明るさが特筆される。

最後にジョゼ・ヴァン・ダムのバリトン・ソロ、ケント・ナガノ指揮、リヨン・オペラ・アンサンブルによる『ドン・キホーテの4つのシャンソン』だが、筆者はこの映画を持っていて、シャリアピンの途方もなく型破りでスケールの大きい歌と演技に魅了された者にとっては、酷な言い方かも知れないが、ヴァン・ダムの歌唱は修道僧の真面目くさった説教のように聴こえてくる。

しかしケント・ナガノが繊細で味のある伴奏を付けているのは評価できる。

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classicalmusic at 00:39コメント(0)ジンマンマルティノン 

2018年06月20日


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セルゲイ・プロコフィエフの交響曲第5番は祖国ソヴィエトのために書かれた作品で、それまでの急進的でややもすると刺々しい好戦的な趣が抑えられて、抒情的で雄大な曲想を持っている。

それだけに彼の円熟した作曲技法が駆使された、音楽的にも新境地を示していて、更にその後の彼の作風を方向付けているとも言える。

サー・サイモン・ラトル指揮、バーミンガム市響の1992年のセッションは、精緻なオーケストレーションを冷静に辿ったアプローチで、祖国愛の熱狂とは異なった方向から攻めた極めてスペクタクルな演奏だ。

一方第7番はアンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団による1977年の録音で、この作品はプロコフィエフにとっては最後の交響曲になるが、ここでもリリカルで、またスケルツォ的な性格が顕著だ。

特に第2楽章アレグレットは殆んどワルツで、1948年のジダーノフ検閲で当時のソヴィエトの作曲家には相応しくない作品として批判の槍玉にあがった曲でもある。

しかしプレヴィンの楽譜からの読み取りの深さは、そうした批判が必ずしも的を得ていなかったことを証明する高い音楽性を持っている。

交響的協奏曲は実質上チェロ協奏曲で、1952年にロストロポーヴィチのソロ、スヴャトスラフ・リヒテルの指揮で初演された。

このCDではロストロポーヴィチの愛弟子で女流のハンナ・チャンが師匠秘伝の作曲家自身の助言による解釈と、恐るべきテクニックを披露している。

アントニオ・パッパーノ指揮、ロンドン交響楽団による2002年のセッションで、題名の通り非常に充実したオーケストラ・パートをパッパーノが巧みに彫琢した緊張感とスリルに満ちた演奏が秀逸。

最後のバレー組曲『シンデレラ』は同名のバレー音楽から15曲を抜粋したもので、ロバート・アーヴィング指揮、ロイヤル・フィルの57年の歴史的セッションだが、デジタル・リマスタリングによって音質は良好。

蛇足ながらこのセットとRCAのラインスドルフ、プロコフィエフ作品集で彼の代表的なオーケストラル・ワークと協奏曲が揃うことになる。

勿論演奏の傾向は異なるが、優れたセッションの上に両者の選曲に全くだぶりが無く、また双方ともコスト・パフォーマンスの高い廉価盤なので、入門者にもお勧めできる。

ちなみに交響曲第1番『古典交響曲』は、どちらにも入っていないが、このEMI20世紀クラシック・シリーズのもうひとつのセット、協奏曲集にカップリングされている。

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classicalmusic at 00:14コメント(0)プロコフィエフ 

2018年06月18日


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ワーナー20世紀クラシックス・シリーズではストラヴィンスキーの第2巻目に当たる。

2曲の『組曲』がサイモン・ラトル指揮、ノーザーン・シンフォニア・オーケストラで1978年のセッション、ラトル、バーミンガム市交響楽団の1986年の『3楽章の交響曲』、99年に巨匠ロストロポーヴィチがソロにマキシム・ヴェンゲーロフを迎えてロンドン交響楽団を指揮したヴァイオリン協奏曲、93年のフランツ・ヴェルザー=メスト指揮、ロンドン・フィルによる『管楽器の交響曲』、74年のネヴィル・マリナー、ロス・アンジェルス室内による『協奏的舞曲』、87年のラトル、ロンドン・シンフォニエッタによる『エボニー協奏曲』、71年のセッションでミシェル・ベロフのピアノ、小澤征爾指揮、パリ管弦楽団によるピアノと管弦楽のための『カプリッチョ』、そして81年のマリナー、アカデミー室内管弦楽団の演奏で『プルチネッラ』のバラエティーに富んだ9曲が収められている。

