2021年09月

2021年09月29日


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ドイツ・グラモフォンから既出のグラモフォン及びデッカ・レコーディング集はCD34枚にDVDが1枚付いていた。

今回のセットは55枚組で、旧EMI系の音源だけでなくユニヴァーサル系の音源も含まれている。

このために重複している演奏もあるが、例えばブルックナーの交響曲について言えば、前者には第4,5,7-9の5曲が収録されていた。

こちらは第7番の第2楽章のみがベルリン・フィルの演奏で加わっているだけだ。

オペラ全曲録音に関しては、前者は1954年のザルツブルク音楽祭でのウィーン・フィルを振った『ドン・ジョヴァンニ』のDVDだった。

このセットには映像こそないが1952年のフィルハーモニア管弦楽団との『トリスタンとイゾルデ』、1953年のウィーン・フィルとの『フィデリオ』及び54年の『ヴァルキューレ』の3曲が揃っている。

このセットの魅力の一つは幾つかの例外を除いて新規リマスタリングされた音源を使っていて、従来盤より若干音質が向上していることだ。

ライナー・ノーツによればCD1-34,36-54は192kHz/24bit、CD35は96kHz/24bit、最後のインタビュー付きドキュメンタリーは44kHz/16bitと記されている。

またウォリット・カバーはCD6-8、41-43、54,55以外はオリジナル・デザインが印刷されている。

ただしCD31のように2枚だったディスクをリカップリングしたものはひとつのジャケットに両方を掲載している。

録音データや演奏団体は詳細に記録されているので資料としても利用できる。

いずれにしてもグラモフォンのセットと並ぶフルトヴェングラーの決定的なコレクションになるだろう。

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classicalmusic at 12:54コメント(0)フルトヴェングラー 

2021年09月24日


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20世紀最高のトランペット奏者のひとりモーリス・アンドレは、1933年5月21日、南仏アレスに誕生した。

父の友人でパリ音楽院出身のバルテルミーにトランペットを学び、その後、パリ音楽院に進んでからはサバリクに師事して腕を磨き、卒業後、フランス国立放送管弦楽団に入団。

1955年、ジュネーヴ国際コンクールで優勝すると、ラムルー管弦楽団のソロを務める一方で、バロック・トランペットやジャズにまで活動領域を拡大した。

1963年にミュンヘン国際コンクールで優勝すると、国際的な演奏活動やレコーディングをおこなうようになるが、恩師サバリクの後を継いだパリ音楽院主任教授の活動は継続した。

アンドレは複数のレーベルにわたって膨大な数のレコーディングをおこなっているが、メインとなるのはやはり地元フランスのレーベル、エラートによる大量のレコーディングだろう。

網羅的に演奏されたトランペット・レパートリーの数々は、どれも高水準な演奏で一貫しており、アンドレならではの柔らかく美しいサウンドを満喫することができる。

炭鉱夫の父を持ち、自らも少年炭鉱夫として働いたモーリス・アンドレが、ヨーロッパの名立たるコンクールを次々と制覇して行く出世物語は、高校生だった筆者をいたく感動させたものだった。

彼の実際の演奏に接した時の驚きと興奮は今でも忘れることができない。

明るく艶やかで柔軟な歌心と驚くほど軽快かつパワフルな表現は、まさに天与の才という言葉が相応しいトランペッターだった。

しかし時代やジャンルを問わない彼の膨大なレパートリーが決して安っぽい芸に堕しなかったのは、常に音楽的な基礎とその洗練に努力を惜しまなかったからだろう。

このセットの中でもコンクール凱旋の曲でもあるジョリヴェの協奏曲を始めとする、現代作曲家による一連の協奏曲や、アンサンブルのための作品は録音こそ幾分古い。

しかし彼の死後リリースされた幾つかの追悼盤には全く含まれていない初期の意欲的なセッションで聴き逃すことができない。

音程やリズムの正確さに加えて切れの良さなど、現代音楽には欠かせないセンスが縦横に駆使された模範的な演奏として高く評価したい。

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classicalmusic at 14:43コメント(0)パイヤールバッハ 

