2008年06月17日
カラヤンの「トロヴァトーレ」
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旧盤は顔ぶれの豪華さだけでなく、ヴェルディでもとりわけ輝かしい旋律美の上にドラマが成立するこのオペラの特質を、これほど十全かつ燦然と総合的に表現しつくした名演は稀だ。
カラヤンの姿勢は後年と変わっているわけではないが、純イタリア的でありながら、イタリア人も及ばないほど輝かしい音楽を作り出すことに成功している。
カラスとディ・ステファノの歌もどんなに絶賛してもしすぎることはない。
新盤での主役はベルリン・フィルで、その演奏は豊麗きわまりない。ゆったりとしたテンポで濃艶に歌うかと思えば、ドラマの緊迫と共にクレッシェンドとアッチェレランドを重ねてゆくダイナミズムの凄まじさなど、オケの独り舞台の感がある。
しかし、カラヤンが自分の思うまま濃厚な音楽をオケだけで作っているため、至る所で歌と管弦楽との微妙なズレが生じ、この作品独特の面白さは薄れてしまった。
ザルツブルグ音楽祭におけるライヴは、実演特有のキズは多少あるが、当時を代表する最高のキャストを集めた舞台ならではの魅力にあふれている。
カラヤンの指揮は晩年ほどのゲルマン的色彩への傾斜もなく、バランスのよい仕上がりだ。
歌手では何よりもバスティアニーニの気品ある名唱が聴きものだし、コレッリも力と輝きに満ちた声で互角の存在感を示す。シミオナートも素晴らしく、プライスも水準の高い歌唱だ。
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