2011年12月05日
シェリングのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(旧盤)
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シェリングは、バッハのこの名作を初期と円熟期の2度にわたって録音しているが、この初期の録音は、音質は少し古いにもかかわらず、このヴァイオリニストの多くの録音の中でも特別の名演に位置づけられているひとつである。
シェリングの積極的な意欲が強烈に訴えかけてくる演奏だ。
バッハの楽譜を克明に読み、作品の意思を汲み取ろうとする姿勢が演奏に直接反映されており、それが無伴奏ながら本質的にポリフォニックなこの音楽の構造を、はっきりと際立たせる表現を生む。
確信をもって、しかも力強い説得力を伴って聴かせるシェリングの演奏には、人間の計り知れない力をみる思いがする。
その一点一画をゆるがせにしない音楽のつくりかたは、かつてのシゲティを思わせるものがあるが、それよりもさらに表情の豊かな演奏だ。
厳格一点ばりのバッハではなく、厳格さのなかにヒューマンな感情があり、そこが人々が支持するゆえんだろう。
ここでは、彼独自の清潔さや厳しさが豊かに示されているだけでなく、初々しさやひたむきさが最大限に発揮され、非常に真摯で純度の高い表現が打ち出されている。
《パルティータ第2番》の有名な「シャコンヌ」を聴くと、この人が作品のひとつひとつの音のもつ意味というものを、いかに考えているかがよくわかる。
そして、そこに潤いのあるみずみずしい歌や張り詰めた情熱のほとばしりなどもが随所に示されたこのバッハは、シェリングの最も真剣で気高い演奏を記録した録音なのである。
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