2007年11月07日

芸術のもつ「結合の力」


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ではなぜ芸術が人間にとってかくも根源的な営みであり続けてきたのか、その最大の要因は、芸術のもつ「結合の力」に求めることができると私は考えるのである。

ゲーテの『ファウスト』の独白にあるように、あらゆるものが一個の全体を織り成している、一つ一つが生きて働いている、というのが生きとし生ける者の実相ならば、人間と人間、人間と自然、人間と宇宙をも結び合わせ、全一なるものを志向してゆくところに、芸術のすぐれて、芸術たらんとせんがためのものがあったといえる。

詩歌であれ絵画であれ、音楽であれ、彫刻であれ、我々が珠玉の芸術作品に触れたときのあの感動、それを一言にして謂えば、「あたかも我が胸中の湖に共感の波動が幾重にも幾重にも広がり、精妙なリズムがはるか天空へと飛翔してゆくがごとき生命の充実感」であり、これこそ自己拡大への確かなる実感である。

有限なるものは無限なるものへ、体験の確実性は意味論的宇宙ともいうべき普遍性の世界へと昇りつめてゆく。そこに芸術特有の「結合の力」の生き生きとした発動があると、私はみているのである。


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