ストラヴィンスキーの作曲様式は時代と共に著しく変化しているが、第1巻のほうには比較的初期の原始主義の様式によるバレエ音楽を集め、この2枚では主として中期以降の新古典主義的な傾向を持った曲がまとめられているが内容は多彩を極めている。

作曲家唯一のヴァイオリン協奏曲はサミュエル・ドゥシュキンが自分用にオーダーしたもので、ここではヴェンゲーロフの巧みで幅広い表現力が聴き所だ。

トッカータでのテクニックの冴え、アリアでの芯の太いカンタービレや終楽章での軽妙さなどがロストロポーヴィチの明晰なオーケストレーションに支えられて充分に発揮されている。

彼らは現代物ではまたショスタコーヴィチやプロコフィエフでも協演している。

2枚目の『組曲』第2番は第1番と同様ピアノ連弾用からのアレンジで、特に管楽器が活躍するスケルツォ的な趣を持っていて、『ペトルーシュカ』に現れる滑稽な手廻しオルガンの模倣がここでも用いられている。

ラトルの指揮は緻密でノーザーン・シンフォニアを良くまとめているが、『エボニー協奏曲』では律儀に取り組みすぎていて、羽目を外した気さくさがないのが惜しまれる。

この作品はサクソフォニストでジャズ・バンドのリーダーでもあったウディ・ハーマンの委嘱によるジャズの要素を取り入れた風変わりな楽器編成と曲想が特徴的だ。

『カプリッチョ』ではベロフの粋なピアノ・ソロに小澤が小味を効かせた軽快なオーケストラを伴わせていて好感が持てる。

尚最後に置かれた『プルチネッラ』はストラヴィンスキーがディアギレフの委嘱によってバレエ・リュスのために、ペルゴレージを始めとするイタリアン・バロックの作曲家の作品を編曲して連ねたバレエ音楽だ。

バロック音楽に造詣の深いマリナー、アカデミー室内管弦楽団の演奏は整然として美しいが、ロバート・ティアーのテノール・ソロがいくらか重い声とくどい表現になっている嫌いがある。

ここにはイタリア風の甘美なカンタービレが求められるだろう。

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classicalmusic at 00:11コメント(0)ストラヴィンスキーラトル 

2018年06月16日


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グスタフ・ホルストの作品集のみのシングルCDはそれほど多くなく、たいがい他の作曲家の作品に『惑星』がカップリングされているのが普通だが、この2枚組では彼のそのほかの代表的な曲が一通り鑑賞できるのが特徴である。

勿論このシリーズでは過去にリリースされた幾つかのCDからのリカップリングになるので、録音年代はまちまちだ。

例えばミリタリー・バンドのための『組曲ヘ長調』はエリック・バンクス指揮、王立空軍中央バンドの演奏で洗練さから言えばいくらか荒削りかも知れないが、この曲の性格をよく捉えたリズミカルなマーチや鍛冶屋の歌が巧みだ。

またケルティック・メロディーを取り入れた『サマーセット狂詩曲』は美しいローカルな魅力を持った作品として興味深い。

『ブルック・グリーン組曲』も彼のリリカルな面が良く示された優れた曲だ。

ノーマン・デル・マー指揮、ボーンマス・シンフォニエッタの演奏は控えめな表現ながら曲想をつかんでいて悪くない。

更に弦楽合奏のための『セント・ポール組曲』もやはり民族色豊かな舞踏音楽を交差させた生気に溢れる演奏をサー・マルコム・サージェント指揮、ロイヤル・フィルハーモニーで聴くことができる。

一方アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団によるバレー組曲版『どこまでも馬鹿な男』と『エグドン・ヒース』は短い作品ながらホルストのオーケストレーションの巧みさを引き出した名演だ。

肝心の『惑星』はサー・エイドリアン・ボールト指揮、ロンドン・フィルによる1978年のセッションで、2002年に新しくリマスタリングされて鮮明な音質が蘇っている。

カラヤンが振ったウィーン・フィルやベルリン・フィルの演奏ほどスペクタクルな表現ではないにしても、ボールドの指揮にはスコアを読みつくし、それを忠実に再現しようという説得力がある。

