2008年04月24日
ポリーニのシューベルト:後期3大ピアノ・ソナタ
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ポリーニの以前のシューベルトは、まるで方眼紙に定規を使って製図し、それを完璧に実現したような凄味と若々しい覇気があり、それはそれで極めて魅力的で忘れ難い名演だった。
今回の演奏も基本的にアプローチの方法は変わらないが、彼の関心はよりシューベルトの音楽の内面の発見に強く向かっており、その意味で演奏に深みが増している。
ポリーニはドラマティックな表現と、心打つ優しい抒情的表現で、彼一流のバランス感覚の中に独特の調和を保ちながら、シューベルトの晩年の特異な音楽の世界を雄弁に伝えてくれる。
演奏はすべて自筆譜に従っており、ポリーニはシューベルト自身のペンそのものから、この作曲家の音楽に迫ろうとしている。
ここには作曲家晩年の、瞬時に移り変わる音楽の光と影がしっかり捉えられている。
ポリーニはロマン派の作品を、大作であれ小品であれ彼流に構成しないではおかない。
このシューベルトではその信念を貫き理念を実現しているがゆえに、迫力と魅力のある演奏になっている。
一際目立つのは、ノスタルジアを誘い出す《おおらかな》美しさで、第19番の第4楽章、第20番の第2,4楽章の魅力は何と表現したらよいのだろう。
以前のシューベルト録音と比べてもはっきりと変化と円熟が表れている。
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