2011年11月18日
クーベリック&チェコ・フィルのスメタナ:わが祖国
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クーベリックが42年ぶりに祖国に帰り、かつての手兵チェコ・フィルを指揮した1990年の「プラハの春」音楽祭における記念すべきライヴ録音である。
クーベリックは52年のシカゴ響とのモノーラル録音に始まって、58年のウィーン・フィル、71年のボストン響、84年のバイエルン放送響、そして当録音と、全部で5種類の全曲録音を残しており、中でも後半の3つの録音は、甲乙つけがたい名演になっている。
ボストン響盤は、その精緻に透徹した表現としなやかに引き締まったバランスなど最も完成度が高いし、スメタナ没後100年記念演奏会におけるバイエルン放送響とのライヴ録音は、逞しい音楽の流れと表出力が強い説得力をもっている。
その点ではこの演奏は、録音を含めて細部のバランスに多少問題があるかもしれない。
しかし、万感の思いをこめて、くっきりと始まる第1曲〈ヴィシェフラド〉のしなやかな集中力にとんだ表現を聴くだけでも、この演奏にかけるクーベリックの熱い思いが強く伝わってくるだろう。
42年ぶりにチェコ・フィルの指揮台に立ったクーベリックの表現は、聴衆の喜びと興奮を背に受けてか、全体にややテンポを速めにとった情熱的なもので、祖国を愛する感情がどの曲のすみずみにまで表れている。
オケも緊張感を持って、最善のアンサンブルで指揮者に応える。
チェコ・フィルの真摯な反応とこのオーケストラならではの民族的な旋律や色彩の巧みな表出が、この稀有な演奏をいっそう美しく味わい深く彩っているし、特に後半3曲の情熱的な盛り上がりと晴朗にして高貴な意志力に貫かれた表現力は圧倒的である。
ことにスケールの大きく構築のしっかりした〈ヴィシェフラド〉、広大な草原を思わせる〈ボヘミアの森と草原より〉、ドラマティックに盛り上げた〈ターボル〉が素晴らしい。
ロシアと東欧の民主化は、さまざまな特筆すべき音楽シーンをもたらしたが、それらの中でも最も感動的な記念すべき記録というべきだろう。
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