2008年03月19日

ホッター&ドコウピルのシューベルト:歌曲集「冬の旅」(1969年来日公演盤)


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ホッターの第1回の《冬の旅》全曲録音は、ラウハイゼンのピアノ伴奏による1942、3年盤だった。

その後、1954年のムーアとの第2回、1961年のヴェルバとの第3回を経て、1969年の来日時に東京文化会館でライヴ録音した第4回目のドコウピルとのこのディスク。

この歌曲集は、恋に破れた青年の悲痛な冬の旅の体験をテーマとしたもので、全編に漂う厳しい絶望的な暗さは、シューベルトの予感していた自らの死と無関係ではないだろう。

ホッターは、その荒涼とした世界を淡々とした自然な語り口でしみじみと歌いあげていて、そこには彼の人間的な幅と奥行きが感じられ胸を打つ。

当時もう全盛期は過ぎてはいたが、深いバス・バリトンの響きは失わず、その訥々とした語りかけるような歌いぶりは、人生を諦観した老人の回想といった風である。

独特の世界だ。

極限の状況では人はいかに生きるか、この命題を突きつめたのが《冬の旅》である。

このテーマに真正面から対峙し、力の限りを尽くして自己の生き方を試み、絶望を通してこそ人はヒューマンな生き方に目覚めるということを伝えてくるのがこのホッター盤だ。

ホッターはF=ディースカウのように、巧みな歌い口で自分から聴き手に語りかけるのではなく、もっと寡黙に自分の位置を守って、聴衆の反応を静かに待つような歌唱である。

媚びや愛嬌は全く無く、男声の歌そのものの深さと温かさがここにはある。

突き放しもしなければ抱きとめてもくれない、人間そのままの寂莫とした「冬の旅」だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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