2008年05月24日
カラヤンの「さまよえるオランダ人」
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
カラヤンの同曲唯一の録音で、その最後のワーグナー/オペラ録音となったものだが、別の録音など到底考えられないほどすばらしい内容を持っている。
カラヤンならではの設計の巧みさの光る演奏だ。その音楽の奥行きの深さは、みごとというほかはない。
カラヤンのこの演奏を聴くと、何より驚くのは「オランダ人」の音楽がワーグナー円熟期の諸傑作にも劣らぬほどの、充実と緊張をもって豊かに鳴り響くことである。
ここでは全幕を通して演奏されるが、カラヤンはそこに明確なパースペクティブを生み出し、重厚かつ明快な演奏は驚嘆すべきものだ。
ベルリン・フィルの輝かしい音色と重々しく厚い響きも、素晴らしい。
ウィーン国立歌劇場合唱団の力強い迫力、特に男声の重厚な響きは圧巻。
歌手もおおむねそろっていて、ダムのオランダ人は宿命と業を背負った人物というより"悩めるインテリ"といった感じなのがユニーク。
むしろホフマンのエリックが素晴らしい。
さらにヴェイソヴィチの可憐な中にも強い意志を秘めたゼンダなどすべてが最高の質を持ってカラヤンのドラマティックな作劇術の中で見事に役割を果たしている。
「オランダ人」は、歌劇というタイトルになっているが、カラヤン盤の緻密な劇構成で聴くとすでに楽劇としても十分な内容を持っていることが良く分かる。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。