2021年09月21日


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テレマンがパリ滞在中に出版した『6曲のトラヴェルソ、ヴァイオリン、バス・ヴィオールあるいはチェロと通奏低音のための新しい四重奏組曲集』をハーゼルゼットのトラヴェルソ・ソロとトリオ・ソヌリーの演奏で、2枚のCDに収めたEMIヴァージン・ヴェリタス廉価盤シリーズの一組。

このセットの演奏者はバロック・ヴァイオリンのモニカ・ヒュゲットやチェンバロのゲイリー・クーパーなど古楽とピリオド楽器奏者の専門家が揃っていて、流麗で巧みなアンサンブルを聴かせてくれるのがバロック音楽ファンにとっての最大の楽しみだ。

しかしこの曲集にはソニー・ヴィヴァルテからリリースされているクイケン兄弟とグスタフ・レオンハルトの強力なライバル盤が存在していて、そちらの方が一層彫りの深い音楽的な彫琢と、バロック特有の劇的な要素や荘重な雰囲気を見事に醸し出していて、それに比べるとややあっさりとした軽い感じに聴こえてしまう。

決して軽佻浮薄な印象はないが、もう少し音楽にコクがあってもいいだろう。

その理由はトラヴェルソ中心に採音した楽器間のバランスにも認められる。

クイケン盤では4人の奏者が対等で、しかもレオンハルトのチェンバロが要になってアンサンブルを支えているからだ。

例えば第1番ニ長調ではトラヴェルソの調性を活かした華やかな快活さが特徴的だし、また第2番イ短調の終曲『クーラント』でのヴァリエーションはまろやかに響く笛の音色と弦のオクターヴで重なる幻想的なユニゾンが非常に美しい。

こうしたところに彼らの緻密なアンサンブルのテクニックを聴くことができる。

しかし一方で名高い第6番ホ短調の終曲『モデレー』では、テレマンがこの曲に閃かせた天才的な音楽性がいくらか上滑りしていて、宮廷の娯楽のための音楽としては成功しているが、背後にあるバロック的奥深さには残念ながら到達していない。

クイケン盤がより低いいわゆるヴェルサイユ・ピッチを採用しているのに対して、彼らはa'=415Hzのスタンダード・バロック・ピッチを使用していることも両者の曲想表現に大きな影響を及ぼしているものと思われる。

演奏者はヴァイオリンがモニカ・ヒュゲット、ヴィオラ・ダ・ガンバがサラー・カニングハムで、チェンバロ・パートはゲイリー・クーパー及びミッツィ・メイヤーソンが分担している。

尚この曲集ではガンバを通奏低音から独立させているのがテレマンの新しい試みだが、ここでは通奏低音として習慣的にチェンバロと重ねられる低音弦楽器は省かれている。

1990年代前半のデジタル録音で、音質は良好だがソニー盤に比較して切れがいまひとつなのも事実だ。

ごく簡易なライナー・ノーツには彼らの使用楽器が明示されていないが、廉価盤でこの曲集全曲を鑑賞できるのが魅力だ。

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classicalmusic at 11:07コメント(0)テレマン 

2021年09月14日


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コダーイの《無伴奏チェロ・ソナタ》はシュタルケルの演奏によって世界中に知られ、シュタルケルの名はコダーイの《無伴奏チェロ・ソナタ》によって世界的になった。

したがって、コダーイの《無伴奏チェロ・ソナタ》はシュタルケルの演奏を抜きにしては語れないし、この両者を切り離して考えることはできない。

コダーイ自身からの薫陶を受け、同じマジャール人のスピリットを受け継いだ彼の伝説的な演奏は、同曲の世界初録音(1948年)と2度目の録音(1950年)が既にCD化されているが、このCDに収められたソナタは1970年に日本で録音されたもので、3種類の中では最良の音質だ。

