2008年02月22日
ゼルキン壮年期のベートーヴェン/ピアノ・ソナタ
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ゼルキンはモノ〜ディジタル期にかけてベートーヴェンのピアノ・ソナタを少なからず録音しているが、ついに全集は録音しなかった。
手堅くまとめられた演奏で、際立ったスケールの大きさや、表現の激しさで聴き手に迫ってくることはないが、ベートーヴェンの意図を再現し、それをフォルムの枠にはめこむゼルキンの手際のよさはなかなかのもの。
どこか親愛の情を感じさせる誠実な演奏ぶりを特色とするゼルキンの音楽的気質が、おおらかな印象を与えるベートーヴェンを生み出している。
この表現の明晰さはゼルキンならではだ。
ベートーヴェンの音楽の様式感に貫かれた、作品の本質に深く迫った真に実のある演奏であり、対象に向かいあった時のゼルキンの厳しい態度には本当に感服させられる。
感覚に陥ることなく、不自然なルバートも恣意的な音も強調も一切見られない。
当時壮年期の音楽家に相応しく、堂々としていて、若々しい熱気にあふれた、堅牢な構築性と激しい情念が理想的に融合した名演である。
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