2014年12月05日

ワルター&コロンビア響のマーラー:交響曲第9番


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ワルター最後の録音のひとつ。

1938年のワルターとウィーン・フィルによる凄絶な歴史的名盤によって、コロンビア響との録音は影が薄くなってしまったが、最後の録音のひとつという感傷を抜きにしてもこの演奏には心を打たれる。

様々な音楽書を読むと、本盤の演奏を、戦前のライヴ録音と比較して、好々爺となったワルターの温かい演奏と評価する向きもあるようだが、果たしてそう言い切れるだろうか。

確かに、戦前の壮絶なライヴ録音と比較すると、若干角が取れた丸みも感じられなくはないが、むしろ、死を間近に控えた老巨匠とは思えないような生命力に満ち溢れた力強い名演だと考えている。

初演者であるワルターは、さすがにこの曲に共感をもって、隅々まで曲を手中に収めた表現である。

全体に作品の歌謡性を豊かに生かしており、ワルターの芸術性を最もよく表現した演奏である。

「死を予感する者の悲劇的で絶望的な別れの曲だ」とワルターが言ったこの曲が彼の死別の曲ともなった。

第1楽章の初めの死への悲しみを伝える神秘的な弦の低音動機からしてワルターは聴く者の心をつかんで離さない。

その後のテンポや強弱の振幅の幅広さには凄まじいものがあるし、第2楽章や第3楽章は、やや遅めのテンポで濃厚な味わいを醸し出している点も素晴らしい。

終楽章も、戦前のライヴ録音と比較すると、やや遅めのテンポで、情感溢れる演奏を行っており、あたかもワルターが実り多き人生に別れを告げようとしているような趣きさえ感じさせる。

悲劇的なものがきつく厳めしくのしかかってこないで、詩情のヴェールを通して心にしみ入ってくるのである。

それゆえ、ワルターの表現は柔和ではないかと、訝る向きもあるだろうが、それは、ワルターがクレンペラーのように、死に怯えるマーラーをとことん追いつめることがないからである。

「恐怖」に怯える魂を慰める大きな愛こそ、ワルター芸術の神髄なのだから。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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