2008年05月15日
アルバン・ベルクSQのドビュッシー&ラヴェル:弦楽四重奏曲
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アルバン・ベルクSQのレパートリーはドイツ・オーストリアの作品が中心で、フランスものはこれが初めてだった。
ベートーヴェンとか新ウィーン楽派とかを聴いたあとの録音だったので、興味をそそられた反面、どこかミス・マッチのような感じを抱いてディスクをセットした記憶がある。
でもそれはこちらの的外れな偏見だった。あいかわらず雄弁な語り口だが、ドイツ系の作品演奏のときとはまた違った、粋な面をも見せる好演。
彼らのユニヴァーサルな適応力を感じさせる演奏だった。
全体にきびきびとした明快な演奏である。アンサンブルは精緻で、バランスもよく、その艶やかな音色には魅了される。
構成的にもがっしりとしていて表情も豊かだ。
どちらかといえばラヴェル寄りの解釈だが、ドビュッシーもいつもながらの磨き抜かれた技術と感覚、それに強靭なリズムで実に精密に演奏する。
その上で、メカニックな冷たさの一歩手前で踏みとどまる好演。
ラヴェルは理想的な出来映えで、曲のすみずみまでシャープに捉え、ラヴェルの色彩と幻想を伴った音楽作りをあますところなく表現する。
細部まで精密に造型しつくされた演奏は、この作品の解釈に新しい領域を拓いた画期的なものである。
とりわけ第3楽章の幻想と、弱音の扱いは特筆に値する。そのきわめて幻想的で、典雅な響きはたいへん美しい。
ここには、ラヴェルのもつ音楽特性が十二分に生かされている。
性格的にはかなり異なる作品だが、繊細な詩と幻想的な美しさにあふれたこの2曲は、近代フランスの室内音楽史に燦然と輝く逸品となっている。
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