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2008年05月03日

カラヤンのブルックナー:交響曲全集


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美しく磨かれた響きで、繊細な表情と力強いトゥッティを交錯させたブルックナーだ。

カラヤンの技術・音楽性両面の蘊蓄を傾けての演奏といった感がある。

実に達者な演奏で、すべてが演奏そのものをスムーズ成らしめるために仕組まれている。

いかにもカラヤン風で、交響的な効果を生み出すことに全力を傾けたかのようだ。

随所にカラヤンの自我の表明があり、それが作品との間に違和感を感じさせる点がなくもないが、総じて音楽の形としては分かりやすい表現である。

カラヤン独特の、しっとりした漂うような響きの味わい、大きな呼吸でフレーズの抑揚をつくる流動感、対位法のなめらかな処理など、実に手に入った感じを与える。

指揮者の狙いもオーケストラの表現もおそろしいほどの精密性をもち、どんな細かな幽明の対比もおよそ考えられる限りでの克明な表情で描き分けられている。

カラヤンは各部で管弦のバランスを巧みに整えており、多彩な表情を作っているが、そのなかでブルックナーにあるワーグナー風の要素を表出しているのが興味深い。

構造を綿密に配慮した設計によって、ブルックナー特有のディティールの明細や劇性の高潮が巧みに配合され、感銘を与える部分が少なくない。

全体に感覚的な美感が目立つが、彼なりに深く共感した真摯な姿勢があり、内面的な充実が強い。

ブルックナーのステージにおいて、19世紀と現代とをひとつのものに結合させるという大仕掛な仕事をたくらみ、それに成功した演奏。

さすがにカラヤン、と思わせる箇所を随所に発見できる名演集である。

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