2008年07月11日
カラヤンの「フィデリオ」
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
カラヤンはこのオペラを何よりもまずベートーヴェンの理想主義的な理念のドラマとして把握し、表面的なおもしろさやオペラティックな効果よりも音そのものの持つ力と理論を十二分に明らかにすることによって、人間的な感動を謳いあげるという態度をとっている。
歌手では、特にデルネシュが声の劇的な緊張と力強い輝きにおいて傑出しているだけでなく、あくまで貞淑な女としてのやさしい情感とリリシズムを失っていない。
第1幕前半にはカラヤンの美感によって磨かれた流麗な演奏が並んでいる。特にベルリン・フィルのみずみずしい響きと洗練された演奏が大きな力となっており、「序曲」から耳をひき寄せられる。
開幕の「二重唱」「マルツェリーネのアリア」、有名な「四重唱」なども美しさによって光っているだけでなく、ここでは「ロッコのアリア」さえも美が優先されている。
そのためドラマがやや置き去りにされている印象を受けるが、「ピツァロのアリア」から劇的な鋭さを加え、第2幕に入ると「序奏とフロレスタンのアリア」「メロドラマと二重唱」「四重唱」など更に充実した演奏を重ねている。
特にカラヤンの幕切れに向かっての昂揚の築き方に圧倒される。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。