2008年02月28日
魅惑の花園〜モーツァルトの協奏交響曲K.297b
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モーツァルトは1778年のパリ旅行の時、同地の4人の名管楽器奏者の依頼で、「フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンのための協奏交響曲」を作曲したが、いかなるわけか演奏前に自筆譜が紛失し、結局陽の目をみないで終わってしまった。
ところが20世紀初めになって、消失した同曲の編曲が発見された。
その楽譜ではソロ楽器のフルートがクラリネットに変わっており、モーツァルトがのちに記憶を頼りに書き直したものであろう、と考えられ、彼の名作の一つとして演奏されてきた。
しかし、当時から偽作説は根強く残り、現在ではその意見の方が有力であるが、一方、モーツァルト以外の作者とは考えられないほど、この曲は魅惑的なのだ。
このCDは1974年にアメリカの学者がコンピュータによって同曲を分析し、復元したスコアを使って演奏したもの。
コンピュータによると、この作品のソロ・パートはモーツァルトの真作、オーケストラのパートは誰かの編曲、という結論が出た。
そこで、さらにコンピュータによって、モーツァルト自身が書いたであろうフルートのソロとオーケストラを復元したのである。当然、他の3つのソロの部分変更されている。
今までの版に比べると、オーケストラ部分の冗長さが取れ、きわめてセンスのよい結晶化したものになった。試みに一般的なCDと比べてみてほしい。興味深い発見があるだろう。
協奏交響曲はこの曲の録音史上特筆すべき最美の傑作である。ニコレ、ホリガー、バウマン、トゥーネマンというソリストが揃ったということもある。しかし上記のようにここでは新しい版によって、この曲を聴く喜びが大きくなった。
そして4人の奏者の絶妙なかけ合いは、聴いていて魅惑の花園に遊ぶようだ。
カップリングのオーボエ協奏曲もモーツァルト演奏に必要なものをすべて身につけた名演奏だ。
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