2008年02月20日
カラヤンの「蝶々夫人」
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1955年盤には若き日のカラヤンが作り出している音楽のイタリア的な明るさと流麗さがある。
もちろん、ドラマの力強い起伏や悲劇的な緊張、あるいは管弦楽の雄弁さなどのカラヤンの特質も示されている。
カラスについていえば、このドラマの中でのヒロインの果たす割合が大きいだけに、それに応じて彼女の歌の威力がフルに発揮され、ドラマ全体を凄まじいばかりの力で引っぱっていくさまは壮観という他はない。
ミラノ・スカラ座を指揮した旧盤に比べると、1974年に録音された新盤では音の響きも表現も徹底的にカラヤンのものとなり、雄弁で彫りの深い音楽のドラマが生み出されている。
しかも、それが単なる感傷や慟哭の誇張としてではなく、プッチーニがここで意図した精妙な音色の効果とドラマの結合を十全に描き出している。
カラヤンのプッチーニ観が演奏の隅々にまでゆきわたった名演である。
このオペラは、ややもするとお涙頂戴式の低俗なメロドラマになりがちだが、作品の本質を深く掘り下げ、感動的にまとめているあたり、さすがにカラヤンである。
リリックな声に即したやさしい純情な女の姿を歌い出そうとしたフレーニの蝶々さんも、カラヤンのそうした意図にふさわしい。
ポネル演出のDVDに関しては好悪分かれるかもしれないが、一見の価値はある。
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