この曲は事実上彼の初演になるのでホルスト本人からの助言があったに違いない。

テンポの取り方は中庸を得た格調の高いもので、それだけにオーケストラの動きが手に取るように理解できる透明度は流石で、そこには本家の自負と威厳が感じられる。

サー・チャールズ・グローヴズ指揮、ロンドン・フィルの鮮烈で神秘的な女声コーラスが加わる『リグ・ヴェーダ』も印象に残る。

最後に収められているのはオルガン付の『コラール・ファンタジア』で、ロバート・ブリッジスの詩は過去の総ての芸術家に捧げるレクイエムであり、ホルストの娘であるイモージェン・ホルスト指揮、イギリス室内管弦楽団の演奏になる。

ここではソロ・ソプラノはジャネット・ベイカーのメゾ・ソプラノに換わっている。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)ホルスト 

2018年06月14日


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アンナー・ビルスマはバロック・チェロ奏法の草分け的な存在であり、また通奏低音奏者としても豊富な経験を持つ古楽アンサンブルの権威でもある。

彼のこうした学者としてのイメージを良い意味で覆しているのが5枚組の当セットで、聴いていて軽快で気持ちがよい。

ボッケリーニの音楽は優雅で屈託の無い宮廷趣味が支配的だが、自身稀代の名チェリストとして名を馳せただけあってチェロの超絶技巧を駆使したパッセージがいたるところに使われている。

こうした部分でのビルスマの胸のすくようなヴィルトゥオジティの披露や弦楽五重奏曲でのクイケン兄弟との息の合ったアンサンブルも鑑賞のポイントだろう。

尚オーケストラはターフェルムジーク、ソナタのフォルテピアノ伴奏はボブ・ヴァン・アスペレン。

アマゾンのページには曲目紹介がないので簡単にその内容を記すと、4曲のチェロ協奏曲(G476,480,483,573)、8曲のチェロ・ソナタ(G2,4,6,8,9,10,15,17)、3曲の二つのチェロの為のフーガ(G73-2,73-3,73-5)、6曲の弦楽五重奏曲(G313-318)、4曲のシンフォニア(G497,506,519,521)及び弦楽合奏にトラヴェルソ、ファゴットとホルンが加わる八重奏曲(G470)ということになる。

このボックス・セットはソニー・クラシカル・マスターズのリミテッド・エディションとしてリリースされたもののひとつである。

収録されたうちの数曲は既にビルスマ生誕70年記念の11枚のCDセットとして2004年にドイツ・ソニーから刊行されていた。

ボッケリーニのみをまとめた曲集は今回が初めての企画で、1977年から92年にかけて行われた録音の集大成になる。

総て24bitリマスター処理がされているが、ごく簡易な廉価盤である為にライナー・ノートは省略されている。

また流通経路が原因と思われる、店舗による大幅な価格差が生じていることも付け加えておく。

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classicalmusic at 00:41コメント(0)ビルスマ 

2018年06月12日


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アンナー・ビルスマには古楽のパイオニア、ヨーロッパ古楽界の重鎮というイメージが定着しているが、一方でこの6枚組の協奏曲集及びデュエット集に聴かれるように、チェロの恐るべきヴィルトゥオーゾだったことを思い知らされる。

このセットではアンサンブルを支えた通奏低音奏者の姿からは想像できない別人のチェリストが現れて、そのディアボリックな超絶技巧を楽しんでいる意外性に驚かされる。

CD1−3ではヴィヴァルディ、ボッケリーニ、ハイドン、クラフトのチェロ協奏曲集で、ヴェネツィアの名匠マッテーオ・ゴフリラーによる名器の音色と機能をフルに活かした鮮やかな弓さばきを堪能させてくれる。

ボッケリーニやクラフトはそれぞれが高名なチェリストだったこともあって、その作品は名人芸が随所に使われている難曲揃いだが、ビルスマの向かうところ敵無しの颯爽とした弾きぶりがこれらの曲の美学を究極的に引き出している。

尚CD1の最後に収められた『協奏曲ニ短調』はバッハの『フルート・ソナタロ短調』からフランス・ブリュッヘンによって復元された作品で、ごく部分的な試みだがクイケン兄弟やグスタフ・レオンハルトを配した豪華メンバーで試奏されている。

CD4でのベートーヴェンの『トリプル・コンチェルトハ長調』は、この作品をピリオド楽器で演奏した数少ないサンプルのひとつで、1974年の録音なのでおそらくこの演奏形態での最も古いセッションと思われる。

