2008年06月12日
セルのマーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」
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1968年、シュヴァルツコップとF=ディースカウという2人の名歌手の最盛期の録音である。
数々の名盤が多いこの曲だが、この1枚にかなうものはない。
いくぶん2人の表情のつけ方が濃厚すぎるきらいもあるが、実に絶妙な歌いまわしで、聴いていると思わずひきこまれてしまう。
その熟達した歌唱は比類がない。
マーラーの長大なフレーズ、民謡風の色合い、そして少年時代の記憶の反芻から生まれる音たちの断片を集合し、これらを通して2人のリートの大家の歌い口は、本当に鮮やかに、生き物のように耳にとびこんでくる。
マーラーのエッセンスがすべてぶちこまれたようなこの歌曲集の、マーラーの悲しみ、憧れ、素朴な喜び、皮肉、人間存在への激しい慟哭や冷笑、運命への屈従と反抗、それらあらゆる全ての要素が恐るべき同化力をもって表現されるという結実に至っている。
セルも、あたたかい伴奏をつけており、そのうまさとあいまって圧倒的な名演となっている。
そして、マーラーの中からセンチメンタルな部分を濾過したセルの指揮が全体を引き締めている。
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