2011年12月05日

シェリングのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(旧盤)


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シェリングは、バッハのこの名作を初期と円熟期の2度にわたって録音しているが、この初期の録音は、音質は少し古いにもかかわらず、このヴァイオリニストの多くの録音の中でも特別の名演に位置づけられているひとつである。 

シェリングの積極的な意欲が強烈に訴えかけてくる演奏だ。

バッハの楽譜を克明に読み、作品の意思を汲み取ろうとする姿勢が演奏に直接反映されており、それが無伴奏ながら本質的にポリフォニックなこの音楽の構造を、はっきりと際立たせる表現を生む。

確信をもって、しかも力強い説得力を伴って聴かせるシェリングの演奏には、人間の計り知れない力をみる思いがする。

その一点一画をゆるがせにしない音楽のつくりかたは、かつてのシゲティを思わせるものがあるが、それよりもさらに表情の豊かな演奏だ。

厳格一点ばりのバッハではなく、厳格さのなかにヒューマンな感情があり、そこが人々が支持するゆえんだろう。

ここでは、彼独自の清潔さや厳しさが豊かに示されているだけでなく、初々しさやひたむきさが最大限に発揮され、非常に真摯で純度の高い表現が打ち出されている。

《パルティータ第2番》の有名な「シャコンヌ」を聴くと、この人が作品のひとつひとつの音のもつ意味というものを、いかに考えているかがよくわかる。

そして、そこに潤いのあるみずみずしい歌や張り詰めた情熱のほとばしりなどもが随所に示されたこのバッハは、シェリングの最も真剣で気高い演奏を記録した録音なのである。

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classicalmusic at 18:49コメント(2)バッハ | シェリング 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2021年07月31日 09:57
5 私もシェリングの無伴奏は旧盤の方が良いのではないかと思っていました。旧盤と新盤の比較に関して述べさせていただきましたが,ここでもご多分に漏れずといった感じがします。厳粛さと温かさを兼ね備えた秀演と言って良いでしょう。全曲ではありませんが,私もLP期にシゲティのディスクを持っていました。録音は劣るもののこちらも名演でしたね。
2. Posted by 和田   2021年07月31日 10:12
シェリングの最初の無伴奏全曲録音ですが、音楽的には既に完成していて、1967年の2回目のステレオ盤に全く遜色の無い出来栄えだと思います。細部では67年盤の方が自由闊達な躍動感を持っているのに対して、こちらでは一途な、そして静かな情熱の迸りを感じさせます。またシゲティのひたすらバッハの音楽の核へと踏み込んでいこうとする気迫には、今日の多くの演奏家らが失ってしまったような、ただならぬ説得力があると言えるでしょう。もちろん、技術面の完全さは音楽に必要ですが、稀にはそれを超える感動も、たしかに存在します。もとより、視点や趣味により評価はまちまちでしょうが、これほど心を打つ演奏、心の奥底に訴えかけてくる演奏は稀です。彼以後に、もうこのようなバッハはありません。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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