2008年01月05日
カザルスのバッハ:無伴奏チェロ組曲
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長きに渡り、この曲の古典的で規範的な演奏として、動かしがたい地位を獲得している歴史的名盤だ。
カザルスの豪快無比にして、音楽の内実に目を向けた演奏は、内面的に極めて深く掘り下げられていて、確かな実在感がある。
ここに聴かれる求道的な姿勢は、ロマン主義へのアンチ・テーゼとしての新即物主義と呼応するものだが、オリジナルのみが持ちうる吸引力がある。
カザルスはすさまじい気力をこめてバッハに向かっている。
現在の技術的水準からすれば演奏に満足できないところが出てくるかもしれないが、チェロの最高の音楽にカザルスが迫っていく一種独特の緊迫感、これは何物にもかえがたく聴き手の耳を奪う。
録音された1930年代当時、これらは文字通り孤高の存在だった。
「バッハの作品は、シェイクスピア、セルバンテス、ミケランジェロの作品がそうであるように、まったく現在のものである。そして私たち音楽家は、彼の現に生きているはつらつさと輝きを見失ってはならない」と、この曲の発見者カザルスは言っている。
この演奏は、先駆者カザルスの偉大さを存分に実感させてくれる。
彼は、生前、日課として、この「組曲」のどれか1曲を必ず演奏することにしていたという。
作品を弾きこんでいるせいか、その彫りの深さと、熱のこもった気迫に圧倒される。
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