ソリストはビルスマの他に指揮とヴァイオリンを兼ねるフランツヨーゼフ・マイヤー、フォルテピアノにはバドゥラ=スコダを迎え、コレギウム・アウレウムがサポートしている。

博物館から引っ張り出してきたようなフォルテピアノの古色蒼然とした音色は、現代ピアノに慣れた耳にはいくらか違和感が残るが、彼らのこうした実践的な試行錯誤が今日のピリオド楽器の専門的な修復やその奏法の確立を促した重要な活動だったのではないだろうか。

それに続く『クロイツェル・ソナタ』からの弦楽五重奏版へのアレンジ物は彼らの柔軟なファンタジーをみせた好例だ。

CD5はビルスマが愛用しているストラディヴァリウス「セルヴェ」の所有者だったチェリスト、フランソワ・セルヴェへのオマージュで、実際にこの楽器の持つ特性を披露する技巧的なチェロとオーケストラの作品2曲とデュエット4曲を収録している。

最後の1枚もやはり19世紀のフランスの名手オーギュスト・フランショームの作品集で、音楽的にはそれほど深刻なものではないが、中でもショパンとの合作になるマイヤベーヤのオペラ『悪魔ロベール』のテーマによる『グラン・デュオ・コンセルタン』は華やかに彩られた典型的なサロン風の小品だ。

ライナー・ノーツは英語のみの22ページで音質は極めて良好。

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classicalmusic at 00:04コメント(0)ビルスマ 

2018年06月10日


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ビルスマの室内楽第2集12枚のセットで、ピリオド楽器によるアンサンブルに興味のある方には聴き逃せない充実した内容を誇っている。

一曲目のベートーヴェンの『チェロ・ソナタ第3番イ長調』でビルスマは変化に富んだきめ細かいアーティキュレーションで曲想を丹念に仕上げている。

この作品はその雄大な構想から、時として必要以上に重厚でしかつめらしい表現になりやすいが、彼の曲作りはごく自然体で飄々としている。

しかしその演奏には細部まで明確にしなければ気が済まない律儀で隙のない音楽設計と表現力の幅広さが感じられ、しかも全体の流れを止めることのない悠揚とした大きなスケールでまとめあげている。

その意味で後に続くチェロ・ソナタ全曲を鑑賞することによって、彼の意図するベートーヴェン像がより明瞭になってくることは疑いない。

同じくベートーヴェンのピアノ三重奏曲『大公』及び『幽霊』も典型的な内容重視の演奏で、表面的なアピールを嫌った、しかし思い切ったダイナミズムの中に音楽性を掘り下げていく奥深さを持っている。

1727年製のストラディヴァリウスを弾くヴァイオリニスト、ヴェーラ・ベスは、その美しい音色と阿吽の呼吸でアンサンブルを手堅いものにしているが、ここではまたフォルテピアノを演奏するファン・インマゼールの感性豊かなサポートが特筆される。

現代のピアノに比べれば地味な音色には違いないが、それだけに抑揚を利かせた巧みな奏法が弦楽に良く調和して、音楽的に釣り合いが取れているだけでなく、ソロとしてのピアノの役割にも充分に応えている。

シューベルトのピアノ五重奏曲『鱒』ではアンサンブル、ラルキブデッリのそれぞれ由緒ある楽器とピリオド奏法を用いた軽妙な演奏が、かえってこの作品をリフレッシュさせていて古臭さが全く感じられない。

快速のテンポで進む弦楽とファン・インマゼールの軽快なフォルテピアノが相俟ってシューベルト特有の清々しさと穏やかな色彩感を醸し出して、ピリオド楽器による室内楽としての説得力にも欠けていない。

また『アルぺジョーネ・ソナタ』でビルスマは1700年製のチェロ・ピッコロを失われてしまった楽器アルぺジョーネに替えて、そのインティメイトな響きを辿っている。

高音ではやや線の細い音色になるが、この楽器の機動性を駆使した自在な表現は如何にも彼らしい。

後半のブラームスではラルキブデッリの練り上げられたアンサンブルの技が冴えている。そこには決して古楽奏者と古楽器を寄せ集めただけではない、彼らの確固としたポリシーとロマン派の音楽に対しても高い適応性と、それに見合う高度なテクニックが示されている。

