2012年02月28日
カラヤン&ウィーン・フィルのチャイコフスキー:交響曲第4番
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カラヤンが遺したチャイコフスキーの「第4」の最後の録音である。
カラヤンは老いてますます盛んだった。
「第4」は実に6回も録音を繰り返したが、それぞれに愛着と共感のほどが本当によく分かる名演を残しているし、オーケストラのコントロールも巧い。
カラヤンの「第4」としては、1971年盤がライヴのような迫力があり最高の名演であると考えるが、本盤も、カラヤンの最晩年ならではの澄み切った美しさがあり、1971年盤とは異なった魅力に満ち溢れている。
それは、オーケストラにベルリン・フィルではなく、ウィーン・フィルを起用したことが大きいと思われる。
本盤の録音は1984年であるが、この当時、カラヤンとベルリン・フィルの関係は決裂状態。傷心のカラヤンを、ウィーン・フィルがあたたかく迎い入れ、両者の良好な相思相愛の共同作業によって、この名演が成し遂げられたと言っても過言ではないだろう。
カラヤンの代名詞である卓越した統率力には、やや陰りが見えるものの、隋所に見られる絶妙のレガートや、チャイコフスキーの巧みで分厚いオーケストレーションを豪華絢爛にならすテクニックについては、いささかの衰えも見られない。
従来のベルリン・フィルとの演奏に比べ、このウィーン・フィルとのものでは、いわば《老いらくの恋》ともいうべき燃焼が感じられる。
ベルリン・フィルとの4回の録音は、いずれも卓抜な合奏力とシャープな表現に圧倒されたが、ここでは、オーケストラの柔らかで優美な表情が魅力だ。
音楽全体のクライマックスを終楽章においた演奏で、スケールの大きい劇的な表現をおこなっている。
解釈のコンセプトに新しいものは期待できないものの、カラヤン芸術の最良の結晶を聴くことができる。
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