2007年11月08日

運命


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20世紀に入ってからのベートーヴェンの交響曲演奏は、二つの大きな流れがあった、といえる。

それぞれを代表するのは、独墺のベートーヴェン演奏の伝統を受け継ぎつつ、それを深化させたフルトヴェングラーと、伝統にとらわれることなく楽譜を新しい視点から読み直し、ベートーヴェン解釈の新機軸を打ち出したトスカニーニである。

フルトヴェングラーの「第5」はいかにも堂々とした風格、骨太のがっちりした造型の二つが際立っている。

この指揮者の演奏に残っているロマンティシズムを好まない人は、「表現の誇張」を口にする。

例えば、第3楽章から第4楽章に休みなく続く接続部分である。

フルトヴェングラーはこの部分を最小限の音量と抑えたテンポで開始し、第4楽章に流れ込む寸前に音量とテンポを上げ、第4楽章に流れ込む寸前に音量とテンポを上げ、第4楽章の堂々たる第1主題を引き出す。

しかしこれは「誇張を意識させない誇張」の類いといってよいのではないか。それが生み出す特殊な効果が狙いなのだ。

ともあれ、それにより「第5」の全ての楽章でフルトヴェングラーはベートーヴェン特有の力強い足取りを聴き手に実感させ、聴き手の感情を高ぶらせるのである。

それに対し、トスカニーニは、爽快なテンポ、歯切れのよいリズムで弾き切られている。

フルトヴェングラーに代表される伝統的な「第5」が主流だった時代、トスカニーニのこの演奏はすこぶるモダンで、清新の気を注入したものといえる。

もっとも、聴き手はそれぞれ自分の好むテンポを持っているのが普通であり、悠然としたテンポを概して好む人にとって、トスカニーニのこのテンポがどうしてもそっけなく感じられるのは、否定できないだろう。

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