2008年03月31日

ベートーヴェンから現代へ


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(前項の続き)そして忘れることのできないのはベートーヴェンである。というのはまさに彼こそは教会や宮廷に属することなく、自立した市民として活動した最初の音楽家であったからである。

地方の領邦都市ボンに生まれた彼は早くからゲーテやシラーによる啓蒙文化的環境に恵まれていた。友人の紹介で彼はフォン・ブロイニング家に庇護され、とりわけ夫人には家族同然の扱いを受けたという。

またワルトシュタイン伯は若き日のベートーヴェンにとって友人であると同時に、愛好者として音楽上のあらゆる便宜を計らった。ハイドンとの出会いもブロイニング家とワルトシュタイン伯の配慮によって成立した。ハイドンにょる指導は彼の活動の範囲をウィーン貴族に近づけることにつながった。彼らの「保護」にベートーヴェンは積極的な仕事でもって応えている「ラズモフスキー四重奏曲」は同伯爵への献呈曲であることは広く知られている。

だが興味深いことに彼は一方で貴族階級への侮辱を隠さなかった。彼はライナー公爵にレッスンした時のことをゲーテに話している。「彼は控えの間で私を待たせた。だから私は彼の手を強くねじってやった。私はこれ以上、時間を浪費できないと言ってやった。」

ベートーヴェンにとっては貴族は自分と同等の人間であった。皇后と大公がやってきても道を譲らなかったベートーヴェンにゲーテは度肝を抜かれたという。市民革命の子、ベートーヴェン。

けれども多くの無名の音楽家たちの場合はそううまく話は進まない。いわゆる都市の文化が爛熟しはじめると、音楽家はなるほど宮廷などの束縛を解かれて自由な身分で活動するようになるのだが、その代わり依然として収入の不安定に晒されたままにとどまってしまう。

都市の音楽家たちは相互扶助組織を作るようになっていったのである。

では、現代においてはどうだろうか?簡単に答えは出せそうもない。確かに今も、音楽は「金のかかる」芸術のひとつではあるけれど、昔の貴族のようなかたちでの保護や、拘束などは無くなっているようにみえる。

だがちょっと視角を変えて見てみれば、今日では諸々の企業による文化活動が、きわめて広い意味での「パトロン」の機能を果たしていることがわかる。文化企業の幅の広さと、音楽家へのしたたかな「寛容度」をかんがみると、あのロックフェラー氏さえまるで宮廷貴族のように思えてしまう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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