2008年07月21日
内田光子&テイトのモーツァルト:ピアノ協奏曲全集
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内田光子といえば、まずこの全集が代名詞のごとく浮かび上がる。一躍モーツァルトのスペシャリストとしての真価と国際的な名声をかち得た記念碑的なアルバムといってよいだろう。
彼女はこの録音に6年の歳月を費やしているが、ブレンデル盤の15年に比べればはるかに短く、演奏スタイルにも一貫性がある。
そのためか全集としてのまとまり、ひいては彼女の揺るぎないモーツァルト観が強く打ち出された印象となっている。
内田のモーツァルトには、鋭い感性で切り込んでいき、ついには核心を探りあてていくような直截に肌で感じられる感覚的な楽しみがある。
テイト&イギリス室内管弦楽団が、そうした彼女の"生きた"アプローチを尊重しつつ、打てば響くように反応し、さらに増幅して弾くところにいまひとつの妙所がある。
両者の蜜月時代を思わせる表裏一体化した解釈とアンサンブルは、各曲の持ち味を自然発生的に滲み出させており、それはほぼ全曲にわたってムラなく達成されているところが素晴らしい。
第20番以降の8曲は、いずれも玲瓏としたピアノの音質と、隙のない緻密な彫琢によって、それぞれの魅力を十分にしぼりとった非の打ちどころのない名演。
それに劣らず、前半の見落とされがちな作品の一つ一つからは、自然に息するように生彩に富んだ表現が浮かび上がってくる。
彼女自身の手になるカデンツァも、ケレンがなく絶妙である。
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