シュタルケルは、熱い思いをほとばしらせつつ、ひたむきに作品に没入、一気呵成に弾き切り、強くて鋭いその勢いは、聴き手を圧倒しないではおかないし、ハンガリー出身だけに民族的な表現も申し分ない。

彼がコダーイの音楽の本質を捉えようとした、天才的な閃きと民族的スピリットを感じさせる凄まじい演奏だ。

旧盤との解釈の違いは見られず、また相変わらず冴え渡った技巧を聴かせてくれるが、嘗ての鮮烈で覇気に満ちた表現とは多少異なった、円熟期特有の余裕と細かなニュアンスに富んだ演奏が聴き所だろう。

しかも、踏み込み鋭く作品に迫った演奏には、要所要所をしっかりと抑えた強靭なコントロールがきいていて、確かな構成感をもっている。

すでにアメリカのオーケストラに定住していたシュタルケルにとって、民族色の強いこの作品の誠実な熱演は、そのまま自己確認作業となったのではないか。

剛毅な表現の内側には、シュタルケルその人の望郷の念が秘めてあったような気がする。

ここにはその他に、シュタルケル自身が手を入れたハンス・ボッタームントの《パガニーニのテーマによる無伴奏チェロの為のヴァリエーション》と更にコダーイの《ヴァイオリンとチェロの為のデュオ》作品7が収録されている。

パガニーニの方はヴァイオリン顔負けの超絶技巧が炸裂するアンコール用の小品で1976年日本録音、一方デュオはコダーイが民族音楽の精神を普遍化させたもう一つの例で、洗練された音楽性の中にも原初的なパワーを感じさせる秀演。

ヴァイオリンはクリーヴランド管弦楽団のコンサートマスターを務めたジョセフ・ギンゴールドで1973年インディアナ大学での録音で、音質は極めて良好。

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classicalmusic at 11:29コメント(0)シュタルケル 

2021年09月08日


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本書の前半は過去に書き残された能う限りの古い文献からの死生観についての言い伝えや経験談が豊富に紹介されていて、現代人の感覚ではなく中世に生きた人々の赤裸々な思考回路に直面するように構成した阿部氏の試みが読み取れる。

しかもこれらのサンプルは興味深いものばかりが採り上げられているので、暗く重いテーマを扱った著書のわりには読み易い。

ヨーロッパでの罪と罰の意識の大きな変革はキリスト教の布教によって訪れている。

当初のキリスト教では、人は死後生前の行ないによって天国か地獄へ行くことになるが、後になって祈ることで救済可能な中間界の煉獄が捻り出される。

しかしそれ以前の北欧やゲルマン或いはギリシャ、ローマの世界では冥界はあってもそうした区分けは存在せず、死後の世界が決して悍ましい苦痛を与えるところでもなかったようだ。

死は彼岸ヘの移動という感覚で現世とそれほど変わらないところとして捉えられているのが興味深いし、人間が生まれながらにして罪を背負って生きているという意識も当然皆無だった。

一方キリスト教ではアダムとイヴが楽園での全被造物に対する特権的支配権を委ねられていたにも拘らず、二人は悪魔の誘惑に負けて禁断の果実を食べたために楽園から追放される。

