2007年12月25日

ヴンダーリヒのシューベルト:美しき水車小屋の娘


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36歳という若さで事故死したドイツの名テノール、ヴンダーリヒを人が未だに惜しむとき、その脳裏に浮かぶのはまずこの歌曲集の輝くばかりの生彩を想うからだろう。

若者らしい一途な情熱を見事に歌い上げている。

まずなんと言っても輝かしい美声がすばらしい。

歌い方も率直かつ繊細きわまりなく、凛とした気品があふれている。

同じテノールによる《美しき水車小屋の娘》でも、ヴンダーリヒとシュライアーとでは、その世界はずいぶん異なる。

シュライアーの流れるような抒情に対し、ヴンダーリヒは1曲1曲立ち止まって、考え込むかのようだ。

この入念な歌曲集はヴンダーリヒの美質を凝縮したかのような名演だ。

声の美しさ、フレーズのレガート的扱いに関しては抜群である。

もちろん若さからくる未熟の箇所はいくらでも指摘できようが、その未完成の歌の中にあるドイツには珍しい美声の旺盛が、まぶしいばかりだ。

艶やかな声、たっぷりとしたフレージング、下から上の声域まで1本でムラのない発声、そして明るい響きなど、これほどまでに輝かしく、生命の喜びを伝え切ったドイツのテノールは他にいない。

《水車小屋》の極めつけの名唱と言っていいと思う。

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