2007年12月31日
五嶋みどりのパガニーニ:カプリース(奇想曲)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
五嶋みどりは、10歳の時アメリカに渡り、ジュリアード音楽院で学んだが、バーンスタインやメータなどにその才能を認められ、以来、アメリカやヨーロッパなどの主要オーケストラと次々に共演を重ねてきた。
特に14歳の夏、タングルウッド音楽祭でヴァイオリンの弦が切れるというハプニングにもかかわらず、落ち着きはらって演奏を続けたという出来事はセンセーショナルに報道されたが、ここでも、そうした彼女の自信とたぐい稀な才能を強く感じさせる演奏となっている。
若くしてすでに《伝説》の持ち主である五嶋に最も感心するのは、彼女のこの作品に対する繊細な注意力をもった知的アプローチである。
超絶技巧を集大成したこの曲は、弾き手はその技巧を大げさに発揮させたい誘惑にかられるはずだが、彼女はその誘惑から完全に一線を引き身を守り、作品におどらされたパガニーニの亜流ではない自分の音楽を表現している。
五嶋は、この難曲を極めて精確に弾き切っているが、それ以上に驚かされることは、彼女がこの作品を完全に高度な芸術作品として表現している点にある。
繊細な表情やみずみずしい歌が際立つ彼女の表現は、スリリングな感性の冴えや即興的な閃きをも随所に示しており、それは、聴き手を強く惹きつけずにはおかない独自の感覚的な魅力をかたちづくることとなっている。
ことに、作品のもつ甘美な美しさを見事に引き出しているのは立派だ。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。