2012年12月06日
ワルターのブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
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ワルターは必ずしもブルックナー指揮者とは言えないと思うが、それでも、最晩年に、コロンビア交響楽団との間に、「第4」、「第7」及び「第9」の3曲の録音を遺した点に留意する必要があるだろう。
そして、本盤の「第4」であるが、これは典型的な後期ロマン派的な演奏だ。
金管群は力強さを増し、そのため終楽章などいっそう雄大な音楽と感じられる。
冒頭の力強いトレモロからして指揮者の芸格の高さが如実に表れていると思うが、テンポのめまぐるしい変化も特筆すべきだ。
特に、第3楽章の中間部の超スローテンポや、終楽章の開始部の快速のテンポなどは、他の演奏にもあまり見られない例であると言える。
こうしたテンポの変化は、ブルックナー演奏の基本からするといささか逸脱していると言えるが、それでいて恣意的な解釈を感じさせないのは、巨匠ワルターだけが成し得た至芸と言えよう。
第1楽章は壮麗で、展開部は部分的にやや緊張力が乏しいが、音楽的には常にゆとりがあり、対旋律もよく歌っている。
第2楽章も端正でありながら、情緒豊かな表現もワルター的といえる。
抒情的な箇所のヒューマ二ティ溢れる情感の豊かさは実に感動的であり、総体として、名演と評価するのにやぶさかではない。
ブルックナー以上に素晴らしいのが併録の『タンホイザー』より「序曲とヴェヌスベルクの音楽」。
ゆったりとしたインテンポでスケール雄大な音楽を構築しており、カレッジ・コンサート合唱団も最高のパフォーマンスを示している。
惜しいのはDSDリマスタリングの音質がややきつい点。
SACD化かBlu-spec-CD化するなどして、もう少し柔らかい音質に改善していただくことを大いに望みたい。
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