2007年11月09日

マーラー「第9」交響曲にまつわる迷信を解く


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マーラーの最高傑作が第9交響曲であることに異論をさしはさむ人はまずいないと思われるが、このような高い評価の裏には、これがマーラーの最後の完成作であり、「第9」交響曲であるという神格化も一役かっているように思う。

第9交響曲を書くと死ぬという迷信から、9番目の交響曲である「大地の歌」を第9と呼ぶのを避けたが、次の作品が純粋器楽の交響曲だったので第9と呼ばざるをえなくなり、そして第10交響曲を完成することなく死んでしまった。

この曲をめぐっては、こうした話が必ず語られるが、マーラー自身がそうした迷信に言及したことがあるとしても、真面目に取り上げるには値しないと私は考える。そもそもこの迷信の出所はほぼアルマの回想記だけしかなく、晩年のマーラーを悲劇の主人公に仕立てようとする彼女流の神話作りの一環と見なければならない。

そしてもうひとつ、この曲を作曲中のマーラーが死の恐怖にとりつかれていたという、これまたしばしば語られる話も、伝記的な資料からは全く裏付けることができない。実際には曲を聴いた人がそう思いこまざるをえないほど、死との対決がここで迫真力をもって描かれているせいだろう。

「人生が芸術を模倣する」の典型である。

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