2008年03月09日

オットー・クレンペラー


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クレンペラーは妥協を知らなかった。自分の信念に忠実に音楽することがつねに彼にとってすべてで、周囲がそれをどう受けとるかなどということは、不思議なくらい、念頭になかった。

そんな人だったから、彼の生涯は、苦闘の連続だったらしい。彼が再三にわたる障害を克服したことはよく知られているが、怪我や病気は、彼が立ち向かわなくてはならなかったものの、ほんの一部にしかすぎなかったことだろう。克己の戦いを通じてのみ、クレンペラーは、自己を実現することができた。

こういう人の音楽であるから、誰にも気軽に親しめるというわけにはいかないのは、当然かもしれない。実際、クレンペラーの演奏はつねにかなり無愛想だし、感覚的な魅力も、しばしば欠けている。多彩な音色美だとか、水もしたたるような歌わせ方だとか、躍動的なリズムだとか……。

だが、私は、それらに十分引き換えうるだけの実質を、クレンペラーの演奏はもっていると思うのである。わかりやすい啓蒙書にくらべ、難解な哲学書に、じつは深い内容が盛りこまれているように。

啓蒙書はもちろん必要だが、世の中がみな啓蒙書になってしまったら、思索の精神は衰えるだろう。だが、本ばかりでなく、音楽においてもその徴候がみられるのが、現代ではないだろうか。時代に超然として、本質のみを掘り下げ続ける人というのは、もう、なかなか出なくなった。

そう考えると、クレンペラーという指揮者がいかに貴重な存在であったかが、改めて痛感されてくる。精神の健康を保つためには、クレンペラーの遺産に、これからも耳を傾けてゆきたいものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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