2008年07月30日

アルバン・ベルクSQのベルク「弦楽四重奏曲」「抒情組曲」


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アルバン・ベルク弦楽四重奏団が1990年代にリリースされた録音では、どれでも彼らは、緻密で切れ込みの鋭い鮮烈さに、柔軟な響きと人間感情をまるで音に移し替えたようなロマン性を加え、比類のない内面的精神の深さを引き出しているが、これら2曲でもそれが最高に生かされている。

特に「抒情組曲」はまさに空前絶後ともいえるような演奏で、それぞれの音語法は、すでに完全に彼ら自身の言葉と化しており、ベルクの音楽、それを実現する音、それを引き出してくる彼らの鮮やかな技術、その背後にあるメンバー個々の精神などがまさに一体となり、それらの間に寸分の隙も感じられない。

全編がまさに息をもつかせぬ緊迫感に支配されているが、例えば第5楽章の身の毛もよだつほどの凄まじい劇的表出力は、音楽を以て音楽を超えたといっても良いほどの核心を衝いたものである。

また続く第6楽章でも、その表現の内実の豊かさは、まるで彼らがベルクの化身と化したような錯覚さえ覚えるほどである。

もちろん作品3も劣らぬ名演で、彼らが20世紀作品の演奏にこだわってきた集約が示されているといっても良い。

この演奏で聴くと、ベルクは難解どころか、彼の言わんとすることが手に取るようにわかるのだから演奏の力とは恐ろしいものだ。

超の字を冠したいほどの名演奏である。

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classicalmusic at 00:06コメント(2)トラックバック(0)ベルク | アルバン・ベルクSQ 

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コメント一覧

1. Posted by kobayashi masaki   2014年08月21日 19:49
毎回ありがとうございます。
今回のABStQのベルク演奏は全く持っておっしゃる通りと思います。
私はコンツェルトハウスの中ホールで生も聴きました。(これもおっしゃるように超の付くものに近く終わってしばらく拍手も何の物音もないあのピンと張りつめたホールの空気が思い出されます。22時ころ、終わって電車にのるのも嫌で、歩いて帰る途中の人気の絶えたウィーンの裏通り。今の音達が暗い路地から襲ってくるようで自分が表現主義者の絵の中にいる錯覚を、文学的ではなく現実に確かなものとして感じました。夜のウィーンの路地裏には確かに妖怪(gespenst)が潜んでいます!)だからこのCDを鳴らすのがチト怖い(笑)まぁしかし聴いた後、家を出たら夜のラーメン屋かおでん屋の看板と終夜営業のコンビニから漏れ来るお粗末なスマホ世代音楽(←あれらの、脳みそが砂埃で洗脳されるような音響のものはなんというのです?JPOP?)のようなもんしか存在しない我ポンニチ国ではね・・。妖怪も出んでしょう!桑原桑原。
2. Posted by 和田   2014年08月21日 19:54
上記のkobayashi masakiさんからのコメントは、弊メルマガからの返信です。素晴らしいコメントだったので、ここに記録しておくことにしました。ありがとうございました。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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