2008年04月07日
グールドのベートーヴェン/ピアノ・ソナタ(初期〜中期)
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ペダルの使用を極力控え、ノン・レガート奏法を多用した、いかにもグールドらしい演奏だ。
これはベートーヴェン時代のクラヴィーアの機能を念頭に置いたものだろう。
テンポも全体的に遅めで、ことに緩徐楽章にその傾向が強い。
どの曲も新しい解釈に満ち、初々しい音楽としてその姿を現す。
手垢にまみれていないこのベートーヴェンは実に貴重だ。
第5番からして、驚くほど速いテンポで衝動的に弾き上げられる第1楽章、逆に細部にこだわりすぎて多感な音楽の流れを損なってしまう第2楽章など、ベートーヴェン演奏としては大きな違和感を覚えさせられる。
一様にエキセントリックであり、ここに精神の深みや安定は求められないが、グールドというピアニストを解明するには興味ある演奏だ。
「悲愴」や「月光」でグールドは、ベートーヴェン時代の明澄だが張力の弱いピアノ感触を、現代のピアノで再現しようとする。
第13番はグールドの面目躍如たる演奏だし、「葬送」も説得力に富んでいる。
右手の旋律を分断して一個ずつの和音として響かせるなど、楽章個々の継続性や連続性を拒絶するその姿勢は、エモーショナルに流されることなく音楽を冷静に見つめることを意図したものだろう。
だが、タッチやダイナミクスとテンポとのアンバランスは説明し難い。
聴き手もそれを強いられ、音楽への問いを発しながら作品に接することになる。
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