2007年12月24日
ベームのモツレク
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この再録音盤はベーム自身の旧盤よりも出来ははるかに良く、音の深みと厚さにかけてはその比ではない。
さすがにモーツァルトをきわめつくしたベームだけあって、日ごろの造詣の深さのよくあらわれた充実した表現である。
雄大、壮麗なたたずまいのなかから、モーツァルトの救いようもない慟哭が聴こえてくる。
「キリエ」の荘重きわまりない開始の中に、モーツァルトの悲痛な叫びがききとれる。
間もなく生命を失おうとしている者の最後の歌の叫びが。
これほど心を痛める音楽、これほどその痛みを現代にまで伝達する演奏はそんなにあるものではない。
ここにはベームという指揮者の、完成に近づこうとする者の祈りがある。
合唱とウィーン・フィルがベームの要求にこたえて、感動的な演奏を聴かせてくれる。
ことにゆっくりと流した「涙の日」には心を打たれる。
モーツァルトを終生の目標に置いたベーム最良の演奏であり、ベームへの限りない敬意と愛情に溢れたウィーン・フィルと同国立合唱団の水も洩らさぬアンサンブルの緻密なモーツァルトは、さすが本物だけのことはある、と思わせられる演奏だ。
この《レクイエム》は円熟の頂点にあることを実感させてくれる名演で、すべてモーツァルトの本質そのものといえよう。
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