2007年12月31日

クライスラーの芸術


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クライスラーの演奏家としての最盛期は1900〜30年代とされるが、ここには、ほぼその時期の演奏が集約されている。

彼のテクニックが早く衰えることになったのは練習嫌いのためだが、そのこと自体が今日の演奏家では考えられない人間臭い魅力を持っている。

テクニック一辺倒ではなく、全人的な存在と表現がアピールしえた時代の記録として、ここに発揮されている音楽性を聴くとき、クライスラーの魅力を再確認させられる。

そしてここには19世紀後半の、ドイツ系音楽の演奏習慣に関する多くの示唆に富んだ実例があり、曲によって使い分けるヴィブラートにも注目したい。

クライスラーが残した録音は、《作品に忠実》な演奏が後期ロマン派にまで及んでいる今日、貴重な証言となるに違いない。

甘美な音色で、素朴といえるほどにシンプルかつ大らかに歌う演奏には、クライスラーの人間的なあたたかさが漂っている。

また、「愛の悲しみ」「美しきロスマリン」「オールド・リフレイン」などの自作の小品は、ヨーロッパの古き良き時代の雰囲気をそこはかとなく伝えてくれて、それが大きな魅力となっている。

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