当初二人は愛と相互の信頼によって生きていたが、神の罰で世界は牢獄化し、霊は肉体の奴隷となった。

従って人間の本質は悪だが、神から与えられた善も残されている。

こうして不完全になった人間はアウグスティヌスによれば自分自身の欲望の奴隷になると同時に他人の奴隷にもなる二重の奴隷化に苛まれる。

本来国家という体制は人間にとって相応しくないが、罪を背負った人間同士が生きるためには甘んじて服従しなければならない。

著者はキリスト教的国家の成立に多大な貢献をしたのがフランク王国のカール大帝だったとしている。

ゲルマンの統一と一貫した宗教を通した統治は彼の野望だったが、それは当時のローマ教皇の目論見とある点で図らずも一致していた。

カールは国政に携わる要職から下部組織に至るまで僧侶を起用して、ゲルマン人のキリスト教化を徹底した。

それが自らの国体を堅持するものと信じて疑わなかったからだが、教会側としては世界の教化に利用できる絶好の人物であった筈だ。

信者には司祭の前で告解することが義務付けられたが、その時教会が個人を強制し服従させるために最大限利用した武器が罪であったとしている。

阿部氏はそれをヨーロッパでの個人の形成の萌芽と見ている。

つまり告解は司祭との間で秘密が厳守されたので、個人の権利が保護されることも意味する。

従って教会からの強制という形であっても、ヨーロッパで個人の人格が認められ、共同体と個人の間に一線が設けられたと締めくくっている。

しかしながらキリスト教会の個人への厳しい介入によって、古いゲルマンの伝統的な精神がすっかり淘汰されてしまったわけではなく、それが古い民話集やグリムやアンデルセンのメルヘンの中に確実に残って現代にも生き続けているという指摘は、伝統や慣習が如何に根強いものかを物語っている。

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classicalmusic at 01:11コメント(0)筆者のこと芸術に寄す 

2021年09月02日


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1978年の録音で、G.レオンハルトやブリュッヘンなどと共に早くから古楽の復興とその再現に取り組んでいたクイケン三兄弟の末っ子バルトルドのトラヴェルソ・ソロによるテレマンの12曲のファンタジー。

この作品には名演奏盤が多いが、このクイケン盤もそのひとつに数えられよう。

古楽の黎明期にあって、これだけ鮮烈な解釈でしかも驚くべき正確さと集中力を持ってこの曲集を演奏した例も珍しい。

クイケンの演奏は厳しく、一切不要なものを絶ち切った強靭なもので、テレマンの音楽につきまといがちだった甘さは切り捨てられているが、リズムの歯切れのよさと構成感の確かさがあり、作品の姿を透明に映し出している。

ピリオド楽器を用いる場合、近年では少し低めのピッチa'=390からa'=405くらいで演奏するのが一般的な傾向だ。

この録音ではクイケン秘蔵のオリジナル楽器、1740年頃の製作と言われるG.A.ロッテンブルグ(a'=415)を使用しているのも特徴のひとつで、好ましい音色をもっている。

この為に全体的に軽やかで流麗な曲趣に仕上がっているが、テレマンの織り込んだ対位法の面白みも巧みに聴かせている。

このCDで使われたA.G.ロッテンブルグが製作した使用楽器の写真がそのままジャケットに印刷されている。

拓殖材で作られたワンキー・タイプで、保存状態さえ良ければ二百年以上の歴史に耐えて演奏可能であることを証明していて興味深い。

トーン・ホールの間隔が比較的狭く、大きな手を必要としないことや、音程が明確に取れることなどから名器として現在でも多くの古楽器製作者によってコピーされている、バロック・トラヴェルソのスタンダード・モデルといったところだ。

尚同曲集をオリジナル楽器で演奏したケースとしては、他にコンラート・ヒュンテラーが1720年製のデンナー(a'=402)を使ったものがある。

G.Ph.テレマンは笛の為に膨大な作品を残している。

その中でも横笛用の練習曲的な価値と芸術性を兼ね備えた曲集が、この無伴奏ファンタジーや同じく12の異なる調性で書かれたメトーディッシェ・ゾナーテンで、これらは初心者から上級者までの実際の教材として活用できるように考案されている。

同時代のJ.S.バッハのトラヴェルソ用の曲が初学習者にとっては余りにも難解で演奏が困難であることを考えれば、より実用的な目的の為に配慮された曲集と言えるだろう。

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classicalmusic at 16:51コメント(0)テレマンクイケン 
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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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