2008年02月04日
ブレンデルのリスト:巡礼の年1-3
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ブレンデルはその鉄壁のピアニズムと明晰な解釈に裏打ちされた知的で含蓄のある解釈によって、単なる名人芸を売り物にした従来のリストのイメージを変えた人だ。
ブレンデルはリストを好んで弾くが、世の常のリスト弾きとは違い、その演奏はけばけばしい誇張癖とは無縁のものだ。
巡礼の年第1年でのブレンデルは、いかにも自在、リストの楽譜が誘い込みがちな誇大な表現へと向かうことなく、常にその眼差しが内面的な世界へと向けられているようだ。
そして表現が実に若々しい抒情を味わわせてくれ、この聴きなれた音楽が極めて新鮮に感じられる。
巡礼の年第2年でのブレンデルは、表面的な華麗さを重視せず、さりとて痩せた音に満足するわけでもなく、常に音楽の内面の緊張を維持している演奏が生み出されている。
リストの正当かつ合理的な解釈による内面の緊張、これがブレンデルの目指しているものだろう。
内面に緊張のある演奏は、作品が長すぎると感じさせない。
全7曲それぞれが緊張を秘めつつ、表情豊かに、個性豊かに描き出されてゆく。
こんな見事なリストは滅多に聴けるものではない。
巡礼の年第3年でもブレンデルは、リストを作品として評価し、演奏することを固持しており、「エステ荘の噴水」や「忘れられたワルツ」など、リストのピアノ音楽を好まぬ人さえもいつしか耳を傾けてしまうのでは、と思えるような清新な趣にあふれている。
これはブレンデルの持ち味がよく生かされた優秀盤である。
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