2008年08月04日

クライスラーの3大ヴァイオリン協奏曲


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アクースティック録音が電気録音に変わり、交響曲や協奏曲の本格的な録音が始まった時、3大ヴァイオリン協奏曲の録音を企画した英グラモフォン社は、フリッツ・クライスラーをソリストに起用したが、これは彼がヨーロッパとアメリカで最高のヴァイオリニストとして尊敬されたことを考えれば当然の成り行きだった。

クライスラーはウィーンとパリでヴァイオリン奏法を身につけたが、充分にヴィブラートのかかった彼のトーンはまったく独特で、楽器の美感と表現力を最高に発揮することができた。

また、彼の解釈は高貴な精神と暖かい人間性に根ざしており、それが演奏に品位と優美な情感をもたらした。

このようなクライスラーの個性は、ベートーヴェンの協奏曲の性格と完全に一致していた。

したがって演奏はスケールが大きく、限りない精神の飛翔と豊かな感情が自然な流れの上で繰り広げられている。

当時、彼は51歳で円熟の境地にあり、技巧と音楽性が見事なまでに融合していた。

それゆえに、古典的な構成感とロマン的な情感が結びついたニ長調協奏曲にとって、またとない解釈者であり得たのである。

クライスラー自身もこの境地に長くとどまっていなかった。彼自身の再録音を含めて、これに及ぶ演奏はない。

今日から見れば貧しい録音であるが、彼の美しい音と余裕のある演奏から、威厳と風格が伝わってくる。

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