2007年12月14日
有田正広のバッハ:音楽の捧げもの
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世界屈指のトラヴェルソ奏者、有田正広が最も信頼する現代日本の古楽のそれぞれの名手たちが集まって、仲間たちと奏でる愉悦に満ちた極上のアンサンブルの《音楽の捧げもの》である。
バッハ最晩年の傑作をオリジナル楽器によって最上の形で再現した名盤。
演奏は外的な効果など気にしない、実に落ち着いた内的密度の高い演奏である。
オリジナル楽器の熟成した音の味わいは格別で、単に2声のカノンであっても2つの楽器からの懐の深い音色による表現で実に奥行きのある世界が作られている。
あくまでもふくよかな音色、圧倒的に正確な音程を誇る有田のもと、細部まで磨き抜かれしかも瑞々しい音楽の喜びにあふれている。
もうひとつ興味深いのは、全曲の配列の問題で、彼らはU・カーケンデイルという学者の説を取り入れている。
修辞学からの類推に基づく、各々2声、6声のリチェルカーレに始める2部分説を採用。
これは法廷弁論術のある方法論とこの曲の音楽的弁証法に類似点があるとして、修辞学上の構造原理をこの曲の配列に応用し、3声のリチェルカーレからカノン群、6声のリチェルカーレからカノン群、そしてトリオ・ソナタと移るもので、興味深い。
有田の雄弁な語り口と寺神戸の大らかな音色が対照的なソナタが名演。
他の部分も、この幾何学的な世界が人間の手から生まれたことを実感させる温かみに溢れた演奏だ。
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