2010年10月23日
R.ゼルキン:オンTV(75歳記念カーネギー・ホール・コンサート)
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75歳記念カーネギー・ホール・コンサートは故ゼルキンの音楽の貴重きわまりない記録である。
ゼルキンの演奏は少しも高ぶらず、温雅な表現のなかに熟した味わいを感じさせる。
作品が備えている楽しみや味わいを、誇張した表現に頼らずに、聴き手に確かに伝えてくれる。
とりわけハイドンとモーツァルトが魅力的で、楽想を自然におだやかに歌うことがどんなに大事なことか、そしてそれができなければ、これらの作品を演奏しても意味がないことを明確に示している。
ハイドンのソナタはマルカート気味のタッチと見事なペダリングで透明度の高いテクスチャーが実現されていて、ニュアンスに富んだ音色と情念が曲の魅力を十分に伝えている。
《ロンド》は穏やかな情趣に満たされ、《告別》は第1楽章のしみじみとした出だしと決然とした主部が明快な対比を見せる。
続く楽章の語り口も実に味わい深い。
ハイライトはやはりシューベルトの第21番だろう。
演奏の精神の深さにおいてこれに及ぶものはないのではないか。
詩的で温かくて純度の高い演奏が静かな感動を誘う。
豊潤な美音というわけでもないのに全曲を満ちている瑞々しさは澄み切った感性ゆえか。
ライヴだけに若干綻びは見られるものの、枯淡の境地とは違う。
一つ一つの音を全身全霊で紡ぎだしているといった迫力があり、その積み重ねはゼルキンの人生のそれにも似て、聴後に大きな感動を呼ぶ。
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