2021年04月

2021年04月26日


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リヒテルとマタチッチによるグリーグとシューマンという巨匠同士の邂逅により創り出されたロマン溢れるピアノ協奏曲集。

リヒテルの個性が遺憾なく発揮された録音であり、メロディの美しさゆえにとかく抒情性だけで演奏されがちなこの2曲に、漲る気迫を注入する巨匠のピアニズムに瞠目させられる。

グリーグの方はオーケストレーションが比較的平明なためか、ソロを引き立てる効果的な伴奏になっている。

リヒテルのダイナミックなサウンドと緩徐楽章でのリリカルな歌心が発揮されて、聴き古された名曲を見事に蘇らせている。

リヒテルは小細工をせずに王道を行く、極めて正統的な弾き方だが、それがかえって鑑賞する人にダイレクトに伝わってくる。

マタチッチのサポートも上手いが、問題はオーケストラの力量だろうと思う。

モンテカルロ歌劇場管弦楽団はオペラではかなりの腕前を示しているが、オーケストラルワークや協奏曲などになると、やや弱点が表れてしまう。

指揮者の要求に充分応えられないところがあることは確かだ。

それは特にシューマンの協奏曲で明らかで、リヒテルが良くないのではなく、引き立てる彼らのテクニックが劣っているために、ここぞという時に凡庸な効果しか出ていないのも事実だろう。

単純ではないシューマンのオーケストレーションを聴かせるには、レーションが比較的平明なためか、ソロを引き立てる効果的な伴奏になっているし、リヒテルのダイナミックなサウンドと緩徐楽章でのリリカルな歌心が発揮されて、聴き古された名曲を見事に蘇らせている。

その意味では1972年にムーティがウィーン・フィルを指揮したザルツブルク・ライヴが素晴らしい。

リヒテルにいくらかミスタッチがあるが、感動的な演奏であった。

録音データを見るとどちらも1974年の録音で、バランス・エンジニアはポール・ヴァヴァシュール。

リマスタリングの効果もあって音質自体は決して悪いものではないが、オーケストラの解像度はそれほど高くない。

この時代のEMIの録音は、他の大手メーカーに比べると中音部が弱く鮮明さにもやや欠けているのが一般的で、時代相応といったところだろう。

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classicalmusic at 10:53コメント(0)グリーグシューマン 

2021年04月19日


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筆者としてはカラヤン、リヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチという巨匠4人の協演が決して失敗だったとは思わない。

むしろ音楽は生き生きしてベートーヴェンのオーケストレーションの醍醐味も味わうことができる。

彼ら1人1人のスタンドプレイで終わるのではなく、それぞれが抑制しながら堅実なアンサンブルを聴かせてくれる。

そのうえでの名人芸が、曲中にちりばめられている魅力的なセッションだ。

その音楽性、集中力の高さと表現力の豊かさは流石だ。

ここで一目置きたいのはカラヤンのサポートだ。

他の演奏者による録音も何組か聴き比べてみたが、この作品のオーケストラ・パートの充実感を示せた指揮者は意外に少ない。

3人のソリストを引き立てることは勿論だが、3つの楽章の特徴を巧みに掴んで構成し、終楽章アッラ・ポラッカで壮大な効果を上げるようなサウンドを創り上げている。

このセッションでリヒテルがカラヤンと気まずい関係になったことは、本人の証言で間違いない。

でも出来上がったテイクはなかなかどうして素晴らしいものだし、リヒテル自身もカラヤンのこうした才能を否定していたわけではないだろう。

リヒテルはモンサンジョンが制作したドキュメンタリー映画の中で、ベートーヴェンのトリプル・コンチェルトは酷い出来だったと証言している。

このエピソードはまた、ユーリー・ボリソフの『リヒテルは語る』の中でも「確かに恨みを抱いていた。そう、カラヤンにだ。三重協奏曲でね。もっと練習すべきなのに、写真撮影に移ろうと言い出した!まったく正気の沙汰じゃないよ…」と書かれている。

カラヤンには二つ返事で従うロストロポーヴィチの態度を苦々しく思いながら、オイストラフとは良好な関係を保っていたようだ。

しかしながら4人の巨匠のキャスティングは、この演奏を聴く限り成功している。

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classicalmusic at 10:46コメント(0)ベートーヴェンカラヤン 

