2007年12月24日
透徹のピアニズム〜ミケランジェリのドビュッシー
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ミケランジェリの代表盤。
ミケランジェリは、ピアノという楽器をいっそう繊細に響かせることにとりわけ熱心なピアニストだ。
その彼が持前の魔術を最高に発揮するのは、著しく制限の多い演奏会よりもむしろレコーディングにおいてなのだが、肝心の録音の数は非常に少ない。
このドビュッシーは堂々とした風格を湛えており、ピアノ的美観の極致を示している。
「映像」は極めてデリケートで、「子供の領分」は旋律の処理が大変見事だ。
ドビュッシーの「前奏曲集」が作曲当時新しかったのは、音楽を理念や感情から解放して、響きの客観化、意匠化を意図したためだったが、その点、ミケランジェリの気質に重なり合う部分が多い。
第1巻では特に第7,9,10,12曲でみせる多彩な響きと、そこから生ずる豊かな印象は忘れ難い。
ピアノのソノリティに対して、特別に鋭敏な感覚をもったミケランジェリならではの名演である。
ミケランジェリのピアノを一言で評するなら、やはり《透徹のピアノ》であろうか。
彼はあらゆる音、あらゆるフレーズを明晰に奏でる。
加えて彼のピアノはしばしば誤解されがちな冷たいものではなく、時にしたたるような官能美を湛え、ドビュッシー一流のユーモアも十全に伝える。
タッチ、ペダリングなど技巧上の工夫と練磨が最高度であればこそ、このような名演が生み出されることはいうまでもない。
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