弦楽六重奏の音色は渋めだが、民謡風の素朴なカンタービレと対位法の対比が寓話的な作品の魅力を伝える優れた演奏だ。

尚CD12にはライナー・ノーツによると最後にヴェーバーの『フルート三重奏曲ト短調』が組み込まれている筈だが、実際には抜けている。

選曲の候補には上がったが時間的に収容できなかったのだろう。このCDの演奏時間トータルは83,38分と記載されているがそれ自体不自然で、おそらくミスが見落とされて印刷されたと思われる。

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classicalmusic at 00:18コメント(0)ビルスマ 

2018年06月08日


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1976年から77年にかけてドレスデン・ルカ教会で収録された3曲のディヴェルティメント及びアダージョとフーガハ短調をカップリングしたドイツ・シャルプラッテン音源で、リマスタリングとUHQCD化によって鮮明な音質が得られている。

収録時間がいくらか短いが、その分音質に反映されていると思えばリーズナブルな価格と言えるだろう。

ブロムシュテット首席時代のシュターツカペレ・ドレスデンの、常に真摯かつ几帳面でありながら硬直した演奏に陥ることなく、ディヴェルティメントらしい活き活きしたスピリットが一陣の心地良い風が吹き抜けるような爽やかさを感じさせる。

彼らから紡ぎ出されるオーケストラの音色は甘美ではないにしても、若き日のモーツァルトのウィットを伝えるに相応しい落ち着いた響きと柔軟さで、ブロムシュテットの指揮に敏感に呼応しているところが秀逸。

ブロムシュテットの解釈は総じて中庸で、作為は一切排し、極めて自然に音楽を流している。

上質なオーケストラのアンサンブルと響きを最大限に活かしながら、バランスよく爽快に聴かせて、特に高弦部の清澄で古雅な響きは傾聴に値する。

近年のブロムシュテットの円熟ぶりからすると今一歩の感はなきにしもあらずだが、伝統的なモーツァルト演奏としての価値は充分にある。

モーツァルトは作曲家としてのシリアスな能力が問われる仕事、つまり劇場作品や宗教曲、交響曲や協奏曲、弦楽四重奏曲などの他に、肩の凝らない娯楽機会用のアンサンブルやオーケストラル・ワークでもかなりの作品を遺している。

勿論こうしたジャンルだからと言って彼が手を抜いて作曲したわけではなく、むしろ諧謔の天才たるモーツァルトの機知とユーモアが高度な音楽性を伴って示された優れた作品群であることに違いない。

このディスクに収録された3曲のディヴェルティメントはザルツブルク時代の作品で、16歳の若書きとは言え後の交響曲に発展する前のミニアチュアにも喩えられる、既に完成したテクニックが颯爽とした曲想に垣間見える。

アダージョとフーガは明らかにバッハの対位法作品からの影響を受けた作品で、曲の構成からバロック風に名付ければさしずめプレリュードとフーガになるだろう。

しかしアダージョは鮮烈だがもはやバロック的な深刻さがそれほど感じられない、どちらかと言えばロココ風の優美な嗜好が感じられる。

モーツァルトは少年時代イタリア旅行でマルティーニ神父から対位法ののレッスンを受けているが、宗教曲以外でも弦楽四重奏曲や最後の交響曲『ジュピター』の終楽章のように高度なフーガの作法にも熟達していたが、このフーガの後半でのストレッタで次第に緊張感を高めていく彼のテクニックが証明されている。

この作品はピアノ連弾用として作曲され、その後モーツァルト自身によって弦楽合奏用にオーケストレーションされたが、厳格な雰囲気の中に瑞々しい美しさを湛えている。

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classicalmusic at 00:19コメント(0)モーツァルトブロムシュテット 

2018年06月06日


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ブロムシュテットが手兵シュターツカペレ・ドレスデンを指揮したシューベルトの交響曲全集は1978年から81年にかけて旧東独のドイツ・シャルプラッテンに録音された。

現在でも同社のクラシック部門エーデル・レーベル、オランダ・ブリリアント・クラシックスからの廉価盤、キング・レコードからの日本盤のいずれも入手可能だ。

鮮明な音質に加えて分離状態の良いオーケストラの音響が広い音場の中で明瞭に再生される。

ちなみに日本では第8番ロ短調『未完成』のみがドヴォルザークの第8番とのカップリングでUHQCD化されているが、将来ブルーレイ・オーディオなどによるグレードアップを期待したい全集だ。

