2008年03月22日

グルダのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集&ピアノ協奏曲全集


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LP時代から繰り返し発売されてきた名盤。

驚くほどの生命力と躍動感がみなぎり、そこから伝わってくる現代的感覚の新鮮なベートーヴェン像は、録音から40年以上経た今も少しも色褪せていない。

磨き抜かれた音色と音楽性、そしてリズムの良さと軽快なテクニック、過度のロマン性に頼らぬ純古典的な解釈は、グルダの演奏を普遍性の高いものにしている。

ベートーヴェンのソナタといえど、数あるピアノ・ソナタの一部と位置付け、無用な感情移入を避けた賢明さが光っている。

レコードに登場したベートーヴェン演奏のうえで、これはひとつの指標となる全集であると言っても過言ではない。

この時期のグルダはジャズや即興演奏にも強い関心を示していたが、ここでは極めて作品を尊重した演奏を行っている。

グルダが弾きだす響きは豊かなニュアンスを持ちながら、ベートーヴェンの音楽そのものをしっかり捉えている。

グルダはどんな作品を弾いても才気ばしったところを見せるが、ここでも才気渙発ぶりが目立っている。

作品を先へ先へと追い立ててゆく運動感によって、一種の爽快さが生み出され、驚くほどの生命力と躍動感がみなぎっている。

こうしたすぐれた感性によって、ベートーヴェンの音楽が今日もなお私たちに訴えてくるのだろう、と思わせる演奏である。

グルダの演奏で聴くとこれらの曲が実に楽しく味わえるので、この演奏が放つ独特の光彩は、末長くその価値を失わないに違いない。

グルダの緻密なニュアンスにあふれた精妙なピアニズムは、5曲のコンチェルトにも最上の姿で発揮されている。

特に美しいのは第4番で、精神性、テンポの変化、スフォルツァンドや左手の動かし方、振幅の大きなダイナミクスなど、ベートーヴェンが書いた曲想を極限まで突き詰めており、透明なタッチの美麗さ、香るような音楽性は抜群と言えよう。

「皇帝」は繊細なタッチと感受性で精妙に造形され、グルダは全音符を少しも弾きとばさず、音色は常に冴えわたっており、まさに計算されつくした妙音と言えよう。

そしてスタッカートの見事な使い分け、ペダルの微妙な変化、味の濃いルバートやリタルダンド、心からのカンタービレや激しい気迫にも欠けることなく、絶えず新鮮な音楽が鳴っている。

第1番では、タッチは一粒一粒珠玉のようで全篇が気高い香りに満たされ、ピアニッシモの効果など絶品中の絶品だが、磨き抜かれたタッチを誇りながらも、決して感覚美の世界のみに留まっていないところにグルダの面目がある。

シュタインの指揮も敏感であるとともに立派なもので、ドイツの伝統的スタイルの中に、生々しい響きや迫力を羽ばたかせ、厚みのある緊張感が素晴らしく、木管の生かし方も見事だ。

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2016年06月29日 05:11
昨夜、この音源の中の後期ピアノソナタ分売を手に入れ取り込み聴いています。のだめで初めて知った、ピアノソナタ第31番の第3楽章の嘆きの歌冒頭でもう涙でした。
中学校時代アシュケナージのハンマークラヴィーアを聴いてピンと来なくて挫折。月370-380時間仕事漬けの廃人だった頃に休みで見れたのだめが理解のきっかえとなりました。youtubeのギレリスもよかったですが今はこちらの方がしっくりきます。
歌うところはしっかり歌い音を伸ばしながらも、躍動感に事欠かない。対位法や構造もおざなりにせず丁寧に表す。1音1音に比重を置き過ぎないためほどよい速さで。軽快ながら重厚感も事欠かない。精神性偏重にならない粋。それでいて楽曲の精神性もしっかり表現できている。最高の中庸。クリップスやC.クラウス、クライバーにも感じる粋が感じられてとても好きです。吉田秀和氏が現代最高のベートーヴェンも頷きます。もっと早く出会いたかったですね。
2. Posted by 和田   2016年07月07日 23:35
私もベートーヴェンのピアノ・ソナタには傾倒して、古今のありとあらゆる名盤を集めてきましたが、それらの中でも黄金の中庸とでも言えるのがグルダですね。
ウィーンのピアノ、ベーゼンドルファーを用いて、軽くしなやかな音色を駆使して、きらめくような明るいベートーヴェンを堪能させてくれます。
ジャズをも得意とするグルダは、リズムが実に優れていて音楽的なことこの上なく、コンチェルトにおけるシュタインの充実した指揮も相俟って、これは永遠に残しておきたいと思います。
ちなみに「ハンマークラヴィーア」はデッカのモノラル盤も凄い名演です。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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