2008年01月04日
ポリーニのベートーヴェン:「テンペスト」「ワルトシュタイン」「告別」
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いつもながらの完璧さを誇る名演であることはいうまでもないが、ポリーニの演奏がかなり柔軟性を帯びてきたことも、ここでははっきり確認できる。
つまり、はがねのようなテクニックで信じ難いほどの見事さで作品を顕在化させた演奏から、より豊かなニュアンスを含んだ、いわばアナログ的な表現への変化である。
もちろんこれは、彼のピアニストとしての成熟を好ましい方向で示すもので、決して演奏に恣意的要素が増したということではない。
「テンペスト」はピアノの音と形式の美しさにおいて完璧。独特の輝かしい音色とタッチで凄味さえ感じさせる演奏である。
「ワルトシュタイン」はいわば強靭な理性の力が情念の昂ぶりを制御し、一分の隙もない完璧な造形によってこの曲の規範となるべき姿を提示する。
3楽章を通して張り詰めたような緊迫感に貫かれており、1音1音がただならぬ力強さだ。
聴く者を思わず身構えさせてしまうような性格の演奏内容といえよう。
「告別」も最近ポリーニが変わったといわれる指摘を裏書きしているといってよいだろう。
完璧な技と音の間からこれまで以上に柔軟で、深く澄んだ歌が生まれている。
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