ブロムシュテットがこれまでに完成させた交響曲全集には他にシュターツカペレ・ドレスデン及びゲヴァントハウスとの2種類のベートーヴェン、ゲヴァントハウスとのブルックナーがある。

それらも録音史上に残るべき真摯で説得力のある演奏だが、このシューベルトも全く優るとも劣らない緻密な構成で力強い響きが導き出されている。

数多いシューベルトの交響曲全集の中で、これほど全曲が均質化され、気高く交響的な美感をもって演奏された例は少ないだろう。

シューベルトのなかにある独自の孤独感や、祖父がシュレージェン地方の農民であったという血の表明をドイツ的な堅実さで確実に表出し得ている。

シューベルトの本質を衝いた秀演で、全8曲どれをとってもむらがなく、禁欲的節度と気品を持った演奏だ。

ウィーンの伝統である楽天性や感傷とは一線を画しているが、そこにシューベルトの孤高の心情を描いており、ドイツ的とも言える堅実な感触が、第5番までの初期交響曲から堂々とした交響性を引き出している。

『未完成』では第1楽章の雄大なスケールと第2楽章の内面の豊かな歌、『ザ・グレイト』での山脈のように聳え立つ緊密な構築も特筆して良い。

さらに、シュターツカペレ・ドレスデンのふくよかな響きが素晴らしい雰囲気を味わわせてくれる。

シューベルトの交響曲の歴史的な評価はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンに引き継がれる圧倒的な系譜からするといくらか影の薄い印象があるが、ロマン派交響曲の先駆としてベートーヴェンとも異なった手法で生み出されたところが2人のピアノ・ソナタの性格の違いにも一脈通じるものがあって興味深い。

しかも彼が僅か31歳で生涯を終えたことを考えれば、その後のメンデルスゾーンやシューマンに与えた影響は決して軽視できるものではないだろう。

ベートーヴェンは短いモチーフを極限まで展開して堅牢な楽曲を築き上げたのに対して、シューベルトはリート作曲家らしく、しばしば歌謡的な長いメロディーをテーマに持ち込んで、流麗で溌剌とした音楽に仕上げている。

そのために技巧を凝らしたフーガやそれぞれの楽章間の緊密な統一感などは望むべくもないが、平明な美しさとおおらかさには替え難いものがある。

シュターツカペレ・ドレスデンの音色は華麗ではないにしても、個人的なテクニックの水準は高くアンサンブルも洗練されていて、作曲家のカンタービレを自在に歌う融通性がある。

それは彼らがオペラ劇場ゼンパーオーパーのオーケストラ・ピットに入る楽団であることからも納得できる。

筆者は以前ブロムシュテット指揮する彼らのコンサートを聴いたが、その時ごく僅かな身振りから変化に富んだ多彩な音楽が引き出されるところに両者の信頼関係と強い絆を実感できた記憶がある。

尚シューベルトにはピアノ譜で遺された交響曲の草稿が他にもあり、このセットでは旧ナンバーリングで最後の2曲は第8番及び第9番になっているが、彼自身がオーケストレーションを施したものは事実上ここに収録された8曲になる。

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classicalmusic at 00:12コメント(0)シューベルトブロムシュテット 

2018年06月04日


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これまでにユニヴァーサルからリリースされたベームのバジェット・ボックスは3組あり、ユニヴァーサル・イタリーのベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルトの交響曲全集22枚と、ドイツ・グラモフォンからの後期録音集23枚及び『カール・ベーム・ア・ライフ・イン・ミュージック』の29枚だが、更に今回グレイト・レコーディング集17枚が加わった。

収録曲目がだぶらないように効率良くコレクションするには、これら4セットのうちだぶリの多い『ア・ライフ・イン・ミュージック』を除いた3セットの購入が理想的で、協奏曲やオペラは別として入手困難なディスクを含むオーケストラル・ワークが正規グラモフォン音源で一挙に揃うことになる。

この17枚にはベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』、ハイドンのオラトリオ『四季』などの声楽曲も含まれている。

それらはモーツァルトの『レクイエム』と並ぶベームの宗教曲に対する造詣の深さと真摯かつ情熱的な解釈を示した貴重なサンプルでもあり、ひとつの模範的な演奏である筈だ。

リヒャルト・シュトラウスの『アルプス交響曲』を始めとする数曲のモノラル録音もあるが、いずれも本家の音源だけに音質自体は高度な鑑賞にも充分堪え得る破綻のない良好な状態に保たれている。

尚最後の2枚はボーナスCDになり、ベーム自信の語る音楽観とキャリアの回想及びシューベルトの交響曲『グレイト』の計40分以上に及ぶリハーサル風景とその後の全曲通しのセッションが収録されている。

ベームは筆者にとってドイツ・オーストリア音楽のスタンダードであり続けているが、同時代に活躍したカラヤンがベルリン・フィルの芸術監督であったこともあり、ベームと言えばウィーン・フィルの指揮者というイメージが強かった。

しかし、実際にはベームは1950年代から60年代にかけて、ベルリン・フィルやシュターツカペレ・ドレスデンとも多くの録音を残しており、それらをこのボックスでまとめて聴けることはありがたい。

その中には、かつてLPで所有していたベートーヴェン『エロイカ』やブラームス交響曲第1番の懐かしい名演だけでなく、その存在は知っていても耳にする機会がなかった一連のモノラル録音も含まれている。

ベームの音楽に対する姿勢や曲の基本的な解釈は当時から一貫しているが、その演奏全体から筆者が受けた印象は後年のウィーン・フィルの演奏とは大きく異なった。

このボックスに収められた一連の録音は、ベームという指揮者を改めて再発見させてくれるのではないだろうか。

75ページほどのライナー・ノーツには収録曲目と録音データの他にヘルゲ・グリューネヴァルトのエッセイが珍しく日本語訳で掲載されているのは親切な配慮だ。

また声楽曲に関しては全曲英語対訳歌詞付。

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classicalmusic at 00:34コメント(0)ベーム 

2018年06月02日


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コーガンは58歳という全盛期に他界し、奇しくも時を同じくしてモノラルからステレオ録音への交替期が訪れたこともあってレコーディングにはそれほど恵まれなかったヴァイオリニストだ。

彼のセット物ではこれまでヴェネツィア・レーベルからソヴィエト音源を収集した16枚組とワーナー・コリアからの15枚組がそれぞれリリースされているが、前者は既に廃盤、後者はコスト・パフォーマンスが難点になっている。

このメンブランのマイルストーンズ・オヴ・ア・レジェンド・シリーズではEMIだけでなくRCAなどの音源からコーガンの演奏した協奏曲、ソナタ及び彼がメンバーとして加わった室内楽などが比較的ランダムに選択されているようだ。

例えばモーツァルトとブラームスではセッションとライヴの異なった協演による2種類ずつの協奏曲を比較鑑賞できる趣向になっていて、特にブラームスではコンドラシンとモントゥーでは全く解釈が違うのが興味深い。

コリア盤に比較して単価はほぼ半額になるので、世紀のヴァイオリニストの神々しいばかりの演奏を気軽に体験できるところがセールス・ポイントだろう。

コーガンのヴァイオリン演奏は、鉄壁のテクニックをベースにしつつ、内容の豊かさを失うことがない申し分のないものであり、いずれも珠玉の名演奏と評しても過言ではあるまい。

コーガンは、テクニックと音楽表現の両面において、筆者個人はハイフェッツやミルシテインにも匹敵する名ヴァイオリニストと考えているが、色々な意味で悲劇的と言える生涯を送った彼は、その真価がなかなか正当には認識されていない傾向があるようだ。

特に日本では、コーガンというと大家と認められながらも、どちらかというと技巧派としての面ばかりに目を向けられてきたきらいがあるが、彼は音楽的な表現力も実に豊かで、もっと高く評価されるべき偉大なヴァイオリニストである。

突然死した彼の死因については、暗殺説もささやかれているが、ここに示された厳しくも彫りの深い表現と輝かしく格調の高い表現の素晴らしさには、この孤高の名手の芸の高さもが如実に映し出されている。

また、理想的なほどに自在で滑らかなボウイングのテクニックも、注目に値するものである。

音質面に関してはメンブランは無頓着なところがあって、版権の切れた過去の名演奏を低コストで提供することに主眼を置いていて、当然新しいリマスタリングは期待していなかったが、このセットは正規音源を使ったものらしく、一通り聴いた感じでは概して良好な音質で再生され、鑑賞に全く不都合はない。

また彼のさまざまなジャンルのレパートリーがまんべんなく収められていて、コーガンの至芸を堪能するには充分な質と曲数も提供している。

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classicalmusic at 00:33コメント(0)コーガン 
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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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