2007年11月15日

シューマンのリートの傑作とその名演


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1840年頃には、シューマンは独唱歌曲(リート)を書くようになる。彼が文学に造詣の深かったことを考えれば、これは当然のことと思われるが、それだけで説明がつくものではない。いくら文学的素養があろうとも、音楽的な才能がなければすぐれた歌曲は書けないからである。

代表作「詩人の恋」は、シューベルトの「冬の旅」とともに歌曲集の傑作となっているが、ここではピアノが単なる伴奏ではなく、いわば「歌とピアノのデュエット」となっている。

第1曲「美しい5月に」の音楽は長調の明と短調の暗が微妙に交錯し、さりげなく明朗に歌っているようでいて、その陰にはいいようのない寂しさが鋭い感受性で表現されている。

ダントツの特選盤がフィッシャー=ディースカウとエッシェンバッハのグラモフォン盤。

F=ディースカウは、素晴らしい声のコントロールと、詩の内奥に斬り込んだ鋭い心理描写で聴く者の胸を打つが、それと同程度かそれ以上に素晴らしいのがエッシェンバッハのピアノである。

このふたりによって、シューマンの歌曲は幾重にも屈折したところで自閉的な世界をあやしく光らせる。この歌曲集に秘められた「にがい苦しみ」をこれほど噴き出させた歌手、ピアニストは例がない。

この他、2つの「リーダークライス(連鎖歌曲集)」、「女の愛と生涯」もすぐれた歌曲集である。

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