2014年06月01日
カラヤンのヴェルディ:レクイエム(1984年盤) [Blu-ray]
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
このカラヤンが愛したヴェルディの《レクイエム》は、1972年のベルリン・フィル盤がSACD化されたが、1984年盤の映像作品は、カラヤン芸術を語るに欠かせない映像・録音である。
基本的なコンセプトはCD盤を同一なので、その場合は、やはり映像がある方が迫力が非常に大きくなるという魅力が倍増する。
カラヤンのヴェルディ《レクイエム》は特別である。
それはキャリアの初期に、「ドイツのトスカニーニ」として脚光を集めたカラヤンの音楽性の原点を背後にうかがわせる怖い演奏であり、究極の人間ドラマを見せる凄さがある。
磨き抜かれた音とアンサンブルそれ自体に異常なまでの緊迫感がうかがわれるし、作品に自らの情念を植え付け、さらに濃密な音のドラマに変えていく、そんなカラヤンの思い入れも重なって、空前絶後の音の世界が打ち立てられている。
当盤はカラヤンの1972年以来の再録音で、1984年盤でもこの曲に対するカラヤンの基本的な考え方は変わっていない。
カラヤン一流の、よく計算のゆきとどいた演奏である。
ただ細部の彫琢などに前回みられなかった表情の濃さや、テンポの変化がある。
クライマックスを力強くつくりだす演出のうまさと、内容的な掘り下げの深さという点では、このウィーン・フィル盤の方が優っている。
カラヤンの巧みさは何といっても劇的な演出法の多彩さにあり、あの手この手でヴェルディをからめ取ってしまう。
イタリア人の全くいない4人のソリストは旧盤ほどではないにしても良い出来で、最良の名歌手たちは、豊麗な歌声の魅力に加えて聖なる気品とでもいうべき光りを添えているし、オーケストラをウィーン・フィルとしたことで、一段と表現がしなやかになった点も素晴らしい。
合唱をウィーン国立歌劇場合唱団に、ソフィア国立歌劇場合唱団を加えて混成部隊にしていることも大きな特色で、その底力のある重厚な合唱は、この曲の劇的な性格をさらに盛り上げ、成功している。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。