2007年12月19日
フランソワのラヴェル
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ショパンとドビュッシーの各作品集と共に、鬼才フランソワの貴重な遺産で、フランソワの天才的な音楽性とセンスが光る演奏である。
彼の録音では、調子の善し悪しに左右されて曲によって出来にムラがあることが否めない一方、他のピアニストには求められないファンタジーとイマジネーションが満ちあふれている。
個性的な閃きと怪奇性さえ帯びたピアニズムをもって、自由な飛翔を見せる彼の演奏は、ニュアンスが変幻自在で、聴いていて先の読めないスリルがある。
彼の個性はまさしく余人をもって代えがたい。
彼の弾くピアノの音はひとつひとつがちゃんと姿を持っていて、そうした音で綴られる音楽は、実に豊かなニュアンスにあふれている。
またラヴェルのピアノ曲の持つ色彩感が、柔軟なグラデーションによって実現されているのも見事だ。
フランソワのラヴェルには何ともいえぬ花がある。
例えば「高雅にして感傷的なワルツ」での、しなやかな肉体性を感じさせる演奏からたちのぼる豊かな香りはまさにラヴェルの魅力の神髄といっても過言ではない。
そして見事な色彩感もまた、特筆せねばならない。
その柔らかな音色には無限のグラデーションがある。
「水の戯れ」での湧き立つような響きは、オーケストラよりもデリケートな色彩を伝えており、水の流動性、幻想的な美しさを、奔放かつ魅力的に作り上げている。
また「夜のガスパール」のような非現実的な世界を、場面によってはデリケートに、あるいはディアボリックにと、多彩な変化を伴って描き出す。
「クープランの墓」での淡々とした表現に聴く小気味よいニュアンスからも、ラヴェルとフランソワの幸せな関係がたっぷりとうかがえる。
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