2008年05月06日
ルプーのシューベルト:即興曲集
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「千人に一人のリリシスト」(デイリー・テレグラフ紙)という名文句で登場したのが1970年。その後シューベルトのスペシャリストとして知られているルプーの代表的なディスク。
ルプーは、現代の人気ピアニストの中でもリリシストとしての資質を最高度に具えたひとりにほかならないが、この作品を手がけた彼は、そこで自己のそうした持ち味を十二分に打ち出し、作品のふくよかな抒情に実に深く多彩なニュアンスを付与することに成功している。
特に、ピアノの響きを柔らかく整え、入念に歌いこんでいる。
各曲とも実に美しい響きの演奏で、詩的情緒を大切にしながら、てんめんと歌わせているのが特徴だ。
抒情的表現と劇的表現の幅が極めて大きく、その推移そのものがドラマティックである。
シューベルトの小品を、大きな人生を凝縮した、実に味わい深い濃密な表現のメディアとし、深い沈黙に裏打ちされた確固たるものにしたルプーにとって、この曲以上に腕を振るい得る作品はちょっと見当たらない。
この名作は、その情緒豊かで美しい外観の中にシューベルトの不安、苦悩、絶望、諦めなどをも映し出しているが、ルプーの演奏では、そうした一面もが悲しいまでに美しく表現されているのだ。
自然の振る舞いを会得した、非常に魅力的な演奏である。
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