2007年12月20日
スメタナSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」&第2番「ないしょの手紙」(1979年ライヴ)
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引退した1989年まで、弦楽四重奏界の帝王として君臨したスメタナSQが、その活躍後期にデンオンにデジタル録音した多くのアルバムの中でも出色の出来栄えを示すもの。
スメタナSQにとって、ヤナーチェクの2曲の弦楽四重奏曲が、スメタナやドヴォルザークのそれとともに、きわめて重要な意義を持つレパートリーであることはいうまでもあるまい。
両曲とも他の追随を許さない立派な演奏が繰り広げられている。
ボヘミアとともにチェコと呼ばれるモラヴィアのこの作曲家が、トルストイの文学作品や自己のかくれた愛を彼らは回を重ねて録音しているが、これは、1979年10月10日のプラハでのライヴで、彼らにとって4回目のものということになる。
もちろん同郷人という血から来る深い共感が随所に滲み出ていることは言うまでもないが、そうしたものにとどまらず、作品に対する理解に並々ならぬものがあり、各フレーズに込められた意味の深さ、イメージの豊かさ、それらから生み出される説得力の大きさは尋常ではない。
そこでは、それまでの彼らの蓄積が充分に生かされ、いわば作曲家の内心にまで入り込み、その言わんとするところを作曲家に代わってドラマティックに語っているようにも見える。
4人が作品を暗譜してしまうほど弾き込んでいるだけに、単にアンサンブルの精度が高いといった言葉では済まされないような密度の濃さがある。
4人の奏者が一心同体となって作品の深部に迫ってゆくが、その際微妙に絡み合う声部が生み出す表情が生きているし、リズムに自発性があって活力がある。
彼らにとっても記念すべき録音の一つだろう。
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コメント一覧
1. Posted by kero 2008年03月26日 16:13

実は、僕は、ヤナーチェクが大好きで、和田さんのご紹介している79年のものを持っています。このCDの評価は、和田さんのおっしゃるとおりですね。
ただ、ヤナーチェクの音楽は、民族音楽から発して、バルトークとはまた違った地平に到達したように思え、民族色を配したガブリエリやジュリアードのシャープな演奏にも心動かされます。
和田さんはいかがでしょう。
2. Posted by 和田 2008年03月26日 16:43
keroさん、コメントありがとうございます。
ジュリアードはヤナーチェクの心の揺れ動きを見事にとらえていて素晴らしい演奏だと思います。アルバン・ベルクも同様。
ただ、私にはなぜかスメタナに愛おしさを感じ、これぞ真実の演奏といいたい切実さが心の隅にまで染み入ってくるのです。
ジュリアードはヤナーチェクの心の揺れ動きを見事にとらえていて素晴らしい演奏だと思います。アルバン・ベルクも同様。
ただ、私にはなぜかスメタナに愛おしさを感じ、これぞ真実の演奏といいたい切実さが心の隅にまで染み入ってくるのです。
3. Posted by kero 2008年03月26日 22:43

ヤナーチェクについてのご回答もありがとうございます。
今日スメタナを聴いて一日の終わりにしようと思います。
是非またヤナーチェクの演奏についても書いてくださいね。
ブーレーズのヤナーチェクを聴いて長年抱いていた疑問が解消した私でした。
それではまた。
ああそうだ、F.ディスカウとフルトヴェングラーの「さすらう若人の歌」本当に素晴らしいですよね。録音状態なんて関係ないですよね。和田さんに同感です。
4. Posted by 和田 2008年03月26日 23:17
keroさんのブログを拝見しましたが、ヤナーチェクの造詣が深いですね。感心しました。ヤナーチェクはオペラの作曲家なんだなとつくづく感じます。