2021年04月13日


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本作は、1960年以降ようやくスヴャトスラフ・リヒテルが西欧各地で演奏しはじめて間もない時期に録音されたリストの協奏曲集。

1961年にロンドンで録音されたフランツ・リストのピアノ協奏曲2曲は、当時46歳だったリヒテルの圧倒的な音楽性が示された演奏である。

39歳の年にプラハの春音楽祭に出演、“現代のリスト”と激賞されたリヒテル。

この豪放にして詩的、剛毅にして颯爽とした演奏は、同作品における最高の演奏のひとつに数えられている。

ロンドン交響楽団を率いるコンドラシンの堂々たるサポートも相俟って新たな作品の魅力が引き出されている。

いわゆるリスト弾きのピアニスト達は、どうしてもテクニックの披露に走りがちなために、こうした曲の持っている本来の骨太なロマンティシズムを表現することや、スケールの大きさに欠けてしまうことも往々にしてある。

勿論リヒテルも壮年期の覇気を感じさせる超絶技巧を駆使してはいるが、緩徐楽章ではテンポを思いきり落とし、良く歌うことに腐心している。

それはたとえて言うならば中世騎士的な高邁な歌であって、決して情緒過多な脆弱さは感じられない。

リストはこの2曲でオーケストラ・パートにも様々な工夫を試みている。

そして2曲とも華麗なマーチによってクライマックスが築かれているが、コンドラシンの生き生きとして、しかも色彩豊かなオーケストラが効果的でドラマティックなサウンドを創り上げている。

特に第2番は単一楽章の作品の性格上、通常ラプソディー風に流れてしまいがちだが、コンドラシンはがっしりとした、しかし絢爛豪華な額縁を嵌め込んだ絵画のように仕上げている。

確かにリストの作品の中には駄作と思われるものもあるし、それが理由でリスト嫌いの人もいるだろうが、彼らのような演奏は例外で、入門者にもお薦めしたい。

音質は時代相応以上に良好。

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classicalmusic at 11:19コメント(0)リヒテルコンドラシン 

2021年04月05日


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既に廃盤になっているアルバムだが、エラートからリリースされたルージチコヴァーのバッハ・コンプリート・レコーディング集に組み込まれて復活した演奏集になる。

1973年にパリで録音された音源で、音質は極めて良好。

演奏に関しては、まろやかで大らかなフルニエのアプローチと緩みのない音楽を奏でたいルージチコヴァーの芸風のそりが今一つ合っていないように感じられる。

フルニエのチェロは、ロマン派の名残が感じられるような表現が特徴的で、緩徐楽章でのカンタービレや要所要所に入れるポルタメントがいくらかバッハらしくない。

しかし音楽作りはシンプルで耽美的なところはないし、急速楽章でのメリハリを利かせたフレーズも心地良い。

一方ルージチコヴァーは、よりモダンな解釈で、バロックの演奏習慣に従ってはいるが、華美になり過ぎないすっきりした伴奏になっている。

2人の演奏スタイルの相違は明らかに感知されるが、アンサンブルとしてはバランスもとれた美しいバッハに仕上がっている。

個人的には先程ご紹介した彼女とシュタルケルのデュエットの方がお薦めできる。

ルージチコヴァーの使用楽器は、シュペルハーケのモダン・チェンバロでモダン楽器にありがちな刺激的な音質ではないが、高音が勝っていて余韻は少なめに聞こえる。

ピリオド楽器であれば、音量は小さいが中低音に深みのある響きが得られるのだが、まだ彼女の全盛期には一般的ではなかった。

コピー職人が希少だったし、博物館のオリジナル楽器は、総て修復が必要だった。

ヴァルヒャが晩年にかろうじてシェリングとのヴァイオリン・ソナタ集と平均律全曲の2回目にヒストリカル楽器を使用したのは画期的な出来事だった。

ルージチコヴァーはピリオド楽器でセッション録音を残しておらず、総てが鉄製フレームのアンマー、シュペルハーケ及びノイペルトのモダン・チェンバロだ。

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classicalmusic at 17:01コメント(0)バッハフルニエ 
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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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