2008年07月24日
ブーレーズのドビュッシー(新盤)
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ドビュッシーの作品が、これほどまでの美しさと生きた音楽としての輝きをもって再現されたことは、前例がない。
ドビュッシーについて語られがちな繊細さや香りの豊かさ以前に、ここには生命の讃歌として音楽があり、内側からあふれ出る熱い情感と、その波打つ起伏の美しさに驚く演奏なのである。
ブーレーズは確かに1960年代から傑出した演奏を聴かせてきたし、そのあらゆる場面で楽譜の裏側まで見せるかのような明晰で、時に怜悧なまでに磨き抜かれた表現を堪能させてきた。
しかし、1990年代になってからはそうした客観性に人間的息づかいと表情が加味されるようになり、明らかに作品をとらえる視線に温かさがプラスされてきた。
音楽がいい意味でふくらみ始めてきたのである。
このドビュッシー録音はその証しであり、作品の手法の鮮やかさとともに、作曲者の素顔や心の状態にまでふれあうことを可能とするかのような人間的感動がある。
それは傑出した指揮者とオーケストラのみが作り出し得る一種の魔法の瞬間であり、媚薬にも似た音楽が聴き手を鳴り響く音楽のもう一つ奥の世界へと誘う演奏なのである。
クリーヴランド管弦楽団が精妙にして華麗なサウンドを聴かせている点も素晴らしい。単に技術やアンサンブルが優れているだけでなく、ブーレーズの意図を咀嚼した上での自発性を誇る演奏であり、ドビュッシーがひとまわり大きくなって蘇る、そんなスリリングな感動に浸